糖尿病の治療や、近年では減量を目的とした医療において、GLP-1受容体作動薬という注射薬が大きな注目を集めています。

その中でも、新しく登場したマンジャロと、長年の処方実績を持つトルリシティは、よく比較検討される2つの薬剤です。

この記事では、マンジャロとトルリシティの違いを知りたいという方に向けて、それぞれの作用機序、期待できる効果、副作用、費用、切り替え時の注意点、そして選び方のポイントを詳しく解説します。

新薬であるマンジャロの強力な効果と、既存薬であるトルリシティの安全性や信頼性、それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身の状態に合った治療法を選択するための参考にしてください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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マンジャロとトルリシティとは?基本情報をおさらい

まずは、マンジャロとトルリシティがそれぞれどのようなお薬なのか、基本的な情報と特徴を整理しておきましょう。

新薬マンジャロ(チルゼパチド)の概要と特徴

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2023年に日本国内で承認された新しい2型糖尿病治療薬です。

この薬の最大の特徴は、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)という2つのホルモン受容体に同時に働きかける「ダブルアゴニスト」である点です。

従来の治療薬に比べて、非常に強力な血糖降下作用と、顕著な体重減少作用が確認されており、医療現場で大きな期待を集めています。

長年の実績を持つトルリシティ(デュラグルチド)の概要と特徴

トルリシティ(一般名:デュラグルチド)は、2015年に国内で承認されたGLP-1受容体作動薬です。

2型糖尿病の治療薬として長年にわたり多くの患者に使用されてきました。

単一のホルモン(GLP-1)に作用するお薬であり、安定した血糖改善効果と、長期間にわたる使用データに基づく高い安全性が確立されています。

両薬剤に共通する特徴と役割

マンジャロとトルリシティは、どちらも「週に1回、患者自身で皮下注射を行う」という投与方法が共通しています。

また、食事をとって血糖値が上がったときにのみ、すい臓からのインスリン分泌を促すという特徴も同じです。

さらに、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑える働きや、胃の動きを緩やかにして食べ物の消化・吸収を遅らせる働き(胃排出抑制作用)も共通しており、これらが総合的に働いて血糖値を改善へと導きます。

【徹底比較】マンジャロとトルリシティの「違い」を深掘り

ここからは、マンジャロとトルリシティの具体的な「違い」について、作用機序、効果、副作用、費用などの多角的な視点から深掘りして解説します。

作用機序の違い:GLP-1単独 vs GLP-1/GIPダブルアクション

トルリシティは、GLP-1受容体のみに作用する「単独アゴニスト」です。

GLP-1の働きによってインスリン分泌を促し、食後の血糖値上昇を抑えます。

これに対し、マンジャロはGLP-1に加えてGIPの受容体にも作用する「ダブルアゴニスト」です。

GIPもGLP-1と同様にインスリン分泌を促すホルモンですが、この2つが組み合わさることで相乗効果が生まれ、すい臓の機能をより強力にサポートします。

GIPが加わることで、GLP-1単独の薬よりも効率的に血糖値をコントロールできるメカニズムが、マンジャロの強さの根拠となっています。

効果の違い:血糖降下作用と体重減少効果

血糖降下作用について比較すると、国内外の臨床試験において、マンジャロはトルリシティを含む従来のGLP-1受容体作動薬よりも、有意に高いHbA1c(過去1〜2ヶ月の血糖値の平均を示す指標)の低下を示すことが報告されています。

目標とする血糖値に到達する患者の割合も、マンジャロの方が高い傾向にあります。

トルリシティも十分に安定した血糖降下効果を持っていますが、より強力な改善が求められる場合にはマンジャロが優位とされています。

体重減少効果についても、マンジャロは顕著な結果を示しています。

胃の働きを緩やかにして食欲を抑える作用に加え、エネルギー代謝を改善する働きが強いと考えられており、臨床試験では体重が大幅に減少したデータが示されています。

トルリシティにも体重減少効果はありますが、マンジャロと比較するとその度合いは穏やかです。

海外ではマンジャロと同成分の薬が肥満症治療薬としても承認されており、減量効果の高さが裏付けられています。

副作用の違いと安全性

両薬剤に共通して見られる副作用は、吐き気、下痢、便秘、食欲減退などの消化器症状です。

これらは特に投与を開始した初期や、薬の量を増やしたタイミングで現れやすく、体が薬に慣れるにつれて徐々に軽減することが多いです。

また、他の糖尿病薬(特にインスリンやスルホニル尿素薬など)と併用する場合には、低血糖のリスクに注意する必要があります。

また、両薬剤に共通する重大な副作用として急性膵炎(壊死性膵炎を含む)が報告されており、重篤で持続性の腹痛などの症状には注意が促されています(参考:国立医薬品食品衛生研究所 1)。

