「夜、布団に入ってもなかなか寝付けない」

「夜中に何度も目が覚めてしまい、朝疲れが取れていない」

こうした睡眠の悩みは、日中の集中力低下や気分の落ち込みを招き、生活の質を大きく下げてしまいます。

「なんとかして眠りたい」と焦れば焦るほど、目が冴えてしまう悪循環に陥っている方も多いのではないでしょうか。

不眠症は、適切な対処を行えば改善できる疾患です。

多くの場合、まずは生活習慣を見直すことで、睡眠の質を向上させることができます(参考:厚生労働省 1)。

この記事では、薬に頼らず今日から実践できる「自力でできる不眠症の治し方(セルフケア)」を中心に、やってはいけないNG行動などを徹底解説。

また、医療機関を受診すべきタイミングまで網羅的にご紹介します。

まずはご自身でできることから、少しずつ試してみましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

不眠症でお困りの方へ

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まず確認!不眠症を「自力で治す」ための基礎知識

本格的な対策を始める前に、まずは「不眠症」についての基本的な知識を確認しておきましょう。

単なる「寝不足」とは違う?

誰でもストレスや環境の変化で一時的に眠れなくなることはあります。

これは生理的な反応であり、通常は数日で元に戻ります。

しかし、睡眠トラブルが1ヶ月以上続き、日中の活動(仕事、家事、学業など)に支障が出ている状態であれば、「不眠症」と診断される可能性があります(参考:国立精神・神経医療研究センター 5)。

不眠症の4つのタイプ

ご自身の症状はどれに当てはまりますか?

  • 入眠障害: 布団に入っても30分〜1時間以上寝付けない。
  • 中途覚醒: 夜中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか眠れない。
  • 早朝覚醒: 起きたい時間より2時間以上早く目が覚めてしまう。
  • 熟眠障害: 睡眠時間は確保できているはずなのに、深く眠った気がしない(参考:国立精神・神経医療研究センター 5)。

不眠症は自分で治せる?

発症してから日が浅い場合や症状が軽度であれば、生活習慣(睡眠衛生)の改善だけで症状が消失することも珍しくありません。

また、慢性化している場合でも、セルフケアは治療の土台となります。

今日から実践!不眠症を改善する「睡眠衛生(セルフケア)」8選

ここからは、医学的にも推奨されている効果的なセルフケアを8つご紹介します。

一度に全てやる必要はありません。

できそうなものから一つずつ取り入れてみてください。

1. 朝の習慣:起床後に太陽の光を浴びる

人間の体内時計は24時間よりも少し長めにできており、放っておくと後ろにずれていきます。

このズレをリセットするのが「朝の太陽光」です。

 朝、光を浴びてから十数時間後に、眠気を誘うホルモン「メラトニン」が分泌され始めます。

つまり、朝の行動が夜の眠りを予約しているのです。

曇りや雨の日でも、窓際で外の光を見るだけで効果が期待できます(参考:厚生労働省 1)。

2. 食事の習慣:朝食で体内時計を整える

朝食をとることは、脳だけでなく、胃腸などの末梢時計をリセットし、リズムを整えるために重要です。

また、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となる「トリプトファン」は、体内で生成できないため食事から摂る必要があります

大豆製品や乳製品などを朝食に取り入れることは、栄養面からも良質な睡眠への助けとなるでしょう(参考:厚生労働省 1)。

  • おすすめ食材: バナナ、大豆製品(納豆、味噌汁、豆乳)、卵、乳製品など。

3. 運動の習慣:夕方の軽いウォーキング

人の体は、一度上がった「深部体温(体の中心の温度)」が下がるときに強い眠気を感じる仕組みになっています。

夕方から夜(就寝の3時間くらい前)に軽い運動をして体温を少し上げておくと、就寝時に向けて体温がスムーズに下がり、寝付きが良くなります。

激しい筋トレである必要はありません。

早歩きのウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動が効果的です(参考:厚生労働省 1)。

4. 入浴の習慣:就寝1〜2時間前に40度のお湯に浸かる

運動と同じ原理で、入浴も深部体温のコントロールに有効です。

理想的なタイミングは就寝の1〜2時間前です。

熱すぎるお湯(42度以上)は交感神経を刺激して目を覚ましてしまうため、38〜40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることが推奨されています。

