突然の腹痛や下痢、つらい便秘、お腹の張り…。
過敏性腸症候群(IBS)は、検査では異常が見つからないにもかかわらず、こうしたお腹の不調が慢性的に続くつらい疾患です。
多くの方が日常生活に支障を感じており、その原因の一つに「食事」が深く関わっていることが知られています。
実は、食事の内容を見直す食事療法は、IBSの症状を和らげる上で非常に有効なアプローチです。
しかし、「何を食べれば良くて、何を避ければいいのか」が分からず、かえって食事自体がストレスになっている方も少なくありません。
この記事では、IBSの症状に悩むあなたのために、症状別(下痢型・便秘型)に一般的に推奨される食べ物と、症状を悪化させやすい避けるべきNG食品の傾向を具体的に解説します。
また、近年注目されている「低FODMAP(フォドマップ)食」についても、その基本から実践のポイントまで分かりやすくご紹介します。
ご自身の体と向き合い、食事の工夫でつらい症状をコントロールするための一歩を、この記事から始めてみませんか。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
過敏性腸症候群でお困りの方へ
治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。
- 通院1回につき1万円程度、入院1泊あたり2万円程度が負担軽減費の相場
- 安心・信頼できるのみ試験を紹介しており、安全に配慮された環境下で行われます。
過敏性腸症候群(IBS)とは?原因と症状を簡単解説
まず、IBSがどのような病気なのかを簡単に理解しておきましょう。
IBSは、大腸内視鏡検査などで腸に明らかな器質的疾患(炎症や潰瘍など)がないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、便通の異常(下痢や便秘)が長く続く機能性の消化管疾患です(参考:日本消化器病学会 1)。
IBSの主な原因
IBSの明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
主なものとして、ストレスや不安などの心理的要因、腸内細菌叢の乱れ、消化管の知覚過敏(わずかな刺激で痛みを感じやすい状態)、特定の食べ物に対する体の反応などが挙げられます。
これらの要因が脳と腸の相互作用(脳腸相関)に影響を与え、症状を引き起こすと考えられています。
生活習慣の乱れや暴飲暴食も引き金になることが指摘されています(参考:日本消化器病学会 2)。
IBSの多様な症状(下痢型・便秘型・混合型)
IBSの症状の現れ方は人によって様々で、主に便の状態によって以下のタイプに分類されます(参考:日本消化器病学会 3)。
ご自身の症状がどのタイプに近いかを知ることが、適切な食事療法を見つける第一歩となります。
【症状別】過敏性腸症候群(IBS)におすすめの食べ物
ここからは、IBSの症状タイプ別に、一般的に摂りやすいとされている食べ物の傾向をご紹介します。
ただし、特定の食品に対する耐性には個人差が大きいため、ご自身の体調に合わせて調整してください。
下痢型(IBS-D)におすすめの消化に優しい食べ物
下痢型の症状がある場合は、腸への刺激が少なく、消化しやすい食べ物を選ぶことが基本と言われています。
穀類:米、玄米、十割蕎麦、ビーフン、フォーなど
お米は消化が良く、腸への負担が少ない主食です。
パンやパスタに含まれる小麦が症状に影響する場合があるため、米を主食にするのが取り入れやすいとされています。
グルテンを含まない十割蕎麦や米粉で作られたビーフン、フォーなども選択肢になります。
たんぱく質:卵、牛肉、鶏肉、豚肉、魚(脂質控えめ)
たんぱく質は重要な栄養源ですが、脂質の多いものは消化に時間がかかり、腸を刺激することがあります(参考:日本消化器病学会 2)。
鶏のささみや胸肉、赤身の肉、白身魚などを選び、調理法も揚げるよりは茹でる、蒸す、焼くといった方法が適しています。
野菜:トマト、ホウレンソウ、カボチャなど(加熱調理で柔らかく)
野菜はビタミンやミネラルの補給に欠かせませんが、生のままだと消化の負担になることがあります。
トマトやホウレンソウ、カボチャ、ナス、キュウリなどを加熱して柔らかくしてから食べると、消化しやすくなります。
果物:バナナ(熟したもの)、キウイフルーツ(少量)
