骨粗鬆症の症状について

2020年8月25日

骨粗鬆症は女性に多い病気の1つで、最悪の場合は寝たきりになってしまう病気です。
今回は骨粗鬆症になるとどんな症状があらわれるのか、骨粗鬆症の原因、予防方法などをご紹介します。
骨粗鬆症のチェックリストも紹介いたしますので、ご自身に骨粗鬆症の疑いがないかもチェックしてください。

骨粗鬆症は骨がもろくなってしまう病気

骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症は、骨の強度が弱くなり骨折しやすくなる病気です。
この病気は古代からある病気といわれており、年齢による衰えと考えられていたため、病気として認知されていませんでした。しかし平均寿命が延びている現代では発症する人が多く問題となっています。
また見た目にはわかりづらい病気なため、健康だと思っている人が普段通りに生活しているなかで、骨折し骨粗鬆症だと判明することもあります。

私たちの体を支えている骨は皮脂骨と海綿骨という2種類の骨で構成されています。皮脂骨は硬くて密に詰まった骨です。海綿骨は小さな骨が織り合わせるようにしてできていて、海綿骨の構造が骨の強さを担っています。
この海綿骨の構造が加齢などさまざまな原因によって崩れてしまうと、海綿骨の中がスカスカになってしまい、骨が弱くなってしまうのです。これを骨粗鬆症と呼びます。

骨粗鬆症になるとあらわれる4つの症状

骨粗鬆症は症状がわかりづらい病気で、サイレント・ディジーズ(静かな病気)と呼ばれる病気の一種です。
自覚する症状が出るまで徐々に進行し、60代頃から症状が表れはじめます。骨粗鬆症は圧倒的に女性の患者が多い病気です。
自覚できる症状として、以下の4つが挙げられます。

1. 背中が曲がる・背が縮む

背中が曲がったり背が縮んだりは、周囲の人にいわれて気づくこともあるでしょう。もし「背が低くなった?」「背中が丸くなってるよ」などを周囲の人にいわれたら、念のために検査を受けることをおすすめします。

2. 強い痛みが出て起き上がれない

仕骨粗鬆症が進行すると、起き上がることができないほどの強い痛みを腰や背中に感じることがあります。

3. 軽い転倒でも骨折する

軽く転倒しただけで骨折してしまうのも骨粗鬆症の症状の1つで、とくに骨折しやすい部位は手首や足の付け根などです。
症状がここまで進行していると、背中がかなり曲がり、身長が縮んだことを自覚します。
また背中が丸まってしまうことで、背骨が体の重みに耐えられなくなり圧迫骨折を起こすことも珍しくありません。

4. 胸やけ

骨折の症状が出なかったとしても、姿勢が悪くなってしまうと体の内部に異変が起きることがあります。
姿勢が悪くなると内臓に負担がかかってしまうので、それまでは感じたことのない胸焼けなどを日常的に感じる人もいます。

骨粗鬆症になっていないかチェックしましょう

紹介するチェックリストに半分以上当てはまった場合は、骨粗鬆症予備軍かすでに発症している可能性があります。
ご自身が当てはまるかどうかチェックしてみてください。

  • 運動が苦手
  • 小柄で痩せ型
  • 子供の頃から偏食
  • 身長が縮んでいるように感じる
  • 背中が丸まってきたように感じる
  • 若い頃に生理不順が頻繁にあった
  • 閉経している
  • 急激なダイエットをしたことがある
  • 日光に当たらない生活をしている
  • ちょっとしたことで骨折した経験がある
  • 牛乳や乳製品を摂取する機会が少ない
  • 魚や豆腐をあまり食べない
  • タバコをたくさん吸う
  • コーヒーを頻繁に飲む
  • 両親のどちらかが大腿部頚部骨折をしたことがある
  • 胃を摘出する手術をしたことがある
  • ステロイドを内服している
  • リウマチになったことがある
  • 若い頃に卵巣を摘出している
  • 逆流性食道炎になったことがある

以上のリストのうち半分以上当てはまった方は、1度医師に相談することをおすすめします。

骨粗鬆症の原因は加齢と女性ホルモン

骨は年齢を重ねると少しずつ量が減っていきます。
骨密度は20歳前後が最大で、そこから40代半ばまではほぼ一定の骨密度を保っています。50代に突入すると男性も緩やかに骨密度が低くなるのですが、女性は急激に低くなる傾向があります。
それまでの生活習慣が大きく影響しているともいわれ、喫煙習慣、カフェインやアルコールの過剰摂取、日に当たらないなどが原因とも考えられています。

また50代より前であっても、ステロイド剤を服用している方や、急激なダイエットを行った方、運動習慣がない方は骨粗鬆症になってしまうこともあるようです。
骨粗鬆症はとくに女性に多い病気ですが、閉経も骨粗鬆症になってしまう原因です。閉経すると女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が減ります。エストロゲンには骨吸収を抑制する力があるのですが、エストロゲンの減少により骨吸収が増加してしまうと、骨がもろくなってしまいます。

骨粗鬆症を避けるために生活習慣を見直しましょう

骨粗鬆症を避ける生活習慣
閉経によるエストロゲンの減少は避けることができないものですが、日頃の生活習慣を見直すことで骨粗鬆症を予防することが可能です。
骨粗鬆症を予防するために見直したい生活習慣は大きく分けて3つです。

1. 運動習慣をつけましょう

骨粗鬆症になりやすい人の生活習慣として、運動不足が挙げられます。骨はある程度負担をかけることで骨密度がアップしますので、運動習慣がない人は軽い運動から始めてみましょう。

