「風邪は治ったはずなのに、咳だけがいつまでも続く」

「昼間は平気なのに、夜、布団に入ると咳き込んで眠れない」

このような辛い症状に悩まされていませんか?

実はそのしつこい咳、肺や気管支の問題ではなく、「鼻」に原因があるかもしれません。

副鼻腔炎(蓄膿症)は、粘り気のある鼻水や鼻づまりだけでなく、頑固な「咳」を引き起こす代表的な原因の一つです。

咳止めを飲んでも良くならない場合、鼻の奥の炎症を治さなければ咳は止まりません。

この記事では、副鼻腔炎で咳が出るメカニズムから、今夜ぐっすり眠るための「対処法」を徹底解説。

また、咳を根本から断ち切るための「正しい治療法」まで、医学的な根拠に基づいてご紹介します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

副鼻腔炎でお困りの方へ

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※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

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なぜ副鼻腔炎で咳が出るの?原因は「後鼻漏」

「鼻の病気なのに、なぜ咳が出るの?」と不思議に思うかもしれません。

副鼻腔炎による咳には、明確な理由があります。

鼻水が喉に落ちる「後鼻漏(こうびろう)」の仕組み

通常、鼻水の一部は無意識のうちに喉へ流れていますが、副鼻腔炎になると、膿を含んだ粘り気の強い鼻水が大量に喉の奥へ垂れ落ちてきます。

これを「後鼻漏(こうびろう)」と言います(参考:関西医科大学附属病院 1)。

この粘り気のある鼻水が喉の粘膜や気管の入り口を刺激し、身体が異物を外に出そうとして反射的に「咳」が出るのです(参考:日本呼吸器学会 2)。

特に仰向けに寝ると、鼻水が喉の奥に溜まりやすくなるため、夜間や明け方に咳がひどくなるのが特徴です。

「副鼻腔気管支症候群」の可能性

咳が8週間以上続く場合や、慢性的な副鼻腔炎がある場合、「副鼻腔気管支症候群」という病態になっている可能性があります。

これは、鼻(副鼻腔)と気管支が同時に慢性的な炎症を起こしている状態です(参考:日本呼吸器学会 2)。

気道は「鼻」から「肺」まで繋がった一本の道です。

上流の「鼻」で生じた炎症が下流の「気管支」へ影響し、慢性気管支炎などを併発することがあります。

この場合、単なる咳止め薬では効果が薄く、鼻と気管支の両方を治療する必要があります。

喘息や風邪との違い

副鼻腔炎による咳の特徴は以下の通りです(参考:日本呼吸器学会 2)。

  • 咳のタイプ: 「ゴホゴホ」という痰(たん)が絡んだ湿った咳。
  • タイミング: 就寝時、起床時、仰向けになった時に悪化する。
  • 伴う症状: 粘り気のある鼻水、鼻づまり、後鼻漏、頬の痛みなど。

一方、咳喘息などは「コンコン」という乾いた咳が特徴で、夜中や明け方にヒューヒューという音(喘鳴)を伴うことが多いです(参考:環境再生保全機構 3)。

【今夜できる】咳が止まらない時の対処法5選

病院に行くまでの間、少しでも楽に過ごすための自宅ケアを紹介します。

これらはあくまで一時的な緩和策ですが、夜間の睡眠を確保するために有効です。

1. 部屋を加湿する

乾燥は気道の天敵です。

空気が乾燥していると、気道の線毛(せんもう)という異物を排出する機能が低下します(参考:厚生労働省 4)。

加湿器を使い、適切な湿度(一般的に50〜60%程度が良いとされます)を保ちましょう

加湿器がない場合は、濡れたタオルを部屋に干したり、「濡れマスク」をして寝るのも効果的です。

マスクは喉の保湿に加え、冷たい空気が直接喉に当たるのを防いでくれます。

2. 水分をこまめに摂る・温かい飲み物

水分が不足すると、痰や鼻水が粘り気を増し、喉に張り付いて出しにくくなります。

こまめに水分を補給し、粘膜を潤しましょう。

特におすすめなのは温かい飲み物です。

湯気が鼻や喉を優しく加湿してくれます。

  • ハチミツ: 一般的な民間療法として、ハチミツが咳の緩和に用いられることがあります。喉を保護する目的で、寝る前にお湯に溶かして飲むのも一つの方法です(※1歳未満の乳児にはボツリヌス症のリスクがあるため与えないでください)。

3. 寝る時の姿勢を工夫する(上半身を高く)

完全に仰向けで寝ると、後鼻漏が喉の奥に溜まり、咳き込みやすくなります。

クッションや座布団を背中の下に敷き、上半身を少し高くして寝ると、鼻水が食道の方へ流れやすくなり、気管への刺激が減ることがあります。

4. 鼻洗浄(鼻うがい)をする

生理食塩水などで鼻の中を洗う「鼻うがい」は、慢性副鼻腔炎の治療において有効性が認められているケアです(参考:日本鼻科学会 5, 関西医科大学附属病院 1)。

鼻の奥に溜まった膿や粘液を物理的に洗い流すことで、後鼻漏の量を減らし、咳の誘発を防ぐ助けになります。

市販の鼻洗浄キットを使えば、初めての方でも行いやすいでしょう。

5. ツボ押し(補助的手段)

