健康診断の結果で「尿蛋白(±)」や「尿蛋白(1+)」という文字を見て、不安を感じていませんか。

「腎臓が悪いのでは?」「何か大きな病気が隠れているの?」と心配になるのは当然のことです。

実は、女性の場合は生理(月経)や妊娠といった女性特有の体調変化によって、一時的に尿蛋白が陽性になるケースが少なくありません。

しかし一方で、自覚症状がないまま進行する腎臓病のサインである可能性も否定できません。

この記事では、尿蛋白が出る原因を「女性特有の生理現象」と「注意すべき疾患」に分けて詳しく解説します。

さらに、再検査のタイミングや何科を受診すべきかといった具体的なアクションについても、最新の医学的根拠に基づいてお伝えします。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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女性の尿蛋白陽性、まずは「一時的」か「持続的」かを知る

尿蛋白が陽性と出た際、最も重要なのは、それが「たまたま一時的に出たもの」か、それとも「ずっと出続けている(持続的)もの」かを確認することです(参考:日本腎臓学会 1)。

健康診断の「尿蛋白(±・1+)」が意味すること

尿検査の「±(偽陽性)」は、蛋白がごくわずか(約15mg/dL程度)に検出された状態を指します。

また「1+」は明確(30mg/dL以上)に検出されている状態です。

1回だけの検査で陽性になっても、そのすべてが直ちに腎臓の病気を意味するわけではありません(参考:日本腎臓学会 1)。

病気ではない「一過性蛋白尿」の主な原因

健康な人でも、以下のような状況では一時的に尿蛋白が出ることがあります。

これを「一過性蛋白尿」と呼びます。

  • 激しい運動後:
    • 筋肉の代謝産物や血流の変化により一時的に尿に蛋白が漏れ出します(参考:日本腎臓学会 1)。
  • 高熱がある時:
    • 風邪などの感染症による発熱時も、腎臓の透過性が変化し陽性になりやすいです(参考:日本腎臓学会 1)。
  • 強いストレスや疲労:
    • 身体的・精神的な負荷が一過性に腎臓へ影響を与えることがあります(参考:日本臨床検査医学会 6)。

若年女性に多い「起立性蛋白尿」とは

10代から20代の比較的痩せ型の女性に多く見られるのが「起立性蛋白尿」です。

立っている姿勢の時に、重力の影響や解剖学的な要因で腎臓の血管が圧迫され、蛋白が漏れてしまう現象です(参考:日本腎臓学会 1)。

横になって休んでいる時の尿(早朝尿)には蛋白が出ないのが特徴で、一般的に病気としての心配はありません(参考:日本腎臓学会 7)。

【女性特有】尿蛋白が出る主な3つの要因

女性には、男性にはない特有の身体的メカニズムがあり、それが尿検査の結果を左右することがあります。

生理(月経)による経血や分泌物の混入

偽陽性の代表的な原因が生理です。

生理中やその前後数日間は、尿に経血や腟分泌物が混じりやすく、それに含まれるタンパク質が試験紙に反応して「尿蛋白陽性」と判定されることがあります(参考:厚生労働省 2)。

また、生理中には潜血反応も陽性になりやすいため、正確な判定が困難となります(参考:厚生労働省 2)。

妊娠中の尿蛋白と「妊娠高血圧症候群」のサイン

妊娠中は血液量が増え、腎臓にかかる負担が通常より大きくなるため、尿蛋白が出やすくなります。

注意が必要なのは「妊娠高血圧症候群(HDP)」です(参考:日本産婦人科医会 3)。

以前の定義では尿蛋白が診断の必須条件でしたが、2018年以降は高血圧があれば蛋白尿がなくても診断されるようになっています。

しかし、依然として尿蛋白は母体や胎児の予後に関わる重要な指標であり、厳重な管理が必要です(参考:日本産婦人科医会 3)。

更年期のホルモン変化と腎機能、生活習慣病のリスク

更年期以降、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、血管の柔軟性が失われやすくなり、高血圧や脂質異常症のリスクが高まります(参考:国立循環器病研究センター 5)。

エストロゲンには血管保護作用があるため、その減少は腎臓の微細な血管を傷つけ、尿蛋白の原因となる「慢性腎臓病(CKD)」を引き起こす間接的な要因となります(参考:国立循環器病研究センター 5)。

放置は危険!尿蛋白が持続する場合に疑われる病気

もし再検査でも尿蛋白が続く場合、以下のような「持続性蛋白尿」を引き起こす疾患が隠れている可能性があります。

腎臓そのものの病気(慢性糸球体腎炎、IgA腎症など)

腎臓のろ過装置である「糸球体」に炎症が起きる病気です。

特に「IgA腎症」は、日本人の若い世代から中年層に多く見られる慢性腎炎で、初期には尿蛋白以外の自覚症状がほとんどありません(参考:難病情報センター 4)。

放置すると徐々に腎機能が低下し、将来的に透析が必要になるリスクがあるため、早期発見が非常に重要です(参考:難病情報センター 4)。

全身の病気が腎臓に影響するケース(糖尿病、高血圧、膠原病)

