「健康診断で腎機能の低下を指摘された」「eGFRの数値が悪いと言われた」「腎臓は一度悪くなったら、もう元に戻らないのではないか…」
このような不安を抱えている方は少なくないでしょう。
まず、最も知りたいであろう結論からお伝えします。
一度壊れてしまった慢性的な腎機能の低下(慢性腎臓病)を、完全に元通りに回復させるのは、残念ながら現代の医療でも難しいのが事実です。
しかし、落ち込む必要はまったくありません。
- 「急性」の腎障害であれば、原因を取り除くことで回復が見込めます。
- 「慢性」の腎臓病(CKD)でも、早期であれば生活習慣の改善などで数値が良くなる可能性があります。
- そして何より、たとえ早期でなくても、正しい対策(食事・生活習慣・治療)によって腎機能の悪化を遅らせる(進行を抑制する)ことは十分に可能です。
この記事は、以下の点を網羅的に解説します。
- 腎機能と「回復」の医学的な真実
- ご自身の危険度(ステージ)と今やるべきこと
- 腎機能を守るための「食事」「生活習慣」の全技術
- 「漢方・サプリ」との賢い付き合い方
- 将来(透析・移植)の不安を減らすための知識
「もう遅いかも」と諦める前に、腎臓を守るために「今できること」を一緒に確認していきましょう。
腎機能は「回復」する?まず知るべき医学的な現実
「腎機能を回復させたい」と願うのは当然のことです。
しかし、その「回復」が何を指すのか、医学的な現実を整理することから始めましょう。
「急性腎障害(AKI)」と「慢性腎臓病(CKD)」は別物
まず知っておきたいのは、腎機能低下には「急性」と「慢性」の2種類があることです。
- 急性腎障害(AKI): 脱水、薬剤、感染症などが原因で、数時間~数日のうちに急激に腎機能が悪化する状態です。この場合、原因を特定し、速やかに治療すれば腎機能が「回復」する可能性は十分にあります。
- 慢性腎臓病(CKD): 高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な原因となり、数ヶ月~数年かけてゆっくりと腎機能が低下していく状態です。健康診断で指摘されたのは、おそらくこちらでしょう。
なぜCKD(慢性)は元に戻りにくいのか?
CKDが「元に戻りにくい」と言われるのには理由があります。
腎臓は血液をろ過する「糸球体(しきゅうたい)」という小さなフィルターの集まりです。
CKDでは、長期間にわたる負担(高血圧や高血糖など)によって、この糸球体が少しずつ壊れ、硬くなってしまいます。
皮膚ならケガをしても再生しますが、一度壊れて機能しなくなった糸球体は、残念ながら元通りには再生しません。
「治療目標=進行抑制」という考え方
日本腎臓学会などの団体も、「慢性腎不全(CKDが進行した状態)では、失われた腎機能の回復はほぼ見込めない」と説明しています(参考:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」1)。
だからこそ、CKD治療の最大の目標は「完治」や「完全な回復」ではなく、「残った腎機能を守り、いかに悪化のスピードを遅らせるか(進行抑制)」そして「透析への移行を防ぐか、遅らせるか」に置かれます(参考:厚生労働省 2)。
「回復」の定義を再設定しよう
「完全な回復は難しい」=「何もできない」ではありません。
「腎機能を回復させる」という言葉を、より現実的で希望のある目標として、以下のように再設定します。
- 早期改善: CKDの初期段階(早期)であれば、原因(高血圧・糖尿病など)の治療や生活習慣の改善で、eGFRなどの数値が改善する。
- 進行抑制: 今ある腎機能の低下スピードを、できる限り緩やかにする。
- 現状維持: 数値の悪化を防ぎ、今の状態をキープする。
これらはすべて、未来の健康を守るための、立派な「回復」であり「改善」です。
ステージ別危険度と目標設定
「進行を抑制する」と言われても、自分が今どれくらい危険な状態なのか分からなければ、対策の立てようがありません。
自分の数値を「自分ごと化」することが第一歩です。
健康診断の結果を用意しよう(eGFR・クレアチニン・尿蛋白)
まずは健康診断の結果票(血液検査・尿検査)を見てください。
チェックすべきは以下の項目です。
- eGFR(推算糸球体ろ過量):
- あなたの腎臓が1分間にどれくらいの血液をろ過できるか(働き)を「推算」した数値です。
