甲状腺機能低下症や橋本病と診断されると、「毎日の食事で何を避ければいいのだろう?」と不安になる方は少なくありません。インターネット上には「海藻はダメ」「大豆も控えるべき」といった情報があふれており、結局何を食べればよいのか混乱してしまうこともあるでしょう。

この記事では、甲状腺機能低下症の方が食事で気をつけるべきポイントについて、医学的な視点から分かりやすく解説します。過度な心配をせず、美味しく健康的な食生活を送るための参考にしてください。

甲状腺機能低下症でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。

※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などに対する支給です。

治験ジャパンでは、医療費の負担を軽減しながら最新治療を受ける機会をご提供しています。

  • 通院1回につき約1万円、入院1泊あたり約2万円が負担軽減費の相場
  • 法律・規則に基づいた安心・信頼できる治験のみを紹介

安全に配慮された環境下で実施されている治験のみをご案内しています。

詳しくはこちら

【結論】甲状腺機能低下症で「絶対に食べてはいけないもの」はあるのか?

まず結論からお伝えすると、一般的な甲状腺機能低下症(橋本病を含む)において、日常的に「絶対に一口も食べてはいけない」という毒のような食品は基本的にはありません(参考:日本内分泌学会 1)。

多くの医師が指導するのは、特定の食品を完全に断つことではなく、「過剰摂取を避けること」です。

ただし、以下のような特定の状況下では、厳格な「ヨウ素(ヨード)制限」が必要になる場合があります。

  • ヨウ素の過剰摂取が原因で甲状腺機能低下症になっている場合
  • 甲状腺の検査(放射性ヨウ素検査)や治療(アイソトープ治療)を行う前

医師から「ヨウ素制限食」の指示が出ていない限り、神経質になりすぎて栄養バランスを崩すことの方が健康へのデメリットになります。まずは「量に気をつける」というスタンスで読み進めてください。

甲状腺機能低下症(橋本病)で注意が必要な「ヨウ素」を含む食品

甲状腺の病気で最も注意が必要な成分が「ヨウ素(ヨード)」です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料になる大切な栄養素ですが、慢性甲状腺炎(橋本病)のある方が大量に摂りすぎると、逆に甲状腺の働きを弱めてしまうことがあります(参考:日本内分泌学会 1)。

特にヨウ素が多い食品リスト

以下の食品はヨウ素含有量が非常に多いため、常食したり大量に食べたりすることは避けたほうが安心です(参考:厚生労働省 2)。

  • 昆布(コンブ): ダントツでヨウ素が多い食品です。おやつ昆布、とろろ昆布、昆布の佃煮などは控えめにしましょう。
  • ひじき: 昆布ほどではありませんが、比較的含有量が多い海藻です。
  • 根昆布水: 健康法として飲まれることがありますが、ヨウ素が凝縮されているため注意が必要です。

適量なら問題ない食品

「海藻はすべてダメ」と思われがちですが、以下の食品はヨウ素を含んではいるものの、昆布に比べれば含有量は少なめです。常識的な範囲(小鉢1皿程度や味噌汁の具など)であれば、毎日食べ続けない限り問題ないとされることが多いです。

  • わかめ
  • 海苔(焼き海苔、味付け海苔)
  • もずく
  • 寒天
  • 魚介類(魚自体にはそれほど多くのヨウ素は含まれていません)

意外な落とし穴

食材そのものだけでなく、調味料やサプリメントにも注意が必要です。

  • 昆布だし: 和食のベースとなる「だし」にもヨウ素は溶け出しています。毎日の味噌汁をかつおだしや合わせだしに変えるなどの工夫が有効です。
  • イソジンなどのうがい薬: ポビドンヨードを含むうがい薬を頻繁に使用・誤飲すると、粘膜からヨウ素が吸収されます。
  • マルチビタミン等のサプリメント: 海外製のサプリメントにはヨウ素が添加されていることがあるため、成分表示を確認しましょう。

なぜヨウ素がいけないのか?

健康な人であれば、余分なヨウ素は尿として排出され、甲状腺機能は一定に保たれます。しかし、橋本病などの素因がある場合、過剰なヨウ素が甲状腺に負担をかけ、ホルモンの合成を抑制してしまう現象(アコフ-チャイコフ効果)が起こりやすくなるためです。

よく検索される「その他の食品」についての真実

ヨウ素以外にも、インターネット上では「食べてはいけない」と噂される食品があります。これらについての医学的な見解を整理します。

大豆製品(納豆・豆腐)は食べてもいい?