果物の中では、熟したバナナが比較的お腹に優しいと言われています。
ただし、果物に含まれる糖分が症状を誘発することもあるため、一度にたくさん食べるのは避け、少量から試してみましょう。
便秘型(IBS-C)におすすめの食物繊維(水溶性中心)と水分補給
便秘型の症状には、便を柔らかくして排出しやすくする「水溶性食物繊維」と、十分な水分補給が鍵となると一般的に言われています。
穀類:オートミール、大麦(適量)
オートミールや大麦には水溶性食物繊維が含まれています。
朝食に取り入れるなどして、少しずつ食生活に加えてみましょう。
野菜:ごぼう、にんじん、かぼちゃなど
ごぼう、にんじん、かぼちゃ、大根などをスープや煮物にして摂るのが比較的取り入れやすい方法です。
果物:りんご(皮なし)、プルーン(少量)
りんごに含まれるペクチンは代表的な水溶性食物繊維です。
ただし、皮や芯の近くには不溶性食物繊維も多いため、皮をむいて食べると良いとされています。
プルーンも効果的と言われますが、糖分が多いため食べ過ぎには注意が必要です。
その他:こんにゃく、海藻類、きのこ類(適量)
こんにゃくに含まれるグルコマンナンや、わかめ・昆布などの海藻類に含まれるアルギン酸も水溶性食物繊維です。
適量であれば食生活のサポートになります。
腹部膨満感・ガスを和らげる食べ物(低FODMAP食の考え方)
お腹の張りやガスに悩む場合は、「低FODMAP(フォドマップ)食」という食事療法が有効なことがあります(参考:日本薬学会 4)。
FODMAPとは?なぜIBS症状を悪化させるのか
FODMAPの影響
FODMAPとは、小腸で吸収されにくく、大腸での発酵性を有する特定の糖質の総称です。
これらは吸収されにくい性質のため大腸にそのまま到達し、腸内細菌のエサとなって発酵代謝されます。
この過程で腸管内に過剰な水分を引き込んだり、ガスが発生したりすることで、お腹の張りや痛み、下痢といったIBSの症状を引き起こす原因になるとされています(参考:日本薬学会 4)(参考:国立病院機構 久里浜医療センター 5)。
低FODMAP食の基本原則
低FODMAP食とは、このFODMAPを多く含む食品(高FODMAP食)を一時的に避け、FODMAPの含有量が少ない食品(低FODMAP食)を中心に食事を組み立てる方法です。
これにより、腸への刺激やガス産生を減らし、症状の緩和を目指します(参考:日本薬学会 4)。
過敏性腸症候群(IBS)で避けるべきNGな食べ物・飲み物
次に、IBSの症状を悪化させる可能性があるため、避けた方が良い、あるいは注意が必要な食べ物や飲み物について解説します。
FODMAPを多く含む食品の傾向(高FODMAP食品)
特に腹部膨満感やガス、下痢の症状が強い方は、発酵しやすい糖質を含む食品を控えてみると症状が改善することがあります。
一般的にFODMAPを多く含むと言われている代表的な食品として、次のようなものが挙げられることがあります(※これらはあくまで一例であり、個人差があります)。
果物:りんご、梨、マンゴー、スイカ、アボカドなど
果糖やポリオールを多く含む果物は、高FODMAPに分類されることがあります。
野菜:玉ねぎ、にんにく、カリフラワー、マッシュルームなど
フルクタンやポリオールを多く含む野菜です。
特に玉ねぎやにんにくは様々な料理に使われるため、気になる方は注意が必要です。
乳製品:牛乳、ヨーグルトなど
乳糖(ラクトース)が消化吸収不良の原因となり、ガスや下痢の不調を感じる方は、牛乳などを避けると良い場合があります(参考:国立病院機構 久里浜医療センター 5)。
豆類・甘味料・その他
ガラクトオリゴ糖を多く含む一部の豆類や、特定の甘味料(キシリトールなどの糖アルコール類)、パンやパスタに使われる小麦(フルクタン)なども、人によってはお腹の不調を引き起こす原因になると言われています。
刺激物・消化に負担のかかる食品
FODMAPとは別に、腸を直接刺激したり、消化に時間がかかったりする食品も症状を悪化させる可能性が高いため、控えることが推奨されています(参考:日本消化器病学会 2)。
脂質の多い食事(揚げ物、肉の脂身など)
天ぷらやフライなどの揚げ物、脂肪の多い肉、多量の油を使った料理は、消化に時間がかかり、お腹の痛みや便通の変化を引き起こしやすくなります(参考:日本消化器病学会 2)。
香辛料・スパイス
