眼圧が高いと診断されたり、緑内障の疑いがあると言われたりすると、「失明してしまうのではないか」と強い不安を感じることと思います。
「少しでも眼圧を下げたい」
「病院の治療以外に、自分でできることはないのか」
そう考えるのは当然のことです。
結論から申し上げますと、眼圧を下げる最も確実な方法は眼科での「適切な治療(点眼など)」です(参考:日本眼科学会 1)。
これを省いて自己流の対策だけで眼圧を下げることは困難であり、リスクが伴います。
しかし、日常生活の工夫によって「眼圧の上昇を防ぐ」「治療の効果をサポートする」ことは十分に可能です。
この記事では、眼科医療の標準的な見解に基づき、医学的に推奨される「眼圧ケアのための生活習慣」と、逆に眼圧を上げてしまう「避けるべきNG行動」について、具体的かつ分かりやすく解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
緑内障・高眼圧症でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
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まずは大前提!眼圧を下げる「唯一確実」な方法は治療
生活習慣のお話をする前に、最も大切なことをお伝えします。
眼圧を下げるための主役は、あくまで「眼科医による治療」です。
なぜ「目薬(点眼薬)」が最優先なのか
眼圧とは、眼球の硬さのことです。
これを一定に保っているのは「房水(ぼうすい)」という目の内部を流れる水です。
処方される点眼薬は、この房水の排出を促進したり、産生を抑えたりすることで、物理的に眼圧をコントロールします。
これは、食事や運動などの間接的な効果とは比較にならないほど、直接的で強力な作用があります(参考:日本眼科学会 1)。
自己判断での中断が一番のリスク
「目薬をさしても自覚症状が変わらない」「面倒くさい」といって自己判断で治療を中断してしまうことが、緑内障を悪化させる最大の要因の一つです。
生活習慣の改善は素晴らしいことですが、「生活習慣を変えたから、目薬はやめてもいい」とは絶対にならないことを心に留めておいてください(参考:日本眼科医会 2)。
レーザー治療・手術が必要なケースとは
点眼薬だけでは十分に眼圧が下がらない場合や、緑内障の進行が速い場合には、レーザー治療や手術が検討されます。
これらもすべて「房水の流れを良くして眼圧を下げる」という目的で行われます(参考:東京大学医学部眼科学教室 3)。
今日からできる!眼圧ケアに有効な生活習慣5選
治療を継続した上で、日常生活に取り入れられる「目に優しい習慣」をご紹介します。
これらは全身の健康にも良いため、無理のない範囲で続けてみましょう。
1. 【運動】「有酸素運動」が効果的!筋トレには注意が必要
適度な運動は、眼圧を下げる効果が期待できると言われています。
特におすすめなのは、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの「有酸素運動」です。
有酸素運動は眼圧を下降させる可能性があるという報告があります(参考:日本眼科学会 1)。
一方で、息を止めて強く力むような激しい筋力トレーニング(無酸素運動)は、一時的に眼圧を急上昇させるリスクがあります。
ベンチプレスなどで顔を真っ赤にして踏ん張るような動作(バルサルバ効果といいます)は、眼圧が高い方は避けたほうが無難です。
2. 【睡眠】「枕の高さ」と「寝る姿勢」で眼圧は変わる
実は、眼圧は寝ている間に変動しやすいことが知られています。
以下の点に注意して睡眠環境を整えましょう。
- うつ伏せ寝を避ける:
- 顔を下に向けると眼球が圧迫され、眼圧が上がりやすくなります。仰向け、または横向きで寝るようにしましょう(参考:日本眼科学会 1)。
- 枕の高さを調整する:
- 枕なしや極端に低い枕で寝ると、頭部に血液が溜まりやすくなり、眼圧が上昇するという研究報告があります。必ずしもすべての方に当てはまるわけではありませんが、頭の位置を少し高く保てる枕を選ぶのが良いと考えられています。
3. 【食事】抗酸化作用のある食品と嗜好品の付き合い方
「これを食べれば眼圧が下がる」という特効薬のような食材はありませんが、視神経を保護する栄養素を摂ることは大切です。
- 抗酸化作用のある食品:
- ビタミンA・C・Eやポリフェノールを含む野菜や果物は、視神経の酸化ストレスを軽減する可能性について研究が進められています。
- カフェイン:
- コーヒー等に含まれるカフェインは、大量に摂取すると一時的に眼圧を上げることがあります。1日1〜2杯程度なら問題ないとされていますが、飲み過ぎには注意しましょう(参考:日本眼科学会 1)。
- アルコール:
- 少量のアルコールは一時的に眼圧を下げることがありますが、効果が切れると元に戻ります(またはリバウンドで上がることも)。深酒は視神経に悪影響を与える可能性があるため、適量を心がけましょう。
4. 【水分補給】「がぶ飲み」は危険?正しい水の飲み方
水分を摂ることは大切ですが、一度に大量の水(例えば1リットルなど)を一気飲みすると、急激に眼圧が上昇することが知られています。
