「最近、お腹が張って苦しい」「急に体重が増えてきた」
肝硬変の治療中にこうした症状が現れると、「もしかして腹水が溜まったのではないか」「腹水が出たらもう末期なのだろうか」と、強い不安を感じる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、腹水の出現は確かに病状が進んだサイン(非代償期)ですが、決して「手の施しようがない状態」ではありません。
現在は、利尿薬や減塩などの基本治療に加え、抜いた腹水からタンパク質を濃縮して体に戻す腹水濃縮再静注療法(CART)などの選択肢があり、適切にコントロールしながら生活を送ることは十分に可能です。
この記事では、腹水が現れる医学的なステージ分類や余命の考え方から、最新の治療法、そして療養生活を経済的に支える「障害年金」の仕組みまで、患者さんとご家族が今知っておくべき情報を網羅的に解説します。
不安を一つずつ解消し、前向きに治療に取り組むための手引きとしてお役立てください。
※この記事は疾患啓発を目的としています
肝硬変における「腹水」と「ステージ」の関係
肝硬変と診断されても、すぐにすべての機能が失われるわけではありません。
まずは、腹水が出現することが医学的にどのような段階(ステージ)を意味するのか、正しく理解しましょう。
そもそも肝硬変のステージとは?
肝硬変の病状は、大きく「代償期」と「非代償期」の2つのステージに分けられます。
- 代償期(だいしょうき):
肝臓の一部が硬くなっていても、残っている正常な細胞がカバーし合い(代償し)、肝臓としての機能をなんとか維持している状態です。自覚症状はほとんどなく、普通通りの生活が送れることが多いです。 - 非代償期(ひだいしょうき):
肝臓の働きが限界を超え、正常な細胞だけでは機能を補いきれなくなった(代償できなくなった)状態です。この段階になると、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、肝性脳症(意識がぼーっとする・会話がかみ合わない)、そして腹水といった目に見える症状が現れます。
つまり、腹水が出たということは、多くの場合で病状が「非代償期」へと進行しているサインと言えます。
ただし、症状の程度や他の検査結果によって状態は大きく異なります。
「終わり」を意味するのではなく、「より厳密な治療と管理が必要な段階に入った」と捉えるべき転換点です。(参考:日本消化器病学会・日本肝臓学会 1/肝炎情報センター 2)
重症度を判定する「チャイルド・ピュー(Child-Pugh)分類」

医師が肝硬変の重症度を判断する際、世界的に使われているのが「チャイルド・ピュー(Child-Pugh)分類」という基準です。
以下の5つの項目を点数化し、その合計点で重症度をA・B・Cの3段階(グレード)に分けます。
- 腹水(お腹の水溜まり)
- 脳症(肝性脳症の有無)
血清ビリルビン値(黄疸の指標) - 血清アルブミン値(栄養状態・タンパク質の指標)
- プロトロンビン時間またはPT-INR(血液の固まりやすさ)
それぞれの項目について1点〜3点がつけられ、合計点によって以下のように分類されます。
- グレードA(5〜6点):軽度(主に代償期)
- グレードB(7〜9点):中等度
- グレードC(10〜15点):高度(非代償期)
腹水は、
- なし:1点
- 軽度(利尿薬でコントロール可能):2点
- 中等量以上/コントロール困難:3点
と評価されます。
腹水が出ているとスコアは上がりやすくなり、Child-Pugh BまたはCに分類されることが多くなりますが、他の項目が良好であればAにとどまるケースもあります。
腹水の有無は、治療方針の決定や、後述する障害年金・身体障害者手帳などの認定においても重要な指標です。(参考:肝炎情報センター 2/日本年金機構・厚生労働省 5,6)
なぜお腹に水が溜まるのか?
