便失禁を「止める」には?今日からできる対策ステップと原因別治療法を完全ガイド

2025年12月5日

「外出中に便意が来たらどうしよう」「気づかないうちに下着が汚れている」

 このような便漏れ(便失禁)の悩みを、誰にも言えず一人で抱え込んでいる方は少なくありません。

日本の調査では、65歳以上では男性で8.7%、女性で6.6%が便失禁の症状を経験していると報告されています(参考:Maeda ら, J Anus Rectum Colon 2021)。

 決して珍しい症状ではなく、高齢になるほど頻度は高くなります。

結論からお伝えすると、便失禁は「年のせい」と諦めるものではなく、適切なケアと治療で多くの方が症状の改善を期待できる「病気(状態)」です(参考:日本大腸肛門病学会 便失禁診療ガイドライン2017年版)。

この記事では、便失禁を「止める/減らす」ために必要な情報を、今日からできるセルフケアと病院での治療法に分けて、ステップ形式で解説します。

読み終える頃には、ご自身の症状の原因のヒントと、次に踏み出すべき具体的な行動が見えているはずです。

※この記事は疾患啓発を目的としています

便失禁(便漏れ)は治る?まずは「止める」ための3つのステップ

便失禁を止めるための道のりは、闇雲に対策するのではなく、順序立てて進めることが近道です。

日本大腸肛門病学会のガイドラインでも、以下のような流れが推奨されています(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

  1. 知る: 自分の「タイプ(原因)」を把握する
  2. 整える: 生活・食事・排便習慣・体操でコントロールする(セルフケア・保存的療法)
  3. 治す: 改善しない場合や重症例では、専門医の治療(薬・リハビリ・手術など)を受ける

まずは、自分がどのタイプに当てはまるかを確認することからスタートしましょう。

【Step1】なぜ漏れる?自分の「便失禁タイプ」をチェック

便失禁には主に3つのタイプがあります。

タイプによって有効な対策(特に食事や薬、リハビリの内容)が異なるため、自分の症状がどれに近いかチェックしてみてください(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

1. 気づかないうちに漏れる「漏出性便失禁」

便意を感じないまま、無意識のうちに便が漏れ出てしまうタイプです。

  • 特徴:
    • トイレに行きたい感覚が乏しい、あるいは全くない
    • 下着やおむつが汚れて初めて気づく
  • よく見られる対象:
    • 高齢者、寝たきりの方
    • 肛門や直腸の手術後の方 など
  • 主な原因:
    • 肛門を締める筋肉(肛門括約筋)が弱くなる・損傷している
    • 直腸に便がたまったことを感じるセンサー(感覚)の低下
    • 神経の障害(脊髄障害など)

2. トイレまで間に合わない「切迫性便失禁」

急激な便意を感じ、トイレまで我慢できずに漏れてしまうタイプです。

  • 特徴:
    • 「うんちをしたい」という強い便意はある
    • しかしトイレまで我慢できない・移動中に漏れる
  • よく見られる対象:
    • 過敏性腸症候群(IBS)などで下痢が多い方
    • 出産後の女性
    • 直腸がん手術後で便をためる機能が低下した方 など
  • 主な原因:
    • 直腸が過敏で便をためられない
    • 便意を感じてから肛門をギュッと締める筋力・瞬発力の低下

3. その他のタイプ(混合性・機能性など)

  • 混合性便失禁:
    上記の「漏出性」と「切迫性」の両方の特徴を持つタイプです。
  • 機能性便失禁:
    排便機能自体は保たれていても、
    • 足腰が弱くてトイレまで間に合わない
    • 排便後の拭き残しで後から下着に便が付着する

など、移動や動作の問題で漏れてしまうケースもあります。

ご自身やご家族がどのタイプに近いかイメージできたら、次は「どう整えるか」を見ていきましょう。

【Step2】今日からできる便失禁を「止める・減らす」5つの対策

「いきなり病院はハードルが高い」という方も、セルフケア=保存的療法の基本から始めることはとても重要です。

ガイドラインでも、食事・生活・排便習慣の見直しや体操が、すべての治療の土台とされています(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版/日本大腸肛門病学会)。

