肥満外来は何キロから受診できる?BMI基準と治療の全貌を徹底解説

2025年4月8日

「肥満外来は何キロから通えるの?」と疑問に思う方へ。

この記事では肥満外来への受診目安をわかりやすく解説します。

肥満の定義から治療内容、保険適用の条件、費用まで網羅。

さらにセルフチェック付きで「自分は受診すべき?」という迷いを解消していきます。

健康的な生活を目指す第一歩を踏み出しましょう。

肥満外来は何キロから受診できる?基準をわかりやすく解説

肥満外来の診察を受ける際の基準に関して解説します。

そもそも「肥満」の定義とは?【BMIでわかる】

肥満とは体に脂肪が過剰にたまった状態を指します。

この判断には体重そのものではなく、BMI(Body Mass Index:体格指数)が使われるのが一般的。

日本肥満学会によると、BMIが25以上だと「肥満」、35以上だと「高度肥満」と定義されます(参考:日本肥満学会1)。

日本人の場合、BMI25を超えると糖尿病や高血圧などの生活習慣病リスクが急上昇するとされています。

例えば、身長160cmの人が64kgを超えるとBMI25に達し、肥満とみなされます。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2022年)では、男性の約31.7%、女性の約21.0%がBMI25以上の肥満に該当すると報告されています(参考:厚生労働省2)。

こうしたデータからも、BMIが肥満を測る基準として信頼されていることがわかります。

体重ではなくBMIが判断基準

「肥満外来は何キロから?」と聞かれても、体重だけで判断するのは難しいのが現実です。

なぜなら、身長によって適正体重が異なるため、BMIが基準として採用されているからです。

BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算され、これにより肥満度を客観的に評価できます。

例えば、身長150cmで67.5kgの人はBMI30となり、170cmで72.3kgの人も同じくBMI30。

体重は違っても、BMIが同じなら肥満度合いも同等とみなされます。

日本肥満学会のガイドラインでは、BMI25以上で健康に問題がある場合や、BMI35以上の「高度肥満症」が治療対象とされています。

つまり体重が何キロであっても、BMIが25以上なら肥満外来の受診を考えるきっかけになるのです。

BMI早見表|あなたは肥満?それとも標準?

自分のBMIがどのくらいか知りたい方のために、簡単な早見表を用意しました。

以下を見て、肥満かどうかを確認してみてください。

身長 BMI 25(肥満の基準) BMI 35(高度肥満症の基準)
150cm 56.3kg 78.8kg
160cm 64kg 89.6kg
170cm 72.3kg 101.2kg
180cm 81kg 113.4kg

例えば、身長165cmで体重80kgの人は、BMIを計算すると「80÷1.65÷1.65=約29.4」となり、肥満に該当します。

このように、体重が何キロであっても、BMIが25を超えれば肥満、35を超えれば高度肥満と分類されるのです。

自分の数値をチェックして、受診の目安にしてみてください。

肥満外来の対象者とは?受診できる条件をチェック

肥満外来の対象者条件について解説します。

BMI25以上は要注意!合併症がある場合も対象

肥満外来の受診対象者は、単に体重が多い人ではなく、BMI25以上で健康に影響が出ている人です。

理由は肥満が生活習慣病やその他の合併症を引き起こすリスクを高めるため。

例えば、糖尿病、脂質異常症、高血圧、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン」によると、BMI25以上でこれらの健康障害がある場合、「肥満症」と診断され、治療が必要とされています(参考:日本肥満学会3)。

したがって、BMI25を超えていて体調に不安があるなら、早めに相談するのが賢明です。

BMI35以上は「高度肥満症」として積極的な治療対象

BMI35以上になると「高度肥満症」と呼ばれ、積極的な治療が推奨されます。

これは肥満による健康リスクがさらに高まり、内科的治療だけでは改善が難しいケースが増えるためです。

一定期間以上の内科治療で効果が得られない場合、外科手術の適応を検討するとしている病院もあります。

BMI35以上なら、専門的な治療が必要な段階と考えて、肥満外来を頼るのも選択肢の一つでしょう。

肥満外来ではどんな治療をするの?流れと内容を紹介

肥満外来での治療法に関して解説していきます。

初回診察で何をする?問診と検査内容をチェック

肥満外来の初回診察では、まず問診で生活習慣や既往歴を詳しく聞かれます。

その後、血液検査や体成分分析(筋肉量・脂肪量の測定)が行われるのが一般的。

理由は、肥満の原因や健康状態を正確に把握するためです。

これらの結果をもとに、医師が個別の治療プランを提案します。

初診では30分~1時間程度かかることが多く、患者一人ひとりに合わせたアプローチが特徴。

自分の体の状態を知る第一歩として、気軽に臨んでみてください。

主な治療法① 食事療法

肥満外来の基本は食事療法です。

これは過食や栄養バランスの乱れが肥満の大きな原因の1つであるためです。

管理栄養士が患者の生活スタイルや好みに合わせた食事プランを提案し、無理なく続けられるようサポートします。

また、食事量を減らすだけでなく、野菜やたんぱく質を増やす指導が効果的とされています。

健康的に痩せるためには、食事の見直しが欠かせないのです。

主な治療法② 運動療法

運動療法も肥満治療の柱の一つ。

適度な運動で消費エネルギーを増やし、脂肪を減らすのが目的です。

健康運動指導士が指導する場合もあり、ウォーキングや軽い筋トレから始められることが多いとか。

WHO(世界保健機関)では身体活動ガイドラインとして、週150~300分の中強度有酸素運動、あるいは高強度有酸素運動を週75~150分を推奨しています(参考:WHO4)。

