「会社の健康診断で『視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)』と書かれていたけれど、眼圧は正常だったから大丈夫だろう」
「最近目が疲れやすいけれど、老眼のせいだろう」
もしあなたがこのように考えているなら、少し注意が必要です。
日本人の失明原因の第1位をご存知でしょうか?
それは「緑内障」です。
かつては「眼圧が高い人がなる病気」と考えられていました。
ですが、最新の研究では日本人の緑内障患者の約7割は、眼圧が正常範囲内であることがわかっています(参考:日本緑内障学会 2)。
つまり、「眼圧検査が正常だったから安心」とは言えないのが、この病気の恐ろしい点です。
緑内障は「沈黙の病気」とも呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。
気づいたときには視野の半分が失われていた、というケースも珍しくないのです。
しかし、過度に恐れる必要はありません。
緑内障になりやすい人には、明確な「特徴(リスク因子)」があります。
自分がハイリスク群に当てはまるかを知り、適切なタイミングで検査を受ければ、一生涯、視機能を維持することは十分に可能です。
この記事では、日本緑内障学会のガイドラインや厚生労働省の疫学データに基づき、医学的根拠のある「緑内障になりやすい人の特徴」を詳しく解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

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結論:緑内障になりやすい人の7つの特徴チェックリスト
まずは、ご自身が以下の項目にいくつ当てはまるかチェックしてみてください。
これらは「緑内障診療ガイドライン」や大規模疫学調査で示されている、代表的なリスク因子です(参考:日本緑内障学会 1)。
- 40歳以上である(年齢とともにリスク急増)
- 強度近視である(コンタクトの度数が-6.0D以上、または裸眼で目の前の文字が読みにくい)
- 家族(血縁者)に緑内障の人がいる
- 健康診断で「眼圧が高い」または「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘されたことがある
- 冷え性、または低血圧である(特に正常眼圧緑内障に関連)
- 糖尿病、または高血圧の持病がある
- 睡眠時無呼吸症候群、またはいびきがひどいと言われる
1つでも当てはまる場合は、眼科での詳しい検査が推奨されます。
特に「40歳以上」で「近視」の方は、自覚症状がなくても検査を受ける価値が非常に高いと言えます。
それでは、なぜこれらの特徴がリスクとなるのか、一つずつ医学的な理由を紐解いていきましょう。
【最大のリスク要因】なぜ「40歳以上」で急増するのか?
多治見スタディが示す衝撃の事実(20人に1人)
緑内障のリスクを語る上で避けて通れないのが「年齢」です。
岐阜県多治見市で行われた大規模な疫学調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人の「20人に1人(5.0%)」が緑内障にかかっているという結果が出ました(参考:日本緑内障学会 2)。
さらに年齢が上がると有病率は上昇し、60歳以上では約10人に1人、70歳以上ではさらに高い割合となります。
この調査で最も衝撃的だったのは、緑内障と診断された人のうち約9割が、それまで緑内障であることに気づいていなかった(未発見・未治療)という事実です。
年齢とともに目の排水溝が詰まりやすくなる
なぜ加齢とともにリスクが上がるのでしょうか。
一つの要因は、目の中の水(房水:ぼうすい)の排出機能の低下です。
目の中には常に栄養を含んだ水が循環しており、その水が排出される出口(隅角:ぐうかく)や排出路(線維柱帯)が加齢とともに目詰まりを起こしやすくなります。
出口が抵抗を持つと、目の中に水が溜まりすぎて内圧(眼圧)が上がり、視神経を圧迫してしまうのです。
また、年齢とともに視神経そのものが脆弱になり、眼圧に対する抵抗力が弱まることも一因と考えられています(参考:日本緑内障学会 1)。
「眼圧が正常」でも安心できない日本人の特異体質
「健康診断で眼圧は15mmHgだったから正常(基準値は10〜21mmHg)だ」と安心している方は要注意です。
日本人の7割を占める「正常眼圧緑内障」とは
世界的に見れば「眼圧が高い=緑内障」というケースが多いのですが、日本人は特殊です。