マンジャロ特有の注意点として、効果が強力である分、消化器症状が強く出やすい傾向があります。

また、新薬であるため、10年、20年といった長期的な安全性に関するデータはこれから蓄積されていく段階です。

一方、トルリシティは長年の使用実績があり、どのような副作用がどの程度の頻度で起こるのかというデータが豊富に揃っています。

予測不可能なリスクが少なく、安全性のプロファイルが確立している点は、トルリシティの大きな強みと言えます。

投与方法・頻度の違い

どちらも週に1回の自己注射製剤であり、患者の負担を減らす工夫が施された「アテオス」という使い捨てのペン型注入器を使用します。

針があらかじめセットされており、ボタンを押すだけで自動的に薬液が注入されるため、注射の痛みが少なく、針を見る恐怖感も抑えられています。

大きく異なるのは用量の設定です。

国内において、トルリシティは主に0.75mgという単一の用量で治療が行われます。

用量調整の手間がないというシンプルさが利点です。

なお、現在トルリシティは患者の状態に応じて1.5mgへの増量も可能となっています(参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 2)。

対してマンジャロは、2.5mgから開始し、効果や副作用を見ながら5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgと、患者の状態に合わせて段階的かつ細やかに用量を調整していきます。

効果を最大限に引き出しつつ副作用を抑えるための微調整が可能ですが、医師による慎重な用量管理が求められます。

費用(薬価)の違いと医療費

保険適用で2型糖尿病の治療として処方される場合、薬価(薬の公定価格)に基づき自己負担額が決まります。

薬価は改定されることがありますが、目安としてマンジャロの最低用量(2.5mg)は1本約1900円、維持量の5mgは1本約3800円です。

3割負担の場合、5mgを月に4回使用すると約4500円の自己負担となります。

トルリシティ0.75mgは1本約2700円であり、3割負担で月に4回使用すると約3200円です。

マンジャロで用量を増やしていくと、トルリシティよりも薬剤費が高くなる傾向があります。

また、美容やダイエット目的で自由診療として処方される場合は全額自己負担となり、クリニックによって価格設定が大きく異なります。

月額数万円〜10万円程度の費用がかかるケースもあり、継続的な経済的負担を考慮する必要があります。

適応症の違いと治療における位置づけ

現在、日本国内においてマンジャロとトルリシティが保険適用として正式に承認されている適応症は、どちらも「2型糖尿病」です。

しかし、マンジャロと同一の有効成分(チルゼパチド)を用いた薬剤は、「ゼップバウンド」という製品名で肥満症治療薬としても国内で承認され、2025年に薬価収載されています(参考:厚生労働省 3)(参考:日本肥満学会 4)。

現段階では、糖尿病治療における強力な切り札としての位置づけがマンジャロであり、安定したベースライン治療としての位置づけがトルリシティと言えます。

トルリシティからマンジャロへの切り替えを検討する方へ

トルリシティを使用していて、血糖コントロールが不十分であったり、さらなる体重減少を目指したりする場合、医師の判断でマンジャロへの切り替えが行われることがあります。

切り替えの適切なタイミングと手順

切り替えを行う場合、トルリシティの最終投与から1週間(7日間)の間隔を空けて、マンジャロの投与を開始するのが一般的な手順です。

重要な注意点

重要な注意点として、トルリシティから切り替える場合でも、マンジャロはいきなり高用量から始めることはできません。必ず最も少ない2.5mgから開始し、最低4週間はその用量を継続して、体に慣れさせる必要があります。その後、副作用の有無や血糖値の改善具合を確認しながら、医師の指示のもとで段階的に増量していきます。

切り替えで期待できる効果の変化とリスク

切り替えによって、これまでトルリシティでは到達できなかったレベルの血糖値の改善や、停滞していた体重減少が再び進むことが期待できます。

一方でリスクとして、マンジャロを開始した直後や増量したタイミングで、吐き気や胃のむかつきといった消化器症状が新たに出現したり、以前よりも強く感じられたりする可能性があります。

自己判断で薬の量を調整したり中止したりせず、体調に変化があった場合は速やかに医療機関に相談することが重要です。

【目的別】マンジャロとトルリシティ、あなたに合うのはどちら?

