治験モニターとは
・治験モニターは2種類
・治験モニターに応募するには?
・応募後の流れ
・【私の治験体験談1】通院タイプの治験モニター
・【私の治験体験談2】入院タイプの治験モニター
もし副作用がでたら・・・?
女性向け治験モニターは少ない
こんな人が向いている!
治験モニターに興味はあるけれど、不安や疑問があって踏み出せないという人は意外と多いものです。しかし、実際には治験は厚生労働省の規則に則り行われているものなので、安全面についてはそれほど心配する必要はありません。
今回は、東京で50を超える治験モニターを経験した私が、治験モニターの実態について体験談を交えながら詳しくご紹介します。
治験モニターとは新薬の効能や安全性の試験に参加する有償ボランティア
治験とは、新しく開発されている新薬の効能や安全性を確かめる試験のことです。治験の結果をもとに、国が薬の承認を出しています。
治験で使用される薬は、動物実験や各種安全性試験の結果、安全という結果の出たものが用いられており、治験は人体を対象とした最終チェックという位置づけで行われます。
そのため、治験には実際に新薬を使用してくれるボランティアが必要不可欠なのです。ボランティアとはいえ、治験に協力した人には協力費(負担軽減費)が払われます。長期間にわたる試験の場合は、高額な報酬をもらえる可能性もあります。
治験モニターは大きく通院・入院の2種類に分けられる
治験モニターは、大きく「通院タイプ」と「入院タイプ」の2種類に分けられます。
通院するタイプは、決められた日に通院し、検査や診察を行うものです。定期的な通院が必要なものもあれば、1日で終了するタイプもあります。
入院するタイプの場合は、請け負う内容によってさまざまですが、1泊入院するだけのものから数週間から1ヵ月など長期間入院するものまであります。長期間入院する必要のあるものはその分高額な協力費をもらえますが、基本的に治験中は病院の外に出られません。また、生活もいろいろと制限される場合が多くなります。
治験モニターに申し込む方法は病院経由か仲介会社経由
治験モニターに申し込みたいものの、アルバイト情報サイトには掲載されていないから不安だという声を聞いたことがあります。
実は、治験モニターは「医療ボランティア」というものに分類されるため、正式にアルバイトとして分類されているわけではありません。そのため、アルバイト情報サイトには掲載されていないのです。
では、どこでを探すのかというと以下の2つの方法があります。
・病院
・仲介会社の治験サイト
病院で直接治験モニターを探すよりも、仲介会社の治験サイトで探すほうが複数の治験を比較検討できるのでおすすめです。治験サイトは複数存在しているため、会員登録して治験モニターの情報を探し、申し込みを行いましょう。
治験モニターに応募した後の流れ
実際に治験モニターに応募した後の流れをご紹介します。
説明会に参加する
治験モニターに応募すると、基本的に事前説明会への参加を求められます。説明会では、治験のスケジュールや薬に関して詳細な説明があります。治験モニターに応募した場合、必ずしも全員が治験を受けられるわけではありません。合否判定があるため、説明会には必ず参加しましょう。
説明会では、疑問に思うことがあればしっかり確認することが大切です。やはりやりたくないと感じれば途中でキャンセルも可能です。
健康診断を受ける
事前説明会に参加した後は、直後か後日に健康診断が行われます。これは、治験に協力してもらうにあたり、適正な健康状態であるか、または身体が条件に沿った状態であるかを判断するために行われます。
健康診断は、基本的には普段受けているような内容と大きく変わらない場合がほとんどです。健康診断の結果、条件に合った身体であれば治験モニターに参加できます。
治験モニターに応募する際の注意点
治験モニターに応募するにあたり、注意してほしいのが、以前にも治験モニターの経験がある場合、前回から期間を3〜4ヵ月開ける必要があるということです。また、同時に複数の治験モニターを行うこともできません。
どんな薬も、薬である以上大なり小なり副作用が出る可能性があります。複数の薬を同時に使用したり、間を空けず次の治験モニターを行ったりすると、身体に異常が出たり試験結果に影響したりするリスクもあります。治験モニター後は、3・4ヵ月の休薬期間を必ず取ってください。
また、長期間の入院タイプの治験モニターを応募する際には、長期間予定を空けられることと、治験期間は病院からの外出ができず、集団生活になることを理解しておきましょう。
ただし治験は自由意志で参加できますので、もし治験モニターが始まった後にやはりキャンセルしたいと感じる場合は、途中で辞退することも可能です。
【私の治験体験談1】11回の通院タイプの治験モニター
東京で50を超える治験モニターを経験している私が、11回通院して行う治験モニターに参加した際の体験談をご紹介します。
治験の概要
この治験は、特定の期間薬を飲み続けるというもので、ある特定の持病を持っている人を対象に行われました。私にも該当する症状があり、条件に該当していたためこのモニターに応募しました。
