突然胸が締め付けられるような痛みを感じたり、息苦しさを覚えたりすると、非常に強い不安や恐怖を感じるかもしれません。自分自身や大切な家族に狭心症の疑いがある場合、いざ発作が起きたときにどうすればよいのか、あらかじめ正しい知識を持っておくことが命を守る第一歩となります。
この記事では、狭心症の発作が起きた際にまず取るべき具体的な行動手順から、ニトログリセリンの正しい使い方、そして医療機関を受診するタイミングや救急車を呼ぶべき危険なサインについて詳しく解説します。
発作時はパニックになりやすいですが、事前に取るべき行動を整理しておくことで、いざというときに落ち着いて対処できるようになります。心筋梗塞との違いや日頃の予防策についても網羅していますので、緊急時の備えとしてぜひお役立てください。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
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狭心症の発作が起きたらまずやること【緊急時の対処フロー】
狭心症の発作が起きた際、最も重要なのは焦らずに適切な初期対応を行うことです。ここでは、発作発生直後から時系列に沿って、取るべき行動を具体的に解説します。
発作時の基本的な応急処置
発作が起きたら、何よりもまずその場ですぐに動きを止め、安静にすることが最優先です(参考:国立循環器病研究センター 1)。歩いている途中や階段を上っている最中であれば、無理に進もうとせず、その場で立ち止まってください。
可能であれば、近くのベンチに座るか、安全な場所で横になりましょう。心臓への負担を最小限に抑えるため、最も自分が楽だと感じる姿勢をとることが大切です。次に、ネクタイやベルト、きつい下着など、体を締め付けている衣服をゆるめ、呼吸をしやすい状態を作ります。
痛みや息苦しさからパニックに陥りやすくなりますが、意識的にゆっくりと深呼吸を繰り返し、少しでも気持ちを落ち着かせるよう努めてください。
ニトログリセリンの使用方法と注意点
すでに医療機関を受診しており、発作時の頓服薬としてニトログリセリン(舌下錠やスプレー)が処方されている場合は、すぐに行動に移します。
ニトログリセリンの舌下錠は、飲み込むのではなく、舌の下に入れて自然に溶かす薬です(参考:厚生労働省 2)。噛み砕いたり、水で飲み込んだりすると、胃や腸で分解されてしまい、本来の即効性が失われてしまいます。必ず舌の下に含み、口の粘膜から直接血管へ吸収させるようにしてください。
通常、使用してから1分から2分程度で効果が現れ始め、胸の痛みがスッと引いていきます。
ニトログリセリン使用時の注意点
ただし、ニトログリセリンには血管を広げる作用があるため、一時的に血圧が下がり、めまいや立ちくらみ、頭痛といった副作用が出ることがあります。
転倒を防ぐためにも、必ず座った状態か横になった状態で使用してください(参考:関西ろうさい病院 3)。
もしニトログリセリンが処方されていない、あるいは手元にない場合は、とにかく絶対安静を保ち、症状の変化を慎重に観察します。
医療機関を受診すべきタイミングと判断基準
ニトログリセリンを使用した場合の次の行動は、時間の経過と症状の変化によって判断します。
薬を使用してから5分経過しても痛みが全く治まらない、あるいは痛みが強くなっている場合は、医師からの事前の指示に従い、もう1錠追加で使用することを検討します。
ただし、血圧が下がりすぎる恐れがあるため、1回の発作で使用できるのは合計3錠までとされています(参考:国立循環器病研究センター 1)。それでもさらに5分(合計10分から15分)経過しても症状が改善しない場合は、ただの狭心症ではなく、急性心筋梗塞へ移行している危険性が高まります。この場合は躊躇せずに119番通報し、救急車を呼んでください。
また、薬の有無にかかわらず、以下のような症状が見られる場合は一刻を争う事態です。すぐに救急車を手配してください(参考:国立循環器病研究センター 4)。
判断に迷う場合も、「大げさかもしれない」と遠慮することなく、すぐに医療機関や救急相談窓口に連絡して指示を仰ぐことが重要です。
家族や周囲の人ができること
