「微熱が1ヶ月以上続いている」
「関節が痛むけれど、原因がわからない」
「日焼けをしたら異常に皮膚が赤く腫れた」
このような体調の変化に戸惑っていませんか?
風邪やただの疲れだと思って見過ごされがちなその症状は、もしかすると「全身性エリテマトーデス(SLE)」という病気の初期サインかもしれません。
SLEは免疫システムが誤作動を起こす「膠原病」の一つであり、早期に発見し適切な治療を開始することが、その後の人生の質(QOL)を大きく左右します(参考:難病情報センター 1)。
この記事では、見逃してはいけない全身性エリテマトーデスの初期症状から、病院を受診すべき目安、そして診断後の見通しについて、専門的な情報を分かりやすく解説します。
「もしかして」という不安を解消し、正しい行動へつなげるための手助けとなれば幸いです。
※この記事は疾患啓発を目的としています
全身性エリテマトーデス(SLE)でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
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全身性エリテマトーデス(SLE)でよく見られる初期症状

全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、症状の現れ方に個人差が大きい病気です。
しかし、多くの患者さんにおいて発症初期に見られる代表的な症状があります。
まずはこれらに該当しないか確認しましょう。
【1】原因不明の発熱・全身倦怠感
最も頻度が高い初期症状の一つが発熱です(参考:難病情報センター 1)。
- 微熱から高熱まで様々な程度の熱が続く
- 抗生物質や通常の風邪薬を飲んでも下がらないことがある
- 「体が鉛のように重い」「いくら寝ても疲れが取れない」といった強い全身倦怠感(易疲労感)
これらは風邪の症状と似ていますが、「期間が長い」「原因が思い当たらない」点が特徴です。
多くの患者さんが、診断される前に「原因不明の体調不良」として悩まれています。
【2】移動する関節痛・関節炎
手首、指、肘、膝などの関節に痛みや腫れが生じます(参考:日本皮膚科学会 2)。
- 朝起きた時に関節がこわばる
- 日によって痛む場所が変わる(移動性の関節炎)(参考:日本皮膚科学会 2)
- 関節リウマチと似ているが、骨が破壊されたり変形したりすることは稀
「腱鞘炎かな?」と思っていたら、実はSLEの症状だったというケースも少なくありません。
【3】特徴的な皮膚症状(蝶形紅斑など)
SLEの代名詞とも言えるのが「蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)」です(参考:難病情報センター 1)。
- 鼻筋から両頬にかけて、蝶が羽を広げたような形の赤い発疹が出る(参考:日本皮膚科学会 2)
- 少し盛り上がっており、境目がはっきりしている
- かゆみは少ないことが多いが、ヒリヒリすることもある
ただし、すべての患者さんに蝶形紅斑が出るわけではありません。
出ない場合もあるため、「顔に赤みがないからSLEではない」と自己判断するのは危険です。
皮膚や粘膜に現れるその他のサイン
代表的な症状以外にも、日常生活の中で「あれ?」と感じる小さなサインが隠れています。
日光過敏症(紫外線への異常反応)
強い紫外線を浴びた後に、皮膚に異常な反応が現れることがあります(参考:難病情報センター 1)。
- 海水浴や運動会の後、皮膚が真っ赤に腫れ上がり、水ぶくれができる
- 発熱や倦怠感が悪化する
これは「日光過敏症」と呼ばれ、SLEの発症や症状悪化(再燃)の引き金になることがあります。
痛みの少ない口内炎・脱毛
- 口内炎: 痛みの少ない、あるいは全くない潰瘍が、口の奥(上顎など)や鼻の中にできることがあります。痛くないため気づきにくいのが特徴です(参考:難病情報センター 1)。
- 脱毛: シャンプーやブラッシングの際に、「円形脱毛症のようにごっそり抜ける」、あるいは「髪全体が薄くなる」といった症状が見られることがあります。
レイノー現象(寒冷時の指の色変化)
冷たい水に触れたり、寒い場所に言ったりした際に、指先の色が劇的に変化する現象です(参考:難病情報センター 1)。
