子供が急に「頭が痛い」と言い出したとき、親御さんはとても心配になりますよね。

「熱もないのになぜ?」「もしかして脳の病気?」と不安な気持ちが駆け巡るかもしれません。

また、いざ病院に行こうと思っても、「小児科でいいのか、それとも脳神経外科に行くべきなのか」と迷うことも多いはずです。

結論からお伝えすると、子供の頭痛は、まず「かかりつけの小児科」を受診するのが基本です(参考:国立病院機構宇多野病院 2)。

しかし、症状によっては緊急の対応が必要な場合や、他の専門科が適している場合もあります。

この記事では、子供の頭痛における正しい受診先の選び方、見逃してはいけない危険なサイン、そして近年増えている「小児片頭痛」などの原因について、詳しく解説します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

お子様の頭痛でお困りの方へ

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【結論】子供の頭痛は何科?迷った時の判断基準

子供の体は大人を小さくしただけではありません。

成長過程にある子供特有の病気や生理機能があるため、診療科選びには少しコツがいります。

まずは「かかりつけの小児科」が正解な理由

特に明らかな原因(頭を打ったなど)がなく、「なんとなく頭を痛がっている」「熱はないけれど頭痛を繰り返す」といった場合は、まずは小児科を受診してください(参考:神戸大学 4)。

小児科医は「子供の総合医」です。

頭痛の原因は脳だけでなく、風邪、副鼻腔炎、血圧の異常、あるいは精神的なストレスなど多岐にわたります。

小児科であれば、全身の状態を診た上で、必要であれば適切な専門医(脳神経外科や耳鼻科など)へ紹介状を書いてくれます

「いきなり大きな病院に行くべきか?」と迷う方もいますが、紹介状がないと受診できない場合や、待ち時間が長くなり子供の負担になることもあります。

まずはかかりつけ医に相談するのが最短ルートです。

「脳神経外科」を選んだほうが良いケース

一方で、最初から脳神経外科を選んだほうが良い、あるいは救急受診を検討すべき明確なケースもあります(参考:神戸大学 4)。

  • 頭を強く打った直後である場合
  • 激しい嘔吐を繰り返している場合
  • 手足の麻痺しゃべりにくさがある場合
  • これまで経験したことのないような激痛を訴える場合

これらの症状がある場合は、頭蓋内(脳)の緊急トラブルの可能性があります。

MRIやCTなどの画像検査が即座にできる脳神経外科のある病院を受診しましょう。

「耳鼻科」や「眼科」が原因の場合

頭痛の原因が、頭そのものではないこともよくあります。

  1. 耳鼻咽喉科:
    • 鼻水が続いている、頬のあたりを痛がる場合は「副鼻腔炎(蓄膿症)」による頭痛の可能性があります。
  2. 眼科:
    • 黒板の字が見えにくい、目を細めて物を見るといった様子があれば、視力低下や眼精疲労が頭痛を引き起こしている可能性があります。

専門医の存在:「小児神経専門医」や「頭痛外来」とは

「小児科で診てもらったけれど原因がよくわからない」

「頭痛薬をもらったけれど治らない」

このような場合は、「小児神経専門医」や「頭痛外来」がある医療機関の受診をおすすめします(参考:東京医科大学病院 3)。

これらは、子供の神経系の病気や、片頭痛などの慢性頭痛を専門的に診断・治療するプロフェッショナルです。

特に子供の片頭痛は大人とは症状が異なるため、専門医による診断が有効な治療への第一歩となります。

今すぐ病院へ!見逃してはいけない「危険な頭痛」のサイン

子供の頭痛の多くは、命に関わるものではありません。

しかし、ごく稀に脳腫瘍や脳出血などの重篤な病気が隠れていることがあります。

親御さんが知っておくべき「レッドフラッグ(危険信号)」をご紹介します。

緊急性が高い症状チェックリスト

以下の症状が一つでも当てはまる場合は、様子を見ずに早急に受診してください(参考:神戸大学 4)。

  • 突然の激しい頭痛(バットで殴られたような痛み)
  • 頭痛に伴って、噴射するような嘔吐がある
  • けいれん(ひきつけ)を起こした
  • 意識がぼんやりしている、呼びかけへの反応が鈍い
  • 歩くとふらつく、まっすぐ歩けない

特に注意!「朝起き抜けの頭痛」と「徐々に強くなる痛み」

慢性的な頭痛の中で特に注意が必要なのが、「早朝の頭痛」です。 

脳腫瘍などによって脳圧(頭の中の圧力)が上がっている場合、寝ている間に圧が高まり、朝起きた時に最も痛みが強く、起きて活動すると少し楽になるという特徴があります。

また、日に日に痛みの強さや頻度が増していく場合(進行性の頭痛)も、詳しい検査が必要です。

頭を打った後の受診タイミング

子供はよく頭をぶつけます。

「たんこぶ」ができて大泣きしても、すぐに泣き止んで機嫌よく遊んでいるなら、ひとまずは安心です。

しかし、打ってから数時間~数日後に、吐き気や頭痛、ぼんやりするなどの症状が出た場合は、遅れて出血が起きている可能性があります(慢性硬膜下血腫など)。

頭を打った当日は、お風呂を控えめにして激しい運動を避け、こまめに様子を見てあげてください。

熱がないのに頭が痛い…考えられる主な3つの原因

発熱などの風邪症状がないのに、子供が繰り返し頭痛を訴える場合、いわゆる「慢性頭痛」の可能性があります。

ここでは代表的な3つの原因を解説します。

1. 【小児片頭痛】ズキンズキンと脈打つ痛み

実は、子供にも「片頭痛」は多く見られます。

小学生の数%~10%程度が経験していると言われています(参考:日本小児神経学会 5)。

  1. 症状:
    • ズキンズキンと脈打つような痛み。動くと痛みが悪化する(参考:国立病院機構宇多野病院 2)。
  2. 子供特有のサイン:
    • お腹が痛くなる(腹痛)場合や、嘔吐を伴うことが多い。
    • 光や音を嫌がる(暗い部屋に行きたがる)。
    • 痛みは1~72時間程度と、大人の片頭痛(4〜72時間)に比べて短時間で治まることもあります(参考:日本頭痛学会 1, 国立病院機構宇多野病院 2)。
    • ひと眠りするとケロッと治っていることがある。

