初めての治験!知っておきたいアレコレ

2020年3月31日

治験とは??

世の中に薬が出る為には、開発された「くすりの候補」のデータを収集し、得られたデータを国が審査、病気の治療に必要かつ安全に使用できると承認される必要があります。

治験とはその「くすりの候補」の有効性と安全性を確認するデータを集めることです。

治験参加の条件

治験参加の条件とは?

治験に参加するにはさまざまな条件をクリアする必要がある

1週間や2週間の短期間で、まとまった報酬を受け取ることができることで人気の治験。治験に参加するためには、まずは参加条件や事前検査にパスする必要性があります。

1. 治験には年齢制限が設けられている場合が多い

多くの治験には、参加条件として年齢制限が設けられています。
たとえば、20歳~35歳までというかなり限定した範囲のケースです。当然ですが、19歳未満や36歳以上の人は、いくら希望しても治験に参加できません。

治験によって年齢制限はさまざまですので、自分の年齢に合った治験を探して応募しましょう。

2. 治験参加のルールを守らなければいけない

治験を行う際には、禁酒禁煙など、多くのルールが定められています。たとえば、治験参加当日は朝食を食べてはいけない、歯科に通院・治療中の場合は参加できないなどです。また、多くの治験は禁酒・禁煙です。

こういったルールを守れない人は、治験には向いていません。

3. 休薬期間中は治験に参加できない

一度治験に参加すると、通常3ヵ月から6ヵ月の休薬期間が設けられます。次の治験に参加するまでの期間が短いと、治験薬の効果や安全性を正確に測れないからです。

治験への参加経験がある人が次の治験募集を探す場合は、「過去の治験から◯ヵ月以上経過していること」といった募集条件をよく確認しておきましょう。

治験に受からない人の3つの特徴

治験モニターになれない人

治験に受からない理由としては、次の3つが挙げられます。

治験に受からない人

・健康状態に問題のある人

・ルールを破る人

・集団行動を乱す人

1. 健康状態に問題のある人

治験に参加するためには、事前検査(スクリーニング)をパスする必要があります。事前検査では、一般的な健康診断のほか、血液検査・尿検査・血圧・脈拍・心電図検査などを行います。事前検診の所要時間は大抵2時間から3時間程度です。

多くの治験は、健康状態に問題がないことを参加条件にしています。

日頃から脂っこい食事ばかりをする人であれば、血液検査や尿検査に引っかかり、事前検査にパスできない可能性があります。塩分の高い食事を好む人は、血圧の数値が高くなり、健康状態を疑われるでしょう。
また、あまりにも肥満の方や、指定されたBMI数値に収まらない場合も治験に参加できません。

治験にはさまざまな種類があるため、健康状態が良好だからといって、全ての治験に参加できるわけではありません。

なかには、アレルギーなど特別な疾患や持病をもっていることが条件の治験もあります。

2. ルールを破る人

治験に参加するには、さまざまなルールを守らなければいけません。たとえば、禁酒・禁煙が絶対条件だった場合、仮に事前検査に見事受かっても、治験中に飲酒や喫煙をしてしまったら、そこで治験中止となります。

治験入院中は病院スタッフの指示に従って行動します。

決められた起床時間・食事の時間や内容、就寝時間などを守れない人は、治験参加に向いていないでしょう。

また、治験に参加するためには健康保険証が必要です。保険料を未払いなどで、健康保険証が切れている場合は参加できません。

3.集団行動を乱す人

入院が必要な治験の場合、大抵は複数の被験者と集団生活を送ります。
事前検査などの際、協調性がなく集団の和を乱す人、すぐに揉め事を起こす人だと判断されると、治験に受からない可能性が高いでしょう。

治験に受かるための3つのポイント

治験に参加したい人のために、治験に受かるためのポイントを3つご紹介します。

1.自分の健康状態を管理・把握しておく

治験に受かるためには、普段の生活習慣を見直し、健康管理を怠らないようにしましょう。上述したとおり、ほとんどの治験は、治験薬の効果や影響を正確に測定するために、健康状態が良好であることを条件にしているからです。

治験の募集条件によっては、体重やBMI数値が細かく設定されているもの、飲酒・喫煙について厳しい制約(治験前の◯週間前から飲酒・喫煙禁止など)がある場合もあります。

過度な糖質・脂質の摂取は控え、栄養バランスの取れた食生活を送ること、喫煙は控え、飲酒は嗜む程度に(治験前は条件に従って控える)、適度な運動を心がけるなど、節制生活を心がけましょう。

検査数日前から激しい運動をすると、数値に異常が出て治験に受かりにくくなるので注意が必要です。

2. 事前検査の前は水分と睡眠をしっかりとる

事前検査を控えた2〜3日前からは、水分をしっかりとりましょう。水分不足は血液や尿の濃度が高くなり、検査したときに数値に異常が出てしまう場合があります。

水分は水で補給し、清涼飲料水やカフェインが含まれたお茶の摂取は控えましょう。

十分な睡眠も大切です。睡眠不足はインスリンの働きが低下し、血糖値以上の原因になります。また、睡眠時間だけでなく、質も重要です。質の低い睡眠は高血圧や自律神経の乱れを引き起こす可能性があるからです。

お風呂にゆっくりつかる、就寝前にスマホやパソコンを見ない、体に合った枕をつかう、室内の温湿度に気を配るなど、質の高い睡眠を十分にとれる工夫をしましょう。

3. 倍率が低めの治験を選ぶ

倍率が低めの治験募集を探すのもひとつの手です。人気の治験に参加するよりも、倍率が少し低めの治験を選ぶほうが、参加できる可能性もアップします。

たとえば、2週間の入院治験で報酬30万円の募集があったとしたら、当然倍率も高くなり、なかなか受かりにくいでしょう。2泊3日を3回の入院、1ヵ月に1回通院を10回行うタイプなど募集したほうが、受かりやすいかもしれません。

金額次第で確定申告も!

