膝に痛みやこわばりを感じる変形性膝関節症。その症状と付き合っていく中で、「良かれと思ってやった運動が、実は症状を悪化させていた」というケースは少なくありません。

痛みを少しでも和らげ、これ以上の負担を増やさないためには、日常生活に潜むリスクを正しく理解し、意識的に避けることが欠かせません。

安易な自己判断は、かえって膝への負担を増やしてしまう危険性をはらんでいます。この記事では、変形性膝関節症の方が避けるべき「してはいけないこと」を、運動・日常動作・姿勢の観点から網羅的に解説します。

正しい知識を身につけて、大切な膝を守る手がかりにしてください。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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変形性膝関節症の痛みを悪化させる「NG運動」

適度な運動は膝周りの筋力を維持し、症状の改善に役立つ一方で、やり方を間違えると逆効果になります。特に注意すべき運動の種類をみていきます。

膝に強い衝撃を与える運動は控える

変形性膝関節症の膝は、クッションの役割を果たす軟骨がすり減り、衝撃に弱くなっている状態です。日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドライン2023でも、肥満(過体重)、女性、高齢、膝関節外傷の既往に加えて、膝関節に負荷をかける活動性がリスク因子として挙げられています※1

そこに強い衝撃が加わる運動を行うと、軟骨の摩耗をさらに加速させ、痛みを増強させる原因となります。

具体的には、ランニングやジョギング、あるいはジャンプや急な方向転換を頻繁に行うバスケットボール、テニス、バレーボールといったスポーツは、膝への負担が大きい運動にあたります。着地のたびに、体重の何倍もの負荷が直接膝関節にかかることを想像してみてください。これは、すり減った軟骨をさらに削るような行為になりかねません。

「走ること自体が膝に悪い」わけではない

補足すると、ランニングと変形性関節症の関係は、発症予防の話と症状管理の話で結論が分かれます。Alentorn-Geliらが複数の研究をまとめて解析した研究(システマティックレビュー・メタアナリシス)では、股関節・膝関節の変形性関節症の有病率は、競技レベルのランナー13.3%、レクリエーションランナー3.5%、非ランナー(対照群)10.2%と報告されました※2。趣味の範囲で走る人の有病率はむしろ低く、高強度・高頻度の競技的な走り込みや座りがちな生活のほうが関連が指摘されています。ここで「控える」としているのは、すでに痛みや症状が出ている膝に強い衝撃を繰り返し加える場合の話です。

膝を深く曲げ伸ばしする動作が危険な理由

膝を深く曲げ込む動作は、関節に過度な圧力をかけてしまいます。膝関節の特定の部分に体重が集中し、軟骨や骨への負担が極端に大きくなるのです。

例えば、ウェイトトレーニングで行うフルスクワット(深くしゃがみ込むスクワット)やランジは、筋力アップに効果的である一方、変形性膝関節症の方には推奨されません。日常生活においても、正座やあぐら、和式トイレでしゃがみ込む姿勢は、膝を限界近くまで曲げるため、強い圧迫を引き起こします。

同ガイドラインでも、正座やしゃがみ込み動作は、膝関節の骨棘(骨のとげ)の形成や、関節のすき間が狭くなること(関節裂隙狭小化。軟骨がすり減って骨と骨の間隔が縮まった状態)に影響することが示されたと記載されています※1。これらの習慣がある方は、意識して避ける必要があります。

階段昇降や登山は特に「下り」に注意が必要

階段や坂道は、平地を歩くよりも膝への負担が大きくなります。中でも特に注意したいのが「下り」です。

階段や坂道を下る際には、重力に逆らって体のスピードをコントロールするため、膝の筋肉や関節に大きな負荷がかかります。Jeonらの研究では、階段や坂道の下り歩行で膝を曲げる方向にかかる力(屈曲モーメント)は平地歩行の2〜7倍にのぼり、膝の内側を押しつぶす方向にかかる力(内転モーメント)の最初のピークは、階段の上りの1.6倍と報告されています※3

ただし、上りと下りのどちらが負担が大きいかは、膝にかかる力のうちどの種類を測るかで結論が変わる点には注意が必要です。もし登山やハイキングが趣味であっても、症状が出ている間は控えるか、下りのルートが緩やかなコースを選ぶなどの工夫が要ります。