親御さんが片頭痛持ちの場合、お子さんにも遺伝しやすい傾向があります。

「サボり」と誤解されやすいですが、本人は辛い思いをしています。

2. 【緊張型頭痛】締め付けられる痛み

精神的なストレスや、身体的なコリからくる頭痛です。

  1. 症状:
    • 頭全体がギューッと締め付けられるような痛み(参考:国立病院機構宇多野病院 2)。
  2. 原因:
    • ゲームやスマホによる長時間のうつむき姿勢、学校での緊張、友人関係のストレスなど。
  3. 特徴:
    • 片頭痛とは違い、動いても痛みは悪化せず、お風呂などで温めると楽になることが多いです。

3. 【起立性調節障害】朝起きられない場合

小学校高学年~中学生に多いのが「起立性調節障害」です。

自律神経のバランスが乱れることで起こります。

頭痛の分類(一次性頭痛)とは異なりますが、頭痛を伴う頻度の高い病気の一つです。

  1. 症状:
    • 頭痛だけでなく、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、倦怠感がある。
  2. 特徴:
    • 午後になると元気になることが多いため、「怠けている」と誤解されがちですが、身体の病気です。

病院に行く前に親がチェックしておくべきポイント

病院を受診する際、子供自身が痛みの様子を正確に説明するのは難しいものです。

医師は親御さんからの情報を頼りに診断を行います。

以下のポイントをメモしてから受診すると、診断がスムーズになります(参考:神戸大学 4)。

医師に伝えるメモを用意しよう

  • いつから痛いか: (例:1ヶ月前から、昨日から)
  • どんな時に痛くなるか: (例:学校がある日の朝、夕方、運動した後)
  • 痛みの頻度: (例:週に2回くらい、毎日)
  • 痛みの持続時間: (例:30分くらいで治る、半日続く)
  • 随伴症状: (例:吐き気があるか、光をまぶしがるか、熱はあるか)
  • 家族歴: (例:母親が片頭痛持ちである)
  • 薬の使用: (例:市販のカロナールを飲んで効いたかどうか)

スマホやゲームの時間、学校での様子もヒントに

生活習慣や環境の変化も重要なヒントです。

「最近ゲームの時間が長い」「塾が始まって寝不足気味」「クラス替えがあった」など、思い当たる生活の変化があれば医師に伝えましょう。

これらは緊張型頭痛や片頭痛の誘因(トリガー)になっている可能性があります。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではお子様の頭痛でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. 子供に市販の頭痛薬(鎮痛剤)を使ってもいいですか?

A. 基本的には使用して構いません。子供用のアセトアミノフェン(カロナールなど)が安全性が高く推奨されます(参考:厚生労働省 6)。ただし、「薬を飲む回数が週に2~3回以上」になる場合は要注意です。薬の使いすぎで逆に頭痛がひどくなる「薬物乱用頭痛」のリスクがあります(参考:日本頭痛学会 1)。頻繁に薬が必要な場合は、必ず医師に相談してください。

Q. 「学校に行きたくない」から頭が痛いと言うのでしょうか?

A. いわゆる「仮病」と決めつけるのは危険です。ストレスが引き金となって、本当に頭痛(緊張型頭痛や片頭痛)が起きているケースが非常に多いためです。「痛みは本当にある」という前提で接し、まずは身体的な病気がないか小児科で確認することが、解決への第一歩です。

Q. MRIやCT検査は必ず受けないといけませんか?

A. 必ずしも全員に必要なわけではありません。医師が問診や神経学的所見(目の動きや手足の動きのチェック)を行い、「脳の病気の疑いが低い」と判断すれば、画像検査を行わないことも一般的です。被曝(CTの場合)や検査時の鎮静(MRIの場合)のリスクとベネフィットを天秤にかけて判断されます。

まとめ

子供の頭痛で受診に迷ったら、まずは「かかりつけの小児科」への相談をおすすめします。

  1. 緊急受診:
    • 激しい頭痛、嘔吐、麻痺、意識障害がある場合(救急または脳神経外科)。
  2. 一般受診:
    •  繰り返す頭痛、熱のない頭痛(まずは小児科)。
  3. 専門受診:
    • 小児科で改善しない、片頭痛の疑いがある(小児神経専門医、頭痛外来)。

子供の「頭が痛い」は、体からのSOSサインです。

重篤な病気は稀ですが、片頭痛など生活の質を下げる頭痛は多く存在します。

「たかが頭痛」と放置せず、適切な医療機関と連携して、お子さんが笑顔で過ごせるようサポートしてあげてください。

参考資料・文献一覧
  1. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00689/
  2. 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院「子どもの頭痛」 https://utano.hosp.go.jp/outpatient/other_know_childneuro_04.html
  3. 東京医科大学病院「小児頭痛外来」 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/shoni/gairai.html
  4. 神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野「こどもの頭痛」 https://www.med.kobe-u.ac.jp/pediat/pdf/fujimura17.pdf
  5. 日本小児神経学会「片頭痛の知らない世界(山中岳)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/54/1/54_18/_pdf/-char/ja
  6. 厚生労働省 小児薬物療法検討会議「アセトアミノフェン」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1212-7g.pdf