「鼻水が止まらないけれど、これは花粉症? それともただの鼻炎?」

「風邪薬を飲んでも治らない…」

季節の変わり目や、ふとした瞬間に止まらなくなるくしゃみや鼻水。自分が「花粉症」なのか、それとも「アレルギー性鼻炎」なのか、あるいは「風邪」なのか判断がつかず、どの薬を選べばいいか迷っている方は非常に多くいます。

結論からお伝えすると、花粉症は「アレルギー性鼻炎」の一部です(参考:厚生労働省 2)。

しかし、原因物質や対策すべきポイントには明確な違いがあります。

この記事では、アレルギー性鼻炎と花粉症の定義の違いから、症状による見分け方、そして治療薬や生活面での対策の違いについて、専門的な視点を交えて分かりやすく解説します。

原因を正しく理解し、辛い症状から解放されましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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アレルギー性鼻炎と花粉症の違い

多くの人が「アレルギー性鼻炎」と「花粉症」を別の病気だと捉えがちですが、医学的には包含関係(親子関係)にあります。まずはこの基本的な仕組みを整理しましょう。

根本的な関係は「通年性」か「季節性」か

アレルギー性鼻炎は、原因となる物質(アレルゲン)によって大きく2つに分類されます(参考:日本アレルギー学会 3)。

  • 通年性アレルギー性鼻炎:ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛などが原因。一年中症状が出る可能性がある。
  • 季節性アレルギー性鼻炎(=花粉症):スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因。花粉が飛散する特定の季節だけ症状が出る。

つまり、花粉症はアレルギー性鼻炎の一種なのです。

どちらも、鼻の粘膜に入ってきた異物を排除しようとして、体の免疫機能が過剰に反応する(I型アレルギー反応)仕組みは共通しています。

違いが一目でわかる比較表

それぞれの特徴を比較すると、以下のようになります(参考:厚生労働省 2)。

項目通年性アレルギー性鼻炎季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
主な原因ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛などスギ、ヒノキ、イネ、ブタクサなどの花粉
発症時期一年中(季節を問わない)花粉の飛散時期(春や秋など限定的)
鼻の症状鼻水、鼻づまり、くしゃみ鼻水、鼻づまり、くしゃみ(連発しやすい)
目の症状比較的軽いことが多いかゆみ、充血、涙目(症状が強い)
その他の症状喘息を合併することがある肌荒れ、喉のイガイガ、熱っぽさ
天候の影響あまり関係ない(掃除中などに悪化)晴れて風が強い日に悪化、雨の日は軽減

花粉症特有の症状とは(目の症状・皮膚・喉)

表にある通り、最もわかりやすい違いの一つが「目の症状」です。

通年性のアレルギー性鼻炎でも目のかゆみが出ることはありますが、花粉症の場合は、花粉が目(結膜)に付着することで、強烈な目のかゆみや充血、涙目を伴うケースが非常に多く見られます(参考:厚生労働省 2)。

また、花粉症では、花粉が皮膚に付着して起こる「花粉皮膚炎」による肌荒れや、喉の奥がかゆくなる症状、微熱による倦怠感(頭がぼーっとする感じ)など、全身に症状が現れやすいのも特徴です(参考:環境省 1)。

あなたはどっち?セルフチェックと風邪との見分け方

「鼻水が出る」という点では、風邪も同じような症状を引き起こします。

しかし、処置を間違えると長引かせてしまうため、正しく見分けることが大切です。

これって風邪?それともアレルギー?

風邪(ウイルス性鼻炎)とアレルギー性鼻炎の決定的な違いは、「鼻水の状態」と「発熱の有無」、そして「期間」です(参考:厚生労働省 2)。

  • 鼻水の状態
    • アレルギー: 透明でサラサラした水のような鼻水(水様性鼻汁)。
    • 風邪: 初期はサラサラしていても、数日で黄色や緑色のドロっとした鼻水(粘液性・膿性)に変わる。
  • くしゃみ
    • アレルギー: 1回出ると止まらない、連続して出る。
    • 風邪: 単発で出ることが多い。
  • 発熱
    • アレルギー: 高熱が出ることは稀(微熱程度)。
    • 風邪: 数日で高熱が出たり、喉の痛みが強かったりする。
  • 期間
    • アレルギー: 原因物質がある限り、2週間以上長期間続く。
    • 風邪: 通常は1週間〜10日程度で治まる。