入院タイプの治験モニターの募集では、基本的に健康体の20代~40代前半あたりの男性が対象として募集されます。しかし、通院タイプの治験モニターは、特定の条件や持病を持った対象者が募集されていることが多い印象です。
病院への通院生活
基本的に、通院は病院が空いている平日に行います。今回は全部で11回の通院があり、その日はすべて予定を空けておかなければいけません。入院タイプの場合、まとまった休みを取れば治験モニターを行えますが、通院タイプの場合、何ヵ月もかけて行われるため、比較的時間に余裕のある人しか行えません。
通院時に具体的に何をするのかというと、薬の効果を確認するための検査・診察、採血、検尿などを行いました。1回の時間はさまざまですが、長くても2時間程度でした。また、治験モニター期間中は毎日、日誌の記載を求められました。
よかったこと
治験で持病の治療を行えた
今回、この通院タイプの治験モニターに参加して1番よかったことは、新薬を用いて持病の治療が行えたことです。
普段は、持病の薬を手に入れるとなると、診療費や薬代などを支払う必要があります。しかし今回の治験では、最新の薬を使用しながら丁寧な診察・検査も受けられ、かつ報酬も得られるので、私にとってはとてもいい経験になりました。
社会貢献できていることを実感できる
健康な人を対象とした治験モニターの場合、基本的に安全性に問題がないかどうかを確認するために投薬するので、病気に対する効果などは自分では実感できません。
しかし、今回は特定の持病を持った人を限定に募集されていた治験モニターであったため、病気に対する効果も実感できました。自分がこの薬を世の中に出すために力になれたんだという社会貢献の気持ちも強く感じました。
悪かったこと
日誌を毎日書くのが面倒
私が参加した入院タイプの治験では、基本的に毎日検査を行うために日誌をつける必要はありませんでした。しかし、通院タイプの場合は限られた期間しか検査を行わないため、治験モニター期間中は毎日日誌をつけなければいけません。
ついつい忘れがちになってしまうときがあり、忙しいときにも欠かさず日誌をつけることを面倒だと感じてしまうときがありました。
入院タイプよりも自主的に行うことが多い
入院タイプの治験モニターでは、自分が自主的に何かを行うというのはあまりありません。決められたルールのなかで生活を行い、決められた時間に検査や採血を行うだけです。
しかし通院タイプの場合、決められた日に毎回病院に通院する必要があり、毎日決められた時間に薬を飲んだり生活習慣に注意したりと、入院タイプよりも自主的に行わなければいけないことがありました。
【私の治験体験談2】10泊11日の入院タイプの治験モニター
次に、10泊11日の入院タイプの治験モニターに参加した際の体験談をご紹介します。
治験の具体的な内容
10泊11日の入院を行い、入院期間中は決められた時間にジェネリック薬品の服薬と検査がありました。病院からの外出はできませんでしたが、それ以外は比較的自由に時間を過ごしていました。
病院での入院生活
入院中はほかの治験モニターの方と共同生活を送ることになるので、毎回どんな人と同室になるかが気になるところです。しかし、規則に沿って生活をしていれば、基本的に同室者の人と折り合いが悪くなることはないでしょう。
長期間の入院生活の場合、1人でずっと過ごすのは退屈ですので、私は基本的に同室者の方に積極的に話しかけて、楽しく治験モニター生活を送るようにしています。
コミュニケーションが苦手だから1人で過ごしたいという人でも、漫画やDVD、ゲームなどアメニティが充実していたので、時間をもてあますことはありません。アメニティに関しては、施設によるので気になる方は事前に確認しておきましょう。
食事に関しては、正直あまり期待していませんでしたが、3食しっかり栄養のある美味しいご飯を提供してもらえました。食事の良し悪しについても、病院ごとに変わってきます。
よかったこと
治験モニター仲間ができたこと
この治験モニターに参加してよかったことの1つは、治験モニター仲間ができるということです。特に同室になった人とは、入院期間を通して親密になれることが多いです。
治験モニターにはさまざまな人が参加しているので、普段は接点がない人とも出会えるという利点もあります。私は入院生活で同室者やほかの治験モニター仲間と仲良くなることで、ストレスを軽減できました。
健康的な生活を送れる
2つ目によかったことは、入院生活を通して健康的な生活を送れることです。普段はつい朝食を抜いてしまったり、就寝時間が遅くなったりと不規則な生活を送ってしまうこともあります。
しかし、栄養バランスの取れた食事がしっかりと3食提供されて、就寝時間なども決まっているので、規則に従って生活していると必然的に健康的な生活を送れるようになるのです。
治験モニターが終わった後も、入院生活の名残で規則正しい生活を送れるようになりました。
悪かったこと
間食が取れない
治験モニターでは正確な試験結果が必要になるため、提供される食事以外は口にできません。もう少し食べたいという場合でも、おかわりもできないので、初めは少し辛い部分もありました。
