「最近、急に体重が増えてしまった」

 「食事量は変わらないのに太りやすくなった気がする」

このように体重の増加に悩んで検索されたあなたは、もしかすると「ただの食べ過ぎ」ではなく、治療が必要な「肥満症」という状態かもしれません。

一般的に、肥満の主な原因は「食べ過ぎ」と「運動不足」と言われます。

しかし、実はそれ以外にもホルモンの異常や遺伝、服用している薬の影響、さらには現代社会特有の環境など、複雑な要因が絡み合っていることが多いのです(参考:日本肥満学会 1, 京都大学 3)。

この記事では、「単なる肥満」と「肥満症」の医学的な違いを明確にした上で、肥満症を引き起こす原因を網羅的に解説します。

原因を正しく理解することは、健康な体を取り戻すための最初の一歩です。

ぜひ最後までお読みください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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そもそも「肥満症」とは?単なる「肥満」との違い

まず知っておきたいのは、医学的に「肥満」と「肥満症」は明確に区別されているという点です。

単に体重が重いだけでは「病気」とは診断されません。

肥満症の定義

日本肥満学会のガイドラインでは、以下のように定義されています(参考:日本肥満学会 1, 厚生労働省 2)。

  1. 肥満:
    • BMI(体格指数)が25以上の状態。
  2. 肥満症:
    • 「肥満」であり、かつ肥満に起因する健康障害(糖尿病や高血圧など)を合併している、または内臓脂肪が過剰に蓄積し、将来的に健康障害を起こすリスクが高い状態のこと。

つまり、太っていても健康であれば「肥満」です。

ですが、健康に悪影響が出ている、あるいは内臓脂肪型肥満(腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上など)の場合は、治療が必要な「肥満症」という病気として扱われます(参考:日本肥満学会 1)。

肥満症を引き起こす2つの大きな原因分類

肥満症の原因は、大きく分けて「単純性肥満(原発性肥満)」と「症候性肥満(二次性肥満)」の2つに分類されます(参考:厚生労働省 2)。

1. 単純性肥満(約9割):生活習慣と環境

肥満症の方の約9割以上が、このタイプに該当するといわれています。

特定の病気が原因ではなく、日々の生活習慣や環境要因の積み重ねによって起こります

エネルギー摂取と消費のアンバランス

基本メカニズムはシンプルです。

食事から摂るエネルギー(摂取カロリー)が、生命維持や運動で使うエネルギー(消費カロリー)を上回った場合、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されます。

  1. 過剰なエネルギー摂取:
    • 高脂肪食、糖質の多い食事、清涼飲料水の飲み過ぎ、アルコールの過剰摂取など。
  2. 食習慣の乱れ:
    • 早食い、まとめ食い、夜遅い時間の食事、朝食抜きなど。これらは血糖値を急上昇させ、脂肪を溜め込みやすくします。
  3. 運動不足:
    • 車社会の発展やデスクワークの増加により、日常生活での活動量が低下しています。加齢に伴う基礎代謝の低下も、消費エネルギーが減る一因です。

社会的・環境的要因

個人の意志だけでなく、私たちを取り巻く環境も大きく影響しています。

  • 24時間営業のコンビニや飲食店の増加
  • 手軽に高カロリーな加工食品が手に入る環境
  • ストレス社会による過食(ストレス発散としての食事)

日本肥満学会も指摘している通り、現代は「肥満になりやすい環境」が整ってしまっているといえます(参考:日本肥満学会 1)。

遺伝的素因

「親が太っていると子も太る」とよく言われます。

肥満には遺伝的素因(太りやすい体質)も関与しており、一般的に遺伝の影響が約3割、生活習慣の影響が約7割ともいわれています。

しかし、遺伝子を持っていたとしても必ずしも肥満になるわけではなく、生活習慣や環境が大きな要因(トリガー)となります(参考:日本肥満学会 1)。

2. 症候性肥満(二次性):隠れた病気や薬の影響

全体の割合としては少ないですが、「病気」や「薬」が原因で太ってしまうケースがあり、これを「症候性肥満」と呼びます。

この場合、いくら食事制限や運動を頑張っても、原因となっている病気を治療しなければ肥満は改善しません(参考:厚生労働省 2)。

内分泌性肥満(ホルモン異常)

ホルモンの分泌異常によって代謝が落ちたり、脂肪合成が促進されたりします。

  1. クッシング症候群:
    • 副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に出る病気。顔が満月のように丸くなる(ムーンフェイス)、お腹周りだけ太るといった特徴があります。
  2. 甲状腺機能低下症:
    • 代謝を司る甲状腺ホルモンが不足し、代謝が低下して太りやすくなります。むくみや無気力を伴うことが多いです。

視床下部性肥満

脳の視床下部にある「満腹中枢」や「摂食中枢」が、脳腫瘍や炎症、外傷などで障害を受けると、食欲のコントロールができなくなり、高度な肥満になることがあります。

薬剤性肥満

病気の治療のために服用している薬の副作用で体重が増加することがあります

  • ステロイド薬
  • 一部の抗うつ薬、抗精神病薬
  • 糖尿病治療薬(インスリンなど)の一部

※自己判断で薬を中断するのは危険です。薬が原因かもしれないと感じた場合は、必ず主治医に相談してください。

あなたはどっち?肥満症の原因チェックリスト

自分の肥満の原因がどこにあるのか、簡易的にチェックしてみましょう。

【生活習慣タイプ(単純性肥満の可能性大)】
  •  満腹になるまで食べてしまう
  •  揚げ物や甘いものが大好き
  •  食べるのが早い(早食い)
  •  運動をする習慣がほとんどない
  •  ストレスが溜まると食べて発散する
【病気・体質タイプ(症候性肥満の疑いあり)】
  •  食事量は変わらないのに、急激に体重が増えた
  •  全身のむくみがひどい
  •  顔が丸くなり、お腹だけに脂肪がつく
  •  疲れやすく、寒がりになった
  •  月経不順がある(女性の場合)

