初めての治験。疑問点はコーディネーターさんに相談しよう!

2020年3月31日

まだ流通していない薬を試験的に服用して、その効果を確かめる治験。この作業には、条件を満たせば誰でも被験者として参加できます。ですが、初めて治験に参加するとなると不安な点が出てくるものです。そのようなときに被験者の相談役となるのが、治験コーディネーターの存在です。

今回は初めて治験する方にむけて、治験コーディネーターについて紹介します。

治験コーディネーターは治験に関連する人・機関をつなぐ存在

治験コーディネーターとは?

治験コーディネーターは、治験に関連する人や機関をつなぐ存在です。

治験に関する人や機関とは下記の3つを指し、これらのあいだを取り持つ存在がコーディネーターです。

治験に関する人や機関

・治験を依頼する製薬会社

・医療機関

・被験者

治験コーディネーターは被験者の質問に対応してくれる

コーディネーターは患者である被験者に対して、治験に関する面談を行ないます。この面談では、服薬状況、副作用や併用する薬剤の有無をヒアリングします。さらには、治験を行う医療機関の医師による診察に同席することもあり、被験者が抱く治験に対する不安を取り除いてくれる存在となります。

治験コーディネーターは医療・医薬品の知識をもっている

CRCは医療や医薬品、医療業務に関して豊富な知識を有しています。これらの情報は常に進化しているため、最新の動向を把握しているCRCであれば、被験者に対して的確なアドバイスをしてくれる、心強い存在となるでしょう

治験コーディネーターに聞いておきたい治験でよくある疑問

治験に参加するメリットはある?

治験は新しい薬を開発するためには欠かせない作業です。そのため、ボランティアとして病気に苦しんでいる人へのサポートができるという点が挙げられます。また、新しい薬を開発するためですので、当然、これまでになかった最新の医療を受ける機会にもなります。

治験で守るべきことは?

治験の段階に進んでいる新薬は、それまでに培養細胞やさまざまな動物でのテストが繰り返されており、安全性と有効性が評価されています。ですが、治験を受ける際に被験者が守るべきこともあります。

1. 治験薬の服薬回数は正確に

治験薬を服薬する場合、その方法や期間、さらに回数は正確に守る必要があります。また、治験の対象となる薬は、国からの承認が降りていないものです。そのため、未使用になった薬は必ず返却する必要があります。

2. 生活の制限は守る

治験を受ける場合、その種類や病気の症状によって生活にかかる制限は異なります。食事や運動、さらには飲酒、喫煙といった治験における制限は守るようにしましょう。

3. 他の病院の受診や薬を服用する場合も注意が必要

治験を受けている際に、他の病院や治験薬以外の薬を服用するケースもあります。このような場合は、事前に治験を担当している医師やコーディネーターに相談しましょう。治験薬と他の薬は、組み合わせによってそれぞれの作用が強まったり、弱まったりといった可能性があります。

4. 体調の変化があった場合はすぐに連絡

治験をはじめてから、体調に変化が現れた場合は、すぐに担当医に相談する必要があります。治験は新薬開発のためなので、治験先以外の病院ではすぐに判断できない可能性があります。

治験の安全性は?

治験に限らず、投薬によって副作用が発生するケースがあります。治験となると、国が未承認の薬のため、特に副作用への注意が払われています。

その一環として、治験を行っている製薬会社の担当が、治験が適切に行なわれているかを定期的にチェックします。さらには、被験者のなかで副作用が発生した人がいた場合、他の被験者への治験継続意思の確認などが行なわれています。

協力費は治験のタイプによって異なる

治験は臨床試験のボランティアという扱いです。ですが、入院や複数回におよぶ通院といったように、被験者に負担がかかるため、“負担軽減費”や“協力費”という名目で謝礼が支払われます。

この謝礼は、入院して治験を行なうのか、通院で治験を行なうのかによって異なります。一般的には入院して行なう治験の方が謝礼は多くなります。

治験に参加するメリットはいくつもある

治験に参加しようか迷っている場合に浮かぶ疑問が、治験によるメリットの存在です。

治験に参加するメリットとしてまず挙げられるのが、謝礼です。入院であれば1日あたり2万円ほどの謝礼が発生する場合もあります。

謝礼以外にも、最新の治療を受けられる、精密検査を受けられるといった健康面、さらに病気で悩む他の患者さんの役にたつという社会貢献的な側面でのメリットも挙げられます。

初めて参加するなら覚えておきたい治験の流れ

治験に初めて参加するなら、治験までの流れを把握しておきましょう。この際にはCRCの存在が大きいので、治験申し込みから開始までの流れで不明点があればすぐにでもCRCに確認しましょう。

1. 説明文書・同意文書に基づき治験参加の意思決定をする

治験に参加するかしないかは、当然被験者の意思が尊重されます。
そのため、主に以下の項目が書かれた説明文書・同意文書への署名が必要です。

・治験の目的

・方法

・参加期間

・治験に使用する薬の効果や副作用

薬の効果や副作用といった専門的なことは、医師から説明を受け、その後にCRCから治験の期間や検査の項目などが説明されます。
その場で不明な点があれば、医師やCRCに質問できますし、一旦持ち帰っての署名も可能です。

検査結果によっては治験に参加できないことも

説明文書・同意文書へ署名をして治験参加の意思を示しても、検査結果によっては参加できない場合もあります。

また、治験に参加する場合でも、本人の意思によって参加を取り消すことも可能です。治験参加後の流れに関して不安な点があれば、治験の説明の段階でCRCに相談しておきましょう。

2. 治験薬の服薬〜検査

治験参加のための検査にとおると治験がはじまります。

治験では治験薬を一定期間服用し、その効果を測るために定期的な検査が行なわれます。問診、採血、採尿といった検査を通じて、治験薬に効果があるかどうかを見極めていくのです。

3. 謝礼の受領

治験薬の服用、検査という治験における一連の流れが終了したら、謝礼を受け取ります。謝礼が発生するタイミングは、治験が終了してから一週間ほど経ったときという場合もあるので、謝礼の額はもちろん、謝礼が発生するタイミングもCRCに確認しておくとよいでしょう。

治験で不安なことは治験コーディネータに相談しよう!

治験は実施されるまでに、さまざまな工程を経てきています。そのため、安全性は十分に確保されたものです。ですが、はじめて治験に参加するとなると不安を感じてしまうものです。そのようなときは、積極的にCRCに相談をして、治験における不安の種を解消していきましょう。

ここで解決!治験に関するFAQ

治験とはなんですか?
治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
治験って安全ですか?副作用はありませんか?
治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
健康被害が生じた場合は?
治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
都合のいい日程で参加ができますか?
治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。