お風呂から上がって湯冷めしていく過程で、自然な眠気が訪れます(参考:厚生労働省 4)。

5. 夜の環境:照明を落とし、「寝るモード」を作る

夜になっても部屋が明るすぎると、脳が「まだ昼だ」と勘違いしてメラトニンの分泌を抑制してしまいます。

夕食後は部屋の照明を少し落とし、蛍光灯の白い光よりも、暖色系(オレンジ色)の優しい光に切り替えましょう

これだけでも、脳がリラックスモードに入りやすくなります(参考:厚生労働省 1)。

6. 思考の習慣:ベッドの上で悩み事をしない

不眠に悩む方は、ベッドに入ると「また眠れないのではないか」「明日の仕事はどうしよう」と不安や悩み事を考えてしまいがちです。

これを繰り返すと、脳が「ベッド=悩む場所・眠れない場所」と学習してしまいます。

  • 眠くなったらベッドに入る。
  • もし眠れないときは、無理に寝ようとせず一度ベッドから出る。
  • 悩み事があるときは、寝室以外の場所で紙に書き出し、終わったら「考える時間は終わり」と区切る。

このように、ベッドを「眠るためだけの場所」として脳に再学習させることが重要です(参考:国立精神・神経医療研究センター 6)。

7. ツボ押し・リラックス法を取り入れる

副交感神経を優位にするために、リラックス法を取り入れましょう。

  • 筋弛緩法:
    • 手足や肩にギュッと力を入れて5秒キープし、一気に脱力して10〜20秒リラックスする。これを繰り返すと、体の力が抜けて眠りやすくなります(参考:国立精神・神経医療研究センター 2)。
  • リラックスのツボ:
    • 東洋医学では、足の裏にある「失眠(しつみん)」などのツボがリラックスに役立つと言われています。お風呂上がりなどに試してみるのも良いでしょう。

8. 睡眠日誌をつけて自分のリズムを知る

「何時に布団に入ったか」「何時に眠れたか(推定)」「何時に起きたか」「日中の気分」などを記録する「睡眠日誌」をつけるのもおすすめです。

自分の睡眠パターンや、「お酒を飲んだ日は眠りが浅い」などの傾向を客観的に把握でき、対策が立てやすくなります(参考:国立精神・神経医療研究センター 2)。

良かれと思って逆効果?睡眠の質を下げる「NG行動」

治し方と同じくらい重要なのが、「睡眠を妨害する習慣をやめる」ことです。

寝酒(アルコール)

「お酒を飲むとよく眠れる」というのは誤解です。

確かに寝付きは良くなることがありますが、アルコールが分解される過程で交感神経が刺激され、睡眠の後半で中途覚醒や早朝覚醒が増えます

結果として睡眠の質は著しく低下するため、寝酒は控えましょう(参考:日本睡眠学会 3)。

寝る直前のスマホ操作

スマートフォンやパソコンから発せられる「ブルーライト」は、太陽光に近い性質を持っており、メラトニンの分泌を抑制して脳を覚醒させてしまいます。

できれば就寝の1時間前、少なくとも30分前にはデジタル機器を手放しましょう(参考:国立精神・神経医療研究センター 6)。

休日の「寝だめ」

平日の睡眠不足を解消しようと、休日に昼過ぎまで寝てしまうと、体内時計が大きく狂ってしまいます(社会的ジェットラグ)。

日曜の夜に眠れなくなり、月曜の朝が辛くなる原因です。

休日の起床時間は、平日との差を2時間以内に留めましょう(参考:厚生労働省 1)。

セルフケアで改善しない場合は?病院へ行くべき「受診の目安」

セルフケアを続けても改善が見られない場合、専門医による治療が必要な段階かもしれません。

無理に自力で治そうとせず、以下の目安を参考に受診を検討してください。

  • 期間: 不眠の症状が週に3回以上あり、それが1ヶ月以上続いている。
  • 生活への支障: 日中の強い眠気、倦怠感、集中力の低下、イライラなどにより、仕事や家事にミスや支障が出ている。
  • 精神的苦痛: 「眠れないこと」自体に強い不安や恐怖を感じ、夜が来るのが怖いと感じる(参考:国立精神・神経医療研究センター 5)。

何科を受診すればいい?

