夜中、急に子供が激しく咳き込み、ゼーゼーと苦しそうな息をしている…。
そんな姿を目の当たりにすると、代われるものなら代わってやりたいと胸が締め付けられる思いではないでしょうか。
「救急車を呼ぶべき?」「家でできることはないの?」と焦ってしまうのは、親として当然のことです。
まず結論からお伝えします。
喘息発作の際の最優先事項は、医師から処方されている「発作止め(気管支拡張薬)」の使用です(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
しかし、薬を使ってもすぐに効果が出ない時や、病院に行くまでの間に、ご家庭でしてあげられる「和らげる方法」は確実に存在します。
この記事では、今すぐ呼吸を楽にするための具体的な姿勢やケア、そして「どのレベルなら病院へ走るべきか」という命に関わる判断基準について、医学的な知見に基づき分かりやすく解説します。
また、看病に疲れてしまったお父さん・お母さんの心が少しでも軽くなるよう、喘息との向き合い方についてもお話しします。
どうか深呼吸をして、読み進めてください。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
お子様の喘息でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。
通院1回につき1万円程度、入院1泊あたり2万円程度が負担軽減費の相場
安心・信頼できるのみ試験を紹介しており、安全に配慮された環境下で行われます。
【緊急対応】今すぐ子供の呼吸を楽にする4つの方法
お子さんが苦しがっている時、まずは慌てずに以下の4つのケアを試みてください。
親御さんが落ち着いて接することで、お子さんの不安が和らぎ、呼吸が安定しやすくなります。
①姿勢を工夫する(起坐呼吸のすすめ)
喘息の発作時は、「横になる(仰向け)」のが最も苦しい姿勢です。
重力で内臓が横隔膜を押し上げ、気道を圧迫してしまうためです(参考:環境再生保全機構 2)。
苦しそうな時は無理に寝かせず、上半身を起こしてあげましょう。
これを医学用語で「起坐呼吸(きざこきゅう)」と呼びます。
- 座らせて寄りかからせる:
- 壁や背もたれにクッションを置き、寄りかかるように座らせます。
- 前かがみの姿勢:
- テーブルにクッションを置き、抱え込むように前かがみになって座らせるのも有効です。
- 抱っこ(乳幼児の場合):
- 縦抱きにして背中を優しくさすってあげてください。
②水分補給で痰(たん)を出しやすくする
喘息の発作中は呼吸が荒くなり、体内から水分が失われやすくなっています。
脱水状態になると痰(たん)が粘り気を持ち、気道にへばりついてさらに呼吸を苦しくさせます(参考:環境再生保全機構 2)。
常温の水や麦茶、白湯を飲ませましょう。
一度にガブガブ飲むと嘔吐や咳き込みの原因になるため、「スプーン1杯ずつ」あるいは「ひと口ずつ」こまめに与えてください。
※冷たすぎる飲み物は気管支を収縮させる刺激になることがあるため、避けましょう(参考:環境再生保全機構 2)。
③腹式呼吸を促してパニックを防ぐ
息が苦しいと、子供はパニックになり、短く浅い呼吸(過換気)を繰り返して余計に苦しくなる悪循環に陥ります。
親御さんが一緒に呼吸をして、リズムを整えてあげましょう。
「口すぼめ呼吸」が効果的です(参考:環境再生保全機構 2)。
- 口を「ウ」の形(口笛を吹くような形)にする。
- 「ロウソクの火を、消さないように優しくフフフ〜と吹いてごらん」と声をかける。
- ゆっくりと長く息を吐かせることに集中させる。
息をしっかり「吐く」ことで、自然と新しい酸素が吸えるようになります。
④室内の環境を整える(湿度・換気)
乾燥した冷たい空気や、ホコリっぽい空気は発作のトリガー(誘因)です。
- 湿度を保つ:
- 加湿器などを使い、湿度を50〜60%程度に保ちましょう。お風呂場に連れて行き、湯気を吸わせるのも一時的な加湿として有効な場合があります(※カビには注意)。
- 換気:
- 部屋の空気が悪いと感じたら換気をしますが、真冬の冷たい風が直接子供に当たらないように注意してください。
- 刺激臭の除去:
- タバコの煙、線香、強い香料などは気道を刺激します。直ちに取り除いてください(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
迷った時の判断基準|病院へ行くべきか?救急車の目安は?