肝臓が悪くなると、なぜお腹に水が溜まるのでしょうか。
主な原因は、「血管から水が漏れやすくなること」と「血液の流れの渋滞」です。
- 血管内の水分を保てなくなる(アルブミン低下)
肝臓は「アルブミン」というタンパク質を作っています。アルブミンには、スポンジのように水分を血管内に留めておく役割(膠質浸透圧の維持)があります。
肝機能が低下してアルブミンが十分に作れなくなると、血管の中に水分を留めておけなくなり、血管の外(お腹の中)へ水が漏れ出してしまいます。 - 血液の通り道が渋滞する(門脈圧亢進)
肝臓が硬くなると、腸から肝臓へ向かう太い血管(門脈)が圧迫され、血液がスムーズに流れなくなります。これを「門脈圧亢進症」と呼びます。
門脈圧が高くなることで血管の壁から水分が染み出しやすくなり、腹水の一因となります。
イメージとしては、「古くなったホース(血管)の水圧が上がり、さらにホースの壁も弱くなっているため、周りに水がじわじわと漏れ出している状態」に近いでしょう。
これが腹水の正体です。(参考:標準医療情報センター 3/日本肝臓学会 1)
腹水が出た場合の余命と生存率
「腹水が出ると余命は短い」という情報をネットで見かけ、ショックを受ける方もいるかもしれません。
しかし、統計データを見る際は「治療の進歩」と「個人差」を必ず考慮する必要があります。
統計データで見る「非代償期」の生存率
一般的に、腹水や黄疸、脳症などを伴う非代償性肝硬変は、代償期と比べて予後が悪いとされています。
日本の資料でも、非代償性肝硬変の5年生存率は代償期より明らかに低下することが報告されています。
ただし、これらの統計には、
- 高齢の方
- 別の重い病気を合併している方
- 十分な治療を受けられなかった方
- 飲酒や生活習慣の改善が難しかった方
など、さまざまな背景の患者さんが含まれています。
また、統計は「集団としての傾向」を示すもので、一人ひとりの「余命」を機械的に示すものではありません。
近年は、抗ウイルス薬・新しい利尿薬・栄養療法の進歩により、同じ「非代償期」でも、過去のデータより長期に安定して生活されている方も増えています。(参考:日本肝臓学会 1)
「余命」に影響を与える要因とは
生存期間(予後)を大きく左右するのは、「ステージ」そのものよりも、その後の生活管理と原因治療がどれだけ徹底できるかです。
- 原因の除去(断酒・ウイルス治療)
アルコール性肝硬変では、腹水が出てからでも完全に断酒を続けることで、肝機能や腹水が改善しうることが国内外で報告されています。
ただし、すべての方で元通りになるわけではなく、改善の程度には個人差があります。
B型・C型肝炎ウイルスが原因の場合も、抗ウイルス薬でウイルスの活動を抑えることが予後改善に直結します。(参考:日本肝臓学会 1・肝炎情報センター 2) - 栄養状態の維持(サルコペニア対策)
痩せ細って筋肉量が減る「サルコペニア」は、肝硬変の予後悪化因子として重視されています。
十分なエネルギー・タンパク質摂取や、分岐鎖アミノ酸製剤などの栄養療法により、筋肉量を維持することが生存率を高める鍵となると報告されています。
ステージ4・末期と言われる状態の真実
一般的に「ステージ4」「末期」という言葉には、「もう手の施しようがない」という響きがあります。
しかし、医学的には「末期」という表現は必ずしも厳密なステージ分類ではありません。
肝臓専門医の視点では、腹水がある状態でも、
- 腹水や脳症を薬や治療でコントロールする
- 合併症を予防・早期治療する
することで、慢性疾患として長期的に付き合っていくことが目標とされます。
実際に、腹水を経験しても、治療と生活管理を続けながら数年以上安定した生活を送る患者さんもいます。
「末期」という言葉だけに囚われず、「どう共存していくか」に視点を切り替えることが大切です。具体的な見通しは、肝臓の専門医とじっくり相談してください。
苦しい腹水を楽にする治療法:基本からCART、最新薬まで
お腹の張り(腹部膨満感)は生活の質(QOL)を大きく下げますが、現在は様々な治療法が確立されています。
>>肝硬変は「治る時代」は本当か?最新治療の可能性と限界、再生医療の立ち位置を解説基本治療(塩分制限と利尿薬)
腹水治療の第一歩は、体にこれ以上水を溜め込まないことです。
