治験モニターのタイプ別報酬目安をご紹介

2020年3月31日

治験は新薬などの開発のために行われる

治験は、新薬やサプリメント、化粧品などを販売する前に、効果や副作用をチェックするために行われます。治験モニターは、この治験に参加し、自らの身体を使って効果や副作用を確認します。

治験とはその「くすりの候補」の有効性と安全性を確認するデータを集めることです。この過程を経てはじめて、新薬やサプリメント、化粧品などは世に出るのです。

新薬開発には莫大な時間とお金が

新薬は、開発を開始してから新薬として認められるまでに10年以上の歳月がかかり、その開発過程の中で治験は3回行われます。実際に人が服用し効果検証が行われるのは、その中の最後の治験です。

治験は”バイト”ではない

治験で得られる報酬の意味が、普通のバイトとは異なります。本来ボランティアで行うものであるため、治験モニターで得られる報酬は「負担軽減費」または「協力費」などと呼ばれます。

もちろん、ボランティアといっても治験モニターを行えば報酬が支払われます。しかし、それは労働に対して支払われる給与所得という扱いではなく、ボランティアに参加することによる「負担軽減費」である、という考えなのです。

治験モニターで得られる負担軽減費は給与所得扱いにならない

治験モニターで得られる負担軽減費は、通常のアルバイト代のように源泉徴収されることはありません。

負担軽減費は、税法上「雑所得」に分類されます。確定申告のやり方が通常のアルバイトとは異なります。つまり、通常の給与所得扱いではないのです。

個人事業主や副業をしている方が雑所得を得ると、年間20万円以上であれば確定申告が必要な場合もあります。
個々に条件が違うので一概にいえませんが、雑所得が年間20万円を超えたら、税務署に問い合わせるようにしましょう。

治験モニタータイプ

治験モニターには通院だけのタイプと入院が必要なタイプがあります。

通院タイプの治験は1回7,000円ほどの協力費が支払われる

通院するタイプは治験の内容によってさまざまで、毎日通院するものから1週間に1回通院すればよいものまであります。通院タイプの治験は、採血やパッチテストのような簡単な検査が中心です。

通院治験の相場は7,000円

通院するタイプの治験の場合、協力費の相場は1回で7,000円ほどです。協力費は入院する治験より低くなります。しかし、入院によって拘束されることもなく、自宅から気楽に通えるというメリットがあります。

入院タイプの治験は1泊1〜2万円ほどの協力費が支払われる

入院タイプの治験は、数日から1カ月くらいかかるケースがほとんどです。ちなみに、糖尿病や肥満などの治療薬の場合は、長期入院することが多いです。

入院生活では、自由な時間も確保されますが、きちんとした管理スケジュールに従って生活しなければなりません。新薬の効果と副作用をしっかり証明するために治験を行うため、規則正しい生活習慣が求められ、下記の時間も厳格に決められています。

  • 起床時間
  • 食事時間
  • 就寝時間
  • このように、管理された生活を送りながら、定期的に効果や副作用についての検査が行われます。

    入院治験の相場は20,000円

    一般的に、入院する治験は、通院する治験よりも協力費が多く支払われる傾向にあります。1泊いくらという単位で協力費が支払われます。その額は、1〜2万円が相場とされています。そのため、1月入院した場合は、30〜60万円の協力費が支払われます。

    これ以外の時間は較的自由に過ごせますが、もちろん飲酒や喫煙は禁止です。外出も禁止で、スマートフォンを使う時間も制限されます。

    治験はボランティアという位置づけですが、このようにさまざまな制約を受けるため、「負担軽減費」や「協力費」という名目で報酬が支払われるわけです。

    治験モニターのメリット

    治験モニターは、拘束時間に対して割高な収入が得られるのが特徴です。しかし、治験モニターのメリットはこれだけではありません。

    治験モニターのメリット

    ・高収入

    ・精密検査を受けられる

    ・入院なら規則正しい生活を送れる

    治験モニターを行う前に事前検診を受けますが、この事前検診の内容は通常の検診よりずっと精密なものです。治験モニターをすると無料で精度の高い健康診断が受けられるというわけです。この検査で異常が見つかれば治験モニターはできませんが、そのかわり通常では見つけにくい疾病が発見されるのですから、このメリットはかなり大きいといえるでしょう。

    入院する治験では、栄養管理がされた食事が3食出るうえに、毎日規則正しい生活をするので、健康面でもプラスです。

    また、治験モニターはいつでも辞めることができるため、安心して参加できます。

    治験モニターのデメリット

    治験モニターは高収入が魅力なのですが、得られる収入に相応のデメリットもあります。

    特に入院するタイプの治験の場合は、管理された空間で過ごさなくてはなりません。そのような生活に慣れている人はいませんから、場合によってはそれが大きなストレスとなることもあるようです。

