ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵され、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていく進行性の難病です(参考:難病情報センター 1)。
この病気について、インターネットで検索されているあなたは、もしかするとご自身の手足の違和感や、ご家族の体調の変化に不安を感じ、確かな情報を探しているのかもしれません。
ALSは原因不明の病気とされることが多いですが、長年の研究により、発症に関連するいくつかのリスク因子や傾向が明らかになりつつあります。
この記事では、ALSの発症リスクに関わる年齢や性別、生活習慣などの特徴に加え、見過ごされがちな初期症状、そして万が一の際にどこへ相談すべきかについて、信頼できる情報に基づいて分かりやすく解説します。
正しい知識を持つことは、不安を和らげ、適切な行動をとるための第一歩です。
この記事が、ALSへの理解を深め、あなたの健康を守るための判断材料となれば幸いです。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
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ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?基本的な知識
ALSになりやすい人の特徴を知る前に、まずはALSという病気がどのようなものか、その基本的なメカニズムと現状について理解しておくことが大切です。
ALSの概要と進行性神経難病としての特徴
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、厚生労働省によって指定難病の一つに定められています。
体を動かすための神経系に変性が生じ、徐々に全身の筋肉が動かしにくくなる進行性の病気です。
最大の特徴
最大の特徴は、感覚神経や自律神経、知能などは比較的保たれることが多いという点です。
つまり、手足が動かなくなっても、痛みや冷たさを感じる感覚、視覚や聴覚、内臓の働き、そして意識や思考能力は、病気が進行しても正常に保たれるケースが多いのです(ただし、一部の患者さんでは認知機能の変化が見られることもあります)(参考:難病情報センター 1, 日本神経学会 2)。
意識がはっきりしている中で身体の自由が失われていくため、患者さんにとっては精神的な負担も非常に大きい病気と言えます。
ALSで体に何が起こるのか?運動ニューロンの障害
私たちの体は、脳からの指令が脊髄を通り、末梢神経を経て筋肉に伝わることで動いています。
この指令を伝える神経細胞を「運動ニューロン」と呼びます。
ALSでは、この運動ニューロンだけが選択的に障害を受け、死滅していきます。
脳からの「動け」という命令が筋肉に届かなくなるため、筋肉を使わなくなり、結果として筋肉が痩せ細って(筋萎縮)、力が弱くなっていきます(参考:難病情報センター 1)。
日本におけるALS患者数と現状
日本におけるALSの患者数は、およそ1万人前後(令和5年度末の特定医療費受給者証所持者数は9,727人)と推計されています(参考:難病情報センター 1)。
人口10万人あたりで見ると、約7~10人程度の患者さんがいる計算になり、決して極めて稀な病気というわけではありません(参考:日本神経学会 2)。
毎年新たにALSと診断される人は、人口10万人あたり約2.2人程度と言われています(参考:難病情報センター 1)。
高齢化社会に伴い、患者数は以前に比べて増加傾向にあります。
これは診断技術の向上や、ALSを発症しやすい高齢者人口が増えたことが影響していると考えられています(参考:日本神経学会 2)。
ALSになりやすい人の特徴:発症リスク因子を解説
「どのような人がALSになりやすいのか?」という疑問に対して、現在医学的に分かっている傾向やリスク因子について解説します。
ただし、これらに当てはまるからといって必ず発症するわけではありませんので、冷静に情報を捉えてください。
年齢:60~70歳代が最も多い理由
ALSの発症リスクとして最も大きな要因の一つが「年齢」です。
ALSはどの年齢層でも発症する可能性がありますが、統計的に最も発症頻度が高いのは60歳代から70歳代です(参考:日本神経学会 2)。
加齢に伴い、神経細胞の修復機能や老廃物を処理する機能が低下することが、発症の背景にあるのではないかと考えられています。
一方で、40代や50代での発症も見られ、極めて稀ですが20代などの若年層で発症するケースもあります。
基本的には「中高年以降にリスクが高まる病気」と認識しておくと良いでしょう。
性別:男性にやや多い傾向とその背景