- 塩分制限(目安:1日5〜7g程度)
塩分(ナトリウム)は水を体に引き寄せる性質があります。塩分を摂りすぎると、いくら薬を使っても腹水は減りません。
日本のガイドラインでも、腹水を伴う肝硬変では1日5〜7g程度の減塩が推奨されています。(参考:標準医療情報センター 3・肝硬変診療ガイドライン 1) - 利尿薬(水を出す薬)
尿として余分な水分を排出させます。
従来から使用されているのは
- スピロノラクトン(抗アルドステロン薬)
- フロセミド(ループ利尿薬)
などで、これらを組み合わせて用います。
さらに、バソプレシンV2受容体拮抗薬(トルバプタンなど)と呼ばれる「水利尿薬」が、難治性腹水の治療選択肢としてガイドラインにも記載されています。
従来の利尿薬と作用機序が異なり、「水分を中心に排出させる」タイプの薬で、適応・用量・血中ナトリウム値などを慎重にモニタリングしながら使用します。(参考:日本肝臓学会 1)
薬の調整は個々の状態で大きく異なるため、自己判断で増減したり中断したりせず、必ず主治医の指示に従ってください。
栄養を戻しながら水を抜く「CART(腹水濾過濃縮再静注法)」
薬でコントロールできない大量の腹水がある場合、お腹に針を刺して水を抜く処置(腹腔穿刺)を行うことがあります。
しかし、単純に水を抜くと、腹水中に含まれる大切なタンパク質(アルブミンなど)まで失われ、栄養状態が悪化してしまうという課題があります。
これを解決するのが「CART(腹水濃縮再静注療法)」と呼ばれる治療法です。
CARTでは、
- お腹から腹水を抜いて専用のバッグに集める
- 血液浄化装置を用いて、腹水をフィルターで濾過・濃縮する
- アルブミンなどのタンパク質を濃縮した腹水を、点滴で再び体内に戻す
という手順を踏みます。
メリット
- 栄養となるタンパク質をできるだけ体に戻せる
- お腹がスッキリし、食事が取りやすくなる
- 息苦しさや腹部膨満感の改善が期待できる
CARTは、日本の診療報酬で「K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法」として保険適用されており、診療報酬上「一連の治療期間は2週間を目安」とするなどの算定ルールが定められています。(参考:厚生労働省 診療報酬点数表 4)
「水を抜くと弱る」というイメージがあるかもしれませんが、CARTのような方法により栄養低下のリスクを減らしながら腹水を減らすことが可能になっています。
CARTを行っている医療機関は限られるため、希望がある場合は主治医に相談してみましょう。
その他の選択肢(腹腔穿刺・シャント術・肝移植など)
腹水の程度や全身状態によって、以下のような治療が検討されることもあります。
- 腹腔穿刺排液:
お腹が張りすぎて苦しい場合に、一時的に針で水を抜く処置です。アルブミン点滴などと組み合わせて行われます。 - 腹膜・静脈シャント術(デンバーシャントなど):
お腹と静脈をチューブでつなぎ、腹水を血管内へ戻す治療です。感染や閉塞などのリスクがあるため、適応は慎重に検討されます。 - 肝移植:
肝硬変の根治的治療法です。年齢・全身状態・原因疾患などの条件を満たす場合、生体肝移植や脳死肝移植が検討されます。
どの治療が適切かは、肝臓専門医・移植医と相談しながら決めていく必要があります。
肝硬変と腹水で受給できる「障害年金」
肝硬変の治療は長期にわたり、医療費の負担や、体調不良で働けなくなることへの経済的な不安がつきまといます。そこで知っておいていただきたいのが「障害年金」の制度です。
肝疾患でも障害年金はもらえる
「障害年金」というと、手足の不自由な方などが対象だと思われがちですが、実は肝硬変などの内臓疾患(内部障害)も支給の対象となります。
国民年金・厚生年金の障害認定基準では、「慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変症およびそれに付随する病態」が対象とされており、食道・胃静脈瘤や特発性細菌性腹膜炎、肝がんなども含めて総合的に評価されます。(参考:日本年金機構 5,7)
「今はまだ少し働けているから無理だろう」と諦めている方もいますが、肝疾患の認定は「日常生活・労働への影響」だけでなく、「検査数値や腹水などの所見」も重視されるため、就労していても受給できる可能性があります。