自己流のストレッチや筋トレが逆効果になることも

「膝のために何か運動を始めよう」と考えること自体は素晴らしいことです。しかし、インターネットやテレビで見かけた情報を鵜呑みにし、自己流でストレッチや筋トレを始めるのは危険を伴います。

間違ったフォームや、ご自身の症状の段階に合っていない運動は、かえって膝の炎症を悪化させたり、痛みを強くしたりする可能性があります。

運動をやめるのではなく、設計を専門家に任せる

押さえておきたいのは、「運動を避けること」と「運動療法をやめること」は別だという点です。診療ガイドライン2023は、変形性膝関節症に対する運動療法を鎮痛・身体機能改善・日常生活動作の改善効果があるとして「実施することを強く推奨する」と位置づけ、同時に、適切な運動を実施するためには画像評価を含む整形外科学的評価を行うことが重要だとしています※1。自己流をやめる理由は、運動が悪いからではなく、量と種類の設計に評価が要るからです。

日常生活で無意識にやってしまう「NG動作・NG姿勢」

特別な運動だけでなく、普段の何気ない動作や姿勢の中にも、膝の痛みを悪化させる要因は隠されています。

痛みを我慢して無理に歩き続けると悪循環に陥る

膝の痛みは、体からの「これ以上負担をかけないで」という危険信号です。このサインを無視して、「これくらいなら大丈夫だろう」と痛みを我慢して歩き続けることは、症状を悪化させる典型的なパターンといえます。

さらに、痛みをかばうことで歩き方のバランスが崩れ、反対側の膝や股関節、腰にまで余計な負担がかかるようになります。これが新たな痛みの原因となり、体全体の歪みにつながるという悪循環に陥ってしまうのです。

実際に診療ガイドライン2023では、移動時の膝の痛みが移動そのものを控える行動を招き、活動性の低下が身体機能低下と精神的苦痛をもたらすと述べられており、国内の大規模調査をもとに膝関節症と変形性腰椎症の合併率42%、変形性股関節症との合併率7.2%という数字も示されています※1

膝に負担をかける座り方・立ち上がり方を見直す

床に直接座る生活スタイルは、膝への負担が大きくなります。特に正座、あぐら、横座り、体育座りなどは、膝を深く曲げたりねじったりするため、関節に強い圧力をかけてしまいます。できる限り、椅子とテーブルを使った生活に切り替えることを検討しましょう。

また、椅子から立ち上がる際に、膝をピンと伸ばしきった状態(膝をロックした状態)で勢いよく立つのはNGです。机や手すりに手をつき、腕の力も使いながらゆっくりと立ち上がることで、膝への負担を軽減できます。

日常生活で避けたい姿勢・習慣

日本整形外科学会は一般向けの解説の中で、変形性膝関節症の日常生活での注意点として、正座を避ける、洋式トイレを使用する、ふとももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える、肥満であれば減量する、膝を冷やさず温めて血行を良くする、といった項目を挙げています※4。まずはこの5点から生活を見直すと、取りかかりやすくなります。

重いものを持つ際のNGな体の使い方

床にある重い荷物を持ち上げる時、膝を伸ばしたまま、腰だけを曲げて持ち上げていませんか。これは腰を痛める原因になるだけでなく、膝にも大きな負担をかける危険な動作です。

荷物を持つ際は、まず荷物の近くにしゃがみ、膝をしっかりと曲げた状態から、脚の力を使って体全体で持ち上げるように意識してください。こうすることで、負担が体幹や下半身に分散され、膝への局所的な負荷を避けることができます。

長時間同じ姿勢でいることのリスク

デスクワークや立ち仕事などで、長時間ずっと同じ姿勢でいることも膝にとっては良くありません。同じ姿勢を続けると、関節周りの筋肉が硬直し、血行も悪くなります。これにより、関節の柔軟性が失われ、動き始めに強い痛みやこわばりを感じる原因となるのです。

こまめに立ち上がって軽く歩いたり、膝の曲げ伸ばしをしたりするなど、意識的に体勢を変える習慣をつけましょう。なお、「30分から1時間に一度」といった具体的な間隔については、公的なガイドライン上で推奨値が定められているわけではないため、ご自身の症状に合わせて調整してください。

なぜこれらの行動が「してはいけないこと」なのか

ここまで具体的なNG行動を挙げてきましたが、なぜそれらが膝に悪い影響を与えるのでしょうか。そのメカニズムを理解することで、より深く納得し、行動を変える動機付けになります。

