実は、白内障治療の成功において「手術後の過ごし方」は手術そのものと同じくらい重要だと言われています(参考:国立長寿医療研究センター 4)。
「お風呂にはいつから入れるの?」
「仕事にはいつ復帰していいの?」
「うっかり目をこすってしまったらどうしよう…」
このような疑問や不安をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、白内障手術後の生活スケジュールや、日常生活での具体的な注意点、絶対にやってはいけない禁止事項について、わかりやすく解説します。
正しい知識で術後の回復期間を乗り切り、クリアな視界を手に入れましょう。
※この記事は疾患啓発を目的としています。

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。
※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。
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【一覧表】白内障手術後の生活スケジュール目安
手術後、目の傷口が完全に塞がるまでには時間がかかります。
特に「術後1週間」は感染症のリスクが高い非常に重要な期間です(参考:日本白内障学会 2)。
まずは、一般的な生活制限の解除目安を一覧表で確認しましょう。
※あくまで一般的な目安です。
手術の内容や経過、医療機関の方針によって異なりますので、必ず主治医の指示に従ってください。
| 項目 | 当日 | 翌日〜3日後 | 1週間後〜 | 1ヶ月後〜 |
| 首から下のシャワー | × | ○ | ○ | ○ |
| 洗髪・洗顔 | × | ×(※) | ○ | ○ |
| 入浴(湯船) | × | ×(※) | ○ | ○ |
| 家事(料理・洗濯) | × | ○(軽め) | ○ | ○ |
| テレビ・スマホ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 車の運転 | × | × | 医師許可後 | ○ |
| 事務仕事 | × | ○〜△ | ○ | ○ |
| 力仕事・激しい運動 | × | × | × | ○ |
| 飲酒・喫煙 | × | × | ○ | ○ |
| 保護メガネ | ○ | ○ | ○ | 不要な場合も |
※洗髪・洗顔は「術後1週間後から」とする病院が多いですが、目に水が入らないよう注意すれば「翌日から首下のシャワーはOK」とするケースが一般的です(参考:JSCRS 1)。
なぜ「術後1週間」が一番大切なのか?
白内障手術の傷口は非常に小さく(2〜3mm程度)、縫合しないことも多いです。
そのため、傷口が自然に塞がるまでの約1週間は、目の中に細菌が入り込みやすく、眼内炎(がんないえん)という重篤な感染症を起こすリスクが最も高い時期です。
日本白内障学会によると、術後眼内炎の多くは術後3日から1週間の間に発症するとされています(参考:日本白内障学会 2)。
この期間に「汚い水を目に入れない」「目をこすらない」「圧力をかけない」ことを徹底することが、視機能などのトラブルを防ぐカギとなります。
日常生活はいつから?項目別の詳しい過ごし方

ここからは、一般的なガイドラインに基づいた、生活シーンごとの詳細な注意点を解説します。
入浴・洗顔・洗髪(お風呂事情)
術後の生活で最も不便を感じるのがお風呂です。
- 洗顔・洗髪:
通常、術後1週間程度は禁止されることが多いです。水道水やシャンプーの泡には雑菌が含まれており、傷口から目に入ると感染症の原因になります(参考:JSCRS 1)。
工夫のポイント: 顔は濡らしたタオルで目の周りを避けて拭く(清拭)か、ふきとり化粧水などを使用しましょう。髪は「水のいらないシャンプー(ドライシャンプー)」を活用するのがおすすめです。
美容院の利用: 仰向けで目に水が入らないように洗ってもらう(バックシャンプー)のであれば、術後数日から許可が出る場合もあります。必ず事前に医師に確認してください(参考:JSCRS 1)。 - 入浴(湯船):
首から下のシャワーは翌日から可能な場合が多いですが、湯船に浸かるのは1週間後からが目安です。公衆浴場や温泉は細菌が多いため、医師の許可が出るまで控えるのが安全です。
テレビ・スマホ・読書の視聴
「目を使うと悪くなるのでは?」と心配される方がいますが、テレビを見たりスマホを見たりすること自体が傷口に悪影響を与えることはありません。手術当日から見ても大丈夫とする医師がほとんどです。
ただし、術後は目が疲れやすかったり、乾燥しやすかったりします。
長時間の視聴は避け、適度に休憩を挟みましょう。
家事・炊事・洗濯
- 料理・洗濯:
翌日から可能な場合が多いですが、以下の点に注意してください。- 油ハネや洗剤が目に入らないようにする(保護メガネ必須)。
- 重い鍋を持ったり、下を向いていきんだりしない。
- ホコリが舞うような掃除は1週間程度控える。
車の運転・自転車
見え方がはっきりしていても、自己判断での運転は禁物です。
手術直後は視力が安定せず、距離感や遠近感がこれまでと異なる場合があります。
また、眼内レンズの種類(単焦点など)によっては、手元のメーターが見えにくいこともあります(参考:日本眼科学会 3)。
必ず術後の検診で視力検査を受け、医師の許可が出てから運転を再開してください。
目安としては数日〜1週間後になることが多いです(参考:JSCRS 1)。
仕事復帰(デスクワーク・力仕事)
- 事務職・デスクワーク:
目の調子が良ければ、翌日や2〜3日後から復帰できる場合が多いです。ただし、点眼(目薬)を指定の時間にする必要があるため、勤務環境での点眼時間を確保してください。 - 力仕事・埃っぽい環境・屋外作業:
重い荷物を持つ、汗をかく、土埃が舞うといった仕事は、傷口への負担や感染リスクが高いため、少なくとも1週間、できれば2週間程度は控えることが望ましいです。職場と相談し、配置転換や休暇の調整を行いましょう(参考:JSCRS 1)。
手術後の「やってはいけないこと」と注意点

