「白内障の手術が必要と言われたけれど、費用は一体いくらかかるのだろう?」
「保険は使えるの?高額なレンズがあると聞いたけど…」
白内障手術を検討する際、多くの方が費用に関する疑問や不安を抱えています。
手術費用は、健康保険が適用されるかどうか、どのような眼内レンズを選ぶか、そしてご自身の年齢や所得によって大きく変動するため、分かりにくいと感じるのも無理はありません。
この記事では、白内障手術の費用について、あらゆる角度から徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、ご自身の状況に合わせた費用の目安がわかり、安心して手術の準備を進めることができるようになります。
費用への不安を解消し、納得のいく治療を選択するための一助となれば幸いです。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
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白内障手術の費用は、何によって決まる?
白内障手術の費用は、主に以下の4つの要素によって決まります。
まずは、費用の全体像を理解するための基本を押さえましょう。
保険適用と保険外(自費診療)の違い
白内障手術の費用を考える上で最も重要なのが、公的医療保険が適用される「保険診療」か、適用されない「保険外診療」かという点です。
- 保険診療の基本的な考え方: 国が定めた安全で効果的な治療法が対象です。手術費用や薬代などが全国一律で決められており、患者さんはそのうちの1割から3割を自己負担します。一般的な白内障手術で用いられる「単焦点眼内レンズ」を使用する場合は、保険診療となります。
- 保険外診療(選定療養、自由診療)とは: 保険が適用されない治療や薬剤を使用する場合を指します。白内障手術では、遠近両用など付加価値の高い「多焦点眼内レンズ」を使用する場合がこれにあたります。保険外診療には、一部保険と併用できる「選定療養」と、全額自己負担となる「自由診療」があります(参考:日本眼科学会 2)。
眼内レンズの種類が費用に与える影響
水晶体の代わりに入れる眼内レンズの種類は、費用を左右する大きな要因です。
- 単焦点眼内レンズ(保険適用の場合): ピントが合う距離が「遠方」「中間」「近方」のいずれか一つに固定されるレンズです。手術費用は保険適用となり、自己負担額を抑えることができます。ただし、ピントを合わせた距離以外を見る際には眼鏡が必要になります。
- 多焦点眼内レンズ(保険外診療の場合): 遠方と近方など、複数の距離にピントが合うように設計されたレンズです。眼鏡への依存度を減らせるため、生活の質(QOL)向上が期待できます。このレンズを使用する手術は、基本的に保険外診療となり費用は高額になります(参考:日本眼科学会 2)。
- 乱視用眼内レンズ、特殊レンズなどの費用: 乱視を矯正する機能を持つレンズ(トーリックレンズ)もあります。単焦点の乱視用レンズは保険適用ですが、多焦点の乱視用レンズは保険外診療となります。
手術を受ける医療機関による費用の違い
白内障手術の基本的な料金は国によって定められていますが、施設基準や導入している設備、提供するサービスなどによって、医療機関ごとに若干の費用の差が生じることがあります。
一般的に、クリニックと総合病院で大きな差はありませんが、事前に確認しておくと安心です。
その他の要因(手術の難易度、付随する処置など)
白内障の進行度が著しい場合や、他に目の病気がある場合など、手術の難易度が高いケースでは追加の処置が必要となり、費用が加算されることがあります。
【保険適用の場合】白内障手術の自己負担額目安
保険が適用される単焦点眼内レンズを用いた手術の場合、自己負担額は年齢や所得によって定められた負担割合に応じて決まります。
自己負担割合別(1割、2割、3割)の費用シミュレーション
一般的な日帰り白内障手術(水晶体再建術)の費用目安は以下の通りです。
これは手術代、レンズ代、薬剤費などを含んだ概算の金額です。
| 自己負担割合 | 片目の費用目安 | 両目の費用目安(同月手術の場合) |
|---|---|---|
| 3割負担 | 約45,000円 | 約90,000円 |
| 2割負担 | 約30,000円 | 約60,000円 |
