過多月経は月経時の出血量が異常に多い状態を指し、貧血や日常生活への影響を引き起こすことがあります。
「自分は過多月経かもしれない」と不安に感じる方も少なくないでしょう。
この記事では、過多月経の定義や症状、セルフチェック方法、原因、治療法をわかりやすく解説。
気になる症状をチェックし、早めの対処につなげましょう。
過多月経とは?その定義と症状
過多月経の基本知識について解説します。
正常な月経との違い
月経の出血量や期間は個人差がありますが、過多月経は正常な範囲を超える状態です。
医学的には1回の月経で140~150ml以上の出血、または7日間を超える月経が過多月経と定義されます。
正常な月経では、1日あたり20~60mLの出血が一般的で3~7日で終了します。
この違いが生じる背景には、ホルモンバランスや子宮の異常が関与することが多いです。
例えば、正常な月経ではナプキンの交換が2~3時間ごとで済む場合、過多月経では1時間以内に交換が必要になることも。
実際、過多月経の女性は「夜用ナプキンでも漏れる」といった悩みを抱えるケースが少なくありません。
過多月経を見分けるには、こうした出血量や期間の違いを意識することが重要です。
自分の月経が正常か気になるなら、まずは出血量や日数を記録してみましょう。
過多月経が疑われる具体的なサイン
過多月経には、以下のような特徴的なサインがあります。
- 頻繁なナプキン交換:1~2時間ごとにナプキンやタンポンを交換する必要がある。
- 大きな血の塊:レバー状の血塊(2cm以上)が頻繁に出る。
- 長期間の月経:8日以上月経が続く。
- 夜間の漏れ:夜用ナプキンを使っても寝具が汚れる。
これらのサインに心当たりがある場合、過多月経の可能性を疑い、セルフチェックを試みることが推奨されます。
自分の月経がこれらのサインに当てはまるなら、早めに記録をつけて医師に相談する準備を整えましょう。
放置するとどうなる?貧血や日常生活への影響
過多月経を放置すると、身体や生活に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
最も一般的な問題は貧血で、過剰な出血により鉄分が不足し、めまいや疲労感、息切れを引き起こします。

重度の貧血では、集中力低下や仕事のパフォーマンス悪化も報告されています(参考:慶應義塾大学病院1)。
また、過多月経は精神的な負担も大きく、外出時の漏れの不安や頻繁なナプキン交換によるストレスが日常生活の質を下げることも。
例えば、女性の約66%が月経による不快な症状に関して「症状が強いが我慢している」と回答(参考:厚生労働省2)。
こうした影響を防ぐため、過多月経のサインを見逃さず、早めに対処することが大切です。
【過多月経セルフチェック】あなたの月経は大丈夫?
過多月経のセルフチェックリストを紹介します。
過多月経セルフチェックリスト(Yes/No形式)
以下の質問に「はい」または「いいえ」で答えて、過多月経の可能性をチェックしてみましょう。
過多月経セルフチェックリスト
No. | 質問内容 |
---|---|
1 | 月経中に1~2時間ごとにナプキンを交換しますか? |
2 | レバー状の血塊(2cm以上)が頻繁に出ますか? |
3 | 月経が8日以上続きますか? |
4 | 夜用ナプキンでも夜間に漏れますか? |
5 | 月経中にめまいや強い疲労感を感じますか? |
このチェックリストは、日本産科婦人科学会のガイドラインを参考に作成しました。
「はい」が3つ以上ある場合、過多月経の可能性が高いと考えられます。
自分の月経の状態を客観的に把握するために、ぜひこのチェックリストを活用してください。
チェック結果の見方と初期対応のアドバイス
チェックリストで「はい」が多い場合、過多月経のリスクがあるかもしれません。
ただし、セルフチェックはあくまで目安であり、確定診断には医師の診察が必要です。
初期対応としては、以下のステップを試みましょう。
- 月経の記録:出血量、期間、血塊の有無をノートやアプリで記録。
- 鉄分補給:貧血予防のため、鉄分豊富な食品(レバー、ほうれん草など)を意識的に摂取。
- ストレス管理:ストレスが月経に影響を与えることもあるため、リラックスを心がける。
チェック結果に不安を感じたら、早めに次のステップに進みましょう。
いつ受診すべき?医師に相談すべき目安
以下の場合、速やかに婦人科を受診することをおすすめします。
- セルフチェックで「はい」が3つ以上。
- 貧血症状(めまい、息切れ、極端な疲労感)が現れている。
- 月経による日常生活の制限(仕事や学業への影響)が強い。
過多月経に子宮筋腫や内膜症などの疾患が関与している可能性もあるため、早めの受診が重要です。
受診時には、月経の記録を持参すると診断がスムーズに進みます。
「忙しくて病院に行く時間がない」という方も、まずは電話相談やオンライン診療を活用して、専門家のアドバイスを受けることを検討してください。
過多月経の主な原因とは
過多月経の主な原因について解説します。
ホルモンバランスの乱れ
過多月経の原因として多いのが、ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)のバランス異常です。

