「白血病は治る病気ですか?」
「5年生存率が低いと書いてあって不安です」
ご自身やご家族が白血病と診断されたとき、真っ先に気になるのが「治る確率」ではないでしょうか。
インターネットで検索すると「生存率80%」という希望の持てる数字もあれば、「40%以下」という厳しい数字も目に入ります。
どれを信じていいのか分からず混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、白血病の治る確率は、病気の「種類(タイプ)」と患者さんの「年齢」によって、90%近くから20%以下まで劇的に異なります。
ひとくくりに語ることはできません(参考:国立がん研究センター 1)。
この記事では、国立がん研究センターや日本血液学会発行のガイドラインなど信頼できる公的データを基に、白血病のタイプ別・年齢別の生存率と、統計データを見る際の注意点について解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
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白血病の「治る確率」は1つの数字では語れない
なぜネット上の生存率はバラバラなのか?
インターネット上で見かける「白血病の5年生存率は約44%」といった数字は、すべての種類の白血病患者さんをあわせた「平均値」であることが多いです。
そのため、個々の患者さんの見通しを知る上ではあまり意味がありません(参考:国立がん研究センター 1)。
白血病は、がん化した細胞の種類や増え方によって、主に以下の4つに分類されます。
- 急性骨髄性白血病 (AML)
- 急性リンパ性白血病 (ALL)
- 慢性骨髄性白血病 (CML)
- 慢性リンパ性白血病 (CLL)
これらは名前こそ似ていますが、治療法も予後(治る見込み)も全く異なる「別の病気」と考えたほうがよいでしょう。
さらに、同じ病名でも「小児か、成人か、高齢者か」によって、治療への反応性が大きく変わります(参考:日本血液学会 2)。
「治癒(完治)」と「寛解(かんかい)」の違い
数字を見る前に知っておきたいのが、「治癒」の定義です。
白血病の治療では、まず抗がん剤などを使って、検査でがん細胞が見つからない状態を目指します。これを「寛解(かんかい)」と言います。
しかし、寛解=完治ではありません。
目に見えない微量のがん細胞が残っている可能性があるため、さらに治療(地固め療法など)を続けます。
一般的に、治療終了後に再発することなく5年以上経過した場合などに、医学的に「治癒」(いわゆる完治)とみなされることが多くなります。
したがって、以下の生存率データは「診断から5年後にご存命である確率」を一つの目安としています。
【種類・年齢別】白血病の5年生存率と予後

ここでは、代表的な種類ごとの傾向を解説します。
※以下の数値は過去の統計データに基づく目安であり、個人の余命を確定するものではありません。
1. 急性リンパ性白血病 (ALL)|小児と成人で大きな差
このタイプは、小児と成人で治療成績に最も大きな差があります。
- 小児(特に1歳〜9歳)
- 小児がんの中で最も多いのがこのタイプですが、治療成績は劇的に向上しています。化学療法への反応が非常に良く、長期生存率(治癒率)は80%を超えています(参考:国立成育医療研究センター 3)。かつては不治の病と恐れられましたが、現在は「治る病気」の代表例となっています。
- 成人(15歳以上)
- 一方、成人の場合は小児に比べて抗がん剤が効きにくい傾向があります。かつては厳しい治療成績でしたが、現在はフィラデルフィア染色体などの遺伝子タイプに応じた「分子標的薬」の併用や、造血幹細胞移植(骨髄移植など)を行うことで、生存率は向上しています(参考:国立がん研究センター 4)。
2. 急性骨髄性白血病 (AML)|年齢がカギを握る
成人の急性白血病で最も多いタイプです。
- 65歳未満の若年層
- 適切な化学療法や、必要に応じた移植療法を行うことで、完治を目指せます。5年生存率は全体で約30〜40%程度というデータがありますが、リスク分類(予後良好群)によっては60〜70%以上の高い生存率が期待できるケースもあります(参考:日本血液学会 2)。
- 高齢者(65歳以上)
- 高齢になると、強力な抗がん剤治療や移植を行う体力がない場合が多く、治療の選択肢が限られてきます。そのため、生存率は10〜20%程度まで低下する傾向にあります。ただし、近年は高齢者でも使用可能な新しい薬剤が登場しており、治療方針は日々進化しています。
3. 慢性骨髄性白血病 (CML)|「不治の病」からの劇的変化
かつては造血幹細胞移植しか根治の方法がない難しい病気でしたが、2001年に登場した分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)によって状況は一変しました。
現在は、飲み薬を継続して服用し適切なコントロールを行うことで、多くの患者さんが長期生存できるようになっています(参考:国立がん研究センター 5)。
CMLは「死に至る病」から「高血圧や糖尿病のように、薬でコントロールしながら天寿を全うできる慢性疾患」へとパラダイムシフトが起きています。
4. 慢性リンパ性白血病 (CLL)
欧米人に多く、日本人には比較的少ないタイプです。
進行が非常にゆっくりであることが特徴で、診断されてもすぐには治療をせず、数年間「経過観察」となることも珍しくありません。
5年生存率は約70%前後と比較的良好です(参考:日本血液学会 2)。
「生存率」の数字以上に大切な「最新治療」の希望
インターネットで検索して出てくる「5年生存率」のデータを見る際、どうしても知っておいていただきたいことがあります。
それは、「統計データは、常に過去のもの」だということです。
統計データは「5年前の医療」の結果です
例えば「2025年に発表された5年生存率」は、2018年〜2019年頃に診断され、治療を開始した患者さんのデータです。
医学の世界における5年という月日は、非常に長い時間です。
その間にも、新しい分子標的薬や、患者さんの免疫細胞を使うCAR-T療法など、画期的な新薬や治療法が次々と承認されています。
つまり、これから治療を始めるあなたの「治る確率」は、ネット上の古い統計データよりも高くなっている可能性が十分にあるのです。
悲観しすぎず、正しい情報を味方に
「生存率30%」という数字を見ると、「10人中7人は助からない」と考えて絶望してしまうかもしれません。
しかし、これはあくまで集団全体の平均値です。
医学は進歩しています。
個々の患者さんの遺伝子タイプを詳しく調べ、そのタイプに最も効く薬を選ぶ「プレシジョン・メディシン(精密医療)」も普及し始めています。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では白血病でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
まとめ:確率はあくまで目安。主治医と「あなた」の治療を
白血病の治る確率は、種類や年齢、そして遺伝子のタイプによって大きく異なります。
- 小児ALLや慢性骨髄性白血病は、高い確率で長期生存が期待できる時代です。
- 成人の急性白血病や高齢者の場合も、新薬や移植技術の進歩で治療成績は向上しています。
ネット上の数字だけに惑わされず、まずは主治医に「自分の白血病の詳しいタイプ(サブタイプ)」と「リスク分類」を確認してみてください。
それが、あなたにとっての本当の「治る確率」と、最適な治療法を知る第一歩になります。
参考資料・文献一覧
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(白血病) https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/27_aml.html
- 一般社団法人日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)」 http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/table.html
- 国立成育医療研究センター「小児急性リンパ性白血病における維持療法の意義を確認」 https://www.ncchd.go.jp/press/2016/ALL-maintenance-therapy.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「急性リンパ性白血病」 https://ganjoho.jp/public/cancer/ALL/index.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス「慢性骨髄性白血病」 https://ganjoho.jp/public/cancer/CML/index.html
- 公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ「小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン 2016年版」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00324/
- 特定非営利活動法人 成人白血病治療共同研究機構 (JALSG) 「白血病の基礎知識」 https://www.jalsg.jp/leukemia
