「足がむくんで痛い」
「長時間座りっぱなしで足が重だるい」
もし片足だけにそのような症状がある場合、それは深部静脈血栓症(DVT)のサインかもしれません(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
一般的に「エコノミークラス症候群」として知られるこの病気は、飛行機の中だけで起こるものではありません。
デスクワークや在宅勤務、あるいは病気療養中など、私たちの日常生活の中に多くの原因が潜んでいます。
そして最も恐ろしいのは、足にできた血栓が肺に飛び、命に関わる「肺血栓塞栓症」を引き起こすリスクがあることです(参考:慶應義塾大学病院 5)。
この記事では、深部静脈血栓症がなぜ起こるのかという医学的なメカニズムから、具体的にどのような人がなりやすいのかを徹底解説。
そして今日からできる予防法までを、専門的な知見に基づき分かりやすくご紹介します。
原因を正しく理解し、適切な対策をとることで、血栓のリスクは下げることができます。
まずはご自身の生活に当てはまるリスクがないか、確認していきましょう。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
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なぜ血栓ができる?深部静脈血栓症の「3つの主な原因」
血液は本来、体内をスムーズに循環し、出血したときだけ固まるようにできています。
しかし、特定の条件が重なると血管の中で異常な塊(血栓)ができてしまいます。
医学的には、これを「Virchow(ヴィルヒョウ)の3大要因」と呼びます。
主に以下の3つの要因が重なることで発症するとされています(参考:日本血栓止血学会 1)。
【原因1】血流の停滞(血の巡りが悪くなる)
最も一般的な原因です。
静脈は筋肉の動き(ポンプ作用)を利用して血液を心臓に戻していますが、足の動きが止まると血流が滞り、血液が固まりやすくなります(参考:日本血栓止血学会 1)。
- 主な状況: 長時間の座り仕事、飛行機や車での移動、病気による寝たきり、ギブス固定など。
【原因2】血液凝固能の亢進(血が固まりやすくなる)
血液の性質そのものが変化し、固まりやすくなっている状態です。
体内の水分不足や、ホルモンバランスの変化、病気の影響などが関係します(参考:日本血栓止血学会 1)。
- 主な状況: 脱水状態、妊娠中・出産後、がん(悪性腫瘍)、経口避妊薬(ピル)の服用、遺伝的な素因など(参考:厚生労働省 2)。
【原因3】血管壁の損傷(血管が傷つく)
血管の内側(内皮細胞)が傷つくと、体は修復のために血液を固めようとします。
これがきっかけで血栓ができることがあります(参考:日本血栓止血学会 1)。
- 主な状況: 手術、カテーテル検査、骨折や打撲などの外傷、血管の炎症など(参考:厚生労働省 2)。
【チェックリスト】深部静脈血栓症になりやすい人・危険な状況

上記の3つの原因を踏まえ、具体的にどのような人が注意すべきか見ていきましょう。
ご自身やご家族に当てはまる項目がないかチェックしてください。
生活習慣・環境のリスク
日常生活の中に、血栓形成のリスクを高める要因が潜んでいます。
- 長時間の不動姿勢:
- デスクワーク、長距離の運転、飛行機移動などで数時間以上足を動かしていない(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
- 肥満:
- 肥満は静脈血栓塞栓症のリスク因子の一つとされています(参考:厚生労働省 2)。
- 喫煙:
- 喫煙は血栓症のリスクを高める要因として知られています(参考:厚生労働省 2)。
- 脱水傾向:
- 夏場やスポーツ後、または高齢者で水分摂取が少ない場合、血液が固まりやすくなる可能性があります(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
- 避難所生活:
- 災害時、車中泊や狭いスペースでの生活を余儀なくされた場合、発症リスクが高まることが報告されています(参考:新潟大学医学部 4)。
医学的・身体的リスク
体質や年齢、治療中の薬なども要因となります。
- 高齢者:
- 特に60歳以上の方は、加齢に伴いリスクが高まると考えられています(参考:厚生労働省 2)。
- 妊娠中〜出産直後:
- 妊娠中や産褥期(出産後)は、生理的な変化により血液が固まりやすい状態にあります(参考:厚生労働省 2)。
- がん(悪性腫瘍):
- がんという病気自体や、その治療(化学療法など)が血栓のリスクを高めることがあります(参考:慶應義塾大学病院 5)。
- 低用量ピル(OC/LEP)の服用:
- 女性ホルモンが含まれる薬剤は、血液凝固能に影響を与えることが知られています(参考:厚生労働省 2)。
- 既往歴:
- 過去に本人や家族が血栓症を起こしたことがある場合も注意が必要です(参考:厚生労働省 2)。
手術や入院に伴うリスク
医療の現場では、DVTは警戒すべき合併症の一つです。
- 下肢の手術:
- 人工関節置換術や骨折の手術などはリスクとなります(参考:厚生労働省 2)。
- 腹部・骨盤内の手術:
- がんの手術など、開腹手術後も注意が必要です(参考:厚生労働省 2)。
- 長期臥床(がしょう):
- 重い病気や怪我で、長くベッドから起き上がれない状態が続くとリスクが高まります(参考:慶應義塾大学病院 5)。
原因となる血栓が引き起こす「肺血栓塞栓症」の恐怖
なぜ深部静脈血栓症の原因を知っておく必要があるのでしょうか。
それは、足にできた血栓が血流に乗り、心臓を経由して肺の動脈に詰まってしまうことがあるからです(参考:慶應義塾大学病院 5)。
これを肺血栓塞栓症(肺塞栓症/PE)と呼びます。
- どんな症状?:
- 突然の呼吸困難、胸の痛み、冷や汗など(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
- 危険性は?:
- 太い血管が詰まると命に関わることもあり、迅速な対応が必要な状態です(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
足の痛みや腫れ(特に片足だけに症状が現れる場合)は、重要なサインである可能性があります。
リスクに当てはまり、気になる症状がある場合は早めに医療機関へ相談してください(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
原因を取り除くための予防と対策
深部静脈血栓症のリスクを減らすためには、原因となる要素に対策を行うことが有効です。
1. 血流停滞を防ぐ(動かす・圧迫する)
血液の流れを良くすることを意識しましょう。
- 足の運動:
- 足首を曲げ伸ばししたり、足を動かすことで、静脈の血流を助けます(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
- こまめな歩行:
- 長時間座り続けるのを避け、定期的に歩くようにしましょう(参考:慶應義塾大学病院 5)。
- 弾性ストッキングの着用:
- 足に適度な圧力をかけるストッキングを使用することも予防策の一つです(※適切な使用には専門家の指導が必要な場合があります)(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
2. 血液の状態を整える(水分・生活習慣)
血液が固まりにくい環境を整えます。
- 積極的な水分補給:
- 脱水を防ぐため、十分な水分を摂ることが推奨されます(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
- 適切な体重管理:
- 肥満を防ぎ、適正な体重を維持することも大切です(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
3. 医療機関での管理
手術後や入院中など、リスクが高い状況では、医療スタッフによる予防策(フットポンプの使用や抗凝固療法など)が行われることがあります(参考:慶應義塾大学病院 5)。

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では深部静脈血栓症の方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
まとめ:原因を知って適切な予防を
深部静脈血栓症は、血流の停滞、血液凝固能の亢進、血管壁の損傷という3つの要因が重なったときに起こりやすくなります(参考:日本血栓止血学会 1)。
手術や病気だけでなく、デスクワークや旅行、災害時の避難生活といった日常シーンでも発症する可能性があります。
ですが、「水分を摂る」「足をこまめに動かす」といった基本的な対策で予防につなげることができます(参考:佐賀大学医学部附属病院 3)。
もし、足の急激なむくみや痛みを感じた場合は、自己判断せず速やかに医療機関に相談してください。
参考資料・文献一覧
- 日本血栓止血学会「7.肺血栓塞栓症の診断と治療」 https://www.jsth.org/publications/pdf/tokusyu/19_1.029.2008.pdf
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 血栓症」 https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000665768.pdf
- 佐賀大学医学部附属病院 検査部「特集 ~深部静脈血栓症について~」 https://kensabu.hospital.med.saga-u.ac.jp/2025_kawara_1gou/
- 新潟大学医学部「肺血栓塞栓症」 http://www.med.niigata-u.ac.jp/nephrol/pdf/achievement/research_achievement/2012/09_sousetsu/2012-029.pdf
- 慶應義塾大学病院 KOMPAS「肺血栓塞栓症」 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000622/
- 医書.jp (medicina)「肺血栓塞栓症—ガイドラインに則り,適切に診断しよう」 https://doi.org/10.11477/mf.1402227512