唐辛子やカレー粉などの刺激物は、腸の粘膜を刺激し、腹痛や下痢を引き起こすことがあるため避けるのが無難です(参考:日本消化器病学会 2)。
カフェイン・アルコール飲料
コーヒーに含まれるカフェインや、アルコールも腸の運動に影響を与え、症状を悪化させることがあるため、過剰な摂取は控えるよう推奨されています(参考:日本消化器病学会 2)。
食物繊維の摂り方に注意
食物繊維の摂り方に注意
便秘に良いとされる食物繊維ですが、摂り方には注意が必要です。
特に「不溶性食物繊維」(玄米、豆類、きのこ類などに多く含まれる)は、水に溶けずに便のかさを増す働きがありますが、人によってはお腹の張りを強く感じさせる場合があると言われています。
急に摂取量を増やすのではなく、ご自身の体調を見ながら調整することが大切です。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では過敏性腸症候群でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
過敏性腸症候群(IBS)の食事療法を成功させるためのポイント
自分に合った食事を見つけるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
低FODMAP食の始め方と注意点
低FODMAP食はやみくもに特定の食品を避け続けるのではなく、専門家の指導のもと、段階的に「導入・除去・再導入」を行う方法が一般的です。
まずは高FODMAP食を一定期間避けて症状が改善するかを確認し、その後少しずつ食品を試していくことで、どの食品が自分の症状を悪化させるのかを特定します。
食事記録(フードダイアリー)の重要性
何を食べたときに、どのような症状が出たかを記録する「食事記録」は非常に有効です。
食べたもの、時間、その後の体調(腹痛、便の状態、お腹の張りなど)をメモすることで、自分にとって負担になる食品の傾向を把握しやすくなります。
医師や管理栄養士への相談を推奨
食事療法を自己流で厳格に行うと、栄養が偏ってしまうリスクもあります。
まずは消化器内科などを受診し、他の病気ではないか正確な診断を受けることが第一です(参考:日本消化器病学会 1)。
その上で、食事療法については医師や管理栄養士などの専門家に相談しながら進めることを強く推奨します。
ストレス管理と規則正しい食生活
IBSはストレスとの関連が深い病気です。
食事のことばかりを考えすぎて、それが新たなストレスになっては本末転倒です。
また、3食を規則的にとり、暴飲暴食や夜間の大食を避けるなど、基本的な生活習慣の改善も非常に重要です(参考:日本消化器病学会 2)。
過敏性腸症候群(IBS)に関するよくある質問(FAQ)
消化が良く、腸への負担が少ないものがおすすめです。
例えば、お米(おかゆやご飯)、オートミールなどが良いでしょう。
タンパク質源として卵(ゆで卵やスクランブルエッグ)などを加えるとバランスが良くなります。
脂質の多いベーコンやウインナーは控えることをおすすめします。
コンビニでも選べるものはあります。
例えば、おにぎり(ツナマヨなど脂質が多い具は避ける)、サラダチキン、ゆで卵、豆腐などが比較的安心です。
ただし、体質によって合う合わないがあるため、少量から試してみてください。
納豆は発酵食品で腸内環境に良い影響を与える可能性がありますが、同時にガスを発生させやすい糖質(ガラクトオリゴ糖)を含むとも言われています。
そのため、人によって反応が大きく異なります。
まずは少量から試してみて、ご自身の体調に変化がないか確認することをおすすめします。
「これを食べたらまたお腹が痛くなるかも」と食事に恐怖を感じるのは、IBSの方にとって非常によくある悩みです。
まずは「安全な食べ物リスト」を作ってみましょう。
これまで食べてみて大丈夫だったものを書き出し、そのリストを少しずつ増やしていくのがおすすめです。
一人で抱え込まず、医師や専門家に相談し、サポートを受けることも大切です。
まとめ
まとめ
過敏性腸症候群(IBS)のつらい症状を和らげるためには、ご自身の体質や症状に合わせた食事療法が不可欠です。
この記事では、そのための基本的な考え方をご紹介しました。
食事は毎日のことです。
少しの工夫で、つらい症状が和らぎ、日々の生活の質が大きく向上する可能性があります。
本記事で紹介した情報を参考に、まずはできそうなことから一つずつ試してみてください。