- 血管が収縮して「真っ白」になる
- 酸欠状態になり「紫色」になる
- 血流が戻り「赤色」になる
この色の変化(レイノー現象)は、SLEを含む膠原病の方によく見られる重要なサインです。
これもSLE?臓器・全身に現れる多様な症状
SLEは「全身性」という名前の通り、皮膚や関節だけでなく、体の内側の臓器にも影響を及ぼすことがあります。
腎臓の症状(むくみ・タンパク尿)
SLEにより腎臓に炎症が起きることを「ループス腎炎」と呼びます。
- 足や顔のむくみがひどい
- 尿が泡立つ(タンパク尿)
- 健康診断で尿の異常を指摘される
初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると以下の症状が現れます(参考:国立成育医療研究センター 3)。
精神神経症状・消化器症状
- 神経系: ひどい頭痛、痙攣(けいれん)、気分の落ち込みや不安感、記憶力の低下などが起こることがあります(参考:難病情報センター 1)。
- 消化器: 食欲不振、吐き気、下痢、腹痛などが続くこともあります。これらは体重減少の原因にもなります。
「もしかして…」と思ったら?セルフチェックと受診の目安
ここまで解説した症状を踏まえ、受診を検討すべきかのチェックリストを作成しました。
以下の項目に複数当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。
- 微熱や高熱が続き、原因がわからない
- 異常に疲れやすく、日常生活に支障が出ている
- 関節の痛みや腫れが数週間続いている
- 頬に蝶の形をした赤い発疹がある
- 日光に当たると皮膚が異常に赤くなり、体調が悪くなる
- 寒い場所で指先が白や紫に変色する
- 痛みの少ない口内炎がよくできる
- 最近、抜け毛が急激に増えた
- 尿が泡立つ、または健康診断で尿タンパクを指摘された
何科を受診すべき?
一般的な風邪とは異なるため、「膠原病内科」または「リウマチ科」のある病院を受診してください。
近くに専門病院がない場合は、まずは総合内科を受診し、紹介状を書いてもらうのがスムーズです。
診断までの検査の流れ
病院では、問診に加え、以下のような検査が行われます(参考:難病情報センター 1)。
- 血液検査
抗核抗体(自分自身を攻撃する抗体)の有無や、炎症反応、白血球の減少などを確認します。
- 尿検査
タンパク尿や血尿が出ていないかを確認します。
- 画像検査・生検
必要に応じてレントゲンや、皮膚・腎臓の組織を一部採取して調べる検査(生検)を行います。
全身性エリテマトーデスと診断されたら(予後と治療)
「難病」と聞くと、「治らない」「寿命が短い」といった不安を感じるかもしれません。
しかし、医療は日々進歩しています。
治療法の進歩と現在の予後
かつては予後が厳しい病気と考えられていましたが、現在はステロイド薬や免疫抑制薬、そして最新の生物学的製剤などの登場により、治療成績は劇的に向上しています。
適切な治療を受ければ、5年生存率は95%以上とも言われており、多くの方が病気をコントロールしながら、仕事や結婚、出産などの通常の生活を送っています(参考:順天堂大学医学部附属順天堂医院 4)。
早期発見・早期治療のメリット
重要なのは、臓器へのダメージが広がる前に治療を開始することです。
早期に発見し、炎症を抑え込むことで、症状が出ない状態(寛解)を長く維持することが可能になります。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では全身性エリテマトーデス(SLE)でお悩みの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
全身性エリテマトーデス(SLE)の初期症状は、発熱や関節痛など、ありふれた症状から始まります。
しかし、そこには「日光過敏」や「蝶形紅斑」、「レイノー現象」といった特徴的なサインが隠れていることもあります。
「いつもと違う」「体調不良が長引く」と感じたら、一人で悩まずに専門医(膠原病内科・リウマチ科)に相談してください。
早期発見こそが、あなたらしい生活を守るための第一歩です。
