緑内障とは?症状からチェックまでご紹介

2020年5月6日

緑内障は視野の一部が欠けたり視野が狭くなったりする目の疾患です。緑内障は早期発見・早期治療が重要です。
ここでは緑内障について、その症状や原因についてだけでなく、緑内障リスクが高い人とはどんな人か、緑内障のセルフチェックはどうすればいいか、緑内障の治療方法はどんなものがあるかなど、幅広くご説明します。

緑内障の症状と原因は?

緑内障の主な症状と原因

まずは緑内障の症状と原因を見ていきましょう。

緑内障では視野に悪影響を及ぼす症状が表れる

緑内障の症状としては、視野の一部が欠けて部分的に見えなくなる視野欠損や、視野が狭くなる視野狭窄(しやきょうさく)が挙げられます。後述しますが、緑内障には数多くの種類があります。しかしどんなタイプの緑内障であれ、視野に悪影響をおよぼす症状が出るという点は共通しています。

緑内障の進行速度は緑内障のタイプや個人の状況によって大きく異なりますが、治療をせず放置すればいずれは失明の危機が訪れるという点も、すべてのタイプにおいて共通しています。

緑内障は原因別に5つの種類に分けられる

緑内障になる原因を知るためにはまず、緑内障の種類を知っておく必要があります。世間的には「緑内障」とひと言でまとめられがちですが、実際には緑内障にはいくつかの種類があるのです。

緑内障の種類としては、正常眼圧緑内障・原発開放隅角緑内障・原発閉塞隅角緑内障・発達緑内障・続発緑内障などが挙げられ、それぞれの原因と特徴は以下のようになります。

種類 原因・特徴
正常眼圧緑内障 日本人の緑内障患者の約6割が該当する、もっとも多いタイプの緑内障で、原因は不明。眼圧が正常範囲であるにもかかわらず緑内障症状が出る
原発開放隅角緑内障 角膜や水晶体・硝子体など、血管がない組織に栄養を送り届けるために存在する眼の中の水=房水の排水部分となっている線維柱帯(せんいちゅうたい)がだんだん目詰まりして眼圧が上がり、上昇した眼圧によって視神経に障害が起こる
原発閉塞隅角緑内障 房水の流出口である隅角(ぐうかく)が閉塞して眼圧が上がるタイプの緑内障。少しずつ房水の排水部分=繊維柱帯が狭くなる原発開放隅角緑内障と比べると進行度が早くなりやすく、早期治療をしないと短期間で失明する可能性もある
発達緑内障 小児緑内障ともいわれる、生まれつき房水が流れる経路が未発達であることによって起こる緑内障
続発緑内障 他の病気や外傷、薬などの影響によって眼圧が上昇し、視神経の障害が起こるタイプの緑内障。糖尿病や白内障・ぶどう膜炎・外傷・ステロイド点眼薬の長期利用などが、この続発緑内障を引き起こす主な要因として挙げられる

こうして見ると、正常眼圧緑内障以外は、眼圧上昇による視神経への圧迫の影響で視神経に障害が起きるという共通点があることがわかります。

ただし問題は、日本人にもっとも多いタイプである正常眼圧緑内障です。正常眼圧緑内障だけは眼圧が正常範囲内なので、「眼圧上昇による視神経への悪影響」という原因が当てはまりません。

そして医学界においても、現状ではこの正常眼圧緑内障は何が原因で起こる緑内障なのか、ハッキリと完全には解明することができていないのが実情です。

ただし、この正常眼圧緑内障には眼圧上昇ではなく視神経の萎縮という症状が見られるため、視神経の血流障害などによって視神経乳頭の構造が眼圧に比べると相対的に弱くなっていることが原因ではないかと考えられています。

また、視神経乳頭の構造の弱さ以外の正常眼圧緑内障の原因としては、遺伝の影響などもあると考えられています。

緑内障になりやすい人はどんな人?

これまでの調査から、緑内障になりやすい人には一定の傾向があることがわかっています。

緑内障にかかりやすい年齢は40歳以上

緑内障は「この年齢になったらかかりやすい」という明確な区切りはありませんが、日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査の結果において「40歳以上の約20人に1人が緑内障である」と結果が出ています。[注1]

発症リスクを注意すべき年齢の区切りのひとつとして挙げられるのは40歳です。40歳を超えたら、年に一度は眼科検診を受けることをおすすめします。

また、緑内障の発症リスクの高さは遺伝的要素も関係していると考えられていますので、家族や近い親戚に緑内障の人がいるという人は、年齢にこだわらず定期的な検診を受けることをおすすめします。

[注1]日本緑内障学会:緑内障疫学調査 日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(通称:多治見スタディ)」報告

https://www.ryokunaisho.jp/general/ekigaku/tajimi.html

緑内障にかかりやすい生活パターンがある

緑内障にかかりやすい生活パターンとしては、不規則な生活習慣・運動不足・暴飲暴食・塩分過多・ストレス過多・喫煙習慣・目の酷使などが挙げられます。

なぜこれらの生活パターンがダメなのかというと、緑内障の要因になると考えられるものとして、加齢や遺伝的要素だけでなく糖尿病・高血圧・自律神経失調症・喫煙・近眼なども挙げられているからです。

