薬ってなに?薬の種類や違いを解説

2020年8月3日

私たちは、風邪を引くとまず薬を求めて病院へ向かいます。しかし現代は、病院に行かなくてもネットや店頭で症状に合わせた薬が購入できる時代です。
ただ薬によってはネットや店頭で買えないものもあり、その区別がどのようにされているのか、一般人の多くは知りません。

そこで今回は「薬」をテーマにさまざまな視点から解説いたします。薬は身体に塗ったり、飲んだりするものですから知識として身に付けておくと安心です。

薬とは?

薬には複数の意味がある

薬は、以下に示したように複数の意味があります。

①病気や傷の治療のために、あるいは健康の保持・増進に効能があるものとして、飲んだり、塗ったり、注射したりするもの。医薬品。「胃の薬」
②殺虫剤・除草剤など、動植物に対して主に毒性を働かせるもの。「薬をまく」
③陶磁器の釉 (うわぐすり) 。釉薬 (ゆうやく) 。
④火薬。
⑤心やからだのためになること。特に、あやまちを改めるのに効果のある物事。「失敗もいい薬になるだろう」
⑥少額のわいろ。鼻ぐすり。「薬を利かせる」

[引用元]goo辞書:くすり「薬」の解説
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%96%AC_%28%E3%81%8F%E3%81%99%E3%82%8A%29/

以上より、医学の分野でかつ患者に健康の維持増進目的で使われる薬は「医薬品」や「治療薬」といった名前で区別して呼ばれています。
人の健康の維持増進目的で使われる薬にも種類があり、用法容量を守って正しく扱うためにも、それぞれどのようなものなのかをはっきり区別させておく必要があります。

医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品の違い

薬品は主に「医療用医薬品」と「要指導医薬品」「一般用医薬品」の3つに分かれています。
それぞれの特徴を知っておくと、薬を購入するときに見分けがついて便利です。

1. 医療用医薬品=処方箋をもとに調剤された薬

医療用医薬品とは、医師が出した処方箋に基づいて薬剤師が調剤した薬を指します。患者や病人は、病院やクリニックで診察をしてもらったときに渡される処方箋を持って、薬剤師に手渡すことで薬をもらえる仕組みです。そのため、医療用薬品ではなく「処方薬」とも呼ばれますが、同じ意味であると考えて構いません。

医療用医薬品の特徴は、薬効の高いものが多いという点です。

薬効が高いとそれだけ患者の身体も早く回復できるので、病を何とか早く治したい人は病院やクリニックに通った方がよいでしょう。ただ一方で、副作用にも注意が必要です。薬効が高いものほど副作用が強く、人によってはアレルギー症状を起こしてしまうこともあります。

しかし、基本的に処方箋は医師の的確な診断のもとで出されるもので、またその処方箋を調剤するときは薬剤師もチェックしています。したがっていくら副作用が強い薬でも、医師と薬剤師が用法容量をチェックしている以上、安全性に問題はありません。

2. 要指導医薬品=市販薬に転用して3年以内の薬

要指導医薬品とは、もともと医療用医薬品だったものが市販薬として転用されたばかりのものを指します。

市販薬として転用されることが決まった医療用医薬品は、原則3年間、要指導医薬品として店頭に並べられます。その期間に人の健康に害を及ぼす事象が起きなければ、一般用医薬品と名前を変えて販売されます。

それまでは、購入時に必ず薬剤師からの対面指導、情報提供を受けなければいけません。

3. 一般用医薬品=店頭やネットで買える薬の総称

上述したように、医療用医薬品が市販薬として転用するときは、1度「要指導医薬品」という段階を経ます。したがって一般用医薬品とは、その過程を経て安全性に問題がないと認められたものです。

一般用医薬品は、副作用や飲み合わせのリスクに応じて以下の3つに分けられます。

分類 詳細
第一類医薬品 一般用医薬品のなかでも、副作用や飲み合わせのリスクが高いとされていて、注意が必要な種類のこと。薬剤師による情報提供は義務。
第二類医薬品 第一類と比べると副作用や飲み合わせのリスクは高くないものの、注意が必要とされている種類のこと。薬剤師からの情報提供は努力義務。
第三類医薬品 副作用や飲み合わせのリスクが低い種類のこと。情報提供義務はない。

このように普段手にしている薬は、さまざまな分野に分かれておりそれぞれで対応や注意するべき度合なども異なります。そのため、たとえ第三類医薬品でも、医療用医薬品と飲み合わせるときは医師や薬剤師に相談しないと、副作用が起こってしまう可能性があります。決して自己判断せず専門知識を持った人の指示をあおぎましょう。

薬の種類

薬の種類一覧表
薬自体が、その副作用や薬効の強さからさまざまな部類にカテゴライズされているのと同じように、薬の種類もさまざまに分かれています。

以下に示す6つは、広義な意味で薬の種類として数えられるものです。

1. 医薬品

医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律、通称「薬機法(旧薬事法:2014年に名称変更)」によると医薬品は以下のように定義されています。