手術の効果を無駄にしないために、以下の行動は意識して避けてください。
1. 目をこする・触る(最大のタブー)
これが最も危険です。かゆみや違和感があっても、絶対に手で目をこすらないでください。傷口が開いたり、細菌が入ったりする原因になります。
対策: 就寝中など無意識にこすってしまうのを防ぐため、医師から指示された期間(通常1週間程度)は、保護メガネ(保護眼帯)を適切に装着してください。
※なお、施設の方針によっては保護メガネを使用しない場合もあります。主治医の指示に従ってください(参考:JSCRS 1)。
2. 重いものを持つ・いきむ
重いものを持ったり、トイレで強くいきんだりすると、顔に力が入り眼圧(目の内圧)が上がることがあります。傷口が安定していない時期は避けましょう。
便秘がちな方は、整腸剤を使うなどしていきまなくても良いようにコントロールすることをお勧めします。
3. 激しい運動・水泳
- ウォーキング: 翌日から可能な場合が多いです。
- ゴルフ・ジョギング・ヨガ: 汗が目に入る可能性があるため、1週間〜2週間は控えましょう。
- 水泳: プールの水は感染源になりやすいため、少なくとも1ヶ月、あるいは医師の許可が出るまでは禁止です。
こんな時はどうする?よくあるトラブルと対処法

術後の見え方に違和感があっても、正常な経過である場合が多いですが、注意が必要なサインもあります。
「ぼやける」「まぶしい」と感じるとき
- ぼやける: 術後の炎症や角膜のむくみにより、一時的に視界がぼやけることがあります。多くは数日から数週間で改善します。
- まぶしい・キラキラする: 眼内レンズは透明度が高いため、光がこれまで以上に明るく感じられたり、光の周辺に輪がかかって見えたりする(ハロー・グレア)ことがあります(参考:日本眼科学会 3)。これらは徐々に慣れていくことがほとんどです。
ゴロゴロする・充血しているとき
手術の傷口があるため、しばらくは「目にゴミが入ったような」異物感(ゴロゴロ感)や、白目の充血が見られることがあります。
これらは通常の治癒過程であり、処方された目薬を正しく使っていれば次第に治まります。
【重要】すぐに受診すべき危険なサイン
以下の症状が現れた場合は、次回の予約日を待たずに直ちに手術を受けた病院へ連絡してください。
眼内炎などの緊急事態の可能性があります(参考:日本白内障学会 2)。
- 急激に見えにくくなった(視力低下)
- 我慢できないほどの激しい目の痛み
- 強烈な充血や目やにが増えた
- 頭痛や吐き気を伴う場合

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では白内障でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
最新の治療をいち早く受けられることがある
専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
白内障手術後の生活に関するよくある疑問
Q. 手術後、保護メガネはいつまで必要ですか?
A. 一般的には術後1週間程度の着用を指示されることが多いですが、手術を行った施設の方針により異なります(参考:JSCRS 1)。
日中はホコリや衝撃からの保護、就寝中は無意識に目をこすることの防止が目的です。
外出時や、風の強い日などは1週間を過ぎても着用しておくと安心です。
Q. お酒(アルコール)やタバコはいつから?
A. 飲酒は術後3日〜1週間程度控えるのが一般的です。
アルコールは炎症を強める可能性があります。
喫煙も煙が目を刺激するため、術後1週間程度は控えたほうが回復には良いでしょう。どうしても吸う場合は、煙が目に入らないよう十分注意してください。
Q. 寝る時の姿勢に制限はありますか?
A. 基本的には普段通りで構いませんが、うつ伏せ寝は目を圧迫する恐れがあるため避けてください。また、念のため手術した目を上にして(圧迫しないように)寝るのが無難です。
Q. 新しいメガネはいつ作れますか?
A. 視力が安定するには時間がかかります。術後すぐに作っても、度数が変わってしまう可能性があります。
通常は、視力が安定する術後1ヶ月〜2ヶ月後に作成することをお勧めします(参考:JSCRS 1)。それまでは、既製品の老眼鏡などで代用される方も多いです。
まとめ:医師の指示を守り、焦らず回復を待ちましょう
白内障手術後の生活で最も大切なのは、「感染症を防ぐこと」と「処方された目薬を正しく使い続けること」です。
日常生活に制限がある「術後1週間」は不便を感じるかもしれませんが、一生の視界を守るための短い辛抱です。
自己判断で制限を破ったりせず、不安なことがあれば必ず医師や看護師に相談してください。
適切なケアを行うことで、手術の効果を最大限に引き出し、明るく快適な生活を取り戻しましょう。
参考資料・文献一覧
- 日本白内障屈折矯正手術学会 (JSCRS) 「白内障手術について」 http://www.jscrs.org/index/page/id/76
- 日本白内障学会 「術後眼内炎」 http://www.jscr.net/ippan/page-013.html
- 公益財団法人 日本眼科学会 「白内障手術」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item01.html
- 国立長寿医療研究センター 「高齢者のQOLを守るための眼科診療と治療」https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/letter/088.html
