お子さんの日々の成長を見守る中で、「他の子と少し違うかも」「育てにくさを感じる」といった漠然とした不安や疑問を抱えている親御さんは少なくありません。
この記事では、発達障害の専門的な視点を取り入れた「発達障害 子供 チェックリスト」を、年齢や特性別にご紹介します。
ただし、これはお子さんに診断を下すためのものではありません。あくまで、お子さんの発達の特性を早期に発見し、より良い関わり方や適切なサポートへ繋げるための「最初のステップ」としてご活用いただくことを目的としています。
気になるサインに気づいたとき、親としてどのように考え、次の一歩をどう踏み出せば良いのか。具体的なヒントと、次のステップを整理します。
※この記事は啓発を目的としています。
お子様の発達障害でお困りの保護者様へ
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なぜ今、お子さんの発達特性に気づくことが大切なのか?
お子さんの発達について気になることがあっても、「成長すれば落ち着くかもしれない」「考えすぎだろうか」と、様子を見るべきか悩むこともあるでしょう。
しかし、発達の特性に早い段階で気づくことには、お子さんとご家族にとって大きな意味があります。
早期発見がもたらすメリットとは
発達の特性を早い時期に理解することは、多くの肯定的な側面を持っています。
まず、お子さんに合った支援や療育に早期にアクセスできる点が挙げられます。専門的なサポートを受けることで、お子さんが生活の中で感じる困難を軽減し、持っている力を伸ばしやすくなります。発達障害者支援法も、症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要であるとして、国と地方公共団体に早期発見のための措置を求めています※1。
また、本人の自己肯定感を守ることにも繋がります。「なぜ自分だけできないんだろう」と悩み、自信を失ってしまう前に関わる大人が特性を理解し、適切なサポートを行うことで、お子さんは安心して成長していくことができます。
そして何より、家族が特性を正しく理解することで、お子さんへの関わり方が変わり、家庭内での無用な衝突を減らし、より良い関係性を築くための基盤ができます。
早く気づくことは「診断を急ぐこと」ではありません
目的は、診断名を早く手に入れることではなく、お子さんが毎日を過ごしやすくなる関わり方と環境を早く用意することです。診断の前後にかかわらず、家庭や園でできる工夫はあります。
「気になるサイン」を見逃さない親の役割
専門家でなくとも、親御さんが日常の暮らしの中で気づく「小さな変化」や「気になるサイン」は、非常に重要な情報です。毎日一緒に過ごしているからこそ、言葉にならないお子さんのサインを敏感に感じ取ることができます。
医学的な知識がなくても、親としての「何か違うかもしれない」という直感は、お子さんを理解するための大切なきっかけになります。その感覚を否定せず、いちど客観的に見つめ直してみてください。発達障害者支援法は、市町村が乳幼児健診で発達障害の早期発見に十分留意すること、そして疑いがある場合には保護者へ継続的に相談・情報提供・助言を行うよう努めることを定めています※1。
【年齢別】発達特性のチェックリスト:わが子の成長と照らし合わせてみよう
ここでは、あくまで一般的な発達の目安として、年齢ごとに見られることのあるサインをチェックリスト形式でご紹介します。
繰り返しになりますが、これらは診断基準ではなく、お子さんの特性を理解するための参考情報です。当てはまる項目があるからといって、必ずしも発達障害があるというわけではありません。発達障害ナビポータルによれば、診断は生育歴の聴取や行動観察、複数の検査を組み合わせた包括的な評価を経て、医療機関で行われます※2。
1歳~2歳児に見られる発達のサインとチェック項目
この時期は、言葉やコミュニケーションの基礎が作られる大切なときです。
この時期の発達の目安
国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターは、模倣は生後9か月ごろから、指さしは1歳過ぎくらいから見られるようになると説明しています。呼びかけに振り向く「呼名反応」も、おすわりが安定するころからの大切なサインです※3。
自閉スペクトラム症のある乳幼児では、目と目を合わせる、指さしを行う、微笑み返す、後追いをする、模倣をする、人見知りをするといった社会的行動が弱かったり認められなかったりすることがあります。始語が遅く、言葉の発達に遅れが認められる場合もあります※4。
感覚の敏感さは「わがまま」ではありません
厚生労働省の資料でも、大勢の人がいる場所や気温の変化などの感覚刺激への敏感さで苦労している例が挙げられています。音や肌触り、室温といった感覚面を調整することが配慮のポイントとされており、叱って慣れさせる対応は逆効果になりかねません※5。
3歳~4歳児の気になる行動パターンとチェックリスト
集団生活が始まり、社会性や感情のコントロールが育ってくる時期です。
