原因不明の手足の痛みや心肥大、蛋白尿などの症状が続き、医師からファブリー病の可能性を指摘されて不安を抱えている方は少なくありません。

ファブリー病は細胞内の特定の酵素がうまく働かず、老廃物が少しずつ蓄積してしまう遺伝性の病気で、厚生労働省が定める指定難病(ライソゾーム病のひとつ)に含まれています※1。確定診断に向けてどのような手順を踏むべきか、疑問に思う方も多いはずです。

本記事では、医療機関で行われる具体的な検査手法や保険適用の有無、性別による診断基準の大きな違いなどを客観的な事実に基づいて整理しました。

記事を読み進めることで、ご自身やご家族がどの診療科を受診し、どのように相談を進めればよいかの目安が把握できる構成としています。

検査にかかる経済的なハードルを下げる仕組みにも触れていますので、受診を迷われている際の参考にしてください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

ファブリー病でお困りの方へ

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ファブリー病を特定する主な検査方法

疾患の有無を判断するためには、原因となる酵素の働きを確認するアプローチと、遺伝子の変異を調べるアプローチが両輪となります。

医療機関で実際に行われている代表的な検査手法とその役割を整理します。

酵素活性測定|血液・尿からα-GALの働きを調べる基本手順

ファブリー病のスクリーニングや確定診断の第一歩として位置づけられているのが酵素活性測定。血液中の白血球を用いて「α-ガラクトシダーゼ(α-GAL)」という特定の酵素がどの程度働いているかを調べる生化学的な手法です。

日本先天代謝異常学会の「ファブリー病診療ガイドライン2020」によると、測定には白血球を使うことが多く、リンパ球や培養した皮膚の細胞(培養線維芽細胞)でも測定できます。尿の検査は、酵素の働きではなく、たまった物質(Gb3)や尿中の特徴的な細胞を調べるもので、補助的な位置づけです※2。

男性ではこの酵素の活性が正常値から著しく低下していることが確認されれば、診断の有力な根拠となります。一方で女性は活性が下がらないことが多いため、酵素活性測定よりも後述の遺伝子解析が診断の中心になります※2。

一般的な採血のプロセスで行われるため、受診者にとって身体的な負担は比較的少ないのが特徴です。精密検査を行う施設は、日本先天代謝異常学会のホームページで検索できます※2。

遺伝子解析(GLA遺伝子検査)|確定診断と変異特定の決め手

酵素活性の数値だけでは明確な判断が下せないケースも現実には存在します。そこで大きな意味を持つのが、GLA遺伝子の変異を直接解析する遺伝子検査。

細胞内の設計図とも言える遺伝子レベルでどのような変化が起きているかを特定し、確定診断をより確実なものへと導きます。

遺伝子の変異のタイプから、男性の場合はどのような病型になりやすいかをある程度予測できますが、同じ変異を持つ同じ家系の中でも症状の重さに差が出ることがあります※2。

治療の面では、飲み薬による治療(薬理学的シャペロン療法)を始める際に、遺伝子解析で効果が見込める変異かどうかを確認する必要があります※2。家族歴の確認が必要になった際にも、この解析結果が基準となる傾向があります。

乾燥ろ紙血検査(DBS)とは?手軽なスクリーニングの仕組み

ごく少量の血液を専用のろ紙に染み込ませて乾燥させ、検査機関へ送る「乾燥ろ紙血検査(DBS)」も活用されています。

熊本大学小児科の医師らが2020年に発表した全国規模の研究(新しい研究結果を報告した論文)では、全国601の病院で腎臓・心臓・神経の症状がある18,135人の血液をろ紙で集めて郵送し、236人がファブリー病と診断されました※3。

乾燥させたろ紙を郵送できる簡便さが利点で、早期発見に向けたスクリーニング手段として使われています※3。この検査でファブリー病の疑いが強いと判断された場合、そこからさらに詳細な精密検査へと進む流れが一般的です。

ろ紙血検査が「正常」でも女性は安心できない

ろ紙血検査も酵素の働きを測る検査のため、女性の患者さんでは酵素活性がほぼ正常範囲に収まり、異常が見つからないことがあります※3。家族歴や症状から疑いが残る場合は、遺伝子解析について医師に相談してください。

