「あれ、あの人の名前なんだっけ?」
「キッチンの火、消したかな?」
50代に入り、このような「物忘れ」が増えてドキッとしたことはありませんか?
働き盛りであり、家庭でも中心的な役割を担う50代にとって、記憶力の低下は仕事や生活への影響だけでなく、「もしかして認知症の始まりでは?」という深い不安を呼び起こすものです。
しかし、50代の物忘れには、加齢以外にも「更年期」や「脳疲労」など、様々な原因が隠れています。
そして重要なのは、もしそれが病的なものであったとしても、早期であれば対策が可能だということです。
この記事では、50代特有の物忘れの原因、単なる老化と注意すべき病気の境界線、そして今すぐ始めるべき脳のメンテナンス方法について、医学的な知見に基づき解説します。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

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1. なぜ?50代で急に物忘れがひどくなる4つの主な原因
50代の物忘れ=認知症、とは限りません。
まずは、この年代特有の「脳が記憶しにくくなる理由」を知ることから始めましょう。
① 加齢による生理的な脳の老化
人間の脳細胞は、年齢とともに少しずつ減少していきます。
特に、新しいことを覚える「記銘力」や、必要な情報をすぐに取り出す「想起力」は、20代〜30代をピークに緩やかに低下します(参考:日本神経学会 2)。
「昔の名前が出てこない」「昨日食べた夕食のメニューを思い出すのに時間がかかる」といった症状は、脳の老化による自然な現象であることが多いです。
これを医学的には「良性健忘」と呼ぶこともあります。
② 更年期障害とホルモンバランス(女性・男性)
特に女性の場合、閉経前後の約10年間(更年期)に、女性ホルモン「エストロゲン」が急激に減少します。
エストロゲンには脳の神経細胞や血管を守り、記憶をつかさどる「海馬」の働きを助ける作用があるため、分泌量の低下により記憶力や集中力が一時的に落ちることがあります。
日本女性医学学会によると、更年期に認知症のような症状が出ることがあっても、真の認知症であることは稀であり、ホルモンバランスの乱れや自律神経の不調(不眠やイライラ)が影響しているケースが多いとされています(参考:日本女性医学学会 4)。
男性の場合も、男性更年期(LOH症候群)による意欲低下に伴い、記憶力が鈍ったと感じることがあります。
③ 脳過労と「スマホ認知症」
現代人特有の原因として見逃せないのが「脳過労」です。
スマートフォンやパソコンから常に大量の情報を浴び続けることで、脳の情報処理が追いつかなくなる状態です。
メディア等で「スマホ認知症」と呼ばれることがありますが、これは正式な医学的診断名(病名)ではありません。
しかし、脳が「インプット過多」になることで情報を整理できず、「さっき聞いた話すら覚えていない」という一時的な認知機能の低下を招くことはあり得ます。
これは脳の器質的な病気ではなく疲労によるものと考えられ、適切な休息で改善が見込めます(参考:日本神経学会 6)。
④ 注意が必要な「軽度認知障害(MCI)」や「認知症」
最も注意が必要なのが、加齢による物忘れの範囲を超えた、病的な変化です。
その前段階として「軽度認知障害(MCI)」があります。
MCIは、認知機能に問題は生じているものの、日常生活は自立して送れる状態を指します。
50代で発症する「若年性認知症」の可能性もゼロではありませんが、多くはこのMCIの段階で気づき、対策を打てるかが将来の分かれ道となります(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
2. 「ただのド忘れ」か「病気」か?セルフチェックリスト

では、あなたの物忘れは「老化」なのでしょうか、それとも「病気のサイン」なのでしょうか。
その違いを見分けるポイントを紹介します。
危険な物忘れのサインとは
最大の違いは、「体験の一部を忘れるか、体験そのものを忘れるか」です(参考:神戸大学医学部附属病院 5)。
- 加齢による物忘れ(心配ない):
- 夕食のメニューを忘れる(「食べたこと」は覚えている)。
- ヒントを言われれば「ああ、そうだった」と思い出せる。
- 物忘れをしている自覚がある(「最近忘れてばかりだ」と悩む)。
- 認知症やMCIの疑い(要注意):
- 夕食を食べたこと自体を忘れている。
- ヒントを言われても思い出せない、話が通じない。
- 物忘れの自覚が薄い(指摘されると「そんなこと言っていない」と怒る)。