保育所や幼稚園に入ると、集団での遊びに参加したがらない、友達との適切なやりとりができない、会話が一方的になりやすい、初めてのことや予定の変更を好まないといった様子が見えてくることがあります※4。
一方で、落ち着きのなさや待つことの苦手さ、思いつくとすぐ行動に移してしまう傾向は、注意欠如多動症の特性としても知られています※6。
5歳~就学前の子どもが示す特性とチェックポイント
就学に向けて、ルール理解や社会的なやり取りがより複雑になってきます。
日常の活動を順序立てて行うことが苦手、手の掛かることを後回しにしがち、大事な物を失くしたり手渡すのを忘れたりする——こうした姿は注意欠如多動症の子どもによく見られる特徴です※6。
なお、この年齢は5歳児健診の対象にもあたります。乳幼児健診のうち1歳6か月児健診と3歳児健診は母子保健法により市町村に実施が義務づけられており、1か月児健診と5歳児健診についてはこども家庭庁が費用を助成しています※7。
小学生以降の学齢期に見られる発達特性のチェックリスト
学習面や友人関係で、より具体的な困難さが表れやすい時期です。
読み書きや計算の困難は、知的能力全般に遅れがないにもかかわらず、その領域だけが年齢相応に期待される水準より極端に劣っている場合に限局性学習症として扱われます。文章題が解けないという姿は、計算そのものではなく「数的推論」の領域のつまずきとして整理されます※8。
年齢が上がってから見えてくる困難もある
ここまでの年齢別チェックリストは、どの年齢でも同じ重みを持つわけではありません。国立障害者リハビリテーションセンターが整理した発見時期によれば、自閉症は幼児期前期(1~2歳)に気づかれることが多い一方、注意欠陥多動性障害は1歳6か月時点での発見が困難で、最も多く気づかれるのは学童期(7~12歳)です。学習障害にいたっては、1歳6か月では調べられず、学童期後期(11~12歳)に表面化する例が最多とされています※9。
つまり、低年齢のチェック項目が主に映し出しているのは対人・コミュニケーション面の特性で、注意や学習の特性は、集団生活や教科学習が始まってからでないと見えにくい。当てはまる項目が少なかったことは、その後に困りごとが出ないという保証にはなりません。
年齢が変わったら、その年齢の項目でもう一度見直す。この使い方のほうが、一度きりのチェックよりも現実的です。
ADHDと自閉スペクトラム症(ASD):それぞれの特性をチェック
発達障害の中でも、代表的なものにADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)があります。発達障害者支援法は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などを発達障害と定義しています※10。
それぞれの特性には違いがあり、お子さんの「気になる」がどちらの傾向に近いかを知ることも、理解の一助となります。
注意欠如・多動症(ADHD)でよく見られる行動特性
ADHDの主な特性は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つです。これらの現れ方は年齢によっても変化します。
診断では「12歳以前」と「複数の場面」が要件になります
発達障害ナビポータルの説明では、診断上は「不注意」と「多動性・衝動性」の2つの領域に整理されます。注意を持続させることが困難、順序立てて行動することが苦手、落ち着きがない、待つことが苦手といった特性が12歳以前から持続的に認められ、学校・家庭・職場など複数の生活場面で困難が生じていることが条件です。学童期では3~7%に認められ、男児が女児より2~5倍多く見られます※6。
不注意のチェック項目は次のとおりです。
多動性・衝動性のチェック項目は次のとおりです。
自閉スペクトラム症(ASD)のコミュニケーション・行動特性
ASDの主な特性は「対人関係やコミュニケーションの困難」と「限定された興味やこだわり」です。感覚の特性を伴うことも少なくありません。
対人関係・コミュニケーションのチェック項目は次のとおりです。
限定された興味・行動、感覚の特性としては、次のような項目が挙げられます。
ASDのある子どもは、自分が興味を持った特定の物事について過度に熱中しやすく、知識も豊富になる傾向が顕著です。一方で、初めてのことや予定の変更は好まず、環境に馴染むのに時間がかかることがあります※4。
「見通しが立たない」ことが不安の引き金になります
厚生労働省は、見通しの立たない状況では不安が強い一方、見通しが立つときはきっちりしているという特性を挙げています。配慮のポイントとして示されているのは、肯定的・具体的・視覚的な伝え方と、手順を示してモデルを見せるスモールステップの支援です※5。
「グレーゾーン」って何?気になるけど診断がつかない子どもの特徴
チェックリストに当てはまる項目はあるものの、専門機関で相談しても「発達障害」という明確な診断がつかないケースがあります。このような状態は、一般的に「グレーゾーン」と呼ばれます。
グレーゾーンの定義と見極めのポイント
グレーゾーンとは、発達障害の特性を部分的に持ってはいるものの、診断基準をすべて満たすわけではない状態を指す俗称です。医学的な診断名ではありません。