マンジャロとトルリシティにはそれぞれ異なる強みがあります。

ご自身の治療目標やライフスタイルに合わせて、どちらが適しているかを考えるためのポイントを整理します。

より強力な血糖降下・体重減少を求めるならマンジャロ

これまでの治療薬では目標とする血糖値まで下がりきらない方や、肥満を伴う2型糖尿病で、合併症を防ぐためにしっかりとした体重減少が必要な方には、マンジャロが適している可能性が高いです。

GIPとGLP-1のダブル作用による強力な効果は、治療の大きなブレイクスルーとなることが期待できます。

安定した効果と実績、安全性を重視するならトルリシティ

新しい薬を使うことに不安がある方、長期間にわたって安全性が確認されている薬を選びたい方には、トルリシティが安心できる選択肢となります。

また、細やかな用量調整を必要とせず、決まった量をシンプルに使い続けたいという方にも向いています。

費用やライフスタイルを考慮した選択肢

毎月の医療費負担を少しでも抑えたい場合は、用量によってはトルリシティの方が経済的であるケースが多いです。

一方で、通院の頻度や、細かく薬の量を調整して自分にぴったりの効き目を探りたいという希望がある場合は、用量設定の幅が広いマンジャロが合っているかもしれません。

最終的な選択は医療機関での相談が不可欠

ここまで解説してきたように、薬剤の選択には病状、体質、経済的な状況など、さまざまな要因が絡み合います。

インターネット上の情報だけで自己判断せず、必ず主治医や専門の医療機関で相談することが不可欠です。

診察の際には、「現在の血糖値や体重の目標」「副作用に対する不安」「毎月の費用負担の希望」などを明確に伝えると、より適切なアドバイスを受けることができます。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では糖尿病でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

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ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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マンジャロとトルリシティに関するよくある質問(FAQ)

マンジャロとトルリシティに関して、患者さんからよく寄せられる疑問にお答えします。

Q. マンジャロとトルリシティの「換算」はできますか?

直接的な換算式はありません。「トルリシティ0.75mgはマンジャロの〇mgに相当する」といった明確な基準は存在せず、作用するメカニズムも異なるため単純比較はできません。切り替える場合は、必ずマンジャロの最小用量(2.5mg)から開始し、徐々に調整していく必要があります。

Q. マンジャロの「何がすごい」のですか?

従来のGLP-1受容体作動薬が1つのホルモンにしか作用しなかったのに対し、マンジャロはGLP-1とGIPという2つのホルモンに同時に作用する点が画期的です。このダブルアクションにより、これまでにない強力な血糖降下作用と体重減少効果を実現したことが「すごい」と評価されている理由です。

Q. どちらの薬も「糖尿病」でないと使えませんか?

健康保険を適用してこれらの薬を処方してもらうためには、医師から「2型糖尿病」と診断されている必要があります。糖尿病ではない方が保険診療で受け取ることはできません。

Q. 自由診療で「美容目的」で使うことはできますか?

自由診療を提供しているクリニックにおいて、美容やダイエット目的で処方されるケースは存在します。しかし、本来は糖尿病治療のために開発された薬であり、健康な方が美容目的で使用した場合の安全性は確立されていません。重篤な低血糖や予期せぬ副作用のリスクがあるため、安易な使用は推奨されていません(参考:厚生労働省 5)(参考:日本糖尿病学会 6)。

Q. 薬を中断した場合、リバウンドはありますか?

薬の作用によって食欲が抑えられ、体重が減少していた場合、薬を中断すると食欲が元に戻り、リバウンドする可能性が高いです。薬を使用している期間に、食事内容の改善や運動習慣を身につけ、生活習慣そのものを根本から見直すことがリバウンドを防ぐために重要です。

Q. オゼンピックやその他のGLP-1受容体作動薬との違いは?

オゼンピック(一般名:セマグルチド)も週1回注射のGLP-1受容体作動薬であり、トルリシティよりも高い減量効果があることで知られています。マンジャロは、そのオゼンピックと比較した臨床試験においても、さらに優れた血糖降下・体重減少効果を示しました。それぞれに実績、効果の強さ、副作用の出やすさが異なるため、個人の状態に合わせて最適な薬が選択されます。

まとめ

まとめ

この記事では、マンジャロとトルリシティの違いについて詳しく解説しました。

マンジャロはGLP-1とGIPのダブル作用による強力な血糖コントロールと体重減少が期待できる新薬です。一方のトルリシティは、GLP-1単独作用による安定した効果と、長年の使用に基づく高い安全性が強みです。

作用機序、効果の強さ、副作用のリスク、薬価、そして用量調整の柔軟性など、両者には明確な違いがあります。トルリシティからマンジャロへの切り替えを検討する場合も、期待できるメリットと、初期に起こりやすい消化器症状などの注意点を理解しておく必要があります。

最終的にどちらの薬剤が適しているかは、個人の病状、治療の目標、体質、そしてライフスタイルによって大きく異なります。インターネット上の情報だけで判断せず、必ず専門の医療機関を受診し、医師としっかり相談した上で、ご自身にとって最良の治療法を選択してください。