糖尿病ってどんな病気?

2018年11月20日

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。
インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明腎不全足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります(糖尿病の急性合併症)。

インスリンと糖の関係

わたしたちが食事をした時、栄養素の一部が糖となって腸から吸収されております。また、寝ている間など、食事をしていない時間が続く時には、肝臓が中心となり糖を作っています。

糖は人間のからだにとってとても大切な存在で、どんなときも常に血液中に流れています。そして血液の流れに乗って、からだのあらゆる臓器や組織へめぐります。

血液中を流れ、筋肉などの細胞の前にたどり着いた糖は、同じく血液中に流れていたインスリンの助けを借りて細胞に取り込まれます。取り込まれた糖は、私たちのからだが活動するためのエネルギーの源となります。

糖尿病ではない方の場合は、糖が細胞の前に到着すると、インスリンが細胞の入り口を開けてくれて、すみやかに細胞の中に入ることができます。インスリンは細胞のドアを開ける鍵のような役割を果たしています。

そのため、糖は血液の中にあふれることはなく、血液中の糖の濃度は一定の範囲におさまっています。

インスリンが正常に機能しないとは?

健常者とは逆に、糖尿病になるとインスリンが十分に働かなくなります。その影響で血糖をうまく細胞に取り込めなくなります。それには、2つの仕組みがあります。

インスリン分泌不足

膵臓の機能の低下があるため、十分なインスリンを作れなくなってしまう状態。細胞の入り口を開けるための鍵が不足しているので、糖が中に入れず、血液の中にあふれてしまいます。

インスリン抵抗性

インスリンは十分な量が分泌されているけれども、効果を発揮できない状態。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になるとインスリンが働きにくくなります。鍵であるインスリンがたくさんあっても、細胞のドアのたてつけが悪く、開けることができません。この場合も、血液の中に糖があふれてしまいます。

糖尿病ではこの2つが影響して、血糖値が高くなってしまいます。

糖尿病の症状

糖尿病は血糖値がかなり高くないと、症状がなく糖尿病になったことに気づかない人が多い病気です。

主な高血糖の症状として、

  1. 喉が渇く、水をよく飲む
  2. 尿の回数が増える
  3. 体重が減る
  4. 疲れやすくなる

などです。

さらに血糖値が高くなると、意識障害に至ることもあります。

症状が全くないまま糖尿病が分かる人もいれば、急に高血糖の症状がでて糖尿病が分かる人もいます。また、眼や腎臓の合併症の症状がでて、初めて糖尿病と診断される方もいます。

糖尿病の種類

糖尿病は、大きく分けると、1型糖尿病2型糖尿病「その他の特定の機序、疾患によるもの」、そして「妊娠糖尿病」があります。

1型糖尿病

1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど出なくなるため、血糖値が高くなります。生きていくために、注射でインスリンを補う治療が必須となります。この状態を、インスリン依存状態といいます。

発症年齢 若い人に多い
症状 急激に症状がでて、糖尿病になることが多い
体型 やせ型の方が多い
原因 膵臓でインスリンを作るβ細胞という細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、血糖値が高くなる
治療 インスリンの注射

2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりすることによって血糖値が高くなります。(表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴)2型糖尿病となる原因は、遺伝的な影響に加えて、食べ過ぎ運動不足肥満などの環境的な影響があるといわれています。

すべての2型糖尿病患者さんに生活習慣の問題があるわけではありませんが、血糖値を望ましい範囲にコントロールするためには、食事や運動習慣の見直しがとても重要です。飲み薬や注射なども必要に応じて利用します。

発症年齢 中高年に多い
症状 症状がでないこともあり、気が付かないうちに進行する
体型 肥満の方が多いが、やせ型の方もいる
原因 生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる
治療 食事療法・運動療法、飲み薬、場合によってはインスリンなどの注射を使う