腎臓以外の病気が原因で尿蛋白が出ることもあります。

  • 糖尿病性腎症:
    • 糖尿病の合併症として腎臓の血管が傷つき、微量アルブミンや蛋白が漏れ出します(参考:日本腎臓学会 1)。
  • 膠原病(SLEなど):
    • 全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病は若い女性に多く、免疫の異常によって腎臓に炎症(ループス腎炎)を起こし、強い尿蛋白が出ることがあります(参考:日本臨床検査医学会 6)。

尿蛋白陽性と言われたらどうする?正しい対処法と受診の目安

健康診断で陽性を指摘されたら、まずは落ち着いて次のステップに進みましょう。

再検査を受けるタイミングと注意点

生理中に検査を受けた場合は、生理が終わってから数日〜1週間ほど空けて再検査を行うのが適切です(参考:厚生労働省 2)。

また、起立性蛋白尿を否定するために、横になって起きた直後の「早朝尿」で検査を受けることが推奨されます(参考:日本腎臓学会 7)。

検査前日の激しい運動は避けるようにしましょう(参考:日本腎臓学会 1)。

受診するのは「腎臓内科」か「泌尿器科」か?

尿蛋白が主な指摘事項(腎臓のフィルター機能の異常)であれば、腎臓の機能を専門的に診る「腎臓内科」の受診が推奨されます(参考:日本腎臓学会 7)。

一方で、残尿感や排尿時の痛み、発熱などがある場合は、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症の可能性があるため「泌尿器科」が適しています(参考:日本腎臓学会 7)。

病院へ行くべき「要注意な症状」

尿蛋白に加えて以下の症状がある場合は、早期の受診が必要です。

  • 足のむくみ(浮腫):
    • 靴がきつくなる、指で押すと跡が残る(参考:日本腎臓学会 1)。
  • 尿の泡立ち:
    • 排尿後の泡が細かく、なかなか消えない(参考:日本腎臓学会 1)。
  • 肉眼的血尿:
    • 尿の色が赤や茶色、コーラ色に見える(参考:難病情報センター 4)。

尿蛋白を予防・改善するために意識したい生活習慣

腎臓への負担を減らすことは、将来の腎機能を守るために不可欠です。

塩分の控え方とバランスの良い食事

塩分の摂りすぎは血圧を上げ、腎臓の糸球体に高圧をかけます。

CKDの管理や予防において、1日6g未満を目安にした減塩が推奨されています(参考:日本腎臓学会 1)。

また、蛋白尿が多い場合、タンパク質の過剰摂取も腎臓の負担になるため、医師の指導に基づいた適切な摂取量を心がけることが大切です(参考:難病情報センター 4)。

適度な水分補給と休息の重要性

脱水状態になると尿が濃縮され、見かけ上の蛋白濃度が高くなることがあります。

心臓や腎臓の病気で水分制限がない限り、こまめな水分補給を行いましょう。

また、一過性の蛋白尿は疲労でも生じるため、十分な睡眠と休息は基本となります(参考:日本臨床検査医学会 6)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では腎疾患でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q:尿蛋白が陽性でも症状がなければ放置していい?

A:放置は推奨されません。腎臓病の多くは進行するまで自覚症状が出ないため、尿蛋白は「わずかな異変」を捉える貴重なサインです。必ず再検査を受けてください(参考:日本腎臓学会 1)。

Q:食べ物やサプリメントで尿蛋白は改善する?

A:特定の食品だけで尿蛋白を治すことはできませんが、減塩などの食事療法は非常に有効です。安易なサプリメント摂取は逆に腎臓の負担になることもあるため、まずは専門医に相談しましょう。

Q:生理の何日前後なら検査に影響しない?

A:一般的に生理開始の数日前から、終了後3〜5日程度は経血の影響が出る可能性があります(参考:厚生労働省 2)。可能であれば、生理終了後1週間程度あけて検査を受けるのが確実です。

まとめ

女性の尿蛋白は、生理や妊娠といった一時的な要因で陽性になることが多々あります。

しかし、その中には腎炎や生活習慣病、膠原病といった重大な疾患のサインが隠れていることもあります。

「女性特有の現象だろう」と自己判断するのではなく、再検査を通じて現状を正しく把握することが、未来の自分を守ることにつながります。

参考資料・文献一覧

  1. 一般社団法人日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00779/
  2. 厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001496685.pdf
  3. 日本産婦人科医会「妊娠中の腎機能と蛋白尿の評価」 https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%883%EF%BC%89%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E3%81%AE%E8%85%8E%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%A8%E8%9B%8B%E7%99%BD%E5%B0%BF%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1/
  4. 難病情報センター「IgA腎症(指定難病66)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/41
  5. 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「慢性腎臓病(CKD)」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/ld/hypertension/detail02-2/
  6. 一般社団法人日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドライン:蛋白尿・血尿」 https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/077.pdf
  7. 一般社団法人日本腎臓学会「診療ガイドライン:第4章 臨床に役立つフローチャート」 https://jsn.or.jp/guideline/kennyou/19.php