【重要】男性と女性で異なる検査結果の捉え方

ファブリー病はX染色体に関連する遺伝形式(X連鎖遺伝)をとる疾患。そのため、男性と女性とで検査結果の解釈や診断基準に決定的な違いが生じます※2。

とくに女性の場合は、一般的な検査結果が正常値を示しても病気を否定しきれないケースがある点に十分な注意が必要です。

男性の診断|酵素活性の大幅な低下が決め手になる理由

男性の患者では、白血球中のGLA活性が正常値の10%以下まで著しく低下します※2。

男性はX染色体を1本しか持たないため、その染色体にある遺伝子に変異があると、細胞内の酵素が全体的に不足しやすいメカニズムを持っています。結果として、血液を用いた酵素活性測定だけで明確な異常が検知されやすい傾向があります。

したがって、男性の場合は酵素活性の低下を確認することで診断できます。ただし、酵素活性が正常の30〜70%程度に下がっても症状が出ない遺伝子の違い(機能的多型)を持つ人も国内で報告されているため、酵素活性の低下が見つかった男性も、遺伝子解析で確認しておくことが推奨されています※2。

女性(保因者/ヘテロ接合体)の注意点|酵素活性が正常でも安心できない背景

一方の女性はX染色体を2本持っており、細胞ごとにどちらか一方のX染色体がランダムに働かなくなる「X染色体の不活化」という現象によって、体内に正常な酵素を生み出す細胞と異常な細胞が混在する状態(ヘテロ接合体)になります※4。

この状態になると、血液検査で測定した全体の酵素活性が正常範囲内に収まってしまう現象が珍しくありません※2。一見すると数値上は問題ないように見えても、実際には心臓や腎臓など特定の臓器で局所的に酵素が不足し、深刻な症状が水面下で進行している可能性があります※4。

酵素活性測定だけでは見落とされてしまうリスクがある。だからこそ、女性の診断においては遺伝子解析の実施や、臓器ごとの臨床所見を総合的に評価するプロセスが欠かせません。

女性の診断は遺伝子解析が中心

ガイドラインは、女性の患者さんの診断方法を遺伝子解析としています。一般的な遺伝子解析で変異が見つからない例も約5%あり、その場合は家族歴や症状、血液・尿・組織の検査結果を合わせて総合的に判断します※2。

男女で結果の出方が違う検査の一覧

ここまでの内容を検査ごとに並べると、男女の違いが見えやすくなります。

検査 男性 女性
白血球のGLA活性(酵素の働き) 正常の10%以下に著しく低下 低下しない場合がある
GLA遺伝子解析 変異が見つかれば診断できる 変異が見つかれば診断できる(約5%は一般的な方法で見つからない)
乾燥ろ紙血検査(酵素の働き) 異常が見つかりやすい ほぼ正常範囲に収まり見逃されることがある
新生児スクリーニング(酵素の働き) 主な発見の対象 漏れなく見つけることはできない

表のとおり、酵素の働きを測るタイプの検査は、どれも女性では異常が出ないことがあります※2※3。女性の場合、「酵素の検査で正常だった」ことと「ファブリー病ではない」ことは同じではありません。

ファブリー病の検査にかかる費用と保険適用の実態

特殊な検査を複数受けるとなれば、費用の負担が気になるのは当然の心理。ここでは公的医療保険の適用範囲や、自己負担を軽減するための制度について具体的な相場感とともに触れていきます。

保険診療で行う場合の費用目安

ファブリー病が疑われる場合、医師の医学的判断のもとで行われる酵素活性測定や遺伝子検査は、基本的には健康保険の適用対象として扱われます。

ファブリー病診療ガイドライン2020によると、診断のための遺伝学的検査(白血球GLA活性の測定、GLA遺伝子解析)は保険収載されており、衛生検査所(検体の検査を受託する登録された検査機関)で検査した場合は保険適用となります。研究施設で検査した場合は保険適用になりません※2。

厚生労働省の中央社会保険医療協議会の資料(2023年)では、ファブリー病を含むライソゾーム病の遺伝学的検査は3,880点に区分されています※5。1点10円で計算すると38,800円で、3割負担なら検査料だけで約1万1,640円です。これに診察料などが加わります。

ただし、受診する医療機関や同時に行う画像検査(心エコーやMRIなど)の有無によって最終的な自己負担額は変動するため、窓口での事前確認をおすすめします。

製薬企業による「無料検査キット(ろ紙血)」の仕組みと対象

経済的な受診ハードルを下げる取り組みとして、製薬企業が医療機関向けに無償のスクリーニング検査キットを提供していると案内されることがあります。

サノフィなどの企業が疾患啓発と早期発見を目的として提供しているとされるものですが、キットの内容や対象、申し込み方法について、公的な資料で確認することはできませんでした。

利用できるかどうかは医療機関によって異なる可能性があるため、気になる方は受診先の医師に、ろ紙血検査を受けられるか、費用がかかるかを確認してください。

診断確定後に受けられる医療費助成(指定難病制度)