1. 【食事】便の固さを「ちょうどよく」コントロールする

便失禁を止めるには、「漏れにくい便の固さ」に整えることが最優先です。

下痢はそのまま漏れやすく、反対にひどい便秘も、腸に硬い便が詰まってすき間から軟便が漏れる溢流性便失禁の原因になります(参考:便失禁診療ガイドライン改訂版)。

便がゆるい人(軟便・下痢傾向)のポイント

  • 水溶性食物繊維を増やす
    • 例:リンゴ、バナナ、海藻類、オートミール、納豆など

      腸内で水分を吸収し、便をゲル状にまとめるのに役立つとされています。

  • 刺激物・下痢を誘発しやすいものを控える
    アルコール、香辛料、脂肪分の多い食事、冷たい飲み物などは、人によって下痢を起こしやすくなります。

    カフェイン(コーヒー・濃い緑茶など)でお腹がゆるくなる方もいるため、自分の体質を見ながら控えめにしましょう。

    こうした食事・生活習慣の見直しは、保存的治療として推奨されています(参考:Maeda ら, J Anus Rectum Colon 2021)。

便が硬い人(便秘傾向)のポイント

  • 水分をこまめに摂る
  • 不溶性食物繊維も適度に
    • 玄米・全粒粉のパン、豆類、きのこ、野菜など

ただし、すでに便秘が強い方は、水分が不足した状態で不溶性繊維だけ増やすと逆に詰まりやすいため注意が必要です。

どの食材が合うかは個人差が大きいため、食事日記をつけて「これを食べると調子が良い/悪い」を把握し、必要に応じて医師や栄養士に相談しましょう。

2. 【排便習慣】「出し切る」リズムを作る

不規則な排便は、予期せぬタイミングでの漏れにつながります。

毎日決まった時間に腸を動かす習慣作りが大切です(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

  • 朝食後にトイレに座る習慣

食事(特に朝食)をとると、腸が動き出して便を送り出す「胃・結腸反射」が起こります。

便意がはっきりなくても、朝食後に5〜10分ほどトイレに座る習慣を数日〜数週間続けることで、リズムが整ってくることがあります。

  • 姿勢を工夫する

前かがみになり、足元を少し高くして和式トイレに近い姿勢にすると、直腸と肛門の角度が緩み、便が出やすくなるとされています。

いきみすぎはかえって痔や脱出の原因になるため、「深呼吸しながら、短時間だけ軽くいきむ」を意識しましょう。

3. 【体操】「骨盤底筋トレーニング」で肛門を締める力を育てる

肛門括約筋(肛門を締める筋肉)やその周りの骨盤底筋を鍛えることは、特に「漏出性」や加齢による筋力低下に有効とされています(参考:排泄機能ケア外来/滋賀医科大学)。

骨盤底筋トレーニングの一例

  1. 仰向け、または椅子に座った状態でリラックスする。
  2. おならや排尿を我慢するイメージで、肛門と膣(または尿道)を体の中に引き込むように締める。
  3. そのまま3〜5秒キープし、力を抜いて同じくらい休む。
  4. これを10回1セットとして、1日2〜3セットを目安に行う。

お尻の表面の筋肉ではなく、体の奥の筋肉を使うのがコツです。

効果が実感できるまでには、数週間〜数ヶ月かかることも多いため、継続が大切です。

※術後や持病のある方は、主治医や理学療法士の指導のもとで行ってください。

4. 【スキンケア・補助具】漏れた時のダメージと不安を減らす

「また漏れるかもしれない」という不安自体がストレスとなり、腸の動きやQOLに悪影響を与えることがあります。

肌と心を守るための物理的な対策も、医学的に大切なケアです(参考:国立がん研究センター 尿もれ・便もれリーフレット)。

皮膚トラブル対策

  • 便が付着すると、皮膚炎やかゆみの原因になります。
  • 下着やパッドはこまめに交換し、ぬるま湯でやさしく洗う(こすりすぎない)。
  • 洗浄後は水分を押さえ拭きし、撥水性のある保護クリーム(ワセリンなど)を薄く塗ると、汚れが落ちやすく皮膚保護になります。

