「下着のゴムが当たっていた場所がみみず腫れになっている」
「重いバッグをかけていた肩が赤く腫れて痒い」
このような症状にお悩みではありませんか?
それは、皮膚への物理的な刺激によって引き起こされる「機械性蕁麻疹(きかいせいじんましん)」や「物理性蕁麻疹(ぶつりせいじんましん)」と呼ばれる反応の可能性があります(参考:日本皮膚科学会 1)。
これらの蕁麻疹は原因がはっきりしているため、適切な対処を行えば症状をコントロールしやすい疾患です。
しかし、「いつまでも治らない」「薬を飲み続けないといけないの?」といった不安を抱える方も少なくありません。
この記事では、下着の締め付けや摩擦が引き起こす蕁麻疹の正体から、今すぐできる「刺激の回避策」、そして医療機関での標準的な治療法について、医学的エビデンスに基づき解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

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機械性蕁麻疹(物理性蕁麻疹)とは?原因と特徴
蕁麻疹には多くの種類がありますが、外部からの物理的な刺激が引き金となって発症するものを総称して「物理性蕁麻疹」と呼びます。
その中でも、こすれや圧迫などの機械的な刺激によるものがこれに含まれます(参考:日本皮膚科学会 1)。
圧迫・摩擦・振動…「機械的刺激」が引き金
私たちの皮膚の下にある「マスト細胞(肥満細胞)」は、何らかの刺激を受けるとヒスタミンという物質を放出します。
これが血管に作用し、皮膚の赤みや膨らみ(膨疹)、強い痒みを引き起こします。
最近の研究では、マスト細胞が物理的な力(皮膚の伸展など)を感知するセンサーを持っていることが解明されており、下着やベルトによる締め付けが直接的な刺激となって反応を引き起こすことが分かっています(参考:山梨大学 2)。
主な刺激には以下のようなものがあります。
- 摩擦・擦過:
- 衣服のこすれ、タオルでこする(機械性蕁麻疹/皮膚描記症)
- 持続的な圧迫:
- 下着のゴム、ベルト、きつい靴下、椅子に座り続けること(遅延性圧蕁麻疹)
- 振動:
- 工事現場のドリル作業、乗馬、マッサージ機など(振動性血管性浮腫)
一般的な蕁麻疹との違い
一般的な蕁麻疹(特発性蕁麻疹)の70〜80%は、明確な原因が特定できません(参考:山梨大学医学部附属病院 3)。
一方、物理性蕁麻疹は「物理的な刺激が加わった場所にだけ症状が出る」という明確な特徴があります。
原因が特定しやすいため、その原因を取り除くことが治療の基本かつ最優先事項となります。
症状の特徴(機械性蕁麻疹・皮膚描画症)
物理性蕁麻疹の一種に「機械性蕁麻疹(皮膚描画症)」と呼ばれるものがあります。
これは、爪やペン先などで皮膚をひっかくと、その線に沿って皮膚が赤く盛り上がる現象です(参考:日本皮膚科学会 4)。
健康な人でも強くこすれば赤くなりますが、この疾患の方はわずかな刺激でもくっきりとみみず腫れになり、痒みを伴うことが多いのが特徴です。
【治し方①】まずは原因を取り除く「刺激の回避」

物理性蕁麻疹の最大の治療法であり、予防法でもあるのが「原因となる刺激を避けること」です(参考:日本皮膚科学会 1)。
薬を飲んでいても、刺激を与え続けていては症状の改善は難しくなります。
服装・下着の見直しポイント
皮膚を締め付ける服装は、蕁麻疹の悪化因子となります。
- 下着: ワイヤー入りのブラジャーや、ゴムのきついパンツは避けましょう。シームレス(縫い目のない)タイプや、カップ付きインナーなどの締め付けが少ないものが推奨されます。
- 素材: 化学繊維やウールなどのチクチクする素材は摩擦の原因になります。肌に直接触れるものは綿(コットン)やシルクなど、肌触りの良い天然素材を選びましょう。
- サイズ感: スキニーパンツや補正下着など、体に密着して圧迫するものは避け、ゆとりのあるサイズを選んでください。
日常生活での物理刺激対策
意外な行動が刺激になっていることもあります。
- バッグ: 重いショルダーバッグやリュックは、肩や背中に強い圧迫と摩擦を与えます。手提げに変えるか、荷物を減らして軽量化しましょう。
- 座り方: 長時間のデスクワークや硬い椅子への着座は、お尻や太ももへの圧迫になります(遅延性圧蕁麻疹の原因)。クッションを活用し、こまめに立ち上がって圧を逃がしましょう。
- 入浴: ナイロンタオルでゴシゴシ洗うのは厳禁です。たっぷりの泡で、手のひらを使って優しく洗ってください。
患部への応急処置(冷やす・掻かない)
痒みが出たとき、絶対にやってはいけないのが「掻くこと」です。
機械性蕁麻疹の方にとって、「掻く」という行為そのものが新たな「機械的刺激」となり、さらに蕁麻疹を広げてしまう悪循環に陥ります。
痒みが強いときは、保冷剤をタオルで包んで患部を冷やしてください(※寒冷蕁麻疹がある場合は除きます)。
冷やすことで血管が収縮し、痒みが和らぐことが期待できます。
【治し方②】医療機関での「薬物療法」と治療期間
生活習慣の改善だけでは症状が治まらない場合、薬物療法が必要です。
皮膚科では、日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた標準治療が行われます。
第一選択薬「抗ヒスタミン薬」の効果