※【病気・体質タイプ】に当てはまる項目がある場合、内分泌疾患などが隠れている可能性があります。早めに医療機関(内科や内分泌内科)を受診することをおすすめします。

肥満症を放置するリスクと関連する11の病気

肥満症が「病気」とされる理由は、放置すると命に関わる重大な疾患を引き起こすリスクが高まるからです。

特に内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞から悪玉物質が分泌され、血管や代謝に悪影響を及ぼします。

肥満症の診断基準に関わる「11の健康障害」は以下の通りです(参考:日本肥満学会 1)。

  1. 2型糖尿病・耐糖能障害
  2. 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
  3. 高血圧
  4. 高尿酸血症・痛風
  5. 冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
  6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  7. 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)
  8. 月経異常・女性不妊
  9. 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  10. 運動器疾患(変形性関節症、変形性脊椎症など)
  11. 肥満関連腎臓病

これらは単独で起きるだけでなく、連鎖的に発症する「メタボリックシンドローム」の状態を招き、動脈硬化を進行させます。

原因別・肥満症の治療と改善アプローチ

肥満症の原因が特定できれば、適切な治療法が見えてきます。

1. 食事療法:正しい「制限」ではなく「適正化」

単純に「食べない」ダイエットは筋肉量を減らし、かえって太りやすい体を作ってしまいます。

日本肥満学会では、標準体重に基づいた適正エネルギーの摂取を推奨しています(参考:日本肥満学会 1)。

  1. 適正エネルギーの摂取:
    • 標準体重(kg) × 25〜30kcal などを目安に設定します。
  2. 栄養バランス:
    • 糖質・脂質の偏りをなくし、タンパク質やビタミン・ミネラルを確保します。
  3. 食べ方の工夫:
    • よく噛んで食べる、野菜から先に食べる(ベジファースト)などが有効です。

2. 運動療法:脂肪を燃やし、溜めない体へ

運動は脂肪燃焼だけでなく、筋肉量を維持し基礎代謝を高めるためにも重要です(参考:厚生労働省 4)。

  1. 有酸素運動:
    • ウォーキングや水泳など。中強度(ややきついと感じる程度)の運動が推奨されます。
  2. レジスタンス運動(筋トレ):
    • 筋肉を増やし、基礎代謝を上げることで太りにくい体を作ります。

無理のない範囲で継続することが最も重要です。

膝や腰に痛みがある場合は、整形外科医などの指導の下で行ってください。

3. 行動療法:習慣の「癖」を治す

「わかっているけど食べてしまう」という行動を変えるための心理的アプローチです(参考:日本肥満学会 1)。

  1. グラフ化体重日記:
    • 毎日体重を測って記録し、自分の身体への関心を高めます。
  2. 食行動の分析:
    • 「いつ、どこで、なぜ食べたか」を記録し、無意識の過食パターン(ストレス食いなど)を修正します。

4. 薬物療法・外科療法

高度肥満症(BMI35以上など)で、食事・運動療法だけでは改善が難しい場合、医師の判断により食欲抑制薬などの薬物療法や、胃を小さくする外科手術(減量手術)が検討されることもあります(参考:日本肥満学会 1, 京都大学 3)。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では肥満症でお悩みの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問(FAQ)

Q. ストレスで太るのはなぜですか?

A.ストレスを感じると「コルチゾール」というホルモンが分泌され、食欲を増進させたり、脂肪を溜め込みやすくしたりする作用が働きます。また、脳の報酬系が刺激され、甘いものや油っぽいものを欲する傾向が強くなることも原因の一つと考えられています。

Q. 入院治療が必要なのはどんな時ですか?

A.BMIが35以上の「高度肥満症」の方や、重篤な合併症(重度の糖尿病や睡眠時無呼吸症候群など)があり、外来での治療が困難な場合に「教育入院」や「減量治療入院」が検討されます(参考:日本肥満学会 1)。入院することで、徹底した食事・運動管理を行い、生活習慣をリセットします。

Q. 肥満は遺伝しますか?

A.体質(基礎代謝の高さや脂肪のつきやすさ)は遺伝する可能性があります。しかし、肥満症の多くは生活習慣が主な原因です。家族は同じような食生活や生活リズムを送ることが多いため、結果として家族全員が太りやすくなるケースが多いのです(参考:日本肥満学会 1)。

まとめ:原因を知ることが治療の第一歩です

肥満症の原因は、「食べ過ぎ」という単純な言葉だけでは片付けられない、複雑な背景があります。

生活習慣、社会環境、ストレス、そして隠れた病気。これらが絡み合って、現在の「肥満症」という状態が作られています。

大切なのは、「自分は意志が弱いからダメなんだ」と自分を責めないことです。

肥満症は、適切な治療を受ければ改善できる「病気」です。

もし、「自分一人では痩せられない」「病気が隠れているか心配」と感じたら、一度専門の医療機関(内科、糖尿病内科、肥満外来など)に相談してみてください。

医師や管理栄養士などの専門家と一緒に、あなたの原因に合った正しい治療法を見つけていきましょう。

参考資料・文献一覧
  1. 一般社団法人日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」 http://www.jasso.or.jp/contents/magazine/journal.html
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と肥満症」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-009
  3. 京都大学医学部附属病院 消化管外科「高度肥満症」 https://gisurg.kuhp.kyoto-u.ac.jp/medical/severe-obesity/
  4. 厚生労働省「肥満症・メタボリックシンドロームの人を対象にした運動プログラム」 https://www.mhlw.go.jp/content/000656470.pdf