「最近、名前がすぐに出てこない」

「買い忘れが増えた気がする」

 ふとした瞬間に感じる記憶力の変化に、不安を感じることはありませんか?

あるいは、大切なご家族のために、今のうちからできる認知症対策を知りたいと考えている方も多いでしょう。

認知症は、ある日突然発症するものではなく、長い年月をかけて脳の変化が蓄積した結果として現れます。

だからこそ、日々の積み重ねである「食事」が、将来のリスクを低減させるための重要な鍵を握っています(参考:厚生労働省 1)。

本記事では、国立長寿医療研究センターなどの公的機関や医学的なガイドラインを参考に、認知機能の維持に役立つ可能性が報告されている食べ物と、注意すべき食習慣について解説します。

今日の食事が、10年後、20年後のあなたの脳を守る盾となるかもしれません。

ぜひ今日から、脳が喜ぶ食習慣を始めてみましょう。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

物忘れや軽度認知障害でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。

※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。

認知症予防は毎日の食事から!科学的に注目される理由

認知症、特にアルツハイマー型認知症の原因の一つとして、脳内で「アミロイドベータ」という老廃物が蓄積することや、脳の神経細胞が酸化(サビつき)や炎症を起こすことが関わっていると考えられています。

食事には、こうした脳への負担を減らす可能性があります。

適切な栄養を摂取することで、脳の神経細胞を保護したり、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)を防いだりすることが、結果として認知症の発症リスクを下げることが分かっています(参考:国立長寿医療研究センター 2)。

【推奨】脳の健康維持に役立つとされる食べ物・飲み物7選

ここでは、多くの研究で「認知機能の維持・向上に関連がある」と報告されている代表的な食材を紹介します。

これら一つだけを大量に食べるのではなく、日々の献立にバランスよく取り入れていくことが推奨されています(参考:日本神経学会 3)。

1. 青魚(DHA・EPA)

サバ、イワシ、サンマなどの青魚は、脳の健康に欠かせない「オメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)」の宝庫です。

観察研究において、魚を多く食べる人は認知症の発症リスクが低いという報告が複数あります。

DHAは脳の構成成分として重要であり、EPAは血流を維持することで、脳の健康をサポートすると考えられています(参考:日本神経学会 3)。

2. 緑黄色野菜・果物(抗酸化物質)

ホウレンソウ、ブロッコリー、ニンジンなどの緑黄色野菜には、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどの「抗酸化物質」が豊富に含まれています。

これらは、脳の老化原因の一つである酸化ストレスに対抗する働きが期待されています。 

また、野菜に含まれる「葉酸」は、不足すると動脈硬化や認知機能低下のリスクとなる物質(ホモシステイン)を減らす働きがあります(参考:厚生労働省 1)。

3. 納豆・大豆製品

日本の食卓に欠かせない納豆、豆腐、味噌などの大豆製品も強力な味方です。

大豆に含まれる「イソフラボン」の摂取量が多いグループでは、認知機能障害のリスクが低かったという国内の研究報告もあります(参考:国立がん研究センター 4)。

また、納豆などの発酵食品は腸内環境を整えることでも注目されています。

4. オリーブオイル(良質な脂質)

地中海料理で多用されるオリーブオイル、特にエクストラバージンオリーブオイルは、認知症リスクの低減に関連する食品として知られています。

普段使っているサラダ油などをオリーブオイルに置き換えるだけでも、手軽に良質な脂質を摂取することができます。

5. コーヒー・緑茶(カフェイン・ポリフェノール)

意外に思われるかもしれませんが、コーヒーや緑茶も適量であれば脳に良い影響を与える可能性があります。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸や、緑茶に含まれるカテキンなどのポリフェノールには抗酸化作用があり、一部の疫学研究では認知症リスクの低下との関連が示唆されています。

ただし、飲み過ぎや夕方以降の摂取は睡眠の質を下げるため注意が必要です。

6. カレー(スパイス・クルクミン)