発作を起こしている本人は、強い痛みと恐怖で冷静な判断ができないことがほとんどです。周囲にいる家族や介助者のサポートが非常に重要になります。
まずは本人の体を支えて安全な場所に座らせるか横にさせ、衣服をゆるめて安静を確保します。「大丈夫ですよ」と声をかけ、精神的に落ち着かせることも大切な役割です。
本人がニトログリセリンを持っている場合は、薬を取り出して舌の下に入れるサポートをします。このとき、いつ発作が始まり、いつ薬を使用したか、時計を見て正確な時間を記録してください。5分経過しても変化がない場合の次の判断材料になります。
救急車を呼ぶことになった際は、通信指令員に対して、いつからどのような症状が出ているか、ニトログリセリンを何回使用したかを簡潔に伝えます。また、救急隊が到着するまでに、お薬手帳や診察券、健康保険証、かかりつけ医の情報などを準備しておくと、その後の搬送や治療がスムーズに進みます。
狭心症と心筋梗塞、発作の違いと緊急性
狭心症と心筋梗塞は、どちらも心臓の血管(冠動脈)に問題が起きる病気ですが、その緊急度と危険性は大きく異なります。万が一の際のリスクを正しく理解するために、両者の違いを知っておきましょう。
狭心症の発作の特徴
狭心症は、冠動脈が狭くなり、一時的に心臓の筋肉への血流が不足することで起こります。
発作時の胸の痛みは、数分程度(長くても15分以内)で治まることがほとんどです。痛みの性質としては、胸の奥が締め付けられるような感覚や、重い石を乗せられているような圧迫感と表現されることが多く、チクチクとした表面的な痛みではありません。
また、安静にしたり、ニトログリセリンを使用したりすることで、比較的速やかに症状が改善するのが大きな特徴です。痛みは胸の中央だけでなく、左肩や左腕、首、顎、背中などに広がるようにも感じられることがあります。これを放散痛と呼びます(参考:東北大学病院 5)。
心筋梗塞の発作の特徴
心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉への血流が途絶えてしまう状態です。血流が再開しなければ、心臓の筋肉の細胞が壊死してしまいます(参考:国立循環器病研究センター 4)。
発作の痛みは非常に激しく、「胸がえぐられるよう」「押しつぶされそう」と表現されるほどの激痛が15分以上、長い場合は数時間続きます(参考:厚生労働省 2)。狭心症とは異なり、安静にしても、ニトログリセリンを使用しても痛みが治まることはありません。
痛みに加えて、大量の冷や汗、強い吐き気や嘔吐、呼吸困難、顔面蒼白、さらには意識喪失を伴うことも珍しくありません。心筋梗塞は発症直後に致死的な状態を引き起こすこともあり、命の危険が非常に高い超緊急事態です。
なぜ違いを知ることが重要なのか
違いを知る重要性
狭心症と心筋梗塞の違いを知ることは、発作が起きた際の初期対応と、救急要請の判断を誤らないために不可欠です。
「いつもの狭心症の発作だろう」と思い込み、痛みが長引いているのに我慢してしまうと、心筋梗塞を見逃し、手遅れになってしまう恐れがあります。痛みの持続時間や薬の効果の有無を冷静に見極め、普段と違う、あるいは15分以上痛みが続く場合は、迷わず救急車を呼ぶという明確な基準を持つことが、命を守る行動に直結します。
また、正しい知識を持つことで、「発作が起きたらどうしよう」という漠然とした不安を軽減し、いざというときに落ち着いて行動するための心の準備が整います。
狭心症とは?原因・症状・発作が起きやすいタイミング
狭心症という病気そのものについて正しく理解することは、発作の早期発見や予防に役立ちます。原因や症状、そしてどのような状況で発作が起きやすいのかを解説します。
狭心症の基本的な知識
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしており、心臓の筋肉自体も酸素と栄養を必要としています。この酸素と栄養を運んでいるのが、心臓の表面を覆う冠動脈という血管です。
狭心症とは、この冠動脈の内側が何らかの原因で狭くなり、血液の流れが悪くなる病気です。普段は問題なくても、運動などで心臓がより多くの酸素を必要としたときに、血流が追いつかなくなり、心臓が酸欠状態に陥って発作を引き起こします。