- 健康な人は90以上あり、数値が低いほど腎機能が低下していることを意味します。60未満が続く場合、CKDが疑われます。
- クレアチニン(Cr):
- 筋肉で使われるエネルギーの「老廃物」です。本来は腎臓から尿へ排泄されますが、腎機能が低下すると血液中に溜まってしまい、数値が高くなります。
- 筋肉で使われるエネルギーの「老廃物」です。本来は腎臓から尿へ排泄されますが、腎機能が低下すると血液中に溜まってしまい、数値が高くなります。
- 尿蛋白:
- 本来、尿にはほとんど出ないはずの「たんぱく質」が漏れ出ている状態です。これは糸球体がダメージを受けているサインです。
>>eGFRが低いとどうなる?放置するリスクと主な原因、腎機能低下を抑える改善策を解説
CKDステージ分類と将来のリスク
CKDは、主に「eGFR」の数値によって、G1〜G5のステージに分類されます。
| ステージ | eGFR (mL/分/1.73m²) | 腎機能の状態 |
| G1 | 90 以上 | 正常または高い |
| G2 | 60~89 | 正常または軽度の低下 |
| G3a | 45~59 | 軽度~中等度の低下 |
| G3b | 30~44 | 中等度~高度の低下 |
| G4 | 15~29 | 高度の低下(末期腎不全の一歩手前) |
| G5 | 15 未満 | 末期腎不全(透析・移植が必要) |
※G1、G2でも、「尿蛋白」など腎臓のダメージを示す所見が3ヶ月以上続けばCKDと診断されます(参考:厚生労働省 3)。
>>慢性腎臓病(CKD)のステージ完全ガイド|数値・症状・生活改善まで解説
ステージ別:やるべきこと早見表
ステージごとに、やるべきこと(目標)は異なります(参考:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」 4)。
- 【G1〜G2(軽症)】
- 目標: 悪化させない。原因の管理。
- 今すぐやること:
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症など、原疾患の徹底管理。
- 生活習慣の見直し(特に減塩、肥満なら減量)。
- 安心せず、年1回は必ず検査を受ける。
- 【G3(中等症)】
- 目標: 進行を食い止める。G4に進ませない。
- 今すぐやること:
- 腎臓内科の専門医を受診する。
- 本格的な食事療法(塩分・たんぱく質管理)の開始。
- 血圧の厳格なコントロール。
- 【G4〜G5(重症)】
- 目標: 透析への移行をできるだけ遅らせる。合併症を防ぐ。
- 今すぐやること:
- 専門医による厳密な治療・管理が必須。
- 食事療法(たんぱく質・カリウム・リン)の徹底。
- 透析や腎移植についての情報収集・準備を心積もりとして開始する。
腎機能を守る「食事」:5つのポイント
腎機能低下を指摘された人が、最も関心が高いのが「食事」です。
ここでは、腎臓を守るための食事のポイントを具体的に解説します(参考:日本腎臓学会 5)。
最優先は「塩分制限」(1日6g未満)
CKD治療において、塩分制限は最も重要です。
塩分を摂りすぎると、体内に水分が溜まりやすくなり、血圧が上がります。
高血圧は、腎臓の糸球体に常に高い圧力をかけ続けることになり、腎機能を悪化させる原因となります。
- 目標: 1日6g未満(日本人の平均摂取量は約10g)。
- 具体策:
- ラーメンやうどんの汁は飲まない。
- 漬物、梅干し、塩辛などを控える。
- 醤油やソースは「かける」のではなく「小皿でつける」。
- 香辛料(こしょう、唐辛子)、香味野菜(しそ、みょうが)、酸味(酢、レモン)で味にメリハリをつける。
たんぱく質は「制限」より「適正量」
たんぱく質は体を作る重要な栄養素ですが、摂りすぎると体内で老廃物(尿素窒素など)に変わり、腎臓に負担をかけます。
ただし、やみくもに制限すれば良いわけではありません。
CKDのステージや年齢、体格によって必要な「適正量」が異なります。
特にステージG3以降は、たんぱく質の制限が進行抑制に有効とされています。
自己判断での極端な制限は、栄養失調や筋肉減少(フレイル)を招き、逆効果になるため、必ず医師や管理栄養士の指導を受けてください。
カリウム・リンは「ステージ次第」
カリウム(野菜、果物、芋類に多い)やリン(加工食品、乳製品に多い)も、腎機能が悪化すると(特にG4以降)体外に排泄しにくくなり、血液中に溜まりやすくなります。