特性によって生活や学習に何らかの困難さを抱えているため、支援が必要な場合が少なくありません。診断がつく・つかないという二元論ではなく、お子さん一人ひとりの特性の濃淡を見極め、必要なサポートを考えることが大切です。なお「グレーゾーン」という言い方は世間一般で広く使われているものの、行政や学会の公的な資料で定義された用語ではない点にはご留意ください。
グレーゾーンの子どもに見られる具体的な行動例
グレーゾーンのお子さんには、得意なことと苦手なことの差(アンバランス)が非常に大きいという特徴が見られることがあります。
例えば、「言葉を覚えるのは早かったが、友達とのコミュニケーションは極端に苦手」「計算は得意だが、漢字の書き取りだけがどうしてもできない」といったケースです。このようなアンバランスさが、集団生活でのつまずきの原因になることもあります。
親が知っておきたいグレーゾーンの子への関わり方
診断名がつかなくても、お子さんが困難を感じている事実は変わりません。大切なのは、診断の有無にこだわるのではなく、お子さんの「個性」や「特性」として捉え、それに合わせた関わり方を工夫することです。
苦手なことに対しては、環境を調整したり、やり方を工夫したりすることで、負担を軽減できます。同時に、得意なことや好きなことを見つけて存分に伸ばしてあげることも、自己肯定感を育む上で非常に重要です。発達障害ナビポータルも、困難だけでなく特性の「強み」を理解することが、より適した環境設定や支援方法につながると説明しています※2。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では発達障害でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
チェックリストで「気になる」が見つかったら?次のステップへ
チェックリストの結果を見て、不安が大きくなった方もいるかもしれません。しかし、ここからが支援への大切な一歩です。焦らず、冷静に次のステップへと進みましょう。
まずは冷静に!親が取るべき最初の行動
チェックリストに当てはまる項目が多いからといって、すぐに「発達障害だ」と結論づける必要はありません。まずは、お子さんの様子を客観的に記録することから始めてみてください。
「いつ、どこで、どんな状況で、どのような行動があったか」を具体的にメモしておくと、後々専門家に相談する際に非常に役立ちます。感情的にならず、事実を記録することがポイントです。
そして、一人で抱え込まず、パートナーや信頼できる家族と情報を共有し、一緒にお子さんのことを見守る体制を作りましょう。
受診前に用意しておくと話が早いもの
初診では、主訴と経緯、生育歴、既往歴、家族構成、現在の生活状況、支援機関の利用の有無などが聴取され、母子健康手帳や通知表、作文・ノートの持参を依頼されることもあります※2。これを保護者側の準備リストに置き換えると、次のようになります。
どこに相談すればいい?専門機関の選び方と相談の流れ
お子さんの発達について相談できる専門機関は、いくつかあります。
このうち発達障害者支援センターは、発達障害者支援法に基づいて都道府県・指定都市に設置される専門機関です。保健・医療・福祉・教育・労働などの関係機関と連携しながら、本人と家族からの相談に応じ、指導と助言を行っています※11。
相談に行く際は、事前に記録したメモを持参すると、状況が伝わりやすくなります。初回の相談ですぐに結論が出るとは限りません。継続的な面談や発達検査を経て、お子さんの状態を多角的に評価していく流れが一般的です。
診断の有無に関わらず、家庭でできるサポートのヒント
専門機関での評価を待つ間にも、家庭でできることはたくさんあります。
これらの関わりは、診断の有無に関わらず、すべてのお子さんの成長にとってプラスに働きます。
周囲の理解を求めるための情報共有のコツ
学校や園の先生、祖父母など、お子さんに関わる周囲の人々の理解と協力は不可欠です。
伝える際は、「うちの子は発達障害です」とレッテルを貼るのではなく、「〇〇な状況が苦手なようです」「こういう風に声をかけてもらえると、本人は安心するようです」というように、具体的な特性と望ましい対応をセットで伝えることが有効です。
客観的な事実と、家庭での工夫を共有することで、一貫したサポート体制を築きやすくなります。
発達障害に関するよくある疑問
まとめ
お子さんの成長に関する「気になる」というサインは、決して親の思い過ごしではありません。それは、お子さんを深く理解し、その子に合ったサポートを見つけるための、とても重要な第一歩です。
今回ご紹介した「発達障害 子供 チェックリスト」は、その気づきを具体的な形にし、次の行動へと繋げるための大切なツールです。チェックリストの結果に一喜一憂するのではなく、お子さんの個性として受け止め、どうすればその子がより良く生きていけるかを考えるきっかけとしてください。
一人で悩みを抱え込む必要はありません。地域の相談機関や専門家、支援サービスなど、利用できる社会資源は数多く存在します。積極的に情報を集め、専門家の力を借りながら、お子さんの可能性を最大限に引き出すためのサポートを始めましょう。
