子宮腺筋症と診断され、毎月の激しい生理痛や過多月経に悩まされている方は少なくありません。「少しでも痛みを軽くしたい」「薬以外でできることはないか」と考えたとき、毎日とる「食事」に関心を持つのはとても自然なことです。

インターネット上には「あれはダメ」「これは禁止」といった情報が溢れており、何を食べればよいのか不安になってしまうこともあるでしょう。

この記事では、子宮腺筋症の症状と食事の関係について、医学的なガイドラインや一般的な健康情報の視点から解説します。過度に不安にならず、ご自身の体をいたわるための参考にしてください。

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結論:子宮腺筋症に「絶対食べてはいけないもの」はない

まず安心してください。日本産科婦人科学会などの医学的なガイドラインにおいて、子宮腺筋症の患者さんが「絶対に食べてはいけない(禁忌)」と定められている特定の食品はありません(参考:日本産科婦人科学会 1)。

特定の食材を口にしたからといって、急激に病状が悪化したり、取り返しのつかないことになるわけではありません。

しかし、毎日の食事が体のコンディションに影響を与えるのは事実です。一般的に、栄養バランスの乱れは体の不調につながりやすいため、規則正しい食生活を心がけることは大切です。

「禁止」というルールで自分を縛るのではなく、「これを控えたほうが体が楽になるかもしれない」という、ポジティブなセルフケアとして食事を見直してみましょう。

症状悪化のリスクも?控えたほうがよいと言われる5つの食品群

一般的に、子宮腺筋症や子宮内膜症などの婦人科疾患において、症状への影響が懸念され「摂りすぎに注意したほうがよい」と言われることがある食品があります。これらは医学的に完全に禁止されているわけではありませんが、体調管理の一環として参考にされることが多いものです。

1. 動物性脂肪(肉の脂身・乳製品)

牛肉や豚肉の脂身、バター、生クリーム、チーズなどの動物性脂肪の摂りすぎには注意が必要だと言われています。

これらの脂肪には「飽和脂肪酸」が多く含まれており、体内で炎症に関わる物質の原料となることがあります。特に、肉類に含まれる「アラキドン酸」という脂肪酸は、生理痛の主な原因である「プロスタグランジン」という物質を作り出す材料になります。

お肉を食べるなら、脂身の少ない赤身や鶏のささみを選んだり、調理法を揚げ物から蒸し料理に変えるなどの工夫がおすすめです。

2. 白砂糖・甘いお菓子

ケーキやチョコレート、菓子パンなどにたっぷり使われる白砂糖。疲れた時に食べたくなりますが、東洋医学の考え方では、体を冷やしたり血流を滞らせたりする原因になると考えられています。

また、糖分の摂りすぎは急激な血糖値の上昇を招き、体にとって負担となることもあります。甘いものが欲しい時は、精製されていない黒糖やてんさい糖、フルーツ、干し芋などを適度に楽しむとよいでしょう。

3. カフェイン(コーヒー・濃いお茶)

コーヒーや紅茶、エナジードリンクに含まれるカフェイン。血管への作用や覚醒作用があるため、摂りすぎると自律神経のバランスに影響を与える可能性があります。

特に生理前や生理中は、体が敏感になっている時期でもあります。リラックスを目的とする場合は、ノンカフェインのハーブティーやカフェインレスコーヒー(デカフェ)を選ぶのも一つの選択肢です。

4. アルコール類

アルコールは肝臓で分解されますが、女性ホルモン(エストロゲン)の代謝も肝臓で行われています。過度な飲酒は、ホルモンバランスや月経周期に影響を与える可能性があることが知られています(参考:厚生労働省 3)。

また、アルコールには血行を良くする作用がありますが、生理中の過度な飲酒は出血量に影響する可能性も考えられます。過多月経の症状がある方は特に注意し、体調と相談しながら嗜む程度に留めましょう。

5. 体を冷やす食べ物・飲み物

冷蔵庫でキンキンに冷やした飲み物やアイスクリームの摂りすぎは、物理的に体を冷やすことにつながります。

一般的に「冷え」は生理痛などの痛みを強く感じさせる要因の一つと考えられています。夏野菜などを食べる時も、火を通したり温かいスープにしたりするなど、体を内側から温める工夫を取り入れるとよいでしょう。

