「忙しい時期に限って膀胱炎になる」

「薬で治ったと思ったのに、ストレスが溜まるとまた再発する……」

このような悩みをお持ちではありませんか?

実は、膀胱炎とストレスには間接的ですが深い関係があります

ストレスそのものが直接膀胱を攻撃するわけではありません。

ですが、体の防御システムである「抵抗力(免疫力)」を低下させ、膀胱炎を引き起こす大きな「誘因(きっかけ)」となってしまうのです(参考:青森労災病院 1)。

さらに、ストレスが関与する膀胱のトラブルは、一般的な「細菌性」のものだけではありません。

この記事では、ストレスが膀胱炎を引き起こす医学的なメカニズムと、注意すべき「3つのタイプ」の膀胱トラブルを徹底解説。

そして繰り返さないための正しい対処法について詳しくご紹介します。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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膀胱炎とストレスの深い関係|なぜ疲れると発症するのか?

多くの人が感じる「疲れやストレスが溜まると膀胱炎になる」という感覚は、医学的にも説明がつきます。

ここでは、なぜ心が疲れると膀胱に炎症が起きやすくなるのか、その理由を紐解きます。

【メカニズム】ストレスによる「抵抗力の低下」と細菌感染

私たちの体には本来、外部から侵入してきた細菌を排除する機能が備わっています。

健康な状態であれば、多少の細菌が尿道口から入ってきても、尿と一緒に洗い流したり、体の防御機能が働いたりして感染を防ぐことができます。

しかし、過度な精神的ストレスや肉体的疲労、睡眠不足が続くと、細菌に対する体の抵抗力が低下してしまいます(参考:青森労災病院 1)。 

その結果、普段なら防御できるレベルの細菌であっても、膀胱内で増殖を許してしまい、炎症(膀胱炎)を引き起こすことになります。

つまり、ストレスは直接の原因ではありませんが、細菌が暴れるのを許してしまう「隙」を作る要因と言えます。

【生活習慣】ストレスが引き起こす「膀胱炎リスク行動」

ストレスは体の内部だけでなく、無意識の行動変化も引き起こします。

これらも膀胱炎のリスクを高める要因です(参考:青森労災病院 1)(参考:厚生労働省 4)。

  • トイレを我慢する:
    • 仕事が忙しい、緊張状態で席を立てないなど、過度に排尿を我慢すると、膀胱内で菌が増える時間を与えてしまいます。
  • 水分摂取量の減少:
    • ストレスで余裕がなくなると、水を飲むのを忘れがちになります。尿量が減ると、菌を洗い流す作用が十分に働きません。
  • 冷え・過労:
    • ストレスによる血行不良や過労は、さらに抵抗力を低下させます。

ストレスが引き金になる膀胱炎の種類と違い

「ストレスで調子が悪い」と感じる場合、それが一般的な膀胱炎なのか、別の病気なのかを見極めることが重要です。

主に以下の3つの可能性が考えられます。

1. 急性細菌性膀胱炎(一般的な膀胱炎)

最も一般的なタイプで、性的活動期の女性に多く見られます(参考:和歌山県立医科大学 5)。

  • 主な原因: 大腸菌などの細菌感染。
  • ストレスとの関係: 疲労やストレスによる抵抗力低下により発症・再発しやすくなる(参考:青森労災病院 1)。
  • 症状: 排尿時の痛み、頻尿、尿の濁り、残尿感。
  • 治療: 抗生物質(抗菌薬)の服用で比較的速やかに改善します。

2. 間質性膀胱炎(ストレスで悪化することのある疾患)

細菌感染によらない特殊な膀胱炎です。

原因は明確には分かっていませんが、ストレスなどが関連していると推測されています(参考:青森労災病院 1)。

  • 主な原因: 膀胱の粘膜機能の障害や免疫学的機序などが想定されていますが、原因は不明です(参考:難病情報センター 3)。
  • ストレスとの関係: 精神的ストレスや特定の食品(刺激物)で症状が悪化することがあるため、治療の一環としてストレスの軽減が指導されることがあります(参考:日本泌尿器科学会 2)。
  • 症状: 尿が溜まった時の痛み(蓄尿時痛)、頻尿。尿はきれいなことが多く、抗生物質は効きません。
  • 注意: 「治らない膀胱炎」と悩んでいる場合、この病気の可能性があります。泌尿器科専門医での診断が必要です。

3. 過活動膀胱・心因性頻尿(炎症はないが症状がある)

検査をしても細菌はおらず、膀胱の炎症も見られないのに、トイレが近くなる状態です。

  • 主な原因: 過活動膀胱は「尿意切迫感(急に起こる我慢できない強い尿意)」を主症状とする疾患です。一方、精神的な緊張や不安から頻尿になるものを心因性頻尿と呼ぶことがあります。
  • ストレスとの関係: 緊張や不安が強い場面で尿意を感じる(例:会議中、電車の中など)など、ストレスが症状に影響を与えることがあります。
  • 症状: 頻尿、急な尿意。排尿痛などの痛みはないのが一般的です。
  • 治療: 膀胱の過敏さを抑える薬や、行動療法などが検討されます。