もし、「熱はないのに、サラサラした鼻水が2週間以上続いている」場合は、風邪ではなくアレルギー性鼻炎(通年性または花粉症)の可能性が高いと言えます。

季節性と通年性のチェックリスト

自分がどちらのアレルギー性鼻炎か迷ったときは、以下の状況をチェックしてみてください。

【季節性(花粉症)の可能性が高い】

  • [ ] 毎年、決まった時期(2月〜4月や秋など)に症状が出る。
  • [ ] 晴れて風が強い日に症状がひどくなる。
  • [ ] 雨の日は症状が少し楽になる。
  • [ ] 目のかゆみが強い。
  • [ ] 外出すると症状が悪化し、家に入ると少し落ち着く。

【通年性(ハウスダスト等)の可能性が高い】

  • [ ] 季節に関係なく、一年中症状がある。
  • [ ] 朝起きた直後にくしゃみや鼻水が出る(モーニングアタック)(参考:国立成育医療研究センター 4)。
  • [ ] 掃除機をかけたり、布団を動かしたりすると症状が出る。
  • [ ] 家の中にいる方が症状がつらい。
  • [ ] 目のかゆみはそこまで強くない。

治療薬に違いはあるの?

「花粉症」と診断された場合と、「通年性アレルギー」と診断された場合で、処方される薬に違いはあるのでしょうか?

基本的な治療薬は共通している

実は、治療薬の種類やメカニズムに大きな違いはありません。

どちらも「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」といった化学伝達物質が症状を引き起こしているため、以下のような薬が共通して使われます(参考:日本アレルギー学会 3)。

  • 抗ヒスタミン薬(飲み薬): くしゃみ、鼻水を抑える。
  • 抗ロイコトリエン薬(飲み薬): 鼻づまりがひどい場合に有効。
  • 点鼻ステロイド薬: 鼻の炎症を直接抑える。

医師は、アレルギーの原因が「花粉」か「ダニ」かということ以上に、「今、どの症状(鼻水、鼻づまり、目のかゆみ)がどれくらい重いか」を見て薬を選択します。

市販薬を選ぶ際の注意点

ドラッグストアには「花粉症用」と大きく書かれた薬と、「アレルギー性鼻炎用」と書かれた薬が並んでいますが、成分を見ると同じ抗ヒスタミン成分であることも少なくありません。

「花粉症用」と書いてある薬を、通年性アレルギーの人が飲んでも基本的には問題ありませんが、以下の点に注意して選びましょう。

  • 眠気の副作用: 仕事や運転をする人は「眠くなりにくい」タイプを選ぶ。
  • 併用薬: 血管収縮剤が含まれている点鼻薬などは、長期連用すると逆に鼻づまりが悪化するリスクがあるため注意が必要です(参考:日本アレルギー学会 3)。

病院で受けるべき「アレルギー検査」の重要性

薬は同じでも、「何を避ければいいか」という対策は全く異なります。 

そのため、一度は耳鼻咽喉科で血液検査(特異的IgE検査など)を受け、自分のアレルゲンを特定することを強くお勧めします(参考:国立成育医療研究センター 4)。

「花粉症だと思っていたら、実は猫アレルギーだった」というケースも珍しくありません。

原因を知ることは、無駄な我慢や間違った対策を避けるための最短ルートです。

自分でできる対策の違い

治療薬は共通していても、日常生活での「予防・回避アクション」は、原因によって戦略を変える必要があります。

特に「換気」に対する考え方は真逆になることがあります。

通年性アレルギー性鼻炎の対策(ハウスダスト・ダニ)

家の中にある原因物質を減らすことが最優先です。

  • 掃除の徹底: ホコリやダニの死骸は床に溜まります。こまめな掃除機がけが基本です。
  • 布団のケア: ダニは寝具を好みます。布団乾燥機や布団用掃除機を活用し、シーツはこまめに洗濯しましょう。
  • 湿度の管理: ダニやカビは高湿度の環境で繁殖します。除湿を行い、適切な湿度(50%前後)を保ちましょう。
  • 換気: 空気を入れ替え、ハウスダストを外に出すために積極的な換気が推奨されます(参考:日本アレルギー学会 3)。