「大豆は甲状腺によくない」という説を見かけることがありますが、これは大豆に含まれるイソフラボンなどの成分に甲状腺ホルモンの合成を阻害する可能性(ゴイトロゲン作用)が示唆されているためです(参考:厚生労働省 2)。

しかし、一般的な日本の食生活で食べる量(納豆1パックや豆腐半丁程度)であれば、甲状腺機能への悪影響はほとんどないと考えられています。あえて禁止する必要はありませんが、サプリメントなどで極端に大量摂取することは避けましょう。

一方で、後述するように「甲状腺ホルモン薬(チラージンSなど)との飲み合わせ」には注意が必要です(参考:あすか製薬株式会社 3)。

アブラナ科の野菜(キャベツ・ブロッコリー)

キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜にも、甲状腺腫誘発物質(ゴイトロゲン)が含まれています。これも大豆と同様、大量に生で食べ続けない限り問題になることは稀です(参考:厚生労働省 2)。

加熱することで成分が不活性化するため、気になる場合は温野菜やスープにして食べると良いでしょう。

コーヒーやアルコールなどの飲み物

飲み物に関しては、直接的に甲状腺機能を悪化させるものは知られていません。ただし、コーヒーは薬の吸収を妨げる可能性があるため、服薬とのタイミングには注意が必要です(参考:あすか製薬株式会社 3)。

アルコールも適量であれば問題ありませんが、甲状腺機能低下症により代謝が落ちている時期は、お酒が抜けにくくなることがあるため、飲み過ぎには注意してください。

甲状腺薬(チラージン)を服用している場合の食事ルール

甲状腺機能低下症の治療で「チラージンS(レボチロキシンナトリウム)」などのホルモン薬を服用している場合、食事の内容よりも「タイミング」が重要になります。

薬の吸収を妨げるもの

チラージンは、他の成分と一緒に胃に入ると吸収が悪くなる性質があります。特に以下のものと同時に摂取するのは避けましょう(参考:あすか製薬株式会社 3)。

  • 鉄剤や鉄分豊富な食品
  • カルシウム剤やカルシウム豊富な食品(牛乳など)
  • 亜鉛サプリメント
  • 食物繊維の多いもの(きな粉、青汁など)
  • コーヒー(カフェイン)
  • 大豆製品(きな粉、豆乳など高濃度のもの)

服薬と食事の時間を空ける

医師や薬剤師の指示通りに服用することが基本ですが、一般的には「起床直後の空腹時」や「就寝前」など、食事と時間を空けて服用することが推奨されます。朝食で牛乳やコーヒーを飲む習慣がある方は、薬を飲んでから30分〜1時間ほど時間を空けると、薬の効果を安定させやすくなります(参考:あすか製薬株式会社 3)。

甲状腺機能低下症の人が意識したい「推奨される食生活」

「避けるもの」ばかりに目を向けると食事が楽しくなくなってしまいます。甲状腺機能低下症の特徴を踏まえた、ポジティブな食事の工夫をご紹介します。

代謝低下による体重増加への対策

甲状腺ホルモンが不足すると基礎代謝が下がり、どうしても太りやすくなります。極端なダイエットは体に負担をかけますが、以下の点を意識しましょう。

  • 高タンパク・低脂質: 筋肉を維持して代謝を落とさないよう、肉、魚、卵などのタンパク質をしっかり摂る。
  • 良質な油: 揚げ物などの油は控え、オリーブオイルや青魚の油(オメガ3)などを選ぶ。

便秘対策

甲状腺機能低下症の代表的な症状の一つに「便秘」があります。腸の動きが鈍くなるためです。

  • 水溶性食物繊維: 果物、オクラ、海藻類(適量)など、便を柔らかくする繊維を摂る。
  • 水分摂取: 水分不足は便秘を悪化させるため、こまめに水を飲む。

身体を冷やさない工夫

代謝が落ちると「冷え」を感じやすくなります。冷たい飲み物や生野菜のサラダばかりではなく、温かいスープや鍋料理、生姜などの体を温める食材を積極的に取り入れましょう。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では甲状腺機能低下症でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

  • 最新の治療をいち早く受けられることがある
  • 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
  • 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

治験ジャパンに登録する

自己判断での過度な制限は危険!医師への相談ポイント

最後に、最も大切なことをお伝えします。「ヨウ素は怖いから全く摂らない」という極端な制限は、逆に「ヨウ素欠乏」による甲状腺腫を引き起こすリスクがあります。また、必要な栄養素まで不足してしまうかもしれません。

甲状腺の状態は人それぞれ異なります。「今の自分の数値で、海藻類はどの程度控えるべきか?」「昆布だしは使ってもいいか?」といった疑問は、必ず主治医に確認してください。

定期的な血液検査の結果を見ながら、医師と一緒に食事の調整をしていくことが、病気と上手に付き合う一番の近道です。