心当たりのある場合は、可能なかぎり改善を目指して、少しでも緑内障のリスクを減らすよう心がけましょう。

もしかして緑内障?と思った時のチェック方法

緑内障かどうかの正確な判断をするためには眼科での診察を受ける必要がありますが、その前段階の簡易的なセルフチェックの方法としては「片目で砂嵐の画面や画像を見る」という方法があります。

まずは、砂嵐(スノーノイズ・ホワイトノイズ)の画像を用意しましょう。スマホやパソコンの画面でも、画像を印刷した紙でもかまいません。スマホ画面利用の場合はスマホを横向きにして、砂嵐画面が横長に表示されるようにしましょう。

画面や画像から数十センチ離れたところから、片目で画面中央・画像中央を見ます。画面や画像の中央を意識しにくいと感じた場合は、画面なら小さいサイズのはがせるシールを貼る、印刷画像ならマジックで点をつけるなどして中央を見るための目印をつけるといいでしょう。

画面や画像の中央を片目で見た際に、画面や画像のどこかで砂の粒がぼやける、きちんと見えないところがあるという場合は、そこの視野に問題がある可能性、つまり緑内障の症状が出ている可能性があると考えられます。

このセルフチェックにおいて、左右どちらかの目、あるいは両方の視野に少しでも問題がありそうだと感じた場合は、できるだけ早く眼科の診察を受けることをおすすめします。

緑内障の治療方法は大きく2つに分けられる

緑内障の二つの治療方法

緑内障の治療方法は大きく分けて薬を用いた治療と外科的治療の2種類です。

点眼薬治療はどのタイプの緑内障にも用いられる

点眼薬を使っての薬物療法は、どのタイプの緑内障にも用いられる主流の治療方法です。視神経の萎縮が見られる正常眼圧緑内障に対しては、視神経の萎縮を進行させない目的の点眼薬が用いられます。眼圧上昇をともなう他のタイプの緑内障に対しては、房水の産生量を減らしたり流れを良くすることで眼圧を下げる目的の点眼薬が用いられます。

薬物療法の流れとしては、まずは1種類の点眼薬が処方され、経過によっては点眼薬の種類を変えたり、数種類の点眼薬を併用するなどしていくのが一般的です。もちろん最初に処方された1種類の点眼薬がいい効果を発揮している場合は、それが継続して処方されます。

点眼薬だけでは効果がそれほど見られないと医師が判断した場合は、内服薬が処方されるというケースもあります。

緊急度が高い場合にはレーザー・外科手術治療が行われる

緑内障の多くは薬物療法で進行を遅らせる、食い止めることが可能ですが、中には原発閉塞隅角緑内障のように、症状の発現が急性猶予がないケースや、薬物療法だけでは症状のコントロールができないケースもあります。

こうしたケースの緑内障の治療方法は、房水の流れを改善する、あるいは房水の産生量を抑えるために、即効性の高いレーザー治療や外科治療が先におこなわれ、その後に薬物療法をおこなうという流れになります。

現代医学では緑内障の症状は完治しない

薬物療法やレーザー治療、外科手術など、緑内障に対する治療方法自体は幅広くありますが、たとえどんな治療を受けようと、いったん障害や委縮を起こしてしまった視神経そのものが元通りに治るということはありません。

だからこそ緑内障は早期のうちに発見・治療開始をし、それ以上視野の欠損や狭窄を発生させないことが非常に重要となってくるのです。

緑内障治療を受けながら報酬がもらえる方法とは

緑内障治療は基本的に進行を抑えるための長期的治療となります。そうなると、緑内障治療にかかる費用が気になる人も少なくないでしょう。

そんな人におすすめしたいのが、緑内障治療に関する治験への参加です。緑内障治療の研究は今も進められており、緑内障治療に関する治験参加者もたびたび募集されています。

治験に参加すれば、治験参加中の治療費は発生しないだけでなく、負担軽減費として報酬がもらえるというメリットがあります。

根本的な治療法が確立されていない緑内障治療だけに、新薬に対する期待値は高いです。治験参加により、従来の薬よりもすぐれた可能性を持つ新薬をいち早く試せるという点も大きなメリットとして挙げられます。

現状の緑内障治療の効果に不満や物足りなさを感じている人、新しい可能性を少しでも早く体験したいと考える人にとっては、治験への参加もおすすめです。

緑内障は早期の発見と治療が重要!治験への参加もおすすめ

緑内障によっていったん視野欠損や視野狭窄の症状が出てしまうと、たとえ緑内障の治療を開始したとしても、一度欠損や狭窄が生じた視野が元に戻るわけではありません。

現在の医学でできることはあくまで「悪化防止」のレベルにすぎないからこそ、緑内障は症状が軽いうちに早期発見し、早期治療を始めることが重要です。

緑内障治療は今も医学研究が重ねられており、緑内障治療に関する治験への参加者もたびたび募集されています。新薬の可能性を試しつつ報酬も得たいと考える人は、ぜひ前向きに治験への参加を検討してみましょう。

ここで解決!治験に関するFAQ

治験とはなんですか?
治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
治験って安全ですか?副作用はありませんか?
治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
健康被害が生じた場合は?
治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
都合のいい日程で参加ができますか?
治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。