カレーのスパイスであるターメリック(ウコン)に含まれる「クルクミン」には、抗酸化作用や抗炎症作用があることが知られています。

「カレーをよく食べる地域では認知機能が良好」という研究もあり注目されていますが、医学的な確証を得るにはまだ研究が必要です(参考:日本神経学会 3)。

減塩のためにスパイスとしてカレー味を活用するのは、血管を守る良い方法と言えます。

7. ベリー類・ナッツ類

ブルーベリーやイチゴなどのベリー類には「アントシアニン」などのポリフェノールが豊富です。

また、クルミやアーモンドなどのナッツ類は、ビタミンEや良質な不飽和脂肪酸を含みます。

間食として、スナック菓子の代わりにこれらを取り入れるのがおすすめです。

【注意】認知症のリスクを高める可能性がある食習慣

「何を食べるか」と同じくらい、「何を避けるか」も重要です。

生活習慣病を招く食事は、巡り巡って認知症の大きなリスク要因となります。

トランス脂肪酸の過剰摂取

マーガリンやショートニング、これらを使った加工食品に含まれることのある「トランス脂肪酸」。 

血中のトランス脂肪酸濃度が高い人は、認知症の発症リスクが高まるという海外の研究報告があります。

加工食品の摂りすぎに注意し、なるべく自然な食材を選ぶようにしましょう。

糖質の摂りすぎと食後高血糖

甘いお菓子やジュース、炭水化物の重ね食べなどによる「糖質の過剰摂取」は要注意です。

 糖尿病やその予備軍である状態は、アルツハイマー型認知症および血管性認知症の両方のリスクを高めることが確実視されています(参考:日本神経学会 3)。

「野菜から先に食べる(ベジ・ファースト)」を心がけ、血糖値の急上昇を防ぎましょう。

アルコールの多量摂取

「酒は百薬の長」と言われるのは適量までです。

長期間にわたる多量の飲酒は、脳の萎縮や認知機能の低下に関連していることが分かっています。

週に数日は休肝日を設け、適量を守って楽しむことが、脳を守ることにつながります(参考:厚生労働省 1)。

塩分の摂りすぎ

塩分の摂りすぎは高血圧を招きます。

中年期の高血圧は、将来的な認知症発症の強力なリスク要因です。

出汁(だし)や酸味を活用して、美味しく減塩することを心がけましょう。

世界が注目する食事法「MIND食(マインド食)」とは?

特定の食材だけでなく、食事全体のパターンとして注目されているのが「MIND食(マインド食)」です。

これは、高血圧予防のための「DASH食」と、心臓病予防に良い「地中海式食事法」を組み合わせ、認知症予防に特化させた食事法として考案されました(参考:東京都健康長寿医療センター 5)。

MIND食のポイント:

  • 積極的に摂る:
    • 緑黄色野菜、その他の野菜、ナッツ類、ベリー類、豆類、全粒穀物、魚、鶏肉、オリーブオイル
  • 控える:
    • 赤身肉(牛肉・豚肉)、バター・マーガリン、チーズ、お菓子・スイーツ、揚げ物・ファストフード

厳密に守らなくても、「野菜や魚を増やし、揚げ物や甘いものを減らす」という意識を持つだけで、脳の健康維持に役立つと考えられています。

認知症予防効果を高める食事のコツと生活習慣

食材選び以外にも、脳に良い食事の習慣があります。

「よく噛む」ことで脳への血流アップ

よく噛んで食べることは、あごの筋肉を動かし、脳への血流を増加させます。

一口30回を目標に、食材を少し大きめに切るなどの工夫をしてみましょう。

「孤食」を避けて誰かと楽しく食べる

一人で黙々と食べる「孤食」よりも、家族や友人と会話をしながら楽しく食べる「共食」の方が、認知症予防の観点からは推奨されます。

コミュニケーションは脳の高度な機能を使うため、食事中の会話は素晴らしい脳のトレーニングになります。

食事+運動で効果を最大化する

食事だけでなく、適度な運動を組み合わせることで予防効果はさらに高まります。

食べたエネルギーを運動で消費し、肥満や糖尿病を防ぐことが、結果として脳の健康を守ります(参考:国立長寿医療研究センター 2)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では物忘れや軽度認知障害でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

FAQ(よくある質問)

Q. サプリメントだけで予防できますか?

A. 特定の栄養素(ビタミンE、C、イチョウ葉エキスなど)をサプリメントだけで摂取しても、認知症予防効果があるという確実な医学的証拠はまだ確立されていません(参考:日本神経学会 3)。基本は食事から、様々な栄養素を相互作用させながら摂取することが推奨されています。

Q. お酒は全く飲んではいけませんか?

A. 完全に禁酒しなければならないわけではありません。少量の飲酒は認知症リスクを上げない、あるいは下げる可能性があるという報告もありますが、多量の飲酒は明確なリスク要因です。適量(目安として1日あたり日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度まで)を守り、週に数日は休肝日を作ることが大切です(参考:厚生労働省 1)。

Q. 甘いものがやめられないのですが、どうすればいいですか?

A. 無理にゼロにするのではなく、血糖値を急上昇させない工夫が有効です。洋菓子よりは脂質の少ないものを選んだり、果物や高カカオチョコレートに置き換えたりするのがおすすめです。また、空腹時にいきなり甘いものを食べず、食後のデザートとして少量楽しむなど、食べるタイミングや量に気をつけましょう。

まとめ

認知症予防のための食事に、「これさえ食べれば絶対に大丈夫」という魔法の食材はありません。

しかし、毎日の食事選びを少し工夫し、生活習慣病を防ぐことで、リスクを下げられる可能性は十分にあります。

今日からできる3つのステップ:

  1. 「青魚」と「野菜」を意識して献立に入れる。
  2. おやつをスナック菓子からナッツや果物に変えてみる。
  3. よく噛んで、味わって食べる。

「脳に良い食事」は、体全体の健康にも良い「美味しい食事」でもあります。

あまり神経質になりすぎず、できることから楽しく食習慣を見直してみませんか?

参考資料・文献一覧

  1. 厚生労働省「認知症予防・支援マニュアル(改訂版)」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1h_0001.pdf
  2. 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック(第2版)」 https://www.ncgg.go.jp/ncgg-overview/pamphlet/documents/mcihandbook-v2.pdf
  3. 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_00.pdf
  4. 国立がん研究センター 多目的コホート研究「大豆製品摂取と認知症リスクとの関連」 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8937.html
  5. 東京都健康長寿医療センター研究所「MIND食 国立長寿医療研究センター」検索結果および公式サイト情報 https://www.tmghig.jp/