認定の目安となる基準(3級・2級・1級)
障害年金の等級は、
- 自覚症状
- 身体所見(腹水・黄疸・浮腫など)
血液検査(ビリルビン、アルブミン、凝固能など) - 日常生活の状況
- 治療内容・経過
を総合的に判断して決まります。
簡略化すると以下のイメージです(正式な基準は公的資料を必ず確認してください)。
- 3級(厚生年金のみ):
労働に制限が必要な状態。 - 2級:
日常生活に著しい制限を受ける状態(家の中のことはある程度できるが、外出や通常の労働は困難など)。 - 1級:
日常生活の用をほとんど自分で行えない状態(寝たきりに近いなど)。
特に薬でコントロールしにくい「難治性腹水」や、CART治療を繰り返し必要とするような場合は、日常生活・検査成績への影響が大きく、等級判定において重要な要素となりえます。(参考:日本年金機構 5・肝炎情報センター 7)
経済的な安心が治療の継続を支える
腹水治療には、トルバプタンなどの薬剤費や、CART治療の費用がかかります。
高額療養費制度を使っても、毎月の出費は大きな負担です。障害年金を受給できれば、これらの治療費や生活費の一部を補うことができ、「お金がないから治療を中断する」という事態を避けやすくなります。
申請には診断書の書き方など専門的な知識が必要な場合も多いため、
- 病院の医療ソーシャルワーカー
- 障害年金を専門とする社会保険労務士
などに早めに相談することをおすすめします。
腹水を悪化させないための日常生活とセルフケア

病院での治療と同じくらい大切なのが、自宅でのセルフケアです。
>>肝機能障害を治すには?食事・運動から回復までの道のりを完全解説徹底した「減塩」のコツと食事療法
腹水対策の基本にして奥義は「減塩」です。
1日5〜7g程度という目標は、外食やコンビニ弁当中心の生活ではかなり厳しくなります。
- 汁物は残す:
ラーメンやうどんの汁には数グラムの塩分が含まれています。麺だけ食べて汁は残しましょう。 - 「かける」より「つける」:
醤油やソースは直接かけず、小皿に出して少しだけつけて食べます。 - 酸味と香りを活用:
酢、レモン、シソ、生姜、カレー粉などを使うと、塩気が少なくても満足感を得やすくなります。
具体的な食事内容(エネルギー量やタンパク質量など)は、栄養士や主治医と相談して個別に調整してもらうことが大切です。
毎日のセルフチェック(体重・お腹の張り)
毎日の体重測定は最も簡単な腹水チェック方法です。
脂肪や筋肉は1日で急に増えることは少ないため、短期間で体重が明らかに増える場合は、体液貯留(腹水・浮腫)が関与している可能性があります。
- 毎朝、同じ条件(起床後・排尿後など)で体重を測る
- ノートやアプリに記録して変化の傾向を見る
- いつもより急に増えてきた/お腹の張りや息苦しさが増すといった場合は、早めに主治医へ相談
といった習慣が、入院などの大きなトラブルを防ぐことにつながります。
便秘予防とアンモニア管理(肝性脳症を防ぐ)
便秘は肝臓にとって大敵です。便が腸に長く留まると、腸内細菌によってアンモニアが多く作られ、血液中のアンモニア濃度が上昇します。
肝機能が低下しているとアンモニアを解毒できず、肝性脳症を引き起こして意識障害に繋がることがあります。
- 水分と食物繊維を意識してとる
- 医師から処方される便通を良くする薬(ラクツロースや非吸収性合成二糖類など)を正しく内服する
- アンモニアを下げる分岐鎖アミノ酸製剤などが処方されている場合は、指示通り内服する
など、「快便を保つこと」が脳症予防に非常に重要です。
眠気が強い・会話の受け答えがおかしい・字がうまく書けないなどの症状があれば、早急に医療機関を受診してください。
治験に参加するのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では肝硬変でお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。
例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
・最新の治療をいち早く受けられることもある