冠動脈が狭くなる最大の原因は動脈硬化です。血管の内側にコレステロールなどの脂質が蓄積してプラークと呼ばれるこぶができ、血管の通り道が狭くなってしまいます(参考:国立循環器病研究センター 6)。
狭心症の主な症状と初期症状
典型的な症状は、前述の通り胸の圧迫感や締め付けられるような痛みです。しかし、人によっては胸の痛みではなく、息苦しさや胸のつかえ感として現れることもあります。
また、初期症状として見過ごされがちなのが放散痛です。左肩の凝り、左腕のしびれ、奥歯や顎の痛み、胃のあたりの不快感などが現れることがあり、整形外科や歯科、消化器科を受診して異常が見つからず、後になって狭心症が原因だと判明するケースも少なくありません。
歩いている時や階段を上っている時にこれらの症状が現れ、休むと数分で治まる場合は、狭心症の初期サインである可能性が高いと考えられます。
発作が起きやすいタイミングと状況
狭心症の発作は、心臓に負担がかかる特定のタイミングや状況で起きやすいという特徴があります。
発作が誘発されやすい主な状況
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身体的な活動(労作):急ぎ足で歩く、階段や坂道を上る、重い荷物を持つといった活動時。これを労作性狭心症と呼びます(参考:国立循環器病研究センター 6)。
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急激な温度変化:寒い日の朝に暖かい部屋から外に出た時など、急激な温度変化にさらされると血管が収縮し、発作が起きやすくなります。
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心理的な要因:強い精神的ストレスや興奮状態、怒りを感じた時も引き金になります。
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その他の要因:食後で胃腸に血液が集中している時や、喫煙後、過度な飲酒後にも発作が誘発されることが知られています。
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安静時の痙攣:夜間や早朝の安静時、あるいは就寝中に突然血管が痙攣して狭くなる冠攣縮性狭心症というタイプもあります(参考:国立循環器病研究センター 7)。
狭心症の発作を予防するためにできること
狭心症の発作を防ぎ、心筋梗塞への進行を食い止めるためには、日々の生活習慣の見直しと適切な医療管理が欠かせません。
生活習慣の改善点
狭心症の根本的な原因である動脈硬化を進行させないためには、以下のような生活習慣の改善に継続して取り組むことが重要です。
まず、絶対に避けたいのが喫煙です。タバコは血管を収縮させ、動脈硬化を急激に進行させる最大の危険因子です。ご自身の禁煙はもちろん、周囲の人のタバコの煙を吸い込む受動喫煙も避ける環境作りが必要です(参考:愛知県 8)。
食事面では、塩分の摂りすぎに注意し、血圧をコントロールします。また、動物性脂肪の多い肉類を控え、魚や大豆製品、野菜、海藻類を積極的に取り入れ、悪玉コレステロールや中性脂肪の数値を適正に保つことが求められます。
運動については、医師に相談の上、ウォーキングや軽い水泳などの有酸素運動を無理のない範囲で継続することが推奨されます。ただし、急激な運動は発作の引き金になるため注意が必要です。
さらに、日々のストレスを溜め込まないよう、リラックスできる趣味の時間を持ったり、十分な睡眠をとったりすることも大切です。アルコールの摂取も適量にとどめ、飲みすぎないように心がけましょう。
定期的な診察と服薬の重要性
生活習慣の改善と並行して、医療機関での定期的な診察と治療を継続することが命を守る鍵となります。
処方される主な薬と役割
医師からは、血管を広げる薬、心臓の働きを休ませて負担を減らす薬(β遮断薬)、血圧を下げる薬、血液をサラサラにして血栓を防ぐ薬などが症状に合わせて処方されます(参考:国立循環器病研究センター 6)。
これらの薬は、自己判断で量を減らしたり、飲むのをやめたりしてはいけません。必ず医師の指示通りに正しく服用し続けることが、発作の予防につながります。
