大人ニキビが突然大量発生!原因と対処法を解説

2025年6月9日
思春期を過ぎて落ち着いたはずの肌に、ある日突然大量のニキビが発生する。

これは決して珍しいことではなく、「突然ニキビが大量にできた…」と悩む方は少なくありません。

思春期とは異なる「大人ニキビ」は、ホルモンバランスや生活習慣、間違ったスキンケアなどが原因で起こりがちです。

この記事では、皮膚科専門医 川島眞医師の監修のもと、突然増えた大人ニキビの原因や治療法、日常生活での対策を詳しく解説します。

突然大人ニキビが大量発生する理由とは?

大人ニキビが突然大量発生する理由を解説します。

思春期とは異なる“大人ニキビ”の特徴

大人ニキビは、思春期のニキビとは異なる特徴を持ちます。

思春期のニキビは主に皮脂分泌の過剰が原因で、Tゾーン(おでこや鼻)にできやすい傾向があります。

一方で大人ニキビは顎やフェイスライン、背中に発生しやすく、赤く炎症を伴うものや治りにくいものが特徴です。

また、炎症を繰り返すため、色素沈着やニキビ跡が残りやすい傾向にあります。

大人ニキビの原因としては、ホルモンバランスの乱れやストレス、スキンケア方法などが関与している場合が多くあります。

たとえば、30代以降は肌のターンオーバーが遅くなり、毛穴が詰まりやすくなることでニキビが悪化しやすくなることもあります。

このように大人ニキビは単なる皮脂の問題ではなく、複合的な要因が絡むため、適切なケアが必要です。

ホルモンバランスの乱れが引き金になる

大人ニキビの大きな原因の一つは、ホルモンバランスの乱れです。

女性ホルモン(プロゲステロン)の変動が皮脂分泌を過剰にし、毛穴の詰まりを引き起こす可能性があります。

特に生理前や妊娠、産後などホルモン変動が大きい時期にニキビが悪化しやすいです。

生理前症候群(PMS)によるプロゲステロンの増加は、皮脂腺を刺激し、ニキビを誘発する可能性があります。

ニキビが周期的に増える場合は、ホルモンバランスの影響を疑ってみましょう。

ストレスと睡眠不足の影響

ストレスや睡眠不足も大人ニキビを悪化させる要因です。

ストレスはコルチゾールというホルモンを増加させ、皮脂分泌を促進することがあります。

また、睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、毛穴の詰まりを助長する可能性があります(参考:日本皮膚科学会1)。

ストレスや睡眠不足を軽減することで、ニキビの予防・改善が期待できるでしょう。

間違ったスキンケアや化粧品の使用

間違ったスキンケアや化粧品の使用も、ニキビの大量発生を招きます。

洗浄力の強い洗顔料や肌に合わない化粧品は、必要な皮脂まで取り除き、肌の乾燥を招くことがあります。

乾燥した肌は皮脂を過剰に分泌し、毛穴の詰まりを引き起こす悪循環につながることもあります。

また、オイリー肌向けの洗顔料を乾燥肌の人が使うと、肌バリアが乱れ、ニキビが増えるケースもあります。

適切なスキンケア製品を選び、優しく洗顔することがニキビ予防・対策の第一歩です。

食生活・腸内環境と肌の関係

食生活や腸内環境も、大人ニキビに大きく影響します。

高糖質・高脂肪の食事や乳製品の過剰摂取は、皮脂分泌を増やし、ニキビを悪化させる可能性があります。

例えば、チョコレートやファストフードを頻繁に食べる人は、ニキビができやすい傾向があるとされています。

また、腸内環境の悪化は炎症を助長し、肌荒れを招くことがあります。

食物繊維や発酵食品を積極的に摂ることで、腸内環境が改善し、肌の状態が整う可能性もあります。

こんなときは要注意!大量ニキビの裏にある可能性

ニキビが大量発生した際、考えられる可能性について解説します。

婦人科系疾患(PMS、多嚢胞性卵巣症候群など)