外出・運動が制限される
間食と同様に、治験中は正確な試験結果を得るために運動も制限されます。入院生活では、基本的に外出禁止で施設内のみで過ごすことになるので、どうしても身体を動かしたくなるときがあります。自由時間などは、基本的に座って過ごすか寝て過ごしていたので、外に出て気晴らしに散歩でもしたくなることもありました。
1日の採血が多い
多いときで、1日に8回から10回の採血が行われました。治験モニターの多くで採血が行われます。また、回数も多い場合がほとんどのため、注射が苦手だという人は辛いものがあるでしょう。
私も、治験モニターを始めた当初は採血回数に驚いたものです。しかし、1日に複数回採血が行われるといっても、多くの場合毎回注射針を刺されるわけではなく、留置針で採血が行われます。
今回の治験モニターでも留置針で採血が行われたので、何度も痛い思いをせずにすみました。なかには留置針を使用せずに、毎回注射を行い採血される治験モニターもあるので、気になる方は事前に確認しておきましょう。
治験モニター初心者の方が、1番治験モニターを諦める理由は何かというと、1日に何度も採血が行われるということに対して恐怖を覚えるからではないでしょうか。
多少のストレスは生まれる
慣れない環境で初めての人たちと共同生活を送り、薬の副作用は本当に大丈夫なのかなど不安に思うこともあります。そのため、治験モニター中に多少のストレスは生まれました。
しかし、ストレスが溜まりすぎて、本当に無理だと感じた際には、自由意志で治験モニターを途中辞退できるのが救いです。
副作用が出ても治療や補償をしてもらえる
治験のモニターは、厚生労働省の管理のもと、安全な薬で試験が行われます。しかし、薬による副作用が必ずしもないわけではありません。
副作用が出るのは稀なことではありますが、万が一薬による副作用が起こってしまった場合は、直ちに治験が中止されます。そして、医師のもとで速やかに治療が行われます。
また、治験モニター中だけに限らず、終了後に副作用が出た場合でも同様の処置が取られます。治験には補償が義務付けられているため、副作用による治療費や入院費、薬代などは基本的にすべて負担してもらえます。
薬の副作用に関しては、事前に説明会にて説明がありますので、よく考えて検討しましょう。
女性向けの治験モニターは少ない
女性の方で、すでに治験モニターに興味を持ち募集を探している方はご存知かもしれませんが、女性を対象とした治験は少ないのが現状です。
特に、入院タイプの治験モニターはほとんどないといってもいいでしょう。なぜ女性向けの治験モニターの募集が少ないのかというと、女性は男性よりも生理によるホルモンバランスの乱れが起こりやすいからです。ホルモンバランスが崩れて体温や体重、その他体調に変化が現れると、正確な薬の試験データが取りにくくなるのです。
美容・サプリ・生理などに関連した治験では、女性を対象としたものもありますが、頻繁に募集が出るわけではありません。入院タイプの治験に参加して高額の報酬をもらいたいと考えている女性の方は、条件にあった治験を見つけるまでに時間がかかる可能性もあるでしょう。
こんな人が治験モニターに向いている!
体験談を踏まえて、私が治験モニターに向いていると考えるのは以下のような人です。
・集団生活に苦痛を感じない
・生活に制限(外出禁止・間食禁止など)が課せられても我慢できる
・注射が怖くない
・時間に余裕のある人
治験モニターは高額な報酬をもらえるメリットがありますが、我慢しなければならないこともあります。それらを踏まえて、多少のストレスは許容できるという人が治験モニターに向いているでしょう。
ここで解決!治験に関するFAQ
- 治験とはなんですか?
- 治験とは、『医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施』、つまり、「国から薬としての販売承認を受けるために行う臨床試験」のことです。
- 治験ボランティアはアルバイト/バイトなのですか?
- 法的にはアルバイト/バイトではありません。治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費ともよばれます。
- 治験って安全ですか?副作用はありませんか?
- 治験薬は事前に生体への安全性を確認し、問題ないと予想されるものだけが使用され、治験実施についても、国の基準に沿い、参加者の方の安全に配慮した綿密な治験実施計画書に基づいて慎重に進められています。
- 健康被害が生じた場合は?
- 治験薬の副作用などにより、何らかの健康被害が生じた場合には、治験薬との因果関係が否定できない場合に限り、治験依頼者(製薬メーカー)から補償を受けることができます。補償の扱いは治験により異なりますので、それぞれの治験説明の際、医師や治験コーディネーターが詳しくお話しします。
- 都合のいい日程で参加ができますか?
- 治験の日程は予め決められております。決められた期間内での選択できる場合は、その日程内で調整していただきます。