IgA腎症と診断された方、あるいはその疑いがあると言われた方の中には、「日々のストレスが原因で病気になってしまったのではないか」とご自身を責めてしまう方が少なくありません。
また、治療を続ける中で「ストレスを感じると症状が悪化する気がする」という不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
IgA腎症は、指定難病にも認定されている慢性的な腎臓の病気ですが、その発症原因は完全には解明されていません(参考:難病情報センター 1)。
遺伝的な素因や、扁桃腺などの粘膜免疫の異常が複雑に関与していると考えられています(参考:日本腎臓学会 2)。
この記事では、IgA腎症の基本的な病態を整理した上で、患者さんが気になっている「ストレスとIgA腎症の関係」について、現時点での医学的な知見を交えて解説します。
また、病気と上手く付き合っていくために、日常生活で取り入れられる具体的な生活管理法についても提案します。
正しい知識を持つことは、不安を和らげ、前向きに治療に取り組むための第一歩です。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
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IgA腎症とは?基本的な病態と原因の理解
まずは、IgA腎症という病気がどのようなものなのか、現在医学的に分かっている基本的な情報を整理しましょう。
敵を知ることは、適切な対策を立てるための基礎となります。
IgA腎症の概要と診断基準
IgA腎症(アイ・ジー・エーじんしょう)は、世界で最も頻度の高い慢性糸球体腎炎です(参考:順天堂大学 3)。
腎臓の中にある「糸球体」という、血液をろ過して尿を作るフィルターの役割を持つ部分に炎症が起こる病気です。
主な症状としては、血尿(目に見える肉眼的血尿や、検査で分かる顕微鏡的血尿)と蛋白尿が挙げられます。
初期には自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断の検尿で偶然発見されるケースが大半です(参考:難病情報センター 1)。
しかし、放置すると長い年月をかけて腎機能が徐々に低下し、未治療のまま経過すると約30~40%は末期腎不全に至る予後不良の疾患であることがわかっています(参考:順天堂大学 3)。
診断には「腎生検」が必要です
診断を確定させるためには、「腎生検」という検査が必要です。
これは背中から細い針を刺して腎臓の組織を一部採取し、顕微鏡で詳しく調べるものです。
この検査によって、糸球体に「IgA」という免疫物質が優位に沈着していることを確認し、初めてIgA腎症という確定診断が下されます(参考:日本腎臓学会 2)。
IgA腎症の直接的な原因は「不明」とされている背景
IgA腎症は、厚生労働省によって指定難病に認定されています。
これは、治療法が確立していない部分があることや、長期の療養が必要であることに加え、発症の根本的な原因が完全には特定されていないためです(参考:難病情報センター 1)。
現時点で分かっているのは、私たちの体を守るはずの免疫物質である「IgA(免疫グロブリンA)」の糖鎖構造に異常が生じ(糖鎖異常IgA)、それが血液に乗って腎臓の糸球体に運ばれ、沈着してしまうことで炎症を引き起こすというプロセスです(参考:日本腎臓学会 2)。
なぜIgAが変質してしまうのかについては、遺伝的な素因や、扁桃腺の感染症などの環境要因が複雑に関与していると考えられていますが、単一の原因で説明できるものではありません(参考:順天堂大学 3)。
「ストレスが原因ですか?」という問いに対して、医師が「直接的な原因は不明です」と答えるのは、医学的に証明された単一の犯人が特定されていないためです。
ストレスはIgA腎症の原因になるのか?その影響を深掘り
多くの患者さんが感じる「ストレスが体に悪い影響を与えている気がする」という感覚は、あながち間違いではありません。
ここでは、ストレスがどのようにしてIgA腎症の病態に関わる可能性があるのか、医学的な観点から整理します。
ストレスとIgA腎症の直接的な因果関係
因果関係の結論
医学的な結論から先に述べると、現時点では「ストレス単独でIgA腎症を発症する」という直接的な因果関係は証明されていません(参考:日本腎臓学会 2)。
つまり、ストレスがなければ絶対に発症しなかった、とは言い切れないのが現状です。
しかし、扁桃炎などの上気道感染を契機に肉眼的血尿などの症状が悪化することはよく知られています(参考:日本腎臓学会 2)。
過度なストレスや疲労は免疫力を低下させ、感染症にかかりやすい状態を作るため、間接的に病状に影響を与える可能性は否定できません。
ストレスが免疫系に与える影響のメカニズム
ストレスを受けると、体内ではコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、免疫細胞の働きに影響を与えることが一般的に知られています。
IgA腎症においては、粘膜免疫の異常が関与しているとされていますが(参考:日本腎臓学会 2)、ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、免疫機能が不安定になることは、体全体の健康維持にとってマイナス要因となり得ます。
IgA腎症の悪化要因としてのストレス
ストレスそのものだけでなく、ストレスによって引き起こされる身体の変化や行動も、IgA腎症にとって好ましくない影響を与える可能性があります。
ストレスが血圧や腎機能に与える間接的な影響
高血圧は最大のリスク因子
ストレスによる交感神経の緊張は、一時的に血圧を上昇させることがあります。
高血圧はIgA腎症の進行を早める最大のリスク因子の一つです(参考:日本腎臓学会 2)。
血圧が高い状態が続くと、糸球体の中の圧力が高まり、腎臓のフィルター機能への負担が増加します。
また、ストレスが溜まると生活習慣が乱れがちになります。
例えば、やけ食いによる塩分の過剰摂取は直接的に血圧を上げ、腎臓に負担をかけます。
睡眠不足や暴飲暴食も、体調を崩す原因となります。
このように、ストレスは「生活習慣の乱れ」を通じて、間接的に腎臓への負担となる可能性があります。
精神的な負担とQOL(生活の質)の低下
病気そのものへの不安も大きなストレス源です。
「将来透析になるのではないか」「仕事は続けられるのか」といった不安は、精神的な重圧となり得ます。
心の健康状態を保つことは、QOL(生活の質)を維持するために重要であり、前向きに治療に取り組むための基盤となります。
IgA腎症患者のための具体的なストレス管理法
ストレスを完全にゼロにすることは難しいですが、上手に付き合い、腎臓への負担を減らすことは可能です。
日常生活で実践できるストレス軽減テクニック
専門家との連携:心のケアの重要性
不安が強く、日常生活に支障が出るような場合は、心療内科や精神科の受診も検討してください。
また、腎臓内科の主治医に、精神的な辛さを伝えることも大切です。
家族や周囲のサポートの活用
IgA腎症の食事療法などは、家族の協力があるとスムーズに進みます。
周囲に理解と協力を求め、一人で抱え込まないようにしましょう。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではIgA腎症でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
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ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
IgA腎症の治療と生活習慣改善の全体像
ストレス管理だけでなく、標準的な治療と生活習慣の改善を組み合わせることが、腎臓を守るために最も重要です。
IgA腎症の主な治療法
現在のIgA腎症治療は、腎機能の低下を防ぎ、寛解(症状が落ち着いた状態)を目指すことが目標です。
ストレス管理以外の生活習慣改善のポイント
よくある質問(FAQ)
まとめ
腎臓を守るためのポイント
IgA腎症の直接的な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や粘膜免疫の異常が関わっていると考えられています。
ストレスが直接の原因であるという証明はありませんが、ストレスによる生活習慣の乱れや血圧上昇は、腎臓にとってマイナスの要因となり得ます。
適切な医療機関での治療(扁摘パルス療法や薬物療法など)を基本としつつ、減塩や禁煙、そして適度なストレス管理を行うことで、腎臓を大切にケアしていきましょう。