ニキビが突然大量発生する場合、婦人科系疾患が原因の可能性があります。

月経前症候群(PMS)や多嚢胞(たのうほうせい)性卵巣症候群(PCOS)は、ホルモンバランスを乱し、ニキビを誘発する場合があります。

特にPCOSは男性ホルモンの増加により皮脂分泌が過剰になり、顎や頬に頑固なニキビができることがあります。

生理不順や体毛の増加を伴う場合は、婦人科受診を検討しましょう。

婦人科系疾患を疑う場合、早めの専門医への相談が重要です。

薬剤性・ステロイド外用薬などによる副作用

薬剤やステロイド外用薬の使用も、ニキビの原因となることがあります。

例えばステロイド外用薬や一部の抗うつ薬などは、皮脂分泌を増やしたり、毛穴の詰まりを引き起こしたりする副作用が報告されています。

薬の変更や使用方法の見直しで改善する場合もあります。

ただし、薬剤によるニキビが疑われる場合は、必ず医師に相談した上で判断しましょう。

マスクや摩擦による物理的刺激

マスクや物理的刺激も、ニキビを引き起こす要因となる可能性があります。

長時間のマスク着用は、摩擦や蒸れにより肌バリアを損ない、毛穴の詰まりを誘発することがあります。

マスクとアクネ菌の造語である「マスクネ」と呼ばれるこの現象は、コロナ禍以降特に増加しています。

マスクの素材をコットンに変えたり、定期的に外して肌を休ませたりすることが予防に有効です。

大人ニキビの正しい対処法

大人ニキビの対処法について解説します。

洗顔・保湿の見直しポイント

正しい洗顔と保湿は、大人ニキビの改善に欠かせません。

洗顔は1日2回、刺激の少ない洗顔料を使用し、ゴシゴシ擦らず優しく洗うことが推奨されます。

保湿はセラミドやヒアルロン酸配合の低刺激な製品を選び、肌のバリア機能を強化しましょう。

また、ノンコメドジェニック製品を選ぶことで、毛穴詰まりを防ぐ効果に期待できます。

市販薬・皮膚科処方薬の違いと選び方

ニキビ治療には、市販薬と皮膚科の処方薬があります。

市販薬は白ニキビや軽度の炎症に有効とされますが、十分な効果が実証されているものは一部のみです。

一方皮膚科の処方薬(例:アダパレンや抗生物質)は、炎症を抑え、毛穴の詰まりを改善する効果が期待できます。

市販薬に過度な期待をせず、 症状が重い場合は早めに皮膚科を受診するのが賢明です。

睡眠・食事・運動など生活習慣の改善

生活習慣の改善は、大人ニキビの予防に効果的です。

7~8時間の質の良い睡眠、野菜や発酵食品を中心とした食事、適度な運動は、ホルモンバランスや腸内環境を整えます。

特にウォーキングやヨガはストレス軽減にも役立ちます。

生理周期や体調に合わせたケア方法

生理周期に合わせたケアも、大人ニキビの改善に有効です。

生理前は皮脂分泌が増える傾向にあるため、低刺激の洗顔料や保湿剤を使用すると効果的です。

ピーリングなどの刺激ケアは避け、肌が敏感な時期はやさしいケアを心がけましょう。

皮膚科でできる治療法とその選び方

皮膚科でできる大人ニキビの治療法について解説します。

外用薬・内服薬の使い分け

皮膚科では外用薬と内服薬を使い分けてニキビを治療します。

外用薬(例:アダパレンや過酸化ベンゾイル)は、炎症を抑え、毛穴の詰まり改善に期待できます。

内服薬(例:抗生物質や漢方)は、重症な炎症性ニキビが多い場合に使用されます。

例えば、赤ニキビなどがあっても中等症までの場合はまずは外用薬を、繰り返すニキビには内服薬を併用するケースが一般的です。

ケミカルピーリング・光・高周波・レーザー治療

ケミカルピーリングやレーザー治療は、ニキビ跡や頑固なニキビに有効とされます。

ケミカルピーリングは、角質を剥がし、毛穴の詰まり解消に期待できます。

また、光治療でニキビ跡の赤みが軽減したり、高周波治療で凹みを浅くしたりします。

さらに最近、脂腺の活動を抑制するレーザー治療も登場しました。

保険診療と自費診療の違い

ニキビ治療には、保険診療と自費診療があります。

保険診療は外用薬や内服薬が中心で、費用は1回数千円程度。

自費診療はケミカルピーリングやレーザー治療が含まれ、1回1~5万円程度かかる場合があります。

新たな治療法を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。

日本ではニキビでお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。

例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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皮膚科医 川島眞医師からのアドバイス

ニキビ治療は最近15年ほどで大きく進化しています。

保険で使える塗り薬も複数の種類のものが登場し、自由診療ですが医療機器も登場し、赤いニキビから面皰、さらにはニキビ跡まで改善することができるようになりました。

セルフケアも大切ですが、まずは皮膚科で相談して最新、最良の治療を受けてからにすることが大切です。

参考サイト・資料一覧
1.日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa3/q24.html

記事監修者情報

記事監修者情報

川島眞の画像
川島 眞(かわしま まこと)
皮膚科専門医・医学博士
東京女子医科大学 名誉教授
Dクリニックグループ代表

日本皮膚科学会認定専門医として、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の診療・研究に長年従事。

本記事では医学的情報の正確性と内容監修を担当。

所属学会:

  • 日本皮膚科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本皮膚アレルギー学会
  • 日本香粧品学会

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