失禁用パッド・アナルプラグなどの補助具

  • 便失禁専用パッド

尿もれ用や生理用品とは吸収するものが異なるため、便もれ対応の製品を選びます。

においや皮膚トラブルへの配慮がされたものもあります(参考:国立がん研究センター)。

  • アナルプラグ(肛門タンポン/アナルインサートデバイス)

ガイドラインでは、便失禁の一部の方で肛門に栓をして漏れを減らす方法として紹介されています(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

ただし、不快感などで継続できない人も多く、すべての方で完全に漏れを防げるわけではありません。

使用する場合は、必ず専門医と相談し、適応を判断してもらう必要があります。

5. 【年代・状況別】特有の原因と対策ポイント

高齢者・介護中の方の場合

  • トイレまでの移動が間に合わない場合は、
    • ベッドサイドへのポータブルトイレの設置
    • 食後など便が出やすい時間帯に合わせた排泄誘導(声かけ・付き添い)

などの環境調整が有効です(参考:高齢者介護の排泄ケア指針)。

転倒リスクを減らしつつ、できる範囲での座位バランス訓練や歩行訓練も、排便を自立して行うための土台になります。

出産後・女性の場合

出産時の会陰裂傷や鉗子分娩などで、肛門括約筋が損傷し、産後に便失禁が生じることがあります(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

骨盤底筋リハビリテーションが非常に重要で、産婦人科・肛門科・大腸肛門外科などで専門的な指導を受けられることがあります。

「恥ずかしい」と感じる必要はありません。同じ悩みを持つ方は少なくありません。

直腸がん等の術後(排便障害・LARS)

直腸の一部を切除する手術後は、便をためるタンクが小さくなり、頻便や漏れ(LARS:低位前方切除術後症候群)が起こりやすくなります(参考:国立がん研究センター 大腸がん術後情報)。

食事の工夫(少量ずつ・脂肪分を控えめになど)に加え、薬物療法や骨盤底筋トレーニング、必要に応じて仙骨神経刺激療法(SNM)や洗腸法など、長期的な排便コントロールが必要になることもあります。

【Step3】病院で治す「便失禁を止める」専門的な治療法

セルフケアを2〜3ヶ月続けても改善しない場合や、QOL(生活の質)が著しく低下している場合は、迷わず専門医を受診してください。

初期の保存的療法で十分な改善が得られない場合には、専門的な検査・治療へ進むことが推奨されています(参考:Maeda ら, J Anus Rectum Colon 2021)。

何科に行くべき?受診のタイミングと目安

  • 診療科:肛門科・大腸肛門外科・消化器外科が便失禁の専門です。

「排便機能外来」「排泄ケア外来」を設けている大学病院などでは、より専門的な治療が受けられます(参考:自治医科大学 排便機能外来/滋賀医科大学 排泄機能ケア外来)。

  • 受診の目安:
    • 週に1回以上の漏れがある
    • 外出や仕事、介護など日常生活に支障が出ている
    • 市販薬や自己流の対策で良くならない
    • 血便がある、急な腹痛、体重減少、急激な症状悪化がある(大腸がんなどの重い病気が隠れていることがあるため、早急な受診が必要)

恥ずかしくない?検査の内容と流れ

多くの専門医は便失禁の患者さんを日常的に診ており、プライバシーに配慮して診療が行われます。

主な検査の例(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版/高齢者の便失禁レビュー):

  • 問診:
    便の性状(硬さ・回数・タイミング)、漏れ方、既往歴・手術歴、出産歴などを詳しく聞きます。

  • 視診・直腸指診:
    肛門周囲の皮膚の状態、肛門の締まり具合、筋肉の断裂の有無などを医師の指で確認します。

  • 生理学的検査:
    • 肛門内圧検査:肛門の締める力(静止圧・随意収縮圧)を数値化。
    • 直腸感覚検査:どのくらいで便意を感じるかを調べる。

  • 画像検査:
    • 経肛門的超音波検査(エコー)**で肛門括約筋の断裂や菲薄化を評価。
    • 必要に応じてMRIや排便造影など。

これらは通常、外来で行える検査で、強い痛みを伴うものは多くありません。

薬物療法(便の性状と腸の動きを整える)