性別で見ると、女性よりも男性の方がALSになりやすい傾向があります。
男女比はおよそ1.3倍から1.5倍程度で男性に多いとされています(参考:難病情報センター 1)。
なぜ男性に多いのか、その明確な理由はまだ完全には解明されていません。
しかし、男性ホルモンや女性ホルモンが神経保護に関与している可能性や、職業的な環境要因(重金属や化学物質への曝露など)の違いが影響しているのではないかという説など、様々な研究が行われています。
家族歴:遺伝が関与する家族性ALS
ALSには、遺伝が関与する「家族性ALS」と、遺伝とは無関係に発症する「孤発性ALS」の2種類があります。
全ALS患者のうち、家族性ALSが占める割合は約5~10%程度です(参考:日本神経学会 2)。
残りの90%以上は孤発性であり、家族にALSの患者さんがいなくても発症します。
もし、親や兄弟、祖父母など血縁者にALSの患者さんが複数いる場合は、遺伝的な要因を持っている可能性がありますが、多くの場合は遺伝を過度に心配する必要はありません(参考:日本神経学会 2)。
喫煙習慣:リスク因子の一つとして示唆
喫煙リスクについて
環境要因の中で、ALSの発症リスクを高める可能性が指摘されているものに「喫煙」があります。
複数の研究において喫煙とALS発症の関連が調査されており、リスクを高める可能性があるという報告が多く存在します。
ただし、研究によって結果にばらつきがあり、喫煙だけで発症率が大きく変わるとまでは断定できないのが現状です(参考:日本神経学会 2)。
とはいえ、タバコは全身の健康に悪影響を与えるため、神経系の健康維持の観点からも禁煙は推奨されます。
その他の研究段階のリスク要因(環境要因など)
年齢、性別、家族歴以外にも、様々な要因が研究されていますが、まだ確定的ではありません。
例えば、激しい身体活動(プロスポーツ選手など)、特定の化学物質(農薬、鉛などの重金属)への曝露、頭部外傷、電磁波などがリスク因子として議論されることがありますが、これらはまだ科学的な結論が一貫して出ているわけではありません(参考:日本神経学会 2)。
「スポーツをしていたからALSになった」と単純に結びつけることはできません。
ALSの初期症状と見過ごされやすいサイン
ALSは初期段階での発見が難しい病気の一つです。
症状が少しずつ進行するため、「年のせい」や「疲れ」と勘違いしてしまうことも少なくありません。
ここでは、注意すべき初期症状について具体的に解説します。
手足の筋力低下や脱力感:最も一般的なALSの始まり
ALSの初期症状として最も多く見られるのが、手足の筋力低下です(参考:日本神経学会 2)。
左右どちらかの手足から症状が始まり、徐々に反対側や他の部位へと広がっていくのが特徴的です。
筋肉のぴくつき(線維束性収縮)とその特徴
筋肉が自分の意志とは無関係にピクピクと動く現象を「線維束性収縮(せんいそくせいしゅうしゅく)」と呼びます。
これもALSの特徴的な症状の一つです(参考:日本神経学会 2)。
健康な人でも、疲れている時や寝不足の時にまぶたや手足がピクつくことはありますが、ALSの場合はこのぴくつきが持続的に見られたり、痩せてきた筋肉の部分で頻繁に起こったりします。
嚥下障害や構音障害(話しにくさ、むせやすさ)
手足ではなく、口やのどの筋肉から症状が始まるタイプもあります。
これを「球麻痺(きゅうまひ)」と呼びます(参考:難病情報センター 1)。
これらの症状は、脳梗塞などの他の病気でも見られますが、ALSの場合は徐々に進行していく点が特徴です。
呼吸機能の低下:進行に伴う重要な症状
病気が進行すると呼吸を行うための筋肉も弱くなり、息苦しさを感じるようになります。
しかし、稀に呼吸筋の低下が初期症状として現れることもあります(参考:日本神経学会 2)。
仰向けに寝ると息苦しい、朝起きた時に頭痛がする(睡眠中の呼吸不全によるもの)、すぐに息切れがするといった症状がある場合は、呼吸機能の低下が疑われます。
「しびれ」がないことが特徴だが、「痛み」はある場合も
「しびれ」と「痛み」の違いに注意
ALSの診断において重要な特徴の一つに、「感覚障害(しびれや感覚の麻痺)を伴わない」という点があります。
触った感覚や冷たい・熱いといった感覚は正常に保たれるのが一般的です(参考:日本神経学会 2)。
一方で、「痛み」に関しては注意が必要です。
「ALSは痛くない」と誤解されがちですが、実際には筋肉のつり(有痛性筋痙攣)や、関節が動かなくなることによる痛みなど、多くの患者さんが何らかの痛みを経験し、それが最初の症状になることもあります(参考:日本神経学会 2)。
「しびれはないが、筋肉が痩せてきて、つったり痛んだりする」という場合は注意が必要です。
早期発見の重要性と医療機関への相談目安