軟骨のすり減りを加速させる「衝撃」と「摩擦」

健康な膝関節では、骨の表面が「関節軟骨」という滑らかで弾力のある組織で覆われています。この軟骨がクッションとなり、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収し、関節の動きをスムーズにしています。

しかし、変形性膝関節症ではこの軟骨がすり減り、薄くなっています。日本整形外科学会も、加齢によるものでは関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減って関節が変形すると説明しています※4

そこにランニングやジャンプのような強い「衝撃」が繰り返し加わると、もろくなった軟骨はさらに削れてしまいます。また、正座のように膝を深く曲げると、関節面が強くこすれ合う「摩擦」が生じ、これも軟骨の摩耗を促進させてしまうのです。

関節への過度な圧迫と負担の集中

私たちの体重は、立っているだけでも常に膝にかかっています。膝を深く曲げる動作、例えばしゃがみ込みやフルスクワットなどは、テコの原理で関節の特定の部分に圧力が集中する状態を作り出します。

この過度な圧迫が、軟骨の下にある骨(軟骨下骨)にまでダメージを与え、骨の変形を引き起こす一因となります。変形性膝関節症が進行すると骨の棘(骨棘)ができることがありますが、これも過剰な負担に対する防御反応の一つと考えられています。

炎症を悪化させる可能性

無理な動きによって関節軟骨やその周辺組織が傷つくと、体はそれを修復しようとして炎症反応を起こします。関節を包む「滑膜」という組織に炎症が起こると、関節内に水が溜まったり(いわゆる「膝に水がたまる」状態)、強い痛みや熱感を生じたりします。

診療ガイドライン2023でも、膝の痛みの原因として、疾患の進行に伴う滑膜炎や骨髄病変(骨の内部に生じるむくみのような変化)の関与が指摘されており、膝関節痛そのものが変形性膝関節症の進行リスク因子であるという報告も紹介されています※1

痛みを我慢して運動を続けることは、この炎症に油を注ぐようなものです。炎症が慢性化すると、痛みが長引き、日常生活の質(QOL)を著しく低下させることにつながります。

症状悪化を防ぐためにNG行動を避ける具体的な工夫

NG行動を理解したら、次はそのリスクを日常生活でどうやって避けていくかが重要になります。すぐに実践できる工夫やヒントを紹介します。

膝に優しい歩き方・移動方法

歩くことは大切な運動ですが、歩き方一つで膝への負担は大きく変わります。大股で速く歩くのではなく、歩幅はやや小さめを意識してください。

そして、地面に着地する際は、かかとから静かに足を下ろし、足裏全体で体重を支えるようにすると衝撃が和らぎます。

靴選びも重要な要素です。靴底には十分なクッション性があり、かかとをしっかりとホールドしてくれる安定感のあるスニーカーなどが適しています。ただし、診療ガイドライン2023のメタ解析では、膝装具と、靴の中敷きの外側を高くして膝の内側の負担を逃がす足底板(外側楔型足底板)に鎮痛・機能改善の効果が認められた一方で、靴と一本杖については有意の効果が認められなかったとされている点は知っておくとよいでしょう※1

日常生活で膝への負担を減らすアイデア

生活環境を見直すことも有効な対策です。和式の生活スタイルが中心なら、椅子やベッドを導入して洋式に切り替えるだけで、膝を深く曲げる機会を劇的に減らせます。特にトイレは毎日使う場所なので、和式から洋式への変更は優先的に検討したいポイントです。

また、痛みの種類に応じたケアも大切です。急な痛みや腫れがあるときは冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みやこわばりには温めて血行を促進するのが一般的です。

体重を減らすと、膝の負担はどれくらい軽くなるのか

押さえておきたいのは、減量が膝の負担に直接効くという点です。診療ガイドライン2023は、変形性膝関節症に対する体重減少を「有用であるが,その効果は限定的である」とし、効果の確かさは限定的(エビデンスの強さC)で、推奨の強さも「弱い」(推奨の強さ2)という位置づけで、実施することを提案しています。同ガイドラインが引用する研究では、18か月の介入で10%以上の体重減少を認めた群において疼痛が明らかに減少し、機能改善効果も認められたと報告されています※1

 