薬物療法は、便失禁の原因となっている便の状態(下痢・便秘)や腸の動きを調整するために行われます。

失禁そのものを「止める特効薬」ではなく、他の療法と組み合わせて症状を軽減する役割を担います(参考:高野ほか, 日本大腸肛門病学会雑誌)。

代表的な薬の例(あくまで一般論であり、使用の可否は医師が判断します):

  • ポリカルボフィルカルシウムなどの便性調整薬
    • 腸管内の水分を吸収・保持し、便の水分量を調整することで、下痢傾向では便を適度な硬さに、便秘傾向ではやわらかく近づけることが報告されています。

  • ロペラミド塩酸塩などの止瀉薬
    • 腸の動きを抑えて便の通過時間を延ばし、便を固めます。
    • 便失禁患者の研究では、肛門の静止圧(締めていないときの圧)が上昇し、夜間の汚染や便の回数が減ったとの報告があります(参考:高野ほか, 日本大腸肛門病学会雑誌)。

薬は自己判断で長期に使うと便秘や他の副作用を起こす可能性があります。

外出時の「お守り」として携帯する場合も、必ず主治医と相談し、服用方法の指示を守りましょう。

保存的療法:骨盤底筋訓練・バイオフィードバック療法・洗腸法など

薬やセルフケアだけでは不十分な場合、専門施設で以下のような保存的療法が行われます(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

  • 骨盤底筋訓練(専門的指導)

前述の体操を、理学療法士や看護師の指導のもとでより精密に行うものです。

  • バイオフィードバック療法

肛門にセンサーを入れ、モニター画面を見ながら肛門括約筋を締める練習を行うリハビリ。

肛門周囲の筋肉の使い方や直腸の感覚を「再学習」するイメージで、大きな副作用は少なく、安全性の高い治療とされていますが、効果には個人差があります。

  • アナルインサートデバイス(アナルプラグ)

肛門内に専用のタンポン状の器具を留置して、一定時間便が漏れにくくなるようにする方法。

有効なケースもある一方、不快感のために継続できないケースも多く、適応は慎重に判断されます。

  • 経肛門的洗腸(逆行性洗腸法)

肛門から洗浄液を注入して大腸を定期的に空にし、「便をためない」状態を作る方法です。

これらは、専門知識と訓練が必要な治療のため、日本大腸肛門病学会は「便失禁専門施設で行うべき」としています(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

外科的治療と新しい選択肢(仙骨神経刺激療法:SNMなど)

保存的療法を十分に行っても症状が強い場合や、明らかな筋肉断裂などがある場合には、外科的治療が検討されます(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

代表的なもの:

  • 肛門括約筋形成術

出産時の会陰裂傷や手術などで切れてしまった肛門括約筋を縫い合わせて修復する手術です。

  • 仙骨神経刺激療法(SNM:Sacral Neuromodulation)

仙骨(背骨の一番下の骨)の穴付近の神経に電極を留置し、お尻の皮膚の下にペースメーカーのような小型刺激装置を埋め込んで微弱な電気で直腸や肛門の働きを整える治療法です。

2014年から、日本でも便失禁に対して保険診療として行うことが認められています(参考:香川県立白鳥病院「仙骨神経刺激療法とは?」)。

症状そのものや原因疾患を「完全に治す」治療ではありませんが、多くの患者さんで便失禁の回数を減らし、生活の質を改善した臨床試験結果が報告されています。

これらの外科治療は、便失禁診療ガイドラインのアルゴリズムに沿って、保存的療法で十分な効果が得られなかった重症例に対して検討されます(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

治験に参加するのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本では便失禁でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

  • ・最新の治療をいち早く受けられることもある
  • ・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
  • ・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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便失禁を「悪化させない」ための生活の工夫Q&A