ALSは進行性の病気であり、早期に発見しても完全に治す治療法はまだ確立されていません。
しかし、早期に診断を受けることには大きな意味があります。
早く診断がつけば、進行を遅らせる薬の投与を早期に開始できます。
また、今後の生活環境を整えたり、福祉サービスを利用したりする準備を早めに進めることができます。
相談の目安
これらの症状があり、特に症状が徐々に悪化していると感じる場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本ではALSでお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
ALSの診断から治療、そして日常生活について
もしALSが疑われた場合、どのような検査が行われ、どのような治療があるのでしょうか。
ALSの診断プロセス:検査と鑑別診断
ALSの診断には、特定の決定的な検査一つだけで確定できるものはなく、様々な検査結果と臨床症状を組み合わせて総合的に判断します。
また、似たような症状をきたす他の病気(頚椎症、脊柱管狭窄症、多発性神経炎など)ではないことを確認する「除外診断」が非常に重要です(参考:日本神経学会 2)。
これらの検査を行うため、診断確定までに時間がかかることも珍しくありません。
現在の治療法と進行を遅らせるためのアプローチ
現在、ALSを根本的に治癒させる薬はありませんが、病気の進行を遅らせる効果が認められている薬は存在します。
これらの薬は、症状を劇的に改善させるものではありませんが、病気の進行を緩やかにし、生活の質を維持する期間を延ばすことが期待されています。
また、筋肉のつっぱりや痛み、不眠などの対症療法も行われます。
日常生活でのサポートとケアの重要性
ALSと診断された後も、自分らしい生活を続けるためには、医療だけでなく福祉や介護のサポートが不可欠です。
リハビリテーションによって残された機能を維持したり、関節が固まるのを防いだりします。
また、進行に合わせて、車椅子やコミュニケーション支援ツール(文字盤や視線入力装置など)、呼吸を補助する機器などを導入することで、生活の質を保つことができます(参考:日本神経学会 2)。
難病医療費助成制度や介護保険などの公的支援も活用できますので、ソーシャルワーカーやケアマネージャーと相談しながら環境を整えていくことが大切です。
ALSに関するよくある疑問(FAQ)
最後に、ALSについて多くの方が抱く疑問にお答えします。
確実な予防法はありません。
喫煙などの環境要因がリスクとして指摘されていますが、決定的ではなく、特定の予防法で完全に防げるものではありません(参考:日本神経学会 2)。
バランスの取れた食事や適度な運動など、一般的な健康的な生活習慣を維持することが大切です。
はい、発症する可能性はあります。
ALSは60~70歳代に多い病気ですが、稀に20代や30代で発症することもあります(参考:難病情報センター 1)。
若年発症の場合、遺伝子の変異が関わっているケースもありますが、必ずしもそうとは限りません。
はい、たくさんあります。
頚椎症性脊髄症、脊柱管狭窄症、末梢神経障害、重症筋無力症などは、手足のしびれや筋力低下、話しにくさなど、ALSと似た症状が出ることがあります。
これらは治療法が異なるため、神経内科での専門的な鑑別診断が重要です(参考:日本神経学会 2)。
ストレスが直接的な原因でALSを発症するという科学的な証拠はありません(参考:日本神経学会 2)。
現時点では、一度失われた運動ニューロンを元に戻して完治させる治療法は見つかっていません。
しかし、世界中で活発に研究が行われており、遺伝子治療や再生医療など、新しい治療法の開発に向けた治験も進められています。
ALSが疑われるような症状(進行する筋力低下、筋肉のぴくつき、話しにくさなど)がある場合は、「神経内科(脳神経内科)」を受診してください。
整形外科やかかりつけの内科を受診して原因がはっきりしない場合も、神経内科への紹介状を書いてもらうことをお勧めします。
まとめ
要点まとめ
ALSは、運動ニューロンが障害され、徐々に体が動かなくなる進行性の難病です。
「als なりやすい人 特徴」として、統計的には60~70歳代の方、男性に多い傾向があります(参考:難病情報センター 1)。
特に重要なのは、以下の初期症状を見逃さないことです。
これらの症状が「一過性ではなく続いている」「徐々に悪化している」と感じる場合は、年齢のせいと自己判断せず、早めに神経内科の専門医に相談してください。
早期に適切な診断を受けることで、進行を遅らせる治療を始めたり、生活のサポートを受けたりする準備ができます。
不安を抱え込まず、専門家の力を借りて、ご自身の体と向き合ってください。