【チェック表】受診を検討すべき具体的な症状
以下の項目に当てはまるものが多い場合、あるいは特定の症状が頻繁に起こる場合は、専門機関への相談をお勧めします(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
- 同じことを何度も聞いたり、言ったりする。
- 慣れているはずの家電製品の使い方がわからなくなる。
- 料理の段取りが悪くなり、味付けが変わる、複数の品を同時に作れない。
- 約束の日時や場所を間違えることが増えた。
- 以前は楽しんでいた趣味や活動に興味がなくなった(意欲低下)。
- 小銭の計算が面倒になり、お札ばかり使うようになった。
- いつも通る道で迷ったり、方向感覚がおかしくなったりする。
3. 50代なら知っておきたい「軽度認知障害(MCI)」という分かれ道
50代の物忘れ対策において、最も重要なキーワードが「軽度認知障害(MCI)」です。
MCI(軽度認知障害)とは?認知症との違い
MCIは「健常」と「認知症」の中間にあたるグレーゾーンの状態です。
記憶力などの認知機能に低下は見られますが、判断力や生活能力は保たれており、認知症とは診断されません。
MCIを放置すると、年間で約10〜15%の人が認知症へ移行すると言われています。
放置するとどうなる?早期発見のメリット
「認知症予備軍」と聞くと怖いかもしれませんが、MCIは「引き返せる段階」でもあります。
国立長寿医療研究センターの研究によると、MCIと判定された人でも、その後の追跡調査で16〜41%の人が健常な状態に回復(リバート)したというデータがあります(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
認知症になってから神経細胞を元に戻すことは困難ですが、MCIの段階で適切な運動、食事、知的活動などの対策を行えば、健常な状態に回復したり、発症を遅らせたりすることが可能です。
50代での「物忘れへの気づき」は、将来の脳の健康を守るための最大のチャンスなのです。
4. 今日からできる!脳の老化を食い止める対策と予防
MCIの進行を防ぎ、加齢による脳の衰えをカバーするために、日常生活で実践できる対策を紹介します。
食事・栄養:脳を守るマインド食とは
脳の健康維持には、酸化ストレスを防ぐことが重要です。
地中海式食事法をベースに、脳の健康により特化させた「マインド(MIND)食」などの食事法が推奨されています(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
- 積極的に摂りたいもの:
- 緑黄色野菜(特に葉物)、ナッツ類、ベリー類、豆類、全粒穀物、魚(DHA/EPA)、オリーブオイル。
- 控えたいもの:
- バターなどの動物性脂肪、赤身の肉、加工食品、菓子パンなど。 特に青魚に含まれるDHAやEPAは、神経細胞の膜を柔らかくし、情報の伝達をスムーズにする働きが期待されています。
運動・睡眠:脳のゴミ(アミロイドβ)を排出する
アルツハイマー型認知症の原因物質の一つとされる「アミロイドβ」は、日中の活動で脳内に溜まりますが、深い睡眠中に脳脊髄液によって洗い流されると考えられています。
睡眠不足は脳の老廃物を蓄積させる原因となるため、質の良い睡眠を確保しましょう。
また、有酸素運動(ウォーキングや水泳など)は、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質を増やし、海馬の神経細胞を維持・再生させる効果があることが分かっています。
週に3回、30分程度、軽く汗ばむくらいの運動が目安です(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
デュアルタスクと知的活動
単なる脳トレゲームだけでなく、体と頭を同時に使う「コグニサイズ(Cognicise)」が有効です。
- 歩きながら「100から3を順番に引いていく計算」をする。
- 足踏みをしながら「しりとり」をする。
また、人との会話やコミュニケーションは、脳の前頭葉をフル活用する高度な知的活動です。
家に閉じこもらず、社会とのつながりを持ち続けることが最高の予防薬になります(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
5. 病院に行くべきタイミングと受診先
「まだ病院に行くほどではないかも…」と迷う方も多いでしょう。
しかし、不安を抱え続けることはストレスとなり、さらに脳の働きを鈍らせます。
「何科」を受診すればいい?