- カリウム: 高くなると不整脈や心停止のリスクがあります。
- リン: 高くなると骨がもろくなったり、動脈硬化を進めたりします。
ただし、これらもステージG3aくらいまでは、過度に制限する必要はありません。
むしろ、カリウムには血圧を下げる良い側面もあります。腎機能が低下してきた段階で、医師から制限を指示されます。
【一覧】腎臓に良い食べ物・注意が必要な食べ物
「これを食べれば腎機能が回復する」という魔法の食べ物はありません。
バランスが重要です(参考:日本腎臓学会 6)。
- 積極的に摂りたい(管理しつつ):
- アルカリ化食品: 野菜、海藻、きのこ類など(ただしカリウム制限がある場合は注意)。尿をアルカリ性に保ち、腎臓の負担を減らすとされます。
- 良質な脂質: オメガ3脂肪酸(青魚など)、オリーブオイル。
- 香味野菜: 玉ねぎ、にんにく、生姜など(減塩の味方)。
- 注意が必要な食べ物:
- 加工食品・インスタント食品: 塩分、リンが非常に多い。
- 塩分の多い調味料: 醤油、味噌、ソース、ケチャップ。
- カリウムが多いもの(制限時): 生野菜、果物、ドライフルーツ、芋類。
- リンが多いもの(制限時): 乳製品、魚の干物、レバー、ナッツ類。
「制限疲れ」と「フレイル(虚弱)」を防ぐ
食事制限を頑張りすぎた結果、食欲が落ち、食べる量全体が減ってしまうことがあります。
特に高齢者の場合、たんぱく質やカロリーが不足し、筋肉が痩せ細る「フレイル」状態に陥るリスクがあります。
筋肉が落ちると、かえって体力が低下し、様々な病気にかかりやすくなる可能性もあります。
塩分やたんぱく質は制限しつつも、必要なエネルギー(カロリー)はしっかり確保することが重要です。
外食・コンビニでの選び方
「外食やコンビニ食は一切ダメ」では続きません。
選び方のコツを掴みましょう。
- 外食: 定食は「汁物」と「漬物」を残す。丼物やラーメン、カレーは塩分過多なので避ける。外食が多い方は栄養士に相談し対策を練りましょう。
- コンビニ:
- 「幕の内弁当」など品数が多いものを選び、漬物や味の濃い副菜は残す。
- おにぎり+サラダチキン+野菜サラダ(ドレッシングは半分)など、単品を組み合わせる。
- 裏面の「栄養成分表示」を見て、「食塩相当量」が少ないものを選ぶ習慣をつける。
腎機能の悪化を遅らせる「生活習慣」
食事と並んで重要なのが、日々の生活習慣です。
腎臓を攻撃する要因を一つずつ減らしていきましょう(参考:日本腎臓学会 7)。
原疾患の管理(血圧・血糖・脂質)
CKDの最大の原因は、高血圧と糖尿病です。
これらのコントロールなくして、腎機能の維持はあり得ません。処方された薬は必ず飲み、血圧・血糖値を目標範囲内に収めることが最優先事項です。
>>糖尿病の原因は?気になる初期症状からチェック要項まで解説
体重管理と適度な運動(腎臓リハビリテーション)
肥満(特に内臓脂肪)は、腎臓に直接的な負担をかけます。
適度な運動(ウォーキングなどの有酸素運動)は、血圧や血糖値を下げ、減量にもつながります。
最近では「腎臓リハビリテーション」という考え方もあり、適切な運動はCKDの進行予防に有効とされています。
禁煙・節酒・十分な睡眠
- 禁煙: 喫煙は血管を収縮させ、腎臓への血流を悪くするリスク因子の一つです。腎臓を守る上で、禁煙は必須です。
- 節酒: 過度な飲酒は高血圧や中性脂肪の原因となります。適量を守りましょう。
- 睡眠: 睡眠不足やストレスも血圧を上げる要因になります。十分な休息を心がけてください。
感染症対策(ワクチン、うがい手洗い)
見落とされがちですが、腎機能が低下している人は、感染症(風邪、インフルエンザ、肺炎など)をきっかけに腎機能が急激に悪化(AKIを併発)することがあります。
日頃からのうがい・手洗い、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種は、腎臓を守る上でも非常に重要です。
(危険)市販薬・サプリの「腎臓的NG行動」
良かれと思ってやったことが、腎臓を傷つけることがあります。
- 市販の鎮痛剤(NSAIDs): ロキソニン、イブプロフェンなどに含まれる成分(NSAIDs)は、腎臓への血流を減らし、腎機能を悪化させる可能性があります。安易な長期連用は危険です。
