実は脂質異常症は体型に関係なく発症する可能性があります。
この記事では、痩せ型の人が脂質異常症になる理由やリスク、改善・予防法を詳しく解説。
最新の情報を基にあなたの健康をサポートします。
定期検査の重要性もお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
痩せているのに脂質異常症?その理由とは
脂質異常症の基礎知識を解説します。
脂質異常症とは何か?基礎知識をおさらい
脂質異常症(ししついじょうしょう)は、血液中のコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)の値が正常範囲から外れた状態を指します。
この病気はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高すぎる、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低すぎる、中性脂肪が高いといったパターンがあります。
特に動脈硬化のリスクを高めるため、早期発見が重要です。
厚生労働省によると、脂質異常症の患者数は約400万人であると推定されています。
痩せていてもコレステロールの数値が異常になるケースは少なくありません。
たとえば、BMIが正常範囲(18.5~25)であっても、遺伝や生活習慣により脂質のバランスが崩れることがあります。
痩せ型でも脂質異常症は起こりうるため、基本的な知識を押さえておくことが大切です。
痩せていても油断できない!隠れ脂質異常の実態
痩せている人は健康だと考えがちですが、脂質異常症は見た目では判断できません。
その背景には、体内で脂質代謝が適切に機能していないケースがあるためです。
厚生労働省の調査によると、BMIが低くても中性脂肪やLDLコレステロールが高い人が一定数存在します。
特に運動不足や偏った食事が原因で「隠れ脂質異常」が進行する危険性が指摘されています。
たとえば、運動習慣がない人は、HDLコレステロールが低下しやすく、脂質異常症のリスクが高まるとされています。
体型に頼らず、定期的な血液検査で脂質の状態を把握することが不可欠です。
BMI正常=健康ではない理由
BMIが正常範囲でも、脂質異常症のリスクはゼロではありません。
BMIは体重と身長から算出される指標ですが、脂質代謝や内臓脂肪の蓄積状況を直接反映しないためです。
痩せ型の人の一部に内臓脂肪が蓄積する「メタボリックシンドローム予備軍」が存在することがわかっています。
この状態は脂質異常症や高血圧の引き金になりやすいです。
健康のためにはBMIだけでなく、血液検査で脂質の状態を確認することが重要です。
痩せ型で脂質異常症になる主な原因
痩せているのに脂質異常症になる主な原因を解説していきます。
遺伝的な体質
痩せ型の人が脂質異常症になる大きな原因の一つが遺伝です。
特に家族性高コレステロール血症(FH)は、遺伝子変異によりLDLコレステロールが異常に高くなる病気で、体型に関係なく発症します。
この場合、食事や運動だけで改善するのは難しく、専門的な治療が必要です。
たとえば、親や祖父母に脂質異常症の既往歴がある場合、若くてもFHの可能性を疑うべきです。
遺伝的要因を見逃さないためにも、家族歴を把握し、早めの検査を受けることが肝心です。
運動不足によるHDLコレステロールの低下
運動不足も、痩せ型の脂質異常症の原因になります。
HDLコレステロール(善玉コレステロール)は血管内の余分な脂質を回収する役割を持ちますが、運動量が少ないとその値が低下します。
厚生労働省のガイドラインでは、定期的な有酸素運動がHDL値を維持するのに有効とされています。
しかし、痩せ型の人は「太っていないから大丈夫」と運動を怠りがちです。
たとえば、30代の会社員がほぼ運動せず、デスクワーク中心の生活を続けた結果、HDLコレステロールが低下し、脂質異常症と診断されるようなケースがあります。
定期的な運動を取り入れることで、脂質バランスを整えることが期待できます。
偏った食生活
食生活の乱れは、痩せ型でも脂質異常症を引き起こします。
高脂肪・高糖質な食事は、中性脂肪やLDLコレステロールを増加させる原因です。
たとえば、コンビニ食やファストフードに頼りがちな人は、トランス脂肪酸や糖質の過剰摂取により脂質代謝が乱れやすいです。

