急に立ち上がったときの激しい立ちくらみやめまい、朝なかなか起き上がれない倦怠感。

「これはただの低血圧だから、病気ではない」と我慢していませんか?

起立性低血圧は、放置すると日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、転倒による怪我などのリスクも伴う立派な疾患です。

「病院に行くべきか迷っている」という方に向けて、医師に相談すべき判断基準や、症状に合わせた適切な診療科の選び方を解説します。

結論からお伝えすると、「生活に支障がある」「失神したことがある」場合は、迷わずに医療機関を受診すべきです(参考:日本循環器学会 2)。

正しい知識を持って、辛い症状の解決へ一歩踏み出しましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

低血圧・起立性低血圧でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。

※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。

起立性低血圧で「病院に行くべき」3つの判断基準

「低血圧くらいで病院に行ってもいいの?」と不安に思う必要はありません。

医学的には、以下のいずれかに当てはまる場合、受診が強く推奨されます。

1. 日常生活に支障が出ているか(QOLの低下)

血圧の数値そのものよりも、「今の症状のせいで生活が制限されているか」が最も重要な基準です。

  • 朝起きられず、学校や会社に遅刻・欠席しがちである
  • 午前中は頭が働かず、仕事や勉強に集中できない
  • 立ち仕事をしていると気分が悪くなり、座り込んでしまう
  • 家事や入浴など、日常の動作が辛い

これらは「体質」や「甘え」ではなく、治療によって改善できる可能性がある医学的な問題です(参考:日本小児科学会 3)。

2. 転倒や失神(気絶)の経験があるか

過去に立ちくらみで目の前が真っ暗になり、その場に倒れ込んだり、意識を失ったり(失神)した経験がある場合は、早急に受診が必要です。

起立性低血圧による失神は、突然意識を失うことで受け身が取れず、頭部外傷や骨折などの大怪我につながるリスクがあります(参考:国立長寿医療研究センター 6)。

特に高齢者の場合、一度の転倒が寝たきりの原因になることもあります。

3. 薬剤の服用や持病がある場合

現在、別の病気で病院にかかっている方も注意が必要です。

  • 高血圧の薬(降圧剤)
  • 前立腺肥大症の薬
  • 抗うつ薬
  • パーキンソン病の薬

これらを服用している場合、薬の副作用として低血圧が起きている可能性があります(二次性低血圧)(参考:MSDマニュアル 1)。

また、糖尿病や神経疾患などの合併症として血圧調節ができなくなっているケースもあります。

この場合、自己判断で放置するのは危険です。

起立性低血圧は何科を受診すべき?

「病院に行くことは決めたけれど、内科?循環器?それとも精神科?」と迷う方は非常に多いです。

症状や背景によって最適な科は異なりますが、目安となる選び方をご紹介します。

まずは「一般内科」または「かかりつけ医」へ

最も無難で確実なのは、近所の内科クリニックやかかりつけ医です。

ここではまず、基本的な血液検査を行い、貧血や脱水、甲状腺機能異常など、低血圧以外の原因がないかを確認(除外診断)することができます。

専門的な検査が必要と判断された場合、適切な大病院や専門医を紹介してもらえます。

動悸や脈の異常を感じるなら「循環器内科」

立ち上がった直後に血圧が下がると同時に、激しい動悸(心臓がバクバクする)を感じる場合は、循環器内科が適しています。

心臓のポンプ機能や不整脈の問題が隠れていないか、心電図や心エコーなどで詳しく調べることができます(参考:日本循環器学会 2)。

手足の震え・発汗障害があるなら「神経内科(脳神経内科)」

立ちくらみに加えて、以下のような症状がある場合は、自律神経そのものに障害が起きている可能性があります。

  • 手足が震える、歩きにくい
  • 汗をかかない、または異常に汗をかく
  • 便秘や排尿障害がある

これらは、パーキンソン病やレビー小体型認知症、多系統萎縮症などの神経疾患の初期症状として現れることがあります。

神経内科の専門医による診察が必要です(参考:東京医科歯科大学附属病院 8)。

ストレスや精神的な不調が強いなら「心療内科・精神科」

強いストレスを感じていたり、不安感、抑うつ気分を伴う場合は、自律神経の乱れが精神的な要因から来ている可能性があります。

また、思春期の「起立性調節障害(OD)」で、心理的なサポートが必要な場合もこちらの科が選択肢に入ります。

大人と子供で違う?年代別の傾向と注意点

起立性低血圧は、年代によって背景にある原因が異なることが多い疾患です。

小児・思春期(中学生・高校生)の場合

この年代で最も多いのは「起立性調節障害(OD)」です。

身体の急激な成長に自律神経の発達が追いつかず、血圧調整がうまくいかない状態です。

「怠け」と誤解されやすいですが、身体的な病気です(参考:日本小児科学会 3)。

  • 受診先: まずは小児科を受診してください。小児科ではODの専門的なガイドラインに沿った診断・治療が可能です。

成人・高齢者の場合

大人の場合、原因は多岐にわたります。

  • 成人(若年〜中年): ストレス、過労、無理なダイエット、運動不足による自律神経失調が主な原因となることが多いです。
  • 高齢者: 加齢に伴う自律神経機能の低下に加え、「食後低血圧」(食後に血圧が下がりめまいがする)や、前述の「薬剤性低血圧」が増えます(参考:日本老年医学会 5)。高齢者のふらつきは転倒リスクに直結するため、より慎重な対応が求められます。