有酸素運動は脂肪燃焼に効果的とされています。

運動が苦手でも、少しずつ始めれば効果を実感できるでしょう。

主な治療法③ 薬物療法や手術療法(必要な場合)

食事や運動で効果が不十分な場合、薬物療法や手術が検討されます。

薬物療法では、食欲抑制剤のマジンドール(サノレックス)やGLP-1受容体作動薬(ウゴービ)が使われることがあり、特にBMI35以上の高度肥満症で保険適用が可能。

また、外科手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)は、BMI35以上で内科治療が効かない場合に適応されます。

ただし、これらは補助的な手段であり、生活習慣の改善が基本。

医師と相談しながら進めるのが安心です。

肥満外来は保険適用?費用の目安も解説

肥満外来は保険適用で利用できるのか、また費用の目安について解説します。

保険が使える条件とは?適用対象になるためのポイント

肥満外来で保険が使えるかどうかは、BMIと健康状態によります。

具体的には、BMI35以上の高度肥満症、またはBMI25以上で糖尿病や高血圧などの合併症がある場合が対象とされています。

理由はこれらが医学的に治療が必要な「肥満症」とみなされるためです。

一方、美容目的や健康障害がない場合は保険適用外とされています。

受診前に条件を確認しておくと安心でしょう。

自己負担はいくら?初診〜継続治療の費用イメージ

保険適用なら、初診料は3割負担で約2,500~5,000円が目安です。

継続治療では、診察や薬代を含めて月3,000~10,000円程度が一般的。

ただし、薬物療法や検査が増えると費用も上がる可能性があります。

一方自由診療だと初診で1万円以上、薬代で月数万円かかることも。

費用に関しては事前に病院に問い合わせるのが確実です。

自由診療との違いも理解しよう

自由診療は保険適用外で、美容目的やBMI25未満の場合に適用されます。

メリットは、多様な薬や施術(脂肪溶解注射など)が選べること。

ただし、全額自己負担で費用が高額になりがち。

一方、保険診療は費用が抑えられ、医学的根拠に基づいた治療が受けられるのが強みです。

目的に合わせて選ぶのが賢明でしょう。

肥満が気になる方向けの治験とは

肥満外来で治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本では肥満が気になる方向けの治験が行われています。

治験ジャパンでも肥満が気になる方向けの治験を募集しています。

治験は新しい医薬品の安全性と有効性を確認するために行われる臨床試験のことです。

治験により、これまで治療が困難だった疾患に対する新たな治療法が生まれる可能性があります。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

経済的負担が理由で今一つ治療に踏み出せないという方は、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

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肥満外来を受診すべきか【セルフチェック】

肥満外来を受けるべきかのチェックリストや、受診までの流れを紹介します。

この症状があるなら今すぐ相談!チェックリスト10項目

「自分は受診すべき?」と迷うなら、以下のチェックリストで確認してみてください。

・BMIが25以上
・糖尿病や高血圧の診断を受けた
・脂質異常症を指摘された
・睡眠時無呼吸症候群やいびきがひどい
・膝や腰の痛みが続く
・疲れやすい、息切れする
・健康診断でメタボと診断された
・家族に生活習慣病の人がいる
・ダイエットが続かない、リバウンドを繰り返す
・内臓脂肪が多い(腹囲男性85cm、女性90cm以上)

3つ以上当てはまるなら、肥満外来での相談がおすすめ。

健康リスクを見逃さないためにも、早めの行動が大切です。

肥満外来を受けるメリットと安心ポイント

「肥満外来に行くのは恥ずかしい」と感じる人もいるかもしれません。

でも医師やスタッフはプロフェッショナルで、患者をサポートすることに慣れています。

メリットは健康的に痩せられることや、リバウンドしにくい体質改善が期待できる点。

実際、肥満は病気の一因であり、受診は健康への第一歩。気軽に相談してみると気持ちが楽になります。

受診までの流れと予約方法

受診の流れはシンプルです。

まず電話やオンラインで予約。初診当日は問診票を記入し、医師と相談しながら検査を受けます。

その後、治療プランが決まる流れ。

必要な持ち物は保険証と、できれば健康診断の結果。事前に症状をメモしておくとスムーズです。

初めてでも安心して進められるので、気負わず一歩踏み出してみてください。

まとめ|「何キロから」ではなく「BMIと健康状態」が鍵

肥満外来の受診基準は、体重の「何キロから」ではなく、BMIと健康状態が鍵を握ります。

BMI25以上で合併症がある場合や、BMI35以上の高度肥満症なら、治療の対象に。

治療は食事・運動療法が基本で、必要に応じて薬や手術も選択肢に上がります。

保険適用なら費用も抑えられ、気軽に始められるのが魅力。迷っているなら、セルフチェックを試して、早めに専門家に相談を。

健康な未来のために、早めの行動を心がけましょう。

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参考資料・サイト一覧
1.日本肥満学会 https://www.jasso.or.jp/contents/wod/index.html
2.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001296359.pdf
3.日本肥満学会 http://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_06.pdf
4.WHO(世界保健機関) https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/337001/9789240014886-jpn.pdf