実は骨に負荷がかかればかかるほど、骨は強くなっていきます。運動をすると骨に負荷がかかり、その刺激を受けてカルシウムが沈着しやすくなるのです。
また刺激を受けると血行がよくなるため、骨芽細胞という骨を作る細胞の働きが活発になります。いきなり強い負荷をかけるのは骨折の恐れがあって危険ですが、適度な負荷をかけ続けることによって、骨の強度を増すことができます。

骨を強くするためには縦方向に刺激を与えるといいといわれています。そのためウォーキングや軽いジョギングなどがおすすめです。歩くときは足の裏全体に体重をかけるようにして歩くと、骨に負荷がかかりやすくなります。
また最近はおうちでできる筋トレが流行っています。筋トレというとハードなものを想像するかもしれません。しかし自重を使った簡単な筋トレや軽い筋トレもあるので取り入れてみるのもよいでしょう。
あくまで適度な運動をして、適度な負荷をかけることが大切です。いきなり強い負荷をかけるのは危険ですから、運動習慣がないのであれば簡単な運動から始めてください。

2. 食生活を見直しましょう

骨とカルシウムが大きく関係していることをご存知の方は多いでしょう。骨を構成している栄養素の7割がカルシウムです。そのため日常的にカルシウム不足になると、骨密度が下がってしまい、もろい骨になってしまいます。
カルシウムが多く含まれる食品は牛乳や乳製品、小魚や海藻、大豆や大豆製品などです。
女性は18歳以上で1日あたり650mgのカルシウム摂取が推奨されています。[注1]

日頃から意識してカルシウムが含まれる食品を食べるようにしましょう。また食事だけで十分なカルシウムが摂取できないのであれば、サプリメントを取り入れるのもよいでしょう。
カルシウムと同時に意識して摂取したい栄養素は、ビタミンD・ビタミンK・マグネシウムの3つです。
ビタミンDはカルシウムが体に吸収されるのを促す効果があります。いくらカルシウムを摂ってもビタミンDが不足していると骨に吸収されづらくなってしまいます。

吸収されたカルシウムを骨に取り込みやすくしてくれるのがビタミンKです。
そしてマグネシウムは骨の中に取り込むカルシウムの量をコントロールする役割を持っています。
[注1]厚生労働省:e-ヘルスネット カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html

3. 日光にあたる習慣をつけましょう

日光に当たると骨が強くなります。日光を浴びると紫外線も同時に浴びることになりますが、この紫外線は体内でビタミンDをつくります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けてくれる働きをします。
少なくても1日15分は日光を浴びるようにしましょう。紫外線を浴びればOKなので、直射日光を浴びなくても問題ないといわれています。
夏は直射日光を浴びることで熱中症の危険性も高まりますから、外の木陰で15分程度過ごすのもよいでしょう。

骨粗鬆症になったときに行う検査と治療

骨粗鬆症を発症した場合の検査方法と治療方法を解説いたします。

骨粗鬆症で行われる検査は骨密度測定とレントゲン

骨がもろくなっているかどうかは骨密度を測定することでわかります。骨密度を測定する機械はさまざまな種類がありますが、検査に痛みを感じるものはありません。また検査時間も短時間で済みます。

骨が骨折していないか、ほかの病気ではないかを確かめるためにレントゲン検査も行われます。

骨粗鬆症の場合は問診から症状の有無を判断することもありますので、病歴は簡単に整理しておきましょう。
生活習慣についても質問されますので、正直に答えてください。

骨粗鬆症の治療は生活習慣の見直しが大きな鍵

骨密度が減って骨粗鬆症になると、急に骨密度をあげることはできません。
基本的には上述したように運動、食生活、日光浴の習慣を見直すことになります。まだ骨粗鬆症の症状が浅いのであれば、この3つの習慣を見直すだけでも症状が改善されることがあります。

医師が重度の骨粗鬆症と判断した場合は、薬を使用した治療が行われます。骨粗鬆症に効果的な薬はさまざまなものがありますが、年齢や骨粗鬆症の重症度によって服用する薬が異なります。
また薬で治療する場合も運動、食生活、日光浴の習慣を見直すことは必須です。

腰痛や背中の痛みがある場合は、鎮痛剤を使って一時的に痛みを軽減させることもあります。

治験でよりよい骨粗鬆症の治療を目指している

骨粗鬆症に効果のある薬はすでにいくつも開発されていますが、より効果的な薬が治験によって開発されています。
治験は臨床試験といわれるもので、治験へ協力してくれる方がいて初めて新薬が開発されます。国の承認を得るためには治験が欠かせません。
治験の対象となる方は健康な成人の方や特定の症状がある患者さんです。治験ボランティアとして治験に参加することは多くの患者さんを救うだけでなく、ご自身の将来を救うことにもなりえます。

骨粗鬆症は生活習慣を見直すことで予防・改善できる

骨粗鬆症は薬で簡単に治すことができる病気ではありません。何より大切なのはご自身で生活習慣を見直すことです。
骨粗鬆症になっていない人も生活習慣を見直して、骨粗鬆症を予防しましょう。骨粗鬆症の疑いがある方は1度医師に相談し、改善するための指示をあおいでください。

ここで解決!治験に関するFAQ

治験とはなんですか?
治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
治験って安全ですか?副作用はありませんか?
治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
健康被害が生じた場合は?
治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
都合のいい日程で参加ができますか?
治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。