なぜ食事で痛みが変わる?知っておきたい体の仕組み

なぜ特定の食べ物が良くないと言われることがあるのでしょうか。その背景にある考え方を知ることで、納得して食事選びができるようになります。

炎症物質「プロスタグランジン」と食事の関係

生理痛のギューッとする痛みや、子宮の収縮を引き起こしているのは「プロスタグランジン」という物質です。この物質は、子宮内膜が剥がれ落ちる時に分泌されます。

このプロスタグランジンの原料となるのが、食事から摂取した「油(脂質)」です。動物性脂肪を多く摂りすぎると、体内で痛みを強めるタイプのプロスタグランジンが作られやすくなるのではないかと考えられています。逆に、魚や植物性の良質な油を摂ることは、健康維持に役立ちます。

女性ホルモン「エストロゲン」への影響

子宮腺筋症は、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の影響を受けて進行する病気です(参考:日本内分泌学会 4)。エストロゲンは卵巣から分泌されますが、肥満になると脂肪細胞からもエストロゲンが作られることが知られています。

高カロリー・高脂肪の食事を続けて肥満傾向になると、過剰なエストロゲンが病気に影響を与える可能性も否定できません。適正体重を保つようなバランスの良い食事は、病気との上手な付き合い方の一つと言えます。

逆に何を食べればいい?子宮腺筋症におすすめの栄養素

控えるだけでなく、積極的に摂ることで体を整えてくれる食材もあります。

  • 青魚・えごま油(オメガ3脂肪酸): サバ、イワシ、サンマなどの青魚や、えごま油、アマニ油に含まれる「オメガ3脂肪酸(EPA・DHAなど)」は、良質な脂質として知られています。動物性脂肪を減らす代わりに、これらを意識して摂ることで、食事全体のバランスを整えることができます。
  • 食物繊維(野菜・海藻・きのこ): ごぼうやキャベツなどの野菜、わかめ、きのこ類に豊富な食物繊維は、腸内環境を整えて便通を良くします。便秘を解消することは、骨盤内の血流を妨げないためにも大切です。
  • 体を温める食材(根菜類・生姜など): 大根、人参、レンコンなどの根菜類や、生姜、ネギ、ニラなどの香味野菜は、体を温める食材として古くから親しまれています。毎日の食事やお味噌汁に積極的に取り入れましょう。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では子宮腺筋症でお困りの方に向け治験が行われています。

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治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

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ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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これってどうなの?よくある食事の疑問(FAQ)

豆乳や納豆(大豆製品)は食べても平気?

「大豆イソフラボンは女性ホルモンに似ているから良くないのでは?」と心配される方がいます。

結論としては、納豆やお豆腐、豆乳などの食品として常識的な範囲で食べる分には問題ありません。むしろ、大豆製品は良質な植物性タンパク質源であり、マグネシウムなどのミネラルも豊富なため、推奨されることが多い食品です。

ただし、サプリメントなどで高濃度のイソフラボンを過剰に摂取することについては、主治医に相談したほうがよいでしょう。

コーヒーは1日1杯でもダメ?

「絶対に飲んではいけない」わけではありません。コーヒーが好きで、それがリラックスの時間になっているなら、無理に我慢してストレスを溜めるほうが体に良くないこともあります。

1日1~2杯程度に留める、体を冷やさないようホットで飲む、空腹時を避ける、生理痛がひどい時だけ控えるなど、ご自身の体調に合わせて調整してみてください。

食事以外の生活習慣も大切に

食事は大切ですが、それだけで全てが解決するわけではありません。ストレスや睡眠不足、運動不足も、ホルモンバランスや自律神経を乱し、痛みを強くする原因になります。

「これを食べてしまったから痛くなったんだ」と自分を責める必要はありません。食事はあくまで、長く付き合っていく病気をコントロールするための手段の一つです。

まとめ

POINT

  • 子宮腺筋症において、食事制限は治療そのものではありませんが、辛い症状を和らげるための強力なサポーターになり得ます。
  • 注意点:動物性脂肪や甘いもの、カフェインは「控えめ」を意識する
  • 推奨:体を温める食材や青魚を積極的に摂る
  • 継続:完璧を目指さず、できる範囲で継続する

日々の食事を少し見直すことで、体が軽くなったり、生理期間が過ごしやすくなることを実感できるかもしれません。まずは今日の食事から、体に優しい選択を始めてみてはいかがでしょうか。そして、痛みが強い場合は無理をせず、必ず産婦人科医に相談してください。