日本人の緑内障患者の約7割は、眼圧が常に正常範囲内(21mmHg以下)である「正常眼圧緑内障」です(参考:日本緑内障学会 2)。
これは、眼圧自体は正常であっても、その人の視神経がその眼圧に耐えられないほど弱いために、神経が潰れて視野が欠けていくタイプです。
つまり、「眼圧検査」だけでは緑内障は見つけられないのです。
これが、日本の健康診断における緑内障発見の大きな落とし穴となっています。
視神経が弱い人は、平均的な眼圧でもダメージを受ける
視神経の強さには個人差があります。
例えば、眼圧が25mmHgあっても神経が強くて緑内障にならない人もいれば(高眼圧症)、眼圧が12mmHgしかないのに神経がダメージを受けてしまう人もいます。
後者の場合、治療では眼圧を「正常範囲内のさらに低い値(例:10mmHg以下)」まで下げる必要があります。
「正常値だから大丈夫」ではなく、「あなたの視神経にとってその眼圧が適切か」が重要なのです。
若い世代も注意!「強度近視」と緑内障の深い関係

近年、20代〜30代の若い世代でも緑内障のリスクが注目されていますが、その背景の一つには「近視」があります。
近視が進むと眼球が変形し、視神経に負担がかかる
近視、特に強度近視(-6.0D以上)の人は、そうでない人に比べて緑内障の発症リスクが高いことが、多くの研究で示されており、ガイドラインでも危険因子の一つとして挙げられています(参考:日本緑内障学会 1)。
通常、眼球は丸い形をしていますが、近視が強い人の眼球は、ラグビーボールのように前後に長く伸びてしまっています(眼軸長の延長)。
眼球が引き伸ばされると、目の奥にある視神経の膜(篩状板など)も変形し、薄くなることがあります。
その結果、眼圧のストレスに対する防御力が弱くなり、神経線維が傷つきやすくなってしまうと考えられています。
スマホ世代に忍び寄るリスク
現代はスマートフォンやPC作業により、子供の頃から近視が進行しやすい環境にあります。
強度の近視がある方は、緑内障のリスク要因をすでに一つ持っているという認識を持つことが大切です。
コンタクトレンズを作る際の眼科受診などを利用して、定期的に眼底チェックを受けることをお勧めします。
その不調もサイン?全身疾患・生活習慣との意外なリンク
緑内障は「目の病気」ですが、実は全身の血流や健康状態とも密接に関わっています。
緑内障診療ガイドラインでも、いくつかの全身疾患がリスク因子として挙げられています(参考:日本緑内障学会 1)。
1. 高血圧・低血圧・冷え性(血流障害)
視神経に栄養を届けているのは血液です。血流が悪くなると、視神経は栄養不足に陥り、眼圧のダメージを受けやすくなります。
特に低血圧・冷え性・偏頭痛を持つ人は、正常眼圧緑内障のリスク因子または進行因子となる可能性があることが指摘されています(参考:日本緑内障学会 1)。
2. 糖尿病(新生血管緑内障の恐怖)
糖尿病は目にとっても大敵です。
糖尿病網膜症が悪化すると、網膜の酸素不足を補うために、質の悪い新しい血管(新生血管)が作られることがあります。
この新生血管が目の排水溝(隅角)を塞いでしまうと、眼圧が急激に上昇し、激痛とともに失明のリスクがある「血管新生緑内障」という非常に重篤なタイプを発症することがあります。
糖尿病と診断されている方は、内科だけでなく眼科の定期受診が必須です。
3. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
いびきが激しい、寝ている間に呼吸が止まるといった症状がある場合も注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は、緑内障の危険因子の一つとしてガイドラインに記載されています(参考:日本緑内障学会 1)。
無呼吸による低酸素状態や、眼還流圧の変動が視神経に悪影響を与える可能性が考えられています。
4. ステロイド薬の使用
アトピー性皮膚炎の治療や、自己免疫疾患などで「ステロイド薬(内服・点眼・軟膏など)」を長期間使用している場合、副作用として眼圧が上がることがあります(ステロイド緑内障)(参考:厚生労働省 3)。
医師の指示通りに使用していれば問題ありませんが、自己判断で強いステロイドを使い続けるのは危険です。
使用中は定期的に眼圧チェックを受ける必要があります。
噂を検証!スマホ・ストレス・性格は関係ある?
ネット上には様々な情報が溢れていますが、医学的な信憑性について検証します。
「スマホの見すぎ」で緑内障になりますか?