物忘れの相談先としては、以下のような診療科があります(参考:神戸大学医学部附属病院 5)。
- 脳神経内科・脳神経外科:
- 脳の器質的な病気(脳梗塞や腫瘍など)がないかをMRIなどで調べることができます。
- 物忘れ外来:
- 総合病院などに設置されており、専門医が診断から生活指導まで行います。
- 精神科・心療内科:
- うつ病やストレスによる「仮性認知症」が疑われる場合に適しています。
受診を迷っている方へ
50代での受診は、「認知症の宣告を受ける場所」ではなく、「脳の健康診断を受ける場所」と考えてみてください。
検査の結果、「年相応の物忘れです」と言われれば安心できますし、万が一MCIが見つかれば、早期に対策を打つことができます。
甲状腺機能低下症や慢性硬膜下血腫など、治療すれば治る病気が原因で物忘れが起きているケースもあります(参考:日本神経学会 2)。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では物忘れや軽度認知障害でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
6. よくある質問(FAQ)
Q. 市販のサプリメントは物忘れに効果がありますか?
A. イチョウ葉エキスやDHAなど、脳の健康維持に役立つとされる成分はありますが、これらはあくまで食品です。国立長寿医療研究センターなどの指針では、特定のサプリメントのみに頼るのではなく、食事全体のバランス改善や運動を組み合わせた生活習慣の修正が推奨されています(参考:国立長寿医療研究センター 1)。
Q. 若年性アルツハイマーの確率はどれくらいですか?
A. 65歳未満で発症する若年性認知症の患者数は日本全体で約3.57万人(推計)とされており、高齢者の認知症に比べれば頻度は稀です(参考:厚生労働省 3)。過度に恐れる必要はありませんが、異変を感じたら受診することが大切です。
Q. ストレスでも物忘れは起きますか?
A. はい、起きます。強いストレスやうつ状態になると、集中力が低下し、脳の情報処理能力が落ちるため、認知症に似た物忘れの症状が出ることがあります(仮性認知症)。この場合は、ストレスの原因を取り除き、休養や治療を行うことで改善します。
まとめ:50代の物忘れは「脳の曲がり角」。気づいた時が対策の始めどき
50代の物忘れは、脳が発している「少し休ませてほしい」「メンテナンスしてほしい」というサインかもしれません。
更年期や疲労による一過性のものであることも多いですが、軽度認知障害(MCI)という「戻れるグレーゾーン」の可能性も視野に入れ、生活習慣を見直す良いきっかけにしてください。
「年のせいだ」と諦めず、食事・運動・睡眠の質を高めることは、脳だけでなく全身のアンチエイジングにも繋がります。
不安が強い場合は、一度専門医に相談し、すっきりとした気持ちでこれからの人生を楽しんでいきましょう。
参考資料・文献一覧
- 国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック(第2版)」 https://www.ncgg.go.jp/ncgg-overview/pamphlet/documents/mcihandbook-v2.pdf
- 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_00.pdf
- 厚生労働省「認知症施策推進大綱(概要)」 https://www.mhlw.go.jp/content/000519053.pdf
- 日本女性医学学会「一般の皆様へ:更年期障害(物忘れ)」 https://www.jmwh.jp/n-yokuaru11-mono.html
- 神戸大学医学部附属病院「認知症ハンドブック(第2版)」 https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/107218
- 日本神経学会 (監修) 「認知症疾患診療ガイドライン2017」(※「スマホ認知症」が正式病名でないことの確認として) https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_00.pdf