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
>>治験ジャパン新規登録はこちら<<まとめ:腹水は治療と管理でコントロールできる
肝硬変で腹水が出ることは、病気が一つの節目(非代償期)を迎えたことを意味します。不安になるのは当然のことですが、決して「終わり」ではありません。
現在は、
- 減塩と利尿薬などの標準治療
- CART療法やアルブミン補充
- 原因に対する治療(ウイルス治療・断酒など)
といった「武器」が多数あり、うまく組み合わせることで腹水をコントロールしながら生活していくことが可能です。
また、障害年金などの制度を活用することで、経済的な不安を和らげながら治療を続けることもできます。
- 塩分制限を守る
- 薬を正しく飲む
- 体重・お通じ・お腹の張りを毎日チェックする
こうした毎日の積み重ねが、肝臓の負担を減らし、あなたらしい穏やかな時間を守ることにつながります。
一人で抱え込まず、主治医や看護師、医療ソーシャルワーカー、家族とチームになって、腹水とうまく付き合っていきましょう。
肝硬変や腹水に関するよくある疑問
Q1:肝硬変で腹水が出たら、余命は短いのですか?
A:腹水は病気が進んだサインですが、どのくらい生きられるかは個人差が非常に大きく、一概には言えません。
統計上、非代償期肝硬変の予後は代償期より不良とされていますが、これにはさまざまな背景の患者さんが含まれています。
断酒やウイルス治療、適切な栄養管理・腹水治療を行うことで、腹水が改善し、長期間安定して生活されている方もいます。具体的な見通しは、検査結果や合併症を含めて主治医と相談してください。
Q2:腹水は一度抜いてもまた溜まりますか?
A:腹水が溜まる原因(門脈圧亢進や低アルブミン血症など)が残っている限り、再び溜まる可能性はあります。
そのため、水を抜く治療(腹腔穿刺やCART)だけでなく、減塩・利尿薬・アルブミン補充などで「溜まりにくい状態を維持する」ことが重要になります。
Q3:障害年金は自分で申請できますか?
A:ご自身やご家族で申請することも可能です。ただし、肝硬変の障害認定基準は、検査数値や日常生活状況などを細かく評価するため、診断書の書き方一つで等級が変わることもあります。
体調が優れない中で書類を準備するのは負担が大きいため、
- 病院の医療ソーシャルワーカー
- 障害年金に詳しい社会保険労務士
に相談・代行を依頼するのも有効な選択肢です。
Q4:仕事は続けられますか?
A:体調や職種、合併症の有無によって大きく異なります。重い肉体労働は避けるべきですが、デスクワークや負担の少ない業務であれば、治療を続けながら働いている方もいます。
- 勤務時間を短くする
- 立ち仕事を減らす
- 通院しやすいシフトにしてもらう
など、職場と相談しながら調整することが大切です。
無理は禁物ですので、主治医の意見書なども活用しながら、働き方を一緒に考えていきましょう。
参考資料・文献一覧
- 日本消化器病学会/日本肝臓学会:肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第3版)
- 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
- 標準医療情報センター:肝硬変│標準医療情報センター
- 厚生労働省:診療報酬点数表 第10部 手術 K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 に関する通知
- 日本年金機構:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第13節/肝疾患による障害
- 厚生労働省:障害年金の「肝疾患による障害」の障害認定基準の一部を改正します
- 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター:障害年金
- 名古屋市立大学 ほか:肝硬変の診断と治療(研修資料)
- 日本血液製剤機構:アルブミンはどのような治療に使われているか~肝硬変に伴う腹水~
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