具体例として、菓子パンやスナック菓子を日常的に食べる人が、血液検査で中性脂肪の上昇を指摘されるケースが目立ちます。
バランスの良い食事を心がけることで、脂質異常症のリスクを抑えられます。
ストレスや睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
ストレスや睡眠不足も脂質代謝に影響を与えます。
ストレスが続くと、コルチゾールなどのホルモンが過剰に分泌され、脂質の代謝が乱れることがあります。
また、睡眠不足は中性脂肪の増加を招く可能性が指摘されています。
規則正しい生活習慣を整えることが、脂質異常症の予防につながります。
過度なダイエットや絶食習慣
過激なダイエットは、痩せ型の脂質異常症の隠れた原因です。
極端な食事制限や絶食は、栄養不足を引き起こし、脂質代謝を乱します。
特にタンパク質や必須脂肪酸が不足すると、肝臓での脂質処理能力が低下し、中性脂肪やLDLコレステロールが増加することがあります。
健康的な食事量を維持することが、脂質バランスを保つ鍵です。
どんな人が特に注意すべき?痩せ型リスクチェック
脂質異常症になりやすい人の特徴や、診断基準を解説します。
体型だけで安心していませんか?見えないリスクの兆候
痩せ型でも脂質異常症のリスクを見逃さないためには、危険信号を知ることが大切です。
家族歴、運動不足、偏った食事、ストレス過多などが重なると、脂質異常症の発症リスクが高まるとされています。
特に疲れやすさや動悸、頭痛といった症状が続く場合、脂質代謝の乱れが隠れている可能性があります。
たとえば、親に高コレステロールの既往歴があり、運動習慣がない人は要注意です。
体型に頼らず、リスク要因をチェックすることが健康を守る第一歩です。
血液検査で分かる脂質の異常指標とは
脂質異常症は血液検査で簡単に発見できます。
主な指標はLDLコレステロール(基準値:140mg/dL未満)、HDLコレステロール(40mg/dL以上)、中性脂肪(150mg/dL未満)です。
これらの値が基準から外れると、脂質異常症と診断される可能性があります。
定期的な検査で異常を早期発見することが、合併症予防の鍵です。
痩せ型の人向け脂質異常症の改善・予防法
脂質異常症の改善・予防方法について解説します。
バランスの良い食事を意識する
脂質異常症の改善には、バランスの良い食事が欠かせません。
青魚(サバやイワシ)に含まれるオメガ3脂肪酸は、HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を下げる効果があります。
また、野菜や海藻、豆類を積極的に摂ることで、食物繊維が脂質の吸収を抑えます。
厚生労働省では、1日350g以上の野菜摂取が推奨されています(参考:厚生労働省1)。

毎日の食事に納豆や野菜を加えたところ、中性脂肪が改善したというケースもあります。
栄養バランスを整える食事を続けることで、脂質異常症を予防できます。
適度な運動で善玉コレステロール(HDL)を増やす
運動は脂質異常症の改善に効果的です。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げる働きがあります。
痩せ型の人でも、運動不足を解消することが重要です。
たとえば、毎日のエレベーターを階段に変えるなど、できることから意識して変えていきましょう。
規則正しい生活習慣とストレス管理
生活習慣の改善は、脂質異常症の予防に直結します。
十分な睡眠(7~8時間)とストレス管理が、ホルモンバランスを整え、脂質代謝を正常化します。
ヨガや瞑想はストレス軽減に有効で、脂質異常症のリスクを下げる可能性があるとされています。
自己判断での極端なダイエットは避ける
過度なダイエットは脂質異常症を悪化させる恐れがあります。
極端な食事制限は栄養不足を招き、脂質代謝を乱すためです。
たとえば、タンパク質不足は肝臓の脂質処理能力を下げ、中性脂肪を増やすことがあります。
1日3食をバランス良く摂ることが推奨されています。
医師に相談すべき症状とタイミング
脂質異常症を放置するリスクや早期対処の重要性を解説します。
放置するとどうなる?脂質異常症の合併症
脂質異常症を放置すると、深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中の危険性が高まります(参考:国立循環器病研究センター2)。

特に痩せ型で脂質異常症の人は、症状に気づきにくいため注意が必要です。
早めの対処が、命を守る鍵です。
早期発見・早期対処の重要性
脂質異常症は早期発見で大きく改善可能です。
血液検査で異常が見つかった場合、生活習慣の改善や必要に応じた薬物療法でリスクを抑えられます。
特に家族歴がある人や生活習慣に不安がある人は、早めに受診することが大切です。
治験に参加するのも一つの手段
病院で治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では脂質異常症でお悩みの方向けの治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。
治験は新しい医薬品の安全性と有効性を確認するために行われる臨床試験のことです。
治験により、これまで治療が困難だった疾患に対する新たな治療法が生まれる可能性があります。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
経済的負担が理由で今一つ治療に踏み出せないという方は、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
まとめ|痩せていても定期検査が必須
痩せ型でも脂質異常症のリスクがあることを理解することが重要です。
遺伝や生活習慣が原因で、見た目に関係なく脂質代謝が乱れるケースは少なくありません。
体型に頼らず、健康管理を見直すことが求められます。
脂質異常症の予防には、日常の生活習慣が鍵を握ります。
バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理が、脂質値を正常に保つために有効です。
今日からできる生活習慣の見直しが、将来の健康を守ります。
参考サイト・資料一覧
1.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b1.html
2.国立循環器病研究センター https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/dyslipidemia/