医学的な根拠は明確ではありませんが、咳を鎮めるツボとして「天突(てんとつ)」(左右の鎖骨の間にあるくぼみ)などが知られています。

リラックス効果を期待して、優しく押してみるのも良いでしょう。

副鼻腔炎の咳を悪化させる「NG行動」

良かれと思って、あるいは無意識に行っている行動が、咳を長引かせているかもしれません。

  • タバコ:
    • タバコの煙は気道の線毛運動を低下させ、痰やウイルスの排出能力を弱めます(参考:厚生労働省 4)。受動喫煙も避けましょう。
  • アルコール:
    • アルコールは血管を拡張させるため、鼻の粘膜が充血して腫れ上がることがあります。これにより鼻づまりが悪化し、口呼吸や後鼻漏を助長して夜間の咳につながる可能性があります。
  • 強く鼻をかみすぎる:
    • 鼻を強くかみすぎると、耳に菌が入って中耳炎になったりするリスクがあります。片方ずつ優しくかむようにしましょう。

咳を根本から治すための医療機関での治療

自宅でのケアはあくまで対症療法です。

原因である「副鼻腔の炎症」を治さなければ、咳は止まりません。

何科を受診すべき?

  • 耳鼻咽喉科:
    • 黄色や緑色の鼻水、鼻づまり、顔の痛み、後鼻漏が主な場合。まずは鼻の状態を専門的に確認できる耳鼻咽喉科が適しています。
  • 呼吸器内科:
    • 息苦しさ、ゼーゼーする音(喘鳴)、血痰がある場合。これらは肺や気管支の病気の可能性があるため、呼吸器の専門医への相談が推奨されます。

学会ガイドライン等に基づく標準治療

医療機関では、以下のような治療が行われます。

  1. 薬物療法:
    • 抗菌薬(抗生物質): 細菌感染が原因の急性副鼻腔炎などの場合に使用します(参考:日本鼻科学会 5)。
    • マクロライド少量長期療法: 慢性副鼻腔炎や副鼻腔気管支症候群の場合、マクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシンなど)を、通常の量より少なく(半量程度)、長期(数ヶ月)にわたって服用する治療法があります。これは殺菌作用だけでなく、粘膜の炎症を抑え、線毛運動を改善するなどの免疫調整作用を期待するものです(参考:日本呼吸器学会 2, 関西医科大学附属病院 1)。
    • 去痰薬: 粘り気の強い鼻水や痰を出しやすくします。
  2. ネブライザー治療:
    • 霧状にした薬剤を鼻や口から吸入し、患部に直接届けます。飲み薬とは異なるアプローチで、局所の炎症を抑えます(参考:関西医科大学附属病院 1)。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では副鼻腔炎でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. 副鼻腔炎の咳は人にうつりますか?

A. 副鼻腔炎という病気そのものが他人に感染することはありません。ただし、急性副鼻腔炎の多くは風邪(感冒)などのウイルス感染に続いて発症します。 原因が風邪のウイルスやインフルエンザの場合、そのウイルス自体は咳やくしゃみを通じて他人にうつる可能性があります。咳が出ている間はマスクを着用するなど、エチケットを心がけましょう。

Q. 市販の咳止め薬は効きますか?

A. 市販の咳止め薬は、一時的に咳を鎮める効果が期待できるものもありますが、副鼻腔炎の原因である「鼻の奥の炎症」や「膿」を根本的に治すものではありません。 医療機関では、細菌感染に対する抗菌薬や、粘膜の状態を整えるマクロライド療法など、原因に応じた治療が行われます。市販薬を飲んでも症状が長引く場合は、漫然と使い続けずに耳鼻咽喉科を受診してください。

まとめ

副鼻腔炎による咳は、鼻水が喉に落ちる「後鼻漏」が主な原因です。

夜眠れない時は、「部屋の加湿」「頭を高くして寝る」「鼻洗浄」などで症状を和らげてください。

しかし、これは一時的な対策に過ぎません。

咳が長引く場合や、黄色い鼻水が出る場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、根本治療を始めることが大切です。

適切な診断と治療を受けることで、辛い症状の改善が期待できます。

参考資料・文献一覧

  1. 関西医科大学附属病院「慢性副鼻腔炎」 https://hp.kmu.ac.jp/hirakata/visit/search/sikkansyousai/d24-013.html
  2. 日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019」 https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20190412145942.html
  3. 独立行政法人環境再生保全機構「WEB版すこやかライフ No.53 医療トピックス:②副鼻腔炎」 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/53/medical/medical04.html
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「喫煙と呼吸器疾患」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-03-003
  5. 日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00181/