まずはかかりつけの内科でも相談できますが、不眠症治療を専門的に行っているのは精神科心療内科、または睡眠外来です。

睡眠時無呼吸症候群などの身体的な病気が隠れている可能性もあるため、専門医への相談が解決への近道です。

医療機関で行われる主な治療法(薬物・非薬物)

病院に行くとすぐに強い薬を出されるのではないか、と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、現代の不眠症治療は多様化しています。

薬物療法:睡眠薬に対する誤解と正しい使い方

かつての睡眠薬は依存性が高いものもありました。

ですが、現在はより自然な眠りを促す、依存性の低い薬剤(オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬など)が主流になりつつあります。

医師の指示通りに服用し、症状が改善したら徐々に減らしていくことで、安全に治療を終える(断薬する)ことが可能です。

「一生飲み続けなければならない」というわけではありません(参考:日本睡眠学会 3)。

非薬物療法:認知行動療法(CBT-I)

欧米では不眠症治療の第一選択となっているのが、「不眠に対する認知行動療法(CBT-I)」です。

これは、記事の前半で紹介したような「睡眠日誌」や「刺激制御療法(ベッドで悩まない)」などを、専門家の指導のもとで体系的に行うプログラムです。

薬を使わずに睡眠習慣を根本から改善する方法として、日本でも注目されています(参考:日本睡眠学会 3)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では不眠症でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. 市販の睡眠改善薬は効果がありますか?

A. ドラッグストアで購入できる睡眠改善薬(ドリエルなど)は、抗ヒスタミン成分の副作用(眠気)を利用したものです。これは一時的な不眠(旅行や心配事など)には有効ですが、慢性的な不眠症には効果が薄く、長期連用は推奨されていません。数回使って改善しない場合は受診をお勧めします。

Q. 不眠症はどれくらいの期間で治りますか?

A. 個人差が大きく、原因によっても異なります。ストレスの一時的なものであれば数週間で治ることもありますし、慢性化している場合は数ヶ月〜年単位での調整が必要なこともあります。焦らず、「まずは昨夜より少し良く眠れたらOK」くらいの気持ちで取り組むことが大切です。

まとめ

不眠症の治し方は、魔法のような即効性のある方法一つで解決するものではなく、日々の小さな生活習慣の積み重ねが最も確実な道です。

  1. : 太陽の光を浴び、朝食を摂る。
  2. 昼〜夕: 適度な運動をし、昼寝は短めに。
  3. : ぬるめのお湯に浸かり、スマホを置いてリラックスする。

まずはこれらの中から、ご自身のライフスタイルに合わせてできることを一つ選んで、今日から始めてみてください。

そして、どうしても辛いときは無理をせず、医療機関というサポーターを頼ってください。 

あなたの眠りが一日も早く安らかなものになるよう、応援しています。

参考資料・文献一覧

  1. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
  2. 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)「睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル」 https://www.ncnp.go.jp/nimh/behavior/phn/sleep_manual.pdf
  3. 日本睡眠学会・厚労省研究班「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」 https://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
  5. 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)「不眠症(Insomnia)」 https://www.ncnp.go.jp/nimh/sleep/sleep-medicine/insomnia/index.html
  6. 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)「不眠で困ったときは」 https://www.ncnp.go.jp/hospital/sleep-column2.html
  7. 国立がん研究センター「成人がんサバイバー 睡眠障害ガイドライン」 https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/psychiatry/040/suiminshougai.pdf