確定診断が下りた後、長期的な治療が必要になった際の公的支援も整備されています。

ファブリー病は国が定める指定難病(ライソゾーム病)の枠組みに含まれる疾患。厚生労働省の基準では、症状がある状態(重症度分類のStage1以上)が医療費助成の対象です※1。

世帯の所得に応じて月々の自己負担上限額が設定され、経済的な不安を和らげながら酵素補充療法などの治療を継続できます。申請には、指定医が作成する診断書(臨床調査個人票)が必要です※2。

検査で診断がついたあと、治療でどこまで改善が期待できるのかを知りたいときは、ファブリー病は治るのかと、治療で期待できることを解説した記事が参考になります。

診断を受けた際は、お住まいの自治体窓口や病院のソーシャルワーカーに相談して速やかに手続きを進めるのがスムーズです。

20歳未満は小児慢性特定疾病の助成も

ファブリー病は小児慢性特定疾病の医療費助成の対象でもあります。自己負担上限額は小児慢性特定疾病のほうが低いため、20歳までは小児慢性特定疾病、20歳以降は指定難病の助成を受けるのが一般的です※2。

当てはまる?検査を検討すべき症状・タイミング

疾患による症状は全身のさまざまな臓器に現れるため、単なる体調不良や他の一般的な病気と見過ごされがち。年齢層によっても出やすい兆候が異なります※2。

ご自身やご家族にサインが隠れていないか、振り返る際の参考にしてください。

小児期・若年期に現れやすいサイン(四肢末端痛・汗の異常・皮膚所見)

子どもの頃や10代から20代にかけては、特徴的な初期症状が出現しやすい傾向があります※2。

  • 手足の先が焼けつくように痛む、またはチクチクする(四肢末端痛)
  • 運動時や暑い環境でも汗をかきにくい(無汗症・低汗症)
  • おなかから腰まわりを中心に、赤〜黒っぽい小さなぶつぶつが多数現れる(被角血管腫)

被角血管腫は幼い頃から出ることがあります※6。

皮膚の発疹や目の変化など、見た目に現れるサインを詳しく知りたいときは、ファブリー病の見た目の特徴や湿疹との見分け方を解説した記事が参考になります。

とくに手足の痛みは成長痛や心の問題と間違われることがあり、発症から診断までに10〜15年ほどかかるという報告もあります※2。

成人期に見つかる心臓・腎臓・脳の兆候

年齢を重ねるにつれて老廃物の蓄積がじわじわと進行し、より深刻な臓器障害として表面化することが増えてきます。

健康診断などで原因不明の心肥大(とくに左室肥大)や不整脈を指摘されるケースはその典型例です。ガイドラインでは、心肥大は30歳以降、不整脈は40歳以降に見られるようになるとされています※2。

心肥大で現れやすい症状や放置したときのリスクを詳しく知りたいときは、心肥大の初期サインや原因、治療を解説した記事が参考になります。

また、20歳以降に蛋白尿が出るようになり、徐々に腎機能が低下していくことも珍しくありません※2。

さらには脳の血管が詰まりやすくなり、若年期に脳梗塞や一過性脳虚血発作を起こすリスクも高まります※2。

高血圧や糖尿病などの明確な理由がないにもかかわらず、こうした臓器トラブルが頻発する場合は、背景にファブリー病が隠れている可能性を考慮して専門的な検査を検討するタイミングかもしれません。

家族や血縁者に診断された人がいる場合

遺伝性疾患であるという特性上、血縁者に患者がいる場合は、現在目立った症状がなくても保因している確率が高くなります。親子の間でどのくらいの確率で受け継がれるかは、後述の「家族がファブリー病と診断されたら」の章で整理しています。

発症前の早い段階で検査を受けて自身の状態を把握しておくと、定期的な検査で経過をみながら、治療を始める時期を主治医と相談しやすくなります※2。

不安を一人で抱え込まず、遺伝カウンセリング外来などで専門医に相談することも一つの選択肢でしょう。

家族に同じ症状の人がいるかは大切な手がかり

ガイドラインは、家族歴を診断の重要な手がかりとしています。家族の中に手足の痛み、腎臓の病気、心肥大、脳の血管の病気が続いている場合は、ファブリー病を疑う所見になります※2。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではファブリー病でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

  • 最新の治療をいち早く受けられることがある
  • 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
  • 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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どこで受診する?検査を受けるまでの具体的な流れ