| 1割負担 | 約15,000円 | 約30,000円 |
ご注意
これはあくまで基本的な目安です。術前の検査や術後の診察、処方される薬の種類によって金額は前後します。
年齢による費用負担の違い
特に70歳以上の方は、医療費の自己負担額に上限が設けられているため、実際の窓口での支払額は上記よりも少なくなることがほとんどです(参考:厚生労働省 1)。
- 70歳以上の方の自己負担額: 70歳になると、多くの方の自己負担割合は2割または1割になります(現役並み所得者を除く)。これにより、窓口での負担が軽減されます。
- 後期高齢者医療制度について: 75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」の対象となり、自己負担割合は原則1割です(現役並み所得者を除く)。
- 70歳未満の方との比較: 70歳未満の方は、高額療養費制度の上限額が所得によって細かく区分されているため、高所得者の場合は自己負担額が比較的高くなる傾向があります。
高額療養費制度とは?自己負担額をさらに軽減する方法
高額療養費制度は、医療費の家計負担が重くなりすぎないよう、1ヶ月(月の1日から末日まで)に支払う医療費の自己負担額に上限を設ける公的な制度です。
上限を超えた分は、後から申請することで払い戻しが受けられます(参考:厚生労働省 1)。
- 高額療養費制度の仕組みと上限額: 自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。例えば、70歳以上で住民税非課税世帯の方や、一般所得者(年収約156万~約370万円)の方は、外来のみの上限額が18,000円(年間上限144,000円)となります。ただし、現役並み所得者(年収約370万円以上)の方は上限額が高く設定されています(参考:厚生労働省 1)。
- 申請方法と注意点: 事前に「限度額適用認定証」を健康保険の窓口で申請し、医療機関に提示すれば、窓口での支払いを上限額までに抑えることができます。事後に申請して払い戻しを受けることも可能です。
- 月をまたぐ手術の場合の費用負担: 高額療養費制度は「月ごと」に計算されるため、注意が必要です。例えば、片目を月末に、もう片目を翌月の初めに手術すると、それぞれの月で自己負担上限額まで支払う可能性があります。両目を手術する場合、同じ月内に行う方が自己負担額を抑えられるケースが多いです。
70歳以上の方が窓口で支払う金額の目安(高額療養費適用後)
高額療養費制度の恩恵を最も受けやすいのが70歳以上の方です。
多くの場合、窓口での支払いは以下のような金額になります。
70歳以上の窓口支払額目安(一般所得)
片目の手術の場合:約18,000円
両目を同月内に手術した場合:約18,000円
これは、70歳以上の方(一般所得区分)の外来上限額が18,000円であるためです。
つまり、同じ月内であれば、片目でも両目でも自己負担の上限額は変わらないのです。
現役並み所得の方へ
ただし、現役並みの所得がある方は上限額が異なりますので、ご自身の保険証で負担割合と所得区分を確認することが重要です(参考:厚生労働省 1)。
【保険外(自費診療)の場合】多焦点レンズなどの費用
眼鏡への依存を減らしたい方を中心に、多焦点眼内レンズを選択する方が増えています。
この場合、費用は保険適用外となり、全額自己負担または選定療養制度の適用となります。
多焦点眼内レンズの費用目安
多焦点眼内レンズを用いた手術の費用は、医療機関や使用するレンズの種類によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
費用相場
片目あたりの費用相場:30万円 〜 80万円程度
この金額には、手術費用、レンズ代、術前後の診察・検査費用などが含まれていることが一般的です。
選定療養制度の適用について
2020年4月から、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は「選定療養」の対象となりました(参考:日本眼科学会 2)。
これは、「手術代(保険適用部分)」と「レンズ代の差額(自費部分)」を組み合わせて支払う制度です。
この制度により、以前の完全自由診療よりも患者さんの負担が軽減されるケースがあります。