”この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)”

[引用元]電子政府の総合窓口e-Gov:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(第一章 総則 第二条)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145

条文のように治療、予防、診断目的で使用されるものを指します。

上述した医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品も医薬品として扱われています。

2. 医薬部外品

医薬部外品とは、文字通り「医薬品という部類から外れたもの」という意味を持ちます。薬機法には以下のように明確な線引きが成されています。

”この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの”

[引用元]電子政府の総合窓口e-Gov:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(第一章 総則 第二条)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145
また医薬品と医薬部外品はそれぞれ区別しやすいように必ず部類名を表記します。

医薬部外品の場合はそのまま医薬部外品と書かれており、医薬品は第一類から第三類までの種類が明記されています。

3. 化粧品

薬機法の定義によると化粧品は以下のように示されています。

”この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。”

[引用元]電子政府の総合窓口e-Gov:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(第一章 総則 第二条)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145

化粧品が医薬品や医薬部外品と異なるのは、病や身体の不調に特化したものではないとことです。

主に人の外見の美に特化したものが多く、体内より皮膚に塗擦・散布するものを指しています。一昔前までは「化粧品=女性が買うもの」という印象が強かったのですが、現在ではスキンケアやUVケアなどを中心に肌への美に気を遣う男性も増えてきました。

2018年に株式会社オールアバウトが20代~40代の男性329人に対し行なった「毎日のスキンケアとメイクアップ化粧品の使用率、興味度合」の調査によると、20代では約半数、30代は約4割が基礎化粧品を使用していることが判明しています。つまり、化粧品に対する需要は上昇傾向にあることがわかります。

4. 健康食品

健康食品に関しては法律上の定義がありません。したがって「健康の保持増進に資する食品」であれば、広い意味で健康食品に分類されます。[注1]

健康食品には種類があり「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つに分かれておりそれぞれ特徴が異なります。

特定保健用食品と栄養機能食品を以下で解説します。

5. 特定保健用食品

健康食品に分類されるひとつが特定保健用食品です。

特定保健用食品は別名「特保(トクホ)」と呼ばれており、「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」「おなかの調子を整える」「骨の健康に役立つ」といった表記がある商品などが有名です。
特定保健用食品は厚生労働省にて「生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品」と定義が定められており、この認可が下りるかどうかで商品の信頼性が変わると考えられています。

ジェネリック医薬品とは?

ジェネリック医薬品とは「開発の特許期間が満了を向かえたことで発売できるようになった後発薬」のことです。後発薬と聞くと、人によっては「最初に開発された薬の方が信用できるのではないか」と感じてしまうかもしれません。

ただジェネリック医薬品に関しては、後発だったとしても、使用している成分や有効率は先発薬と同じでありまた証明として厚生労働省からの認可を受けているため先発薬と変わらないのです。

なかには、先発薬よりも大きさや見た目に着目し飲みやすく改良したものもあります。

そしてジェネリック医薬品最大の特徴は、なんといってもコスパのよさです。健康保険組合連合会が発表した「2025年度に向けた国民医療費等の推計」によると、超高齢化社会になるといわれている2025年には、医療費も増加し2015年度「42.3兆円」の1.4倍「57.8兆円」にまでなると推計されています。[注2]

これだけ国の医療費負担が大きくなると、国民皆保険制度のなどの存続も危うくなる可能性も否定はできません。

ジェネリック医薬品はそんな医療費に対する負担を減らすうえでも一役買っているのです。

薬とサプリメントの違いって?

薬とサプリメントには、以下のような違いがあります。

項目 サプリメント
品質 品質が一定に保たれている メーカによって品質が異なる
対象 病気を抱える人が対象 健康な人、健康の維持増進を目的とした人が対象
管理・選択 管理・選択するのは主に医師と薬剤師 個人の自由である場合が多い

ここまで述べてきたように、薬は主に疾病からの回復や予防、診断に際して用いられるものであって、決して健康な人が飲み続けるものではありません。

一方サプリメントは健康な人が1日の摂取量が足りていないものを補うために用いる物であって、多くは食事から摂取が可能です。そのため薬とは異なり食品に近いといえるでしょう。

ただどちらも、用法容量を守り摂取しないと身体に異常をきたしてしまうため注意してください。

薬について正しい知識を持とう

薬は、現代医学においても優れたものです。しかしその裏に潜む副作用や依存症などの危険もあることを忘れてはいけません。

まずは薬にはどのようなときに飲むべきものなのかしっかり理解することが大切です。そしてどのような薬の種類があってサプリメントとは何が違うのかを理解しましょう。

[注1]厚生労働省:健康食品のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html

[注2]健康保険組合連合会:「2025年度に向けた医療・医療保険制度改革について」[pdf]
https://www.kenporen.com/include/press/2017/20170925_1.pdf

ここで解決!治験に関するFAQ

治験とはなんですか?
治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
治験って安全ですか?副作用はありませんか?
治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
健康被害が生じた場合は?
治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
都合のいい日程で参加ができますか?
治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。