疑わしい症状がある際、どの病院の何科へ行けばよいのか迷う方は多いはず。希少な疾患ゆえに、一般的な内科では医師がすぐに病名を想起しにくいケースも存在します※2。

適切な専門医に繋がり、スムーズに検査を受けるためのルートをまとめました。

症状に応じた受診先の選び方(循環器内科・腎臓内科・小児科・神経内科)

症状が最も強く現れている臓器に合わせて診療科を選ぶのが基本となります。

心肥大や動悸が気になる場合は「循環器内科」、蛋白尿や腎機能の低下を指摘されているなら「腎臓内科」が適しています。お子さんの原因不明の手足の痛みや汗の異常であれば「小児科」、手足のしびれや脳梗塞の既往がある場合は「神経内科」を受診してください。

健康診断などでeGFR(腎臓の働きを示す数値)が低いと言われたときは、eGFRが低いときの主な原因やリスクを解説した記事も参考にしてください。

ファブリー病の診療では、小児科、腎臓内科、循環器内科、神経内科、耳鼻科、眼科、遺伝診療部などが連携してフォローします。そのため、大学病院や総合病院など、複数の診療科が連携して難病診療にあたっている規模の大きな医療機関を選ぶと相談しやすくなります。精密検査を行う施設は、日本先天代謝異常学会のホームページでも探せます※2。

医師へスムーズに検査を依頼・相談する伝え方

短い診察時間の中で医師に的確に状況を伝え、専門的な検査(ろ紙血検査や酵素測定など)を引き出すためには、問診時の伝え方に少し工夫が必要です。

単に「痛い」「苦しい」と訴えるだけでなく、「インターネットで調べてファブリー病の症状に似ていると感じている」と直接的な病名を挙げて相談するのも有効なアプローチ。

さらに、「原因不明の心肥大がある」「親戚に似た症状を持つ人がいる」「汗をかきにくい体質である」など、この疾患特有のキーワードをセットで伝えることで、医師側の見立てもスムーズに進む可能性が高まります。

家族がファブリー病と診断されたら|血縁者の検査の受け方と遺伝の確率

親やきょうだい、子どもがファブリー病と診断され、「自分も検査を受けたほうがいいのか」「子どもは大丈夫か」と考える方もいるはずです。ここでは、血縁者が検査を受けるときに知っておくと判断しやすくなる情報を、ガイドラインの内容をもとにまとめました。

自分や子どもに受け継がれている確率は?

ファブリー病はX連鎖遺伝の病気で、父親が患者か、母親が患者(ヘテロ接合体)かによって、子どもへの受け継がれ方が異なります※2。

親 息子 娘
父親が患者 ファブリー病にはならない 原則として全員がヘテロ接合体(女性の患者)になる
母親がヘテロ接合体 50%の確率で患者になる 50%の確率でヘテロ接合体になる

また、男性患者の母親は原則としてヘテロ接合体です※2。

家族歴がなくても発症することがある

国内のファブリー病の家系を調べた研究では、両親から受け継いだのではなく本人の代で新たに遺伝子の変化が起きた例(de novo症例)が6.8%と報告されています。そのため、患者さんの親が必ず患者やヘテロ接合体であるとは限りません※2。

症状がなくても検査は受けられる?遺伝カウンセリングを先に

すでに症状がある本人の診断のための検査と違い、症状のない家族の検査は、遺伝カウンセリングを受けてから行う必要があるとガイドラインは定めています。遺伝学的検査を行う際は、書面による同意も必要です※2。

家族の中ですでに原因となる遺伝子の変化がわかっている場合は、その変化に絞って調べる解析を行います。わかっていない場合は、遺伝子全体(全エクソン)を調べます※2。

遺伝カウンセリングは、遺伝に関する情報を一方的に伝える場ではありません。患者さんと家族が自分たちのニーズや価値観を踏まえて意思決定できるよう支える医療で、最終的な決定は本人の意思が最も重要とされています※2。

ガイドラインが挙げる遺伝学的検査の特徴には、遺伝情報は生涯変わらないこと、血縁者の間で一部が共有されること、発症前に将来のリスクを予測できる場合があることなどがあります※2。検査を受けるかどうかは、こうした点を理解したうえで家族ごとに決めることになります。

家族の検査は本人の同意が前提

家族の遺伝学的検査の結果は、ほかの血縁者にも関わる情報です。症状のない家族に検査をすすめる場合も、遺伝カウンセリングで検査の意味や血縁者への影響について説明を受け、本人が納得したうえで進めてください※2。

お子さんの検査を考えるとき

未成年など自分で同意することが難しい人に医療上必要な遺伝学的検査を行う場合は、両親などの代諾者が同意したうえで実施します。その場合も、お子さん本人に理解度に合わせて説明し、了解を得ること(インフォームド・アセント)が望ましいとされています※2。