かつて緑内障の検査で「水飲みテスト」が行われていたことからも分かるように、短時間の大量飲水は眼圧に影響します(参考:日本眼科学会 1)。
コップ1杯程度の水を、こまめに回数を分けて飲むようにしましょう。
5. 【ストレスケア】自律神経と眼圧の意外な関係
ストレスを感じて交感神経が優位になると、血圧や血管の収縮に影響し、眼圧や眼血流に関与する可能性があります。
完璧主義にならず、「まあいいか」とリラックスする時間を持つことも、長期的な目の健康には重要です。
逆に眼圧を上げてしまう?避けるべき「NG行動」

知らず知らずのうちに行っている毎日の習慣が、実は目に負担をかけているかもしれません。
以下の行動には注意が必要です。
スマートフォン・読書時の「うつむき姿勢」
長時間、首を曲げて下を向く姿勢(うつむき姿勢)は、重力や静脈圧の影響で眼圧を高める可能性があります。
特にスマートフォンを見る際は、目の高さまで持ち上げて見るように意識するだけで、目への負担は大きく変わります。
首元を締め付ける服装(ネクタイ等)
きつすぎるネクタイや、首元が詰まったシャツなどは、首の静脈を圧迫し、頭部からの血液の戻りを悪くします。
これが眼圧上昇につながるという研究報告があります(参考:Br J Ophthalmol 4)。
デスクワーク中などは、ネクタイを少し緩めるなどの工夫をしましょう。
管楽器の演奏や激しいいきみ
トランペットやサックスなどの管楽器演奏は、強く息を吹き込む動作により、眼圧を上げることが分かっています。
趣味で演奏される方は、主治医に相談してみると良いでしょう。
同様に、トイレでの強いいきみも要注意です。
暗い部屋での長時間のスマホ操作
特に「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」のタイプや、遠視の方は注意が必要です。
暗い場所では瞳孔が開き、房水の出口(隅角)が狭くなるため、眼圧が急上昇して急性発作を起こすリスクがあります(参考:厚生労働省 5)。
寝る前のスマホは、部屋を明るくして行うか、控えるのがベストです。
眼圧が上がるメカニズムを知れば対策しやすい
なぜこれらの対策が必要なのか、少しだけ仕組みを解説します。
眼球の中には「房水(ぼうすい)」という透明な液体が循環しており、以下のバランスで眼圧が決まります。
- 作られる量: 毛様体という部分で房水が作られる。
- 排出される量: 隅角(線維柱帯)という出口から排出される。
このバランスが崩れ、「作られすぎる」または「排出されにくくなる」と、眼の中に水が溜まりすぎてパンパンになり、眼圧が上がります。
その結果、眼球の後ろにある「視神経」が圧迫されて傷つき、視野が欠けていくのが緑内障です。
生活習慣の改善は、主に「静脈圧を上げない(排出を邪魔しない)」ことや「血流を良くして視神経を強くする」ことに役立っています。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では緑内障・高眼圧症でお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
よくある疑問を解決(FAQ)
まとめ:正しい治療と生活習慣で、大切な目を守りましょう
眼圧を下げるために最も大切なことは、以下の2点に集約されます。
- 眼科での治療(点眼など)を毎日確実に続けること。
- 眼圧を上げない生活習慣(有酸素運動、睡眠、姿勢)を取り入れること。
「生活習慣だけで治そう」と無理をするのではなく、医療の力を借りながら、ご自身の生活の中で目に優しい選択を積み重ねていくことが、将来の視力を守る一番の近道です。
不安なことがあれば、自己判断せず、必ずかかりつけの眼科医に相談してください。
正しい知識を持って向き合えば、緑内障は決して怖いだけの病気ではありません。
- 日本眼科学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」 https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf
- 公益社団法人 日本眼科医会「緑内障ってどんな病気?」 https://www.gankaikai.or.jp/info/detail/glaucoma.html
- 東京大学医学部眼科学教室「緑内障」 https://www.todaiganka.jp/patient/sp_outpatient01/
- Teng C, Gurses-Ozden R, Liebmann JM, Tello C, Ritch R. “Effect of a tight necktie on intraocular pressure.” Br J Ophthalmol. 2003;87(8):946-948. https://bjo.bmj.com/content/87/8/946
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 緑内障」 https://www.pmda.go.jp/files/000231680.pdf
- 国立国際医療研究センター病院「緑内障とは」 https://www.hosp.jihs.go.jp/aboutus/medicalnote/s033/002/index.html