短期間で高額の報酬が得られる治験は、正確にはアルバイトではなく、有償ボランティアに該当します。アルバイトではないため、副業が禁止されている会社の社員であっても気軽に参加できます。

ただし、どういった名目であっても治験で得られるお金は所得となるので、一定の金額を超えると税金を払わなくてはいけません。

入院と通勤で支払いサイクルが異なる治験

治験では、短期入院の場合と通院の場合で支払いサイクルが異なります。
このサイクルのせいで、確定申告が不要と思ってしまう方も多いようですが、どういった支払いサイクルであっても一定の収入を超えると確定申告が必要です。

手渡し

入院治験の期間は治験内容によって異なりますが、報酬は現金を手渡しすることが多いため、支払いサイクルは最短で1日となります。

治験報酬の相場は1万5,000円から2万円です。1日入院で現金手渡しとなれば収入の証拠もありません。

振込

通院治験の報酬は振込が一般的ですが、1回の通院ごとに支払われるのではなく、治験期間が終了するとまとめて報酬が振り込まれます。

通院治験の期間は短いもので1週間、長いものだと数ヶ月に渡る場合もあります。データによって治験を受けられる期間が変わってくるので、支払いサイクルも治験を行う期間によってさまざまです。

振込の場合は、通帳に報酬が記載されます。

20万以上は確定申告が必要

治験の報酬は給与ではなく軽減負担費という名目ですが、雑所得に分類されるため、20万円以上の報酬を受け取った場合は確定申告が必要です。

ただし、扶養に入っていたり、年間給与額が103万円以下だったりすると、申告不要となる場合あります。自分のケースを確認しておきましょう。

特定のお給料をもらっていない人の場合

専業主婦や学生、自営業のように特定のお給料をもらっていない人が治験で報酬を得た場合、治験報酬を含む年間所得の総額が38万円を超えたら所得税の確定申告が必要です。

配偶者控除や扶養控除となっている場合は、年間所得35万円(給与収入がある場合は100万円)以下で、治験報酬も20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。

たとえば、給与年収が95万円であれば65万円の給与所得控除を差し引けますから、給与所得は30万円となるので申告をしなくても大丈夫です。
ただし治験報酬が20万円を超えるのであれば確定申告をしなくてはいけません。

サラリーマンが副業で治験に参加した場合

給与収入があるサラリーマンやOLが治験に参加して報酬を受け取る場合、報酬額の合計が20万円以上であれば確定申告をしなくてはいけません。

サラリーマンの場合会社が年末調整をしてくれるため、確定申告をしなくてはいけないという意識はないかもしれません。

しかし、上述のとおり治験の参加で支払われる報酬は雑所得ですから、一定の金額を超えれば所得税を払う義務が生じ、給与所得とは別に確定申告をする必要があるのです。

交通費など治験を受けるために使った費用は経費として算出できます。ガソリン代や公共交通機関の領収書を取っておくとよいでしょう。

ちなみに、たとえ治験の報酬が20万円以下であっても、ほかに副業をしていて雑所得の総額が20万円以上になるようであれば確定申告が必要です。副業をしている人は気をつけましょう。

生活保護の方は要注意

生活保護を受けている方の中には、支給金額だけでは生活が苦しいため治験の報酬で収入を補いたいと思うかもしれません。

確かに、治験というのは仕事ではないので、生活保護を受ける条件となる「収入がない」「仕事が見つからない」ことに当てはまるともいえますが、治験報酬は収入としてみなされるため注意が必要です。

負担軽減費であっても収入と見なされる

生活保護が受けられるのは、何らかの理由で仕事ができない、もしくは仕事がない状態で自立して生活をするための収入がない人です。

治験で支払われる報酬は負担軽減費ですが、収入として見なされます。治験に参加して報酬を得た場合は生活保護の支給額から報酬分が差し引かれます。

もし、病気で生活保護を受けていて、治験が自分の病気を対象としているものであれば参加したくなるかもしれません。

ですが、たとえ自分の病気を治すための治験参加であっても、負担軽減費を受け取れば支給額減もしくは支給停止となります。

生活保護が打ち切られる可能性がある

治験に参加して、生活保護支給額を超える報酬を受け取っている場合は、自分で自立して生活費を稼いでいるという状態ですから、生活保護の打ち切り対象です。

また、何らかの病気を理由に生活保護を申請しているのであれば、参加した治験の内容次第では健康であると判断されることもあります。

健康であれば働けますから、生活保護の受給資格を失う可能性もあります。

治験参加の前にしっかりとした準備を!

今回、初めて治験に臨むために知っておいた方がよい項目をまとめてご紹介しました。

治験に参加するためには健康管理と真摯な気持ちが必要だということがわかっていただけたと思います。定められたルールを守り、注意点をよく確認した上で、治験に臨みましょう。

ここで解決!治験に関するFAQ

治験とはなんですか?
治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
治験って安全ですか?副作用はありませんか?
治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
健康被害が生じた場合は?
治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
都合のいい日程で参加ができますか?
治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。