また、定期的に心電図や血液検査などを受け、病状の変化や薬の効果を確認しながら、医師とコミュニケーションをとっていくことが安心な生活の基盤となります。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では狭心症でお困りの方、心不全リスクへ備えたい方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
狭心症に関するよくある疑問
狭心症に関して、多くの人が抱く疑問や不安について回答します。
狭心症の主な原因である動脈硬化は、一度進行してしまうと自然に元のきれいな血管に戻ることはありません。したがって、狭心症が自然に治癒することは難しいと言えます。
しかし、適切な薬物治療や生活習慣の改善を行うことで、症状をコントロールし、発作の頻度を減らしたり、心筋梗塞への進行を防いだりすることは十分に可能です。放置せず、医療機関での継続的な管理を受けることが不可欠です。
狭心症の発作そのもので直ちに命を落とすことは多くありません。しかし、狭心症を放置して動脈硬化が進行すると、血管が完全に詰まる急性心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。
心筋梗塞は命に関わる非常に危険な状態です。狭心症の段階で適切な治療を受け、リスク要因を管理することで、最悪の事態を予防することができます。
発作の頻度には大きな個人差があります。病状が安定していれば数ヶ月に一度という人もいれば、病状が進行している場合は1日に何度も発作を繰り返す人もいます。
特に、発作の回数が急に増えたり、これまでより軽い運動で発作が起きたり、安静にしている時にも発作が起きるようになった場合は、不安定狭心症と呼ばれ、心筋梗塞の一歩手前の非常に危険な状態です。このような変化を感じたら、早急に医療機関を受診してください。
狭心症の診断には、いくつかの検査を組み合わせて行います。基本となるのは心電図検査ですが、安静時の心電図では異常が出ないことも多いため、運動をして心臓に負担をかけた状態での心電図を記録する運動負荷試験(トレッドミル検査など)が行われます。
さらに詳しく調べる必要がある場合は、超音波を使って心臓の動きを見る心エコー検査や、造影剤を使用して冠動脈の狭窄状態を立体的に確認する冠動脈CT検査、手首や足の付け根の血管からカテーテルという細い管を入れて直接血管を造影する心臓カテーテル検査などが行われます。
胸の圧迫感や息苦しさなど、少しでも狭心症を疑う症状を感じたら、早めに循環器内科などの専門の医療機関を受診することが推奨されます。
すでに治療を受けている方でも、発作の頻度が増えた、痛みが強くなった、ニトログリセリンが効きにくくなったなど、少しでも症状に変化を感じた場合は、次回の予約日を待たずにすぐに受診してください。もちろん、激しい痛みが続く場合は、迷わず救急車を呼ぶことが最優先です。
まとめ
発作時の対応と日頃の備え
狭心症の発作が起きた際に命を守るためには、事前の知識と冷静な判断が不可欠です。この記事でお伝えした重要なポイントを振り返ります。
発作が起きたら、まずはその場で立ち止まって安静にし、衣服をゆるめて深呼吸をします。処方されている場合は速やかにニトログリセリンを舌下で使用し、効果が現れるのを待ちます。5分経過しても痛みが治まらない場合や、これまで経験したことのない激しい痛み、冷や汗を伴う場合は、心筋梗塞の疑いがあるため、躊躇せずに119番通報して救急車を呼んでください。
狭心症と心筋梗塞の違いを理解し、緊急度に応じた対応をとることが、ご自身や大切な人の命を救う行動につながります。
また、発作の恐怖から逃れるためには、日頃からの生活習慣の改善と、医療機関での継続的な治療が何よりも重要です。禁煙や食事の管理、適度な運動を心がけ、処方された薬は正しく服用し続けましょう。
「狭心症の発作が起きたらどうしよう」という不安を一人で抱え込まず、少しでも気になる症状や疑問があれば、早めに専門の医療機関に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けるようにしてください。正しい備えが、安心できる日常をもたらします。