Q. 仕事や旅行中、急な便意が怖い時はどうすればいい?

A. いくつかの工夫を組み合わせると、不安が軽くなることがあります。

  • 事前にルート周辺のトイレの場所を確認しておく。
  • 長時間の移動前は、食事量を控えめにし、脂っこいものやアルコールなど下痢を起こしやすい食事を避ける。
  • 医師から指示された下痢止め薬を「お守り」として携帯しておく。ただし、自己判断で頻繁に服用するのは避ける。
  • 男性用・女性用の薄型便もれ対応パッドを活用して、「もしもの時」の安心感を高める(参考:国立がん研究センター)。

Q. 便失禁は年齢のせい?若い人でもなる?

A. 高齢者に多いのは事実ですが、若い人でも起こります。

  • 過敏性腸症候群(IBS)による下痢型の便失禁
  • 出産後の女性(分娩時の肛門括約筋損傷など)
  • 痔や肛門の手術後
  • 直腸がん手術後の排便障害(LARS) (参考:便失禁診療ガイドライン2017年版・国立がん研究センター)

「若いから大丈夫」と放置せず、消化器内科・肛門科・大腸肛門外科などに相談してください。

Q. 家族にどう相談すればいい?

A. 便失禁はとてもデリケートな問題ですが、家族の理解があると治療や外出がぐっと楽になります。

  • 「最近、お腹の調子が悪くてトイレが間に合わないことがある」
  • 「病院で相談してみようと思っている」

など、「恥ずかしい失敗」ではなく「治療が必要な症状」であることを伝えてみてください。

家族側も、

  • 失敗を責めない
  • トイレに行きやすい動線を一緒に工夫する
  • 受診の付き添いを申し出る

などが最大のサポートになります。

まとめ:一人で抱え込まず、段階的に「止める」対策を

便失禁は、命に直結しないことが多い一方で、生活の質(QOL)を大きく損なう辛い症状です(参考:便失禁診療ガイドライン2017年版)。

しかし、ガイドラインや各専門施設が示しているように、自分でできる工夫から高度な医療まで、解決のための選択肢は数多く存在します。

  1. まずは自分のタイプ(漏出性・切迫性・混合性・機能性など)を知る。
  2. 食事・排便習慣・骨盤底筋トレーニング・スキンケアなど、今日からできるセルフケア・保存的療法を始める。
  3. それでも改善しなければ、専門医での検査・薬物療法・バイオフィードバック療法・SNMや手術など、より専門的な治療を検討する。

このステップを踏むことで、今よりも良い状態に近づく可能性は十分にあります

「もう歳だから」「恥ずかしいから」と諦めてしまわず、まずは今日の食事・今日の体操・今日の受診予約から、「止める」ための一歩を踏み出してみてください。

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参考資料・文献一覧

  1. Maeda K, et al. Japanese Practice Guidelines for Fecal Incontinence Part 1 – Definition, Epidemiology, Etiology, Pathophysiology and Causes, Risk Factors, Clinical Evaluations, and Symptomatic Scores and QoL Questionnaire for Clinical Evaluations. J Anus Rectum Colon. 2021;5(1):52–66.
  2. Maeda K, et al. Japanese Practice Guidelines for Fecal Incontinence Part 2 – Examination and Conservative Treatment for Fecal Incontinence. J Anus Rectum Colon. 2021;5(1):67–83.
  3. 日本大腸肛門病学会. 便失禁診療ガイドライン2017年版. 日本大腸肛門病学会; 2017年.
  4. 日本大腸肛門病学会. 便失禁診療ガイドライン 改訂第2版(2024年版・一部公開).
  5. 高野正太ほか. 「Ⅳ. 便失禁に対する薬物療法 ─国内外ガイドラインおよびエビデンスの整理─」日本大腸肛門病学会雑誌. 2015;68(10):946–.
  6. 自治医科大学 消化器外科. 「排便機能外来」.
  7. 滋賀医科大学 医学部附属病院. 「排泄機能ケア外来」.
  8. 国立がん研究センター中央病院. 「知っておきたい尿もれ・便もれの基礎知識」および関連リーフレット.
  9. 香川県立白鳥病院 外科. 「仙骨神経刺激療法とは?」.

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