ガイドラインが示す目安は次のとおりです※2。

本人の年齢 本人 代諾者(親など)
小学生 説明と了解(署名不要) 同意
中学生 説明と了解(署名あり) 同意
高校生から20歳未満 同意 同意
成人 同意 不要

同意やアセントを得る年齢に決まった規則はなく、検査を行う医師がお子さんの状況や理解力をみて判断します※2。

女性の血縁者は酵素の検査が正常でも遺伝子解析を

母親や姉妹、娘など女性の血縁者は、前述のとおり酵素活性が正常範囲に収まることが多いため、診断には遺伝子解析が必要です※2。

女性のヘテロ接合体は、同じ遺伝子の変化を持つ家族の中でも症状の重さがさまざまです。小児期から手足の痛みが出て末期の腎不全に至る人もいれば、60代になって心肥大で気づく人もいます※2。

病型や男女によって寿命や予後がどう違うのかを知りたいときは、治療によって変わるファブリー病の寿命と予後を解説した記事もあわせてご覧ください。

今は症状がなくても経過をみる

ガイドラインによると、女性のヘテロ接合体も65歳を超えるとほとんどの人が心肥大を発症するため、症状がない段階でも定期的なフォローアップが必要です※2。

受診前に確認しておきたい家族歴

ガイドラインは、家族に同じような症状が続くことをファブリー病を疑う所見としています※2。受診の前に、血縁者に次のような人がいなかったかを家族で確認しておくと、医師に伝えやすくなります。

  • 子どもの頃から手足の焼けるような痛みや、汗をかきにくい体質があった人
  • 若いうちから蛋白尿を指摘された人、腎不全で透析を受けた人
  • 原因のはっきりしない心肥大や不整脈を指摘された人
  • 若くして脳梗塞を起こした人

ファブリー病の検査に関するよくある質問(FAQ)

検査の期間や周辺の疑問について、多くの方が抱きやすいポイントをQ&A形式で取り上げます。

Q. 検査結果が出るまでにはどのくらいの日数がかかりますか?

採血を行った後、血液やろ紙の検体を専門の検査機関に外注して高度な分析を行うため、その場ですぐに結果が出るわけではありません※2。

結果が出るまでの日数について公的な目安は示されておらず、検査を行う機関によって異なります。採血の際に、結果がいつ頃わかるかを確認しておくと安心です。

結果が出るまでの間は不安になりがちですが、医療機関からの連絡や次回の予約日を待ち、落ち着いて結果を聞く準備を整えておきましょう。

Q. 新生児スクリーニングでファブリー病は見つかりますか?

ガイドラインによると、国内ではファブリー病の新生児スクリーニングはすべての赤ちゃんに行われる検査ではなく、特定の地域で同意を得た例に限って行われています※2。

たとえば広島県では、公費で行う通常の新生児マススクリーニングには含まれておらず、2025年11月から保護者の費用負担による任意の拡大検査に加わりました(男児のみ対象)※7。実施の有無や費用は地域によって異なるため、出産する医療機関で確認してください。

新生児スクリーニングは酵素の働きを測る方法で行うため、女の子を漏れなく見つけることはできず、おもに男の子を見つける目的で行われています。また、新生児期に見つけて治療することの利益を示した研究はまだ十分ではありません※2。

Q. MRI検査だけでファブリー病と診断することは可能ですか?

頭部MRIで微小な脳梗塞の痕跡を確認したり、心臓MRIで心筋の線維化や左室肥大の程度を評価したりすることは、臓器障害の進行度を把握する上で役立ちます※2。

ただ、画像診断の所見だけをもってファブリー病であると確定診断を下すことはできません。MRIはあくまで病態の評価ツールであり、最終的な診断には白血球の酵素活性測定やGLA遺伝子検査といった生化学的・遺伝学的な裏付けが必要です※2。

ファブリー病の検査のまとめ

ファブリー病の診断において核となるのは、酵素活性測定と遺伝子検査の組み合わせ。とくに女性においては、酵素活性が正常でも発症している可能性があるため、見逃しを防ぐための遺伝子レベルでの精査が重要です※2。

費用面では、衛生検査所で行う遺伝学的検査は保険適用となり、診断後は指定難病や小児慢性特定疾病の医療費助成も利用できます※2。

思い当たる症状や家族歴がある場合は放置せず、循環器内科や腎臓内科などの専門外来へ早めに相談し、適切な検査への一歩を踏み出してください。