    入院中は飲酒やタバコは禁止されていますし、スマートフォンも自由に使うことはできません。通院の治験ではそれほどの制約はありませんが、それでも規則正しい生活を送らなければならないため、ある程度窮屈な状態で過ごします。

    また、多くの治験でほぼ毎日採血が行われます。注射針が苦手な人にとっては大きな負担になるかもしれません。

    このように、通常の生活とは異なる環境に置かれることが、治験モニターのデメリットです。

    治験モニターの拘束時間の長さはさまざま

    治験モニターの拘束時間は、内容によりさまざまです。通院するタイプには下記のバリエーションがあり、拘束時間も異なります。

    通院タイプの治験

    ・毎日通院が必要な治験

    ・1週間に1回の通院でよい治験

    ・1日数時間で終わる治験

    ・在宅でできる治験

    在宅で行うのは新薬ではなく、サプリメントや化粧品がほとんどです。これらを自宅に送ってもらい、実際に使って治験を行います。

    治験モニターに登録しよう

    治験モニターをするには、通常のアルバイトとは違った手続きが必要です。

    まず、治験モニターを斡旋するサイトに登録しなければなりません。それから、登録したサイトで紹介する治験モニターを探して応募します。

    登録するサイトによって治験の内容が違うため、複数のサイトに登録して自分が受けたい治験を探すのが一般的です。やってみたい治験があれば、応募して説明会に参加しましょう。それから事前検診を受けて健康状態に問題がなければ、治験がスタートします。

    治験終了後には謝礼金が支払われます。謝礼金は即日手渡しのほか、振り込みもあるため、事前に確認しておきましょう。

    治験モニターは高収入であるため、何度でも応募したくなりますが、1度治験モニターをすると、次の治験は3カ月以上間を開けなければなりません。薬によっては、もっと長く間を開ける必要があるため、事前に確認しておきましょう。

    治験モニターは危険性の高いモニターとはいえない

    新しい薬が出来るまで

    治験モニターは高収入ですが、薬を投薬されるため不安を感じる人も多いようです。

    ですが、治験が行われるまでには、基礎研究(2〜3年)、動物を用いた非臨床試験(3〜5年)という長い時間をかけて新薬の研究が行われています。これらの工程を経た後に治験が行われますが、治験を実施するにあたっても、製薬会社はGCPという国の定めたルールに基づいた「治験実施計画書」を国に提出。医師以外からも構成される治験審査委員会の審査を通ってから実施されます。

    そのため、治験は決して危険な薬を投与されたり、危ない実験をされるようなことはありません。あくまでも新薬の効果や副作用について、最終的なデータを取るために行われるものです。

    重大な副作用が出たらすぐ中止できる

    治験モニターは安全第一で行われます。そのため、万が一重大な副作用が出た場合は、ただちに中止されます。また、治験を受けて後日副作用が出た場合も補償が受けられます。

    その場合は、副作用を治療するための医療費や、休業補償もしてもらえます。万が一の事態にしっかりした対応をしてもらえるのは心強いですね。

    治験モニターは未成年でも参加できる

    治験モニターは、保護者の同意があれば高校生でも受けられます。治験の中には未成年向けのものもあるため、高校生でもある程度需要があります。

    高校生の場合は、未成年が対象の治験モニターしか受けられません。未成年向けの治験モニターはそれほど多くはありませんが、夏休みや冬休みの時期に合わせて行われるため、学業に支障のないよう参加しましょう。

    こんな人は治験に参加できない

    高収入で精密検査も受けられると、メリットのある治験モニターですが、条件によっては参加できない方もいます。

    治験に参加出来ない人

    過去4ヵ月以内に治験を受けている

    肌に刺青がある

    生活保護を受けている

    上記の方は、残念ながら治験モニターには参加できません。また、身分証明ができる方、身分証明を拒否しない方であることも大切な条件です。

    自分に合う治験モニターを探そう

    治験モニターにはさまざまな種類があります。自分の条件に合うものを選びましょう。

    治験モニターは健康な方しか参加できません。普段の生活が不規則であったり、食生活が偏っている方は受けられないことがあります。また、喫煙の習慣がある方は参加できないことが多いため注意しましょう。

    治験モニターの募集サイトに詳しい条件が記載されています。まず自分がその条件に合うかどうか確認してみましょう。

    ここで解決!治験に関するFAQ

    治験とはなんですか?
    治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
    治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
    法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
    治験って安全ですか?副作用はありませんか?
    治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
    健康被害が生じた場合は?
    治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
    都合のいい日程で参加ができますか?
    治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。