「急にガタガタ震えるほどの熱が出た」

「背中から腰にかけて、叩くと響くような痛みがある」

もし、このような症状に心当たりがあるなら、それは「腎盂腎炎(じんうじんえん)」かもしれません(参考:厚生労働省 2)。

腎盂腎炎は、腎臓の一部である「腎盂」に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。

特に女性は尿道が短いため細菌が侵入しやすく、誰にでも起こりうる身近な病気の一つと言えます(参考:日本感染症学会 1)。

しかし、単なる風邪や疲れだと思って放置すると、細菌が血液に乗って全身に広がる「敗血症」を招き、命に関わる事態になることもあります(参考:厚生労働省 2)。

この記事では、腎盂腎炎の典型的な症状から、見逃してはいけない初期サイン、そして「今すぐ病院へ行くべきかどうか」の判断基準までを分かりやすく解説します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

腎盂腎炎や腎疾患でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。

※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。

【セルフチェック】腎盂腎炎の主な症状と3つの特徴

腎盂腎炎(特に急性腎盂腎炎)には、風邪やインフルエンザとは異なる特徴的な症状があります。

以下の3つのサインが揃っている場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります(参考:厚生労働省 2)。

1. 38度以上の急激な高熱と「悪寒戦慄」

腎盂腎炎の最も代表的な症状は、38度から40度に達する突然の高熱です。

特徴的なのは「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」と呼ばれる状態で、体がガタガタと震え、歯がガチガチと鳴るほどの強い寒気を伴います(参考:厚生労働省 3)。

これは細菌が血液中に入り込もうとしているサインであることが多く、全身の強い倦怠感を伴います。

2. 腰や背中の痛み(叩くと響くような痛み)

腎臓は背中側の肋骨の下あたりに左右一つずつあります。

炎症が起きると、その側の腰や背中に鈍い痛みが生じます。

特に「肋骨脊柱角(ろっこつせきちゅうかく)叩打痛」といって、背中を軽くトントンと叩いた時に、深部にズキリと響くような鋭い痛みを感じるのが大きな特徴です(参考:厚生労働省 2)。

3. 膀胱炎のような症状(頻尿・排尿時の痛み)

腎盂腎炎の多くは、膀胱炎の細菌が尿管をさかのぼって腎臓に達することで発症します。

そのため、高熱が出る数日前から、あるいは熱と同時に以下のような症状が出ることがよくあります(参考:日本感染症学会 1)。

  • 何度もトイレに行きたくなる(頻尿)
  • おしっこの終わり際に痛みがある(排尿時痛)
  • おしっこが濁っている、または血が混じる(膿尿・血尿)
  • 尿を出した後もスッキリしない(残尿感)

腎盂腎炎になりかけた時の「初期症状」と前触れ

「いきなり高熱が出るのが怖い」と感じる方も多いでしょう。

実は、腎盂腎炎には多くの場合、前触れとなるサインがあります(参考:厚生労働省 2)。

膀胱炎のサインを見逃さないことが重要

腎盂腎炎になる人の多くは、まず膀胱炎を発症しています。

「おしっこが少ししみる」「トイレが近いけれど、疲れかな?」といった段階で早めに対処(十分な水分摂取や内科・泌尿器科への受診)をすれば、腎臓まで細菌が上がるのを防げる可能性が高まります(参考:厚生労働省 3)。

体がだるい、食欲がないといった全身の違和感

高熱が出る直前に、なんとなく体が重い、食欲がわかない、吐き気がするといった全身症状が出ることがあります。

特に高齢者の場合、熱があまり上がらずに「元気がない」「食事を残す」といった変化だけで腎盂腎炎が進行していることもあるため、注意が必要です(参考:日本緩和医療学会 5)。

急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎の症状の違い

腎盂腎炎には、急激に発症する「急性」と、じわじわと続く「慢性」があります(参考:日本感染症学会 1)。

急激に悪化する「急性腎盂腎炎」の恐怖

これまで解説してきたような、高熱や激しい痛みが突然現れるのが急性です。

健康な若い女性にも多く、適切な治療を行えば比較的速やかに回復しますが、放置は厳禁です(参考:厚生労働省 2)。

自覚症状が乏しく進行する「慢性腎盂腎炎」の注意点

慢性腎盂腎炎は、急性のような派手な症状(高熱や激痛)が出にくいのが特徴です。

微熱や軽い腰痛、倦怠感が長期間続くことがあります。

尿路結石や糖尿病などの基礎疾患がある人に多く、自覚がないまま腎機能が低下していくリスクがあります(参考:厚生労働省 2)。

【重要】すぐに病院へ行くべき「やばい」症状とは?