花粉症の対策(季節性アレルギー)

外から来る原因物質を「入れない・吸わない」ことが最優先です。

  • 情報の確認: 花粉飛散予報をチェックし、飛散量が多い日の外出を控える。
  • 物理的ガード: マスク、メガネ(花粉症用)、ツルツルした素材のコートなどで体に花粉をつけない。マスクの装用は吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らす効果があります(参考:環境省 1)。
  • 持ち込まない: 帰宅時は玄関の外で服や髪についた花粉を払い落とす。
  • 換気の工夫: 窓を全開にすると花粉が侵入します。換気は最小限にし、空気清浄機を活用するのがベストです。もし窓を開ける場合は、窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで、屋内への流入花粉をおよそ4分の1に減らすことができます(参考:環境省 1)。

両方持っている「併発タイプ」の注意点

最も辛いのが、通年性アレルギーを持っている人が、花粉症も発症している「併発タイプ」です。

もともと鼻の粘膜が敏感になっているため、花粉シーズンに入ると症状が爆発的に悪化しやすい傾向があります。

このタイプの方は、花粉が飛び始める前から薬を飲み始める「初期療法」が特に効果的です。

本格的な飛散シーズンの1〜2週間前、あるいは症状が少しでも出始めたら早めに耳鼻科を受診し、準備を整えておくことで、ピーク時の苦しみを大幅に軽減できます(参考:厚生労働省 2)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではアレルギー性鼻炎の方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

まとめ:原因を知ることが快適な生活への第一歩

アレルギー性鼻炎と花粉症は、原因と時期が違うだけで、体の中で起きている反応は同じ兄弟のような病気です。

  • アレルギー性鼻炎:大きな枠組み。通年性(ダニ等)と季節性(花粉)がある。
  • 違いのポイント:目のかゆみの強さ(花粉症の方が強い)、発症時期、鼻水の状態(風邪との違い)。
  • 治療:薬はほぼ同じだが、生活対策(換気や掃除)のアプローチが異なる。

「たかが鼻炎」と放置していると、集中力の低下や睡眠不足につながり、生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。

まずはご自身の症状が「いつ」「どのような状況で」出るのかを観察し、医療機関で正確なアレルゲンを知ることから始めましょう。

敵を知ることで、適切な防御策が打てるようになります。

アレルギー性鼻炎に関するよくある疑問

Q: アレルギー性鼻炎と花粉症の薬は違いますか?

A: 基本的には同じ抗ヒスタミン薬などが使われます。

ただし、症状の強さ(鼻づまりがひどい、目のかゆみが強いなど)に合わせて、点鼻薬や点眼薬を組み合わせるなどの調整が行われます(参考:日本アレルギー学会 3)。

Q: アレルギー性鼻炎から花粉症になることはありますか?

A: はい、あります。通年性アレルギー性鼻炎の方は鼻の粘膜が日常的に炎症を起こしやすいため、花粉という新たな刺激に対して敏感に反応しやすく、花粉症を併発するリスクは比較的高いと言われています。

Q: 特定の果物を食べると口がかゆくなるのは関係ありますか?

A: おおいに関係があります。「口腔アレルギー症候群」と呼ばれ、花粉症のアレルゲンと果物のタンパク質の構造が似ているために起こります(例:シラカバ花粉症の人がリンゴやモモで反応する)。症状が出た場合は食べるのを控え、医師に相談してください(参考:環境省 1)。


参考資料・文献一覧

  1. 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」
    https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
  2. 厚生労働省「的確な花粉症の治療のために(第2版)」
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000077514.pdf
  3. 一般社団法人日本アレルギー学会「アレルギー疾患の手引き(2022年改訂版)」
    https://www.jsaweb.jp/huge/allergic_manual2022.pdf
  4. 国立成育医療研究センター「アレルギー性鼻炎」
    https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/allergic_rhinitis.html
  5. 環境省「エコジン 2019年2・3月号」
    https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin_backnumber/issues/19-03/19-03d/second/index.html