「家で様子を見ていいのか、すぐに受診すべきか」
この判断が最も重要です。
環境再生保全機構(ERCA)や小児アレルギー学会のガイドラインを参考に、以下のチェックリストで判断してください。
少しでも「おかしい」と感じたら、迷わず医療機関に連絡してください。
様子を見ても良いサイン(小発作レベル)
- 咳は出るが、機嫌は悪くない。
- 食事や睡眠がとれている。
- 会話が普通にできる。
- 横になっても眠れる。
処方されている薬を使い、水分をとって安静にさせ、翌日受診しましょう(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
夜間でも受診すべきサイン(中発作レベル)
以下の症状がある場合は、夜間・休日であっても救急外来の受診を検討してください(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
- 陥没呼吸: 息を吸う時に、喉仏の下や肋骨の間がペコペコとへこむ。
- 肩呼吸: 肩を上下させて苦しそうに息をする。
- 横になると苦しくて起き上がってしまう(起坐呼吸をしている)。
- 咳き込んで眠れない、または咳で起きてしまう。
- 話すときに途切れ途切れになる。
ためらわず救急車を呼ぶべき危険なサイン(大発作レベル)
以下の症状は命に関わる危険な状態です。
自家用車での移動を待たず、直ちに救急車(119番)を呼んでください(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
- チアノーゼ: 唇や爪の色が紫色、青白くなっている。
- 意識障害: 呼びかけへの反応が鈍い、ぐったりしている、視線が合わない。
- 苦しくて一言もしゃべれない。
- 呼吸の音が弱くなっている(※「ゼーゼー」という音が消えた場合、治ったのではなく、空気が通らないほど気道が狭まっている危険なサインの可能性があります)。
「これって効果ある?」飲み物やツボ押しの真実
検索画面の「関連する質問」でも多くの方が気にされている、飲み物やツボについて解説します。
これらは医学的な治療ガイドラインには記載されておらず、あくまで補助的なケアや民間療法としての位置づけになります。
薬の代わりにはなりませんが、お子さんをリラックスさせる手段として知っておくと良いでしょう。
喉を潤しリラックスできる飲み物
- 温かい飲み物:
- 温かい水分を少しずつ摂ることで、気道の加湿になり痰が出やすくなります。
- はちみつ:
- 1歳以上のお子さんであれば、はちみつを溶かしたお湯などが喉の粘膜を保護し、咳を和らげる効果があると言われています(※あくまで咳の緩和であり、気管支を広げるわけではありません)。
- 重要: 1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、はちみつは絶対に与えないでください。
- カフェインについて:
- コーヒーなどに含まれるカフェインには、気管支拡張薬(テオフィリン)と似た作用がわずかにあるとされますが、小児に対して治療効果を期待できる量ではありません。興奮作用もあるため、無理に飲ませる必要はありません。
- 炭酸飲料: お腹が張って横隔膜を圧迫するため、呼吸がしづらくなります。
- 柑橘系のジュース: 咳で喉が荒れている時に刺激になることがあります。
呼吸を楽にするツボ(スキンシップとして)
ツボ押しそのものに喘息を治す医学的根拠は確立されていません。
ですが、親御さんの温かい手で触れる「スキンシップ」には、子供の緊張を解き、呼吸を楽にするリラックス効果が期待できます。
- 定喘(ていぜん):
- 首の付け根の大きな骨のすぐ横にあるとされる場所。優しくさすってあげましょう。
- 中府(ちゅうふ):
- 鎖骨の外側下にあるくぼみ付近。ここを優しく円を描くようにマッサージします。
- 背中全体:
- 肩甲骨の間を、上から下へ優しく撫でおろしてあげると、呼吸のリズムが整いやすくなります。
発作を起こさないために|自宅でできる予防と環境づくり
発作が落ち着いている時こそ、次の発作を防ぐための「環境整備(アレルゲンの除去)」が重要です。
アレルゲン対策の基本(ダニ・ホコリ)
小児喘息の多くはアレルギー性です。
特にダニやハウスダストは大敵です(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
- 掃除機がけ:
- 1畳あたり30秒以上かけてゆっくり吸うのがコツです。
- 寝具のケア:
- 布団乾燥機を使ったり、シーツをこまめに洗濯しましょう。
- ぬいぐるみの管理:
- ぬいぐるみはダニの温床になりやすいため、定期的に洗うか、寝室には置かないようにするのが理想です。
受動喫煙の徹底排除
タバコの煙は、子供の気道を傷つける最大の有害物質です。
換気扇の下やベランダで吸っても、服や髪についた成分が子供に影響を与えます(三次喫煙)。
「子供のそばでは絶対に吸わない」「できれば禁煙する」ことが、親ができる最大の治療サポートです(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではお子様の喘息でお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
お母さん・お父さんへ|「喘息は親のせい」ではありません
最後に、毎日看病を頑張っているあなたへお伝えしたいことがあります。
ネット検索で「小児喘息」と調べると、関連ワードに「母親のせい」「ストレス」といった心無い言葉が出てきて、胸を痛めたことはありませんか?
はっきりとお伝えします。
お子さんが喘息になったのは、あなたのせいではありません。
喘息は、遺伝的な体質や環境、感染症など、多くの要因が複雑に絡み合って発症する病気です(参考:国立成育医療研究センター 3)。
「掃除が足りなかったから?」「妊娠中の食べ物が悪かった?」などと自分を責める必要は全くありません。
むしろ、夜中に咳き込むお子さんの背中をさすり、こうして和らげる方法を必死に調べているあなたの愛情こそが、お子さんにとって一番の薬です。
喘息の治療は長期戦になることが多いですが、成長とともに気管支が強くなり、症状が出なくなる(寛解する)お子さんもたくさんいます(参考:日本小児アレルギー学会 1)。
まとめ:焦らず、医師と連携してコントロールしていきましょう
今回のポイント
- 発作時は「姿勢(座らせる)」「水分」「腹式呼吸」で和らげる。
- 陥没呼吸やチアノーゼが見られたら、迷わず救急受診。
- 親のスキンシップや落ち着いた態度は、子供の呼吸を安定させる。
- 自分を責めず、主治医と二人三脚で焦らず治療を続ける。
発作が起きると驚いてしまいますが、正しい対処法を知っていれば、必ず落ち着かせることができます。
今日知った方法をお守りにして、少しでも親子で安心して眠れる夜が増えることを願っています。
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023(web版)」 https://www.jspaci.jp/journal/asthma2023/
- 独立行政法人環境再生保全機構「子どものぜん息 ハンドブック」 https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/archives_28016_1.pdf
- 国立研究開発法人国立成育医療研究センター「ぜん息」 https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/asthma.html