- 不明なサプリ・健康食品: 「腎臓に良い」と謳うものでも、成分が不明なものや、カリウムなどが過剰に含まれている場合があります。自己判断で始めるのは非常に危険です。
病院での「治療薬」と「漢方・サプリ」との付き合い方
「食事や生活習慣だけでなく、何か特効薬はないのか?」「広告で見る漢方やサプリはどうなのか?」という疑問にもお答えします。
腎機能を「直接回復させる薬」はまだない
残念ながら、冒頭の結論とも重なりますが、「壊れた糸球体を再生させ、腎機能を直接回復させる」という特効薬は、現在のところ存在しません。
治療の主役は「腎臓を守る薬」(ACE阻害薬・ARBなど)
病院での薬物治療の主役は、「腎臓をこれ以上悪くさせないための薬(腎保護薬)」です。
具体的には「ACE阻害薬」や「ARB」といった種類の血圧を下げる薬が中心です。
これらは、単に血圧を下げるだけでなく、糸球体にかかる圧力を下げたり、尿蛋白を減らしたりして、腎臓を保護する作用があります。
注目の新薬「SGLT2阻害薬」の腎保護効果
もともとは糖尿病の薬として使われていた「SGLT2阻害薬」という薬に、糖尿病があるなしに関わらず、CKDの進行を抑制するという強力な腎保護効果があることが分かり、近年注目を集めています(参考:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」 9)。
漢方・サプリで腎機能は回復する?
ネット広告などで「腎機能回復の漢方」といった宣伝を見ると、期待してしまうかもしれません。
まず知っておくべきは、健康食品やサプリメントは「医薬品」ではないため、「病気が治る」「回復する」といった効果を謳うことはできないということです。
- エビデンスと限界: 漢方薬の中には、むくみや倦怠感などの症状を和らげるものや、一部の腎炎で使われるものもありますが、「CKDそのものを回復させる」という明確な科学的根拠(エビデンス)が確立されているものは、現時点では限定的です。
- 自己判断のリスク: 最も怖いのが、自己判断での使用です。漢方薬には「カリウム」を多く含むものがあり、腎機能が低下している人が飲むと、高カリウム血症という危険な状態になる恐れがあります。
試してみたい気持ちがある場合は、絶対に自己判断せず、「今こういうものを検討している」と主治医に見せ、必ず相談してください。
腎臓ケアの道しるべ
あなたの「現在地」から「未来」までを、道しるべとして示します。
健診で異常を指摘されたら(受診の目安)
- 健康診断で「eGFR 60未満」または「尿蛋白陽性」を指摘されたら。
- やるべきこと:
- 放置しない。腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出た時(むくみ、倦怠感など)は、すでにかなり進行している恐れがあります。
- すぐに専門医(腎臓内科)を受診してください。かかりつけ医がいる場合は、まず相談し、紹介状を書いてもらいましょう。
- 健康診断の結果票(過去数年分あるとベスト)、お薬手帳を持っていきましょう。
CKDと診断されたら(進行抑制期)
- 専門医により「慢性腎臓病(CKD)」と診断されたら(ステージG3〜G4)。
- やるべきこと:
- 「進行抑制」を最大の目標に、医師・管理栄養士とタッグを組む。
- 年単位での目標設定: 「eGFRの低下速度を、年間1〜2(あるいはそれ以下)に抑える」など、具体的な目標を主治医と共有する。
- 食事指導: 管理栄養士による専門的な食事指導を受け、自分に合った塩分・たんぱく質の摂取量を知る。
- 定期的な検査: 処方された薬をきちんと飲み、定期的な血液検査・尿検査を絶対に欠かさない。
透析・移植を勧められたら
- ステージG4後半〜G5。eGFRが15を切り、医師から「そろそろ透析の準備を」と言われたら。
- やるべきこと:
- 現実を受け止め、学ぶ: 透析は腎臓の働きを代替する「治療」です。
- 選択肢を知る: 透析には、病院に週3回通う「血液透析」と、自宅で行う「腹膜透析」があります。また、根本治療である「腎移植」(生体腎移植・献腎移植)という選択肢もあります。
- 情報を整理する: 家族、仕事、お金(公的補助制度など)について、ソーシャルワーカーや病院の相談員と話し合いを始める。
「透析=人生の終わり」ではない
「透析」と聞くと、絶望的な恐怖を抱くかもしれません。