現時点では、直接的な原因とする明確な根拠はありません。
スマホのブルーライト自体が緑内障を引き起こすという確実なエビデンスは、ガイドラインには記載されていません。
ただし、長時間「うつむき姿勢(首を曲げた状態)」を続けると、一時的に眼圧が上昇するという研究報告は存在します。
しかし、これが直接緑内障の発症につながるかは未解明です。
眼精疲労を防ぐ意味でも、「時々顔を上げて遠くを見る」といった対策は推奨されます。
「ストレス」や「神経質な性格」は関係ありますか?
明確な科学的根拠はありません。
「心配性な人がなりやすい」といった俗説がありますが、性格と緑内障の直接的な因果関係は証明されていません。
ただし、ストレスは全身の健康に影響を与えるため、ストレスを溜めない生活は、目にとってもプラスであると考えられます。
早期発見こそが唯一の予防策
残念ながら、現代の医学でも一度死滅してしまった視神経を蘇らせることはできません。
失った視野は二度と戻らないのです。
だからこそ、「早期発見」が何よりも重要になります。
自覚症状が出てからでは遅い理由
緑内障の視野欠損は、初期にはごく一部の「見えない点」から始まります。
しかし、人間の目は優秀で、片方の目が見えていれば、もう片方の欠損を脳が勝手に補完して画像を合成してしまいます。
そのため、視野の半分近くが欠けて初めて「なんとなく見えにくい」と気づくことが多いのです。
自覚症状が出た時点ですでに「中期〜後期」まで進行しているケースが後を絶ちません。
人間ドック・健康診断の「眼底検査」を必ず受けよう
緑内障を早期に見つける有効な方法は、眼科的な検査です。
会社の健康診断や人間ドックで、以下の項目があるか確認してください。
- 眼圧検査: 目に風をあてる検査。
- 眼底検査(がんていけんさ): 目の奥の写真を撮り、視神経の形を直接見る検査。
特に重要なのが「眼底検査」です。
先述の通り、日本人は眼圧が正常な緑内障が多いため、眼圧検査だけでは見逃されてしまいます。
眼底検査で「視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)」などの所見があれば、緑内障の疑いがあります。
この判定が出たら、放置せずに必ず眼科で精密検査(視野検査など)を受けてください。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では緑内障や眼圧の高さが気になるの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
FAQ(よくある質問)
Q. 緑内障になりやすい食べ物や、予防によい食べ物はありますか?
特定の食べ物で緑内障が治るという医学的根拠はありません。しかし、視神経の保護や全身の血流改善のため、バランスの良い食事を摂ることは推奨されます。抗酸化作用のあるビタミン類などを日々の食事に取り入れると良いでしょう。
Q. 自分でできるチェック方法はありますか?
片目ずつ手で隠し、カレンダーの格子模様などを見て、「線が歪んで見える」「一部が霞んで見える」といった症状を確認する方法があります。しかし、初期の緑内障を自己チェックで見つけることは非常に困難です。眼科での検査機器による診断が確実です。
Q. 遺伝はどの程度影響しますか?
家族に緑内障の人がいる場合、そうでない人に比べて発症リスクは高くなるとされており、ガイドラインでも危険因子の一つに挙げられています(参考:日本緑内障学会 1)。ご家族に患者さんがいる場合は、より積極的に検診を受けることをお勧めします。
まとめ:リスクに当てはまる人は年1回の検診を
緑内障になりやすい人の特徴をまとめます。
- 40歳以上の方(20人に1人の確率)
- 強度近視の方
- 血縁者に緑内障患者がいる方
- 眼圧正常でも油断できない(正常眼圧緑内障)
- 冷え性、低血圧、糖尿病などの全身要因がある方
緑内障は、早期に見つけて適切な治療(主に点眼薬)を続ければ、多くのケースで失明を防ぎ、生涯にわたり視力を保つことが期待できる病気です。
40歳を過ぎたら、誕生月など日を決めて、年に1回は眼科で「緑内障の検査」を受ける習慣をつけましょう。
その小さな行動が、あなたの将来の「見る力」を守ることにつながります。
参考資料・文献一覧
- 日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」 https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf
- 日本緑内障学会「多治見スタディ(多治見緑内障疫学調査)」 https://www.ryokunaisho.jp/general/ekigaku/tajimi.php
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)/厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 緑内障」 https://www.pmda.go.jp/files/000231680.pdf
- 厚生労働省eJIM「目の症状・疾患(緑内障)」 https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c05/25.html