「ストレス性」かも?と思った時の正しい治し方と対処法

膀胱炎のような症状があり、背景にストレスがあると感じた場合、どう対処すべきでしょうか。

まずは医療機関(泌尿器科)での検査が不可欠

「ストレスのせいだから休めば治る」と自己判断するのは危険です。

もし原因が細菌であれば、菌を殺す抗生物質による治療が原則です(参考:青森労災病院 1)。

放置すると菌が腎臓まで上がり、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」という高熱を伴う重い病気になるリスクがあります(参考:和歌山県立医科大学 5)。

まずは泌尿器科を受診し、尿検査で「菌がいるかどうか」を確認してください。

処方薬による治療と並行すべき「生活習慣ケア」

病院で薬をもらったら、それを飲み切りつつ、低下した抵抗力を回復させるケアを行いましょう。

  • 十分な休養:
    • 睡眠不足や過労を避け、体を休めることが大切です(参考:青森労災病院 1)。
  • 体を温める:
    • 冷えは膀胱炎の大敵です。体を温めましょう(参考:厚生労働省 4)。
  • 水分を多めに摂る:
    • 水やお茶などで水分を十分に摂り、尿をたくさん出して菌を追い出すことが重要です(参考:和歌山県立医科大学 5)。

ストレスマネジメントによる再発予防

薬で菌がいなくなっても、ストレスフルな生活が続けば、またすぐに抵抗力が下がり再発(再感染)してしまいます。

  • トイレを我慢しない:
    • 尿意を感じたら無理せずトイレに行きましょう。
  • リラックス時間の確保:
    • 交感神経の緊張を解く時間を作るよう心がけましょう。
  • 専門家への相談:
    • もし「間質性膀胱炎」などの診断を受けた場合は、泌尿器科医と相談しながら、長期的な視点での治療に取り組みましょう。
治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では膀胱炎の方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。


ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

よくある質問 (FAQ)

Q. 膀胱炎は自然治癒しますか?

A. 軽症であれば水分摂取で軽快することもありますが、受診が推奨されます。 軽症の場合は水分を十分に摂ることで良くなることもありますが、我慢している間に悪化して腎盂腎炎になるリスクもあります(参考:厚生労働省 4)。特にストレスで抵抗力が落ちている時は、早めに受診して適切な治療を受けることが安全です。

Q. ストレスで血尿が出ることはありますか?

A. 膀胱炎が重症化すると血尿が出ることがあります。 ストレスそのもので出血するわけではありませんが、抵抗力の低下により膀胱炎が悪化すると、炎症が強くなり血尿(肉眼的血尿)が出ることがあります(参考:和歌山県立医科大学 5)。血尿が出た場合は必ず泌尿器科を受診してください。

Q. 膀胱炎になりやすい性格はありますか?

A. 我慢強い方や、過労になりがちな方は注意が必要です。 「仕事中はトイレに行きづらい」といって排尿を過度に我慢したり、睡眠不足や過労を続けたりすることは、膀胱炎の誘因となります(参考:青森労災病院 1)。体調管理も仕事のうちと考え、意識的に休息をとるようにしましょう。

まとめ

膀胱炎とストレスは切っても切れない関係にあります。

ストレスや過労は体の抵抗力を低下させ、細菌感染のリスクを高めるだけでなく、時には間質性膀胱炎などの症状悪化にもつながります。

  • 基本メカニズム: ストレス・過労 → 抵抗力低下 → 細菌感染(参考:青森労災病院 1)。
  • 対処法: まずは泌尿器科で「菌の有無」を検査し、適切な治療を受けること。
  • 予防: 薬だけでなく、休息と水分摂取で「菌を追い出せる体」を保つこと。

「たかが膀胱炎」と我慢せず、心と体をゆっくり休めるきっかけにしてください。

参考資料・文献一覧

  1. 独立行政法人労働者健康安全機構 青森労災病院「膀胱炎ってどんな病気?」 https://www.aomorih.johas.go.jp/guide/umineko/2007/12.php
  2. 日本泌尿器科学会「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン」 https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/35_interstitial_cystitis.pdf
  3. 公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター「226 間質性膀胱炎(ハンナ型)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/4429
  4. 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「膀胱炎」 https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/symptom13.html
  5. 和歌山県立医科大学「尿路感染症 – 膀胱炎」 https://www.wakayama-med.ac.jp/med/urourodir/guide/infection.html
  6. JAID/JSC「感染症治療ガイドライン2015 尿路感染症・男性性器感染症」 https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC_2015_urinary-tract.pdf