しかし、透析は「悪化」ではなく「治療」です。
透析を導入することで、尿毒症で苦しんでいた体が楽になり、食欲が戻り、元気に社会復帰を果たしている人は日本に多くいます。
確かに生活は一変しますが、旅行や仕事、趣味を続けている人も大勢います。
CKDの治療目標(進行抑制)は、この「透析導入」をできるだけ先延ばしにすることですが、万が一その時が来ても、それは「終わり」ではなく「新しい治療生活の始まり」だと捉えてください。
新たな治療法を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では腎機能の低下(低eGFR)でお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。
例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
腎機能の低下に関するよくある疑問
最後に腎機能の低下に関してよく見られる疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q. 腎機能は一度下がったら絶対に戻らないの?
A. 急性腎障害であれば回復の可能性があります。
慢性腎臓病(CKD)の場合、一度壊れた糸球体は元に戻りにくいですが、早期(G1〜G2)であれば原因治療や生活習慣改善で数値が良くなる(改善する)ことはあります。
進行した場合でも、悪化を遅らせることは可能です。
Q. 腎機能を回復させる(良くする)食べ物はありますか?
A. 残念ながら「これさえ食べれば腎機能が回復する」という魔法のような特定の食べ物はありません。
重要なのは、塩分・たんぱく質・カリウム・リンなどをステージに応じて適切に管理する「食事療法」というバランスです。
Q. 水はたくさん飲んだ方がいい? 制限した方がいい?
A. ステージによります。CKDの早期(G1〜G3)で、むくみや心不全がなければ、適度な水分摂取(脱水にならない程度)は老廃物の排泄を助けます。
しかし、進行してG4〜G5になり、尿が出にくくなったり、むくみが出たりすると、「水分制限」が必要になります。
主治医の指示に従ってください。
Q. 腎臓が悪くなる一番の原因は何ですか?
A. 高血圧と糖尿病です。
この2つの生活習慣病が、CKDの全原因の6割以上を占めるとされています。
したがって、これらの病気をしっかり管理することが、最大の腎臓保護につながります。
Q. eGFRやクレアチニンの数値を下げる(改善する)方法は?
A. 「クレアチニンを下げる」=「eGFRを上げる」=「腎機能を良くする」ということです。
そのためには、この記事で解説してきた塩分制限、血圧・血糖の管理、たんぱく質の適正化、禁煙など、地道な対策を継続することが唯一の方法です。
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参考文献・資料一覧
1.日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=1-178_v3.pdf
2.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042647.pdf
3.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042647.pdf
4.日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=1-178_v3.pdf
5.日本腎臓学会 https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms07.php
6.日本腎臓学会 https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf
7.日本腎臓学会 https://jsn.or.jp/general/kidneydisease/symptoms04.php
8.日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」 https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=1-178_v3.pdf