「ただの熱なら家で寝ていれば治る」と考えるのは危険です。

以下のような症状が見られる場合は、夜間や休日であってもすぐに救急外来を受診してください(参考:厚生労働省 2)。

意識がぼーっとする、血圧が下がる(敗血症の兆候)

細菌が血液中で増殖し、全身に回ってしまう「敗血症」という状態になると、非常に危険です。

  • 意識が朦朧(もうろう)とする、つじつまの合わないことを言う
  • 顔色が青白く、呼吸が速い
  • 血圧が急激に下がる これらは敗血症性ショックの前兆であり、一刻を争う事態です(参考:日本緩和医療学会 5)。

吐き気が強くて水分が摂れない場合

腎盂腎炎の治療の基本は、抗菌薬(抗生剤)の服用と水分摂取です。

しかし、炎症の影響で激しい吐き気や嘔吐がある場合、口から薬や水分を摂ることができません。

この場合、入院して点滴治療を行う必要があるため、無理をせず受診してください(参考:厚生労働省 2)。

腎盂腎炎の原因と女性に多い理由

なぜ腎盂腎炎は女性に多いのでしょうか。その原因は体の構造と生活習慣にあります。

尿道から細菌が逆流する「上行性感染」の仕組み

最も多い原因菌は、大腸にいる「大腸菌」です(参考:日本感染症学会 1)。

女性は男性に比べて尿道が短く、出口が肛門や膣に近いため、細菌が膀胱に侵入しやすい構造になっています。

膀胱で増えた菌が、尿管を伝って腎臓(腎盂)まで泳ぎ上がることで腎盂腎炎が起こります。

これを「上行性(じょうこうせい)感染」と呼びます(参考:厚生労働省 3)。

妊娠や結石、糖尿病などのリスク因子

  • 妊娠:
    • 子宮が大きくなり尿管を圧迫するため、尿の流れが滞りやすくなります(参考:厚生労働省 2)。
  • 尿路結石:
    • 石が尿の流れをせき止め、細菌が繁殖しやすくなります(参考:札幌医科大学 6)。
  • 糖尿病:
    • 免疫力が低下し、細菌への抵抗力が弱まります(参考:厚生労働省 2)。

腎盂腎炎の診断と治療の流れ

病院では、まず「本当に腎盂腎炎かどうか」を判断するための検査が行われます。

検査:尿検査、血液検査、エコー検査など

  • 尿検査:
    • 尿の中に白血球(炎症の跡)や細菌、血が混じっていないかを確認します(参考:日本臨床検査医学会 4)。
  • 血液検査:
    • 白血球数やCRP(炎症反応)の数値から、炎症の強さを測ります(参考:厚生労働省 2)。
  • エコー・CT検査:
    • 腎臓の腫れや、結石などの異常がないかを画像で確認します。特に救急現場では他疾患との鑑別も含めCTが重視されます(参考:札幌医科大学 6)。

治療:基本は抗菌薬投与と十分な水分摂取

原因となっている細菌を退治するため、抗菌薬を使用します。

軽症であれば飲み薬で通院治療が可能ですが、高熱が続いたり食事が摂れなかったりする場合は入院が必要です(参考:厚生労働省 2)。

また、尿と一緒に細菌を体外へ流し出すため、意識的に水分を多く摂ることが推奨されます(参考:厚生労働省 3)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では腎盂腎炎や腎疾患でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

腎盂腎炎の症状に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 腎盂腎炎は自然に治りますか?

A. 自然に治ることはまずありません。細菌感染症であるため、適切な抗菌薬治療が必要です。放置すると腎機能の低下や全身への感染(敗血症)を招く恐れがあるため、必ず受診してください(参考:厚生労働省 2)。

Q2. 他の人にうつることはありますか?

A. 腎盂腎炎そのものが人から人にうつることはありません。原因は自分の体にいる大腸菌などが逆流することによるもので、ウイルス性の風邪のように飛沫感染や接触感染をすることはありません(参考:厚生労働省 3)。

Q3. 完治までどのくらいの期間がかかりますか?

A. 適切な治療を始めれば、通常3〜5日で熱が下がり、症状も消失します(参考:厚生労働省 3)。しかし、症状が消えても体の中に菌が残っていることがあるため、処方された抗菌薬は必ず最後まで飲み切ってください。全体の治療期間は7〜14日間程度が一般的です(参考:日本感染症学会 1)。

まとめ:症状を正しく理解し、早めの受診を

腎盂腎炎は、激しい高熱や背中の痛みをもたらす非常に辛い病気ですが、早期に発見して治療を始めれば、多くの場合しっかりと完治させることができます。

もし「膀胱炎かな?」と思う症状があったり、原因不明の高熱と腰の痛みを感じたりした場合は、「たかが風邪」と自己判断せず、すぐに内科や泌尿器科を受診してください。

あなたの体のサインを見逃さないことが、健康を守る第一歩です。

参考資料・文献一覧

  1. 日本感染症学会 / 日本化学療法学会「JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―」 https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC_2015_urinary-tract.pdf
  2. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎盂腎炎」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013qef-att/2r98520000013r86.pdf
  3. 厚生労働省「A.患者の皆様へ 急性腎盂腎炎」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1e14.pdf
  4. 日本臨床検査医学会「31.尿路感染症(STD性尿道炎を含む)」 https://www.jslm.org/books/guideline/31.pdf
  5. 日本緩和医療学会「がん患者の泌尿器症状の緩和に関するガイドライン 2016年版」 https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/urology_2016/02_06.pdf
  6. 札幌医科大学「2023 年度医学部3年生 泌尿器科講義 尿路結石症」 https://web.sapmed.ac.jp/uro/files/lecture/junior/note_2024-11-08_1.pdf