国内未承認レンズなどの特殊レンズの費用
海外では実績があっても、日本の厚生労働省の承認を得ていない「未承認レンズ」を使用する場合は、手術全体が自由診療となり、全額自己負担となります。
費用はさらに高額になり、片目で80万円を超えることも珍しくありません。
保険適用レンズとの費用差を比較
単焦点レンズ(保険適用)と多焦点レンズ(保険外)の費用には大きな差があります。
| レンズの種類 | 費用(片目) | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 単焦点レンズ | 約1.5万〜4.5万円 | 費用が安い、コントラストが良い | 眼鏡が手放せない |
| 多焦点レンズ | 約30万〜80万円 | 眼鏡への依存度が減る | 費用が高い、ハロー・グレア(光のにじみ)が出ることがある |
どちらのレンズが良いかは一概には言えません。
費用だけでなく、ご自身のライフスタイル(運転、読書、スポーツなど)や、見え方に対する希望を考慮し、長期的な視点での費用対効果を考えることが大切です。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では白内障でお困りの方に向け治験が行われています。治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
白内障手術の費用負担を軽減するその他の方法
公的医療保険以外にも、費用負担を軽減できる制度や方法があります。
賢く活用しましょう。
生命保険・医療保険の適用について
ご自身が加入している民間の生命保険や医療保険から、給付金が支払われる場合があります。
- 給付金の種類: 一般的に「手術給付金」が対象となります。契約内容によっては、入院の有無にかかわらず日帰り手術でも給付の対象となることが多いです。
- 確認すべきポイント: 保険証券を確認し、「手術給付金」の支払い条件をチェックしましょう。手術の正式名称(水晶体再建術)を保険会社に伝え、給付の対象となるか、給付額はいくらかを事前に問い合わせておくと確実です。多焦点眼内レンズを使用する場合、「先進医療特約」が適用できるケースもありますが、選定療養への移行に伴い対象外となっている保険も多いため、必ず確認が必要です(参考:厚生労働省 4)。
公的医療保険以外の支援制度(もしあれば)
手術費用を含む年間の医療費が高額になった場合、確定申告で「医療費控除」を申請することで、所得税や住民税が還付・軽減される可能性があります(参考:国税庁 3)。
医療費控除は、1年間に支払った医療費の合計が10万円(または総所得金額の5%)を超えた場合に適用されます。
手術費用だけでなく、通院にかかった交通費(公共交通機関)や処方された薬代も対象になりますので、領収書は必ず保管しておきましょう(参考:国税庁 3)。
費用を抑えるためのレンズ選びの考え方
費用を抑えたい場合、基本的には保険適用の単焦点眼内レンズが第一選択肢となります。
しかし、「安ければ良い」というわけではありません。
例えば、普段から手元の細かい作業が多い方が遠方にピントを合わせるレンズを選ぶと、強力な老眼鏡が手放せなくなり、不便を感じるかもしれません。
逆に、車の運転がメインの方が近方に合わせると、運転時に不便が生じます。
費用と、手術後の生活の質(QOL)のバランスを考えることが、「後悔しないためのレンズ選び」の鍵です。
ご自身のライフスタイルを医師に詳しく伝え、どの距離にピントを合わせるのが最も快適か、十分に相談して決めましょう。
白内障手術の費用に関するよくある質問(FAQ)
最後に、白内障手術の費用に関してよく寄せられる質問にお答えします。
まとめ
白内障手術の費用は、保険適用か、どのレンズを選ぶか、そして年齢や公的制度の活用によって大きく変わります。
ポイントまとめ
費用は治療法を選択する上で重要な要素ですが、それだけが全てではありません。
手術によってどのような見え方になりたいか、ご自身のライフスタイルに最も合うのはどの方法か、という視点が非常に大切です。
この記事で得た知識をもとに、まずは専門医としっかりと相談し、ご自身が最も納得できる選択をしてください。
クリアな視界を取り戻し、より快適な毎日を送るための第一歩となることを願っています。