ホルモンバランスが乱れると、子宮内膜が過剰に厚くなり、出血量が増えることがあります。
特に10代や更年期前の女性に多く見られます。
例えば、ストレスや過度なダイエット、睡眠不足がホルモンに影響を与えるケースも。
ホルモンバランスの乱れが疑われる場合、婦人科での血液検査で原因を特定できます。
気になる症状があるなら、早めに相談しましょう。
子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)や子宮内膜症は、過多月経の代表的な原因です。
子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、出血量を増やす要因に。
子宮内膜症は子宮内膜が子宮外で増殖し、強い月経痛や過多月経を引き起こします。
日本では、30歳以上の女性の約3割程度に子宮筋腫が認められるとも言われています(参考:日本産婦人科学会3)。
また、子宮筋腫の患者の約60%が過多月経を訴えるとの報告も。
これらの疾患は、超音波検査やMRIで診断可能です。
過多月経に加えて強い痛みがある場合、早めに婦人科を受診しましょう。
止血異常(フォン・ヴィレブランド病など)
まれですが、フォン・ヴィレブランド病などの血液凝固異常も過多月経の原因になります。
この疾患では、血液が正常に凝固せず、出血が止まりにくい状態に。
10代で過多月経が顕著な場合、この病気の可能性も考慮されます。
例えば、家族に止血異常の既往がある場合や、鼻血や歯茎の出血が多い場合、注意が必要です。
診断には血液検査が必要で、専門医による評価が欠かせません。
こうした原因は自己判断が難しいため、過多月経が続く場合は医師に相談することが重要です。
過多月経の治療や対処法はある?
過多月経の治療法を解説します。
婦人科での検査と診断の流れ
過多月経の治療を始めるには、まず正確な診断が必要です。婦人科では、以下の検査が行われます。
- 問診:月経の期間、出血量、症状の詳細を確認。
- 超音波検査:子宮筋腫や内膜症の有無を調べる。
- 血液検査:貧血やホルモン異常、凝固異常を評価。
検査結果をもとに、薬物療法や手術などの治療方針が決まります。
受診をためらう方もいますが、検査は痛みが少なく、短時間で済むことが多いです。
薬物療法・ホルモン治療・手術などの選択肢
過多月経の治療法は原因によって異なります。主な選択肢は以下の通りです。
- 薬物療法:トラネキサム酸(止血剤)やNSAIDs(痛み・出血軽減)を使用。
- ホルモン治療:低用量ピルや黄体ホルモン剤でホルモンバランスを調整。
- 手術:子宮筋腫や内膜症が重度の場合、子宮内膜焼灼術や筋腫摘出術を検討。
治療には副作用の可能性もあるため、医師と相談しながら選択することが大切です。
自分に合った治療法を見つけるため、専門医のアドバイスを積極的に求めましょう。
日常生活でできる対策とケア
治療と並行して、日常生活でのケアも効果的です。以下の方法を試してみましょう。
- 栄養バランス:鉄分やビタミンB12を多く含む食品(赤身肉、魚介類)を摂取。
- 適度な運動:ウォーキングやヨガで血流を改善し、ホルモンバランスを整える。
- 十分な休息:睡眠不足はホルモンに影響するため、7~8時間の睡眠を確保。

鉄分サプリメントは貧血予防に役立つ場合がありますが、過剰摂取のリスクもあるため、医師に相談してから使用しましょう。
こうした小さな習慣の積み重ねが、過多月経の症状軽減につながります。
治験に参加するのも一つの方法
病院で直接診察を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では過多月経でお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。
例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
・最新の治療をいち早く受けられる
・専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
・治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
過多月経に関するよくある質問(Q&A)
過多月経に関するよくある質問を紹介します。
セルフチェックで不安になったらどうすればいい?
セルフチェックで過多月経の可能性を感じた場合、まずは月経の記録をつけ、婦人科を受診する準備をしましょう。
記録には、出血量や期間、血塊の有無、貧血症状を記載すると診断がスムーズです。
不安が強い場合、婦人科の電話相談やオンライン診療を活用するのも一つの方法。
日本産科婦人科学会では、早期相談が治療効果を高めると強調しています。
不安を放置せず、専門家のサポートを受けることで、心身の負担を軽減できます。
受診は婦人科?内科?どこに行くべき?
過多月経の症状がある場合、まず婦人科を受診するのが適切です。
婦人科では、子宮やホルモンの異常を専門的に評価できます。
貧血が顕著な場合や、フォン・ヴィレブランド病が疑われる場合は、婦人科から内科や血液内科に紹介されることもあります。
迷った場合は、かかりつけ医に相談し、適切な診療科を案内してもらうのも有効です。
どの科でも、月経の記録を持参すると診断がスムーズに進みます。
学生や働く女性でも治療は受けられる?
学生や働く女性でも、過多月経の治療は十分に受けられます。
低用量ピルやトラネキサム酸は、通院頻度が少なく、忙しい生活にも対応可能。
オンライン診療を活用すれば、受診の時間を節約できます。
学校や職場でのサポート制度(休暇や柔軟な勤務時間)を活用するのもおすすめです。
治療は生活スタイルに合わせて調整できるので、気軽に医師に相談してみましょう。
まとめ|「セルフチェック」をきっかけに早めの対応を
過多月経は、セルフチェックで早期に気づき、適切な対応を取ることが重要です。
出血量が多い、血塊が気になる、貧血症状がある場合、放置せず婦人科を受診しましょう。
月経記録を持参し、医師に相談することで、自分に合った治療法が見つかります。
気になる症状があるなら、セルフチェックをきっかけに、早めの行動を起こしてください。
参考資料・サイト一覧
1.慶応義塾大学病院 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000022/
2.厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001247948.pdf
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