病院で行われる検査と診断の流れ

病院に行くと、どのようなことをするのでしょうか。一般的な流れを知っておくと安心です。

1. 問診

いつ、どんな時に症状が出るか、服用中の薬、既往歴などを詳しく聞かれます。

「朝がつらい」「食後にふらつく」といった具体的な情報は診断の助けになります。

2. シェロング起立試験(起立試験)

起立性低血圧の診断における最も基本的な検査です。

ベッドに安静に寝た状態での血圧・脈拍を測定し、その後立ち上がって(またはベッドを起こして)、起立直後や数分後の血圧・脈拍の変化を測定します。 

一般的に、収縮期血圧(上の血圧)が20mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が10mmHg以上低下する場合、起立性低血圧と診断されます(参考:MSDマニュアル 1)。

3. 除外診断のための検査

貧血、脱水、心疾患、内分泌疾患などがないかを確認するために、血液検査や心電図検査を行うことが一般的です。

受診までの間にできるセルフケア・対処法

病院に行くまでの間、または診断を受けて治療中の場合でも、日常生活での工夫が症状緩和に役立ちます。

  • 水分と塩分を摂る: 心臓病や高血圧などの制限がない限り、水分(1日1.5〜2リットル目安)と適度な塩分を摂取し、循環する血液量を増やすことが基本です(参考:関西医科大学総合医療センター 7)。
  • ゆっくり立ち上がる: 急に動くと自律神経が反応できません。「頭を下げたままゆっくり立ち、一呼吸置いてから顔を上げる」動作を癖づけましょう。
  • 弾性ストッキングの着用: 医療用の着圧ソックスを履くことで、下半身に血液が溜まるのを防ぎ、脳への血流を維持しやすくします(参考:MSDマニュアル 1)。
  • 頭を高くして寝る: 就寝時、頭側を少し高く(枕だけでなく上半身全体を高くするなど)して寝ることで、夜間の尿量を減らし、朝の低血圧を防ぐ効果が期待できるといわれています(参考:MSDマニュアル 1)。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では低血圧・起立性低血圧でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

起立性低血圧に関するよくある疑問

Q. 低血圧で病院に行くと迷惑がられませんか?

A. 全く迷惑ではありません。

低血圧はQOL(生活の質)を著しく下げる原因となります。

医師は患者さんのQOLを改善することを目的としていますので、辛い症状があれば遠慮なく相談してください。

Q. 病院に行けば必ず治りますか?

A. 原因によりますが、適切な生活指導や昇圧剤(血圧を上げる薬)の処方によって、症状がコントロールしやすくなるケースは多いです。

また、別の病気が原因であった場合、その治療を行うことで改善します。

Q. 市販の薬で治せますか?

A. 市販のめまい止めなどが一時的に効くこともありますが、根本的な解決にはならないことが多いです。

また、安易な薬の使用が症状を複雑にすることもあるため、まずは一度受診して原因を特定することをお勧めします。

まとめ

起立性低血圧は、見た目には分かりにくい辛さがあるため、一人で抱え込んでしまいがちです。

しかし、「日常生活に支障がある」「倒れる危険がある」場合は、迷わず医療機関を受診すべき状態です。

  • まずは一般内科やかかりつけ医へ。
  • 子供なら小児科へ。
  • 動悸や震えなど、特徴的な症状があれば循環器内科や神経内科へ。

適切な診断を受け、自分の体に合った対策を知ることが、不安を解消し、毎日を快適に過ごすための第一歩となります。

参考資料・文献一覧

  1. MSDマニュアル プロフェッショナル版「起立性低血圧」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/04-%E5%BF%83%E8%A1%80%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%BF%83%E8%A1%80%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E8%B5%B7%E7%AB%8B%E6%80%A7%E4%BD%8E%E8%A1%80%E5%9C%A7
  2. 日本循環器学会「失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)」 https://square.umin.ac.jp/saspe/archive/41/41th_08.pdf
  3. 日本小児科学会 / 日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)」 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL035.pdf
  4. 日本高血圧学会「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/p00068/
  5. 日本老年医学会「高齢者高血圧診療ガイドライン2017(解説)」 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/guideline2017_01.pdf
  6. 国立長寿医療研究センター「失神:「ちょっと気を失っただけ」と思っていませんか?」 https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/61.html
  7. 関西医科大学総合医療センター「起立性調節障害の治療」 https://hp.kmu.ac.jp/takii/about/know_list/detail/11
  8. 東京医科歯科大学医学部附属病院「神経原性起立性低血圧へのアプローチ」 http://hospi.sakura.ne.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-tokyoikashika-201014.pdf