治療の中心となるのは、飲み薬である「抗ヒスタミン薬」(または抗アレルギー薬)です(参考:日本皮膚科学会 1)。
体内で放出されたヒスタミンの働きをブロックし、痒みや膨らみを抑えます。
- 機械性蕁麻疹(皮膚描記症):
- 抗ヒスタミン薬が比較的よく効くとされています。
- 遅延性圧蕁麻疹:
- 抗ヒスタミン薬の効果が十分に得られない場合があり、その場合は圧迫の回避がより重要になります。
「治らない」と不安な方へ:治療のゴールと期間
蕁麻疹治療のゴールは、「薬を飲んでいれば症状が出ない状態」を長く維持し、皮膚の過敏性を落ち着かせてから、「徐々に薬を減らしても症状が出ない状態」へ持っていくことです(参考:日本アレルギー学会 5)。
- 初期: 薬を飲んで症状を抑え込む。
- 維持期: 症状が出なくなっても、自己判断でやめずにしばらく薬を続ける。
- 減量期: 医師の指示のもと、薬の量を減らしたり、飲む間隔を空けたりして、再発しないか確認しながら卒業を目指す。
慢性化している場合、数ヶ月〜年単位の治療が必要になることもありますが、焦らず治療を継続することが重要です。
病院へ行くべき目安(危険なサイン)
基本的には皮膚科の受診をおすすめしますが、以下のような症状が伴う場合は、緊急性が高いためすぐに受診してください。
- まぶたや唇が急激に腫れる(血管性浮腫の可能性)
- 息苦しい、呼吸がしにくい(気道が腫れている可能性)
- 腹痛、吐き気、下痢がある
機械性蕁麻疹とストレス・体質の関係
ストレスは蕁麻疹を悪化させる要因
ストレスや疲労、睡眠不足は蕁麻疹の症状を悪化させる要因の一つとして知られています(参考:日本皮膚科学会 1)。
普段なら痒くならない程度の軽い刺激でも、疲れているときは激しい蕁麻疹が出ることがあります。
十分な睡眠と休息をとることも立派な治療の一つです。
食事や生活習慣で気をつけること
機械性蕁麻疹には、基本的に「食べてはいけないもの」はありません。
特定の食品アレルギーとはメカニズムが異なるためです。
ただし、アルコールや香辛料の摂取、熱いお風呂などは血行を良くし、痒みを増強させる可能性があります。
症状が強く出ている時期は、これらを控えたほうが無難です。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では蕁麻疹でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
よくある質問(FAQ)
Q. お風呂上がりに悪化するのはなぜですか?
A. 入浴によって体が温まると血行が良くなり、痒みを感じやすくなるためです。また、体を拭く際のタオルの摩擦も刺激になります。お湯の温度はぬるめにし、タオルは押し当てるようにして水分を拭き取りましょう。
Q. 市販の塗り薬だけで治せますか?
A. 塗り薬は今ある痒みを一時的に和らげる効果は期待できますが、蕁麻疹は皮膚の内部の反応であるため、根本的に抑えるためには抗ヒスタミン薬の内服が推奨されます(参考:日本アレルギー学会 5)。
Q. 完全に治るまでどれくらいかかりますか?
A. 個人差が大きく、数週間で治る場合もあれば、数ヶ月以上続く場合もあります。しかし、適切な薬物療法と刺激の回避を続ければ、多くの人は薬を飲まなくても症状が出ない状態(寛解)に到達できます。焦らず医師と相談しながら治療を進めましょう。
まとめ
機械性蕁麻疹(物理性蕁麻疹)の治療と対策のポイントは、以下の3点に集約されます。
- 「物理的刺激」の徹底的な回避
- 下着やベルトの締め付け、バッグによる圧迫など、マスト細胞を刺激する物理的な要因を取り除くことが、治療の第一歩であり最大の予防策です。
- 抗ヒスタミン薬による症状のコントロール
- 症状が出ている間は、医師の指示に従って抗ヒスタミン薬を服用し、痒みと膨疹を抑えます。自己判断で中断せず、症状が落ち着いた状態を維持することが重要です。
- 焦らず長期的な視点を持つ
- 原因がはっきりしている分、対策は立てやすい疾患ですが、体質改善(過敏性の低下)には時間がかかることもあります。「治らない」と悲観せず、生活習慣を見直しながら根気よく治療を続けましょう。
痒みは生活の質(QOL)を大きく下げる要因です。
我慢せずに皮膚科専門医に相談し、自分に合った治療と生活の工夫を見つけていくことをお勧めします。
参考資料・文献一覧
- 日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00551/
- 国立大学法人山梨大学「プレスリリース:ベルトや下着などの締め付けによって蕁麻疹が起こるメカニズムを解明」 https://www.yamanashi.ac.jp/50653
- 山梨大学医学部附属病院 アレルギーセンター「疾患別メニュー:じんま疹」 https://yallergy.yamanashi.ac.jp/ynavi/disease/d-22
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A Q11 蕁麻疹の種類」 https://qa.dermatol.or.jp/qa9/q11.html
- 一般社団法人日本アレルギー学会「蕁麻疹(じんましん)/Q&A」 https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=12