力学的な裏づけとして、Messierらは体重を1ポンド減らすごとに、日常活動における1歩あたりの膝への荷重が4倍分軽減されると報告しました※5。一方、Aaboeらの16週間の減量介入研究では、平均13.5%の減量で、歩行時に膝にかかる力が7%、足が地面についている間に膝が受ける力の合計(軸方向インパルス)が13%、膝の内側を押す力(内部膝内転モーメント)が12%低下しています※6

 

減量1kgあたりの軽減量は研究によって幅がありますが、減量が膝の力学的負担を下げる方向に働くことは複数の研究で一致しています。ただし、ガイドライン上の推奨は強いものではない点も併せて理解しておいてください。

痛みを感じたらすぐに中止する勇気を持つ

運動中や作業中に少しでも膝に痛みを感じたら、それは体からの「ストップ」の合図です。無理をせず、すぐに中断する勇気を持ってください。「もう少しだけ」という気持ちが、回復を遅らせ、症状を悪化させる原因になります。

休息は、膝の炎症を鎮め、傷ついた組織が回復するために必要な時間です。無理をしないことが、結果的に膝と長く付き合っていくための近道になります。

サポーターや杖はどこまで役立つか

膝用のサポーターや杖を使うことに抵抗を感じる方もいるかもしれません。これらの補助具は膝関節を安定させ、体重の負荷を分散させることで、痛みの軽減と歩行の安定に役立ちます。

ただし前述のとおり、装具の種類によって裏づけの強さは異なります。膝装具と外側楔型足底板(中敷きの外側を高くした足底板)は「実施することを弱く提案する」と位置づけられている一方、一本杖と靴の有用性は不明とされています。

自己判断で装具を選ばない

気をつけたいのは、装具にも副作用がある点です。膝装具を用いた研究では、皮膚の刺激感や不快感などの合併症が報告されており、副作用が出る確率は装具を使わない場合の約3.7倍(リスク比3.65)とされています。どのようなタイプのサポーターが合うか、杖の適切な長さや使い方など、自己判断で選ぶのではなく、医師や理学療法士に相談し、ご自身の状態に合ったものを正しく使うことが大切です。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では変形性膝関節症の治験が行われており、なかにはBMIが一定以上の方を対象に含むものもあります。

例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。

治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

  • 最新の治療をいち早く受けられることがある
  • 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
  • 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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自分で判断せず、専門家へ相談することの重要性

ここまで様々な情報をお伝えしてきましたが、最も大切なのは専門家の診断と指導に従うことです。

自己判断の危険性と症状悪化のリスク

インターネットには多くの情報が溢れていますが、それがあなたの膝の状態に当てはまるとは限りません。変形性膝関節症は、進行度や痛みの原因、生活習慣など、人によって状態が大きく異なります。

専門知識なしに自己判断で対処を続けると、知らないうちに症状を悪化させてしまうリスクが常に伴います。適切な治療開始のタイミングを逃してしまうことにもなりかねません。

整形外科や理学療法士に相談するメリット

整形外科では、レントゲンなどの画像診断を用いて膝の状態を正確に把握し、診断を下すことができます。その上で、投薬、注射、リハビリテーションといった、個々の症状に合わせた適切な治療計画を立ててもらえます。

また、リハビリテーションの専門家である理学療法士は、安全かつ効果的な運動方法や、日常生活での注意点を具体的に指導してくれます。あなただけの「オーダーメイドのケア」を受けられることが、専門家に相談する大きな利点です。

受診の前に整理しておきたい質問リスト

ガイドラインが医療者に向けて示している評価項目は、患者側から見れば「診察のときに確認すべきこと」に読み替えられます。次の項目をメモして持参すると、限られた診察時間を有効に使えます。

  • 画像と症状のズレ レントゲンの所見と、いま自分が感じている痛みの強さは一致しているか
  • 運動の量と種類 自分の段階では、どの運動をどれくらいの頻度・強度で行ってよいか
  • 装具の適否 膝装具・足底板は自分に適応があるか、皮膚トラブルが出たらどうするか
  • 薬の選択理由 胃腸・心血管・腎機能の持病を踏まえて、今の処方が選ばれた理由は何か
  • 生活動作の優先順位 正座・和式トイレ・階段のうち、まずどれから変えるべきか

正しい診断と適切な治療・リハビリで快適な生活へ

変形性膝関節症は、早期に介入し、適切な管理を始めることで、痛みと上手に付き合いながら快適な生活を送ることが可能です。

ただし前提として押さえておきたいのは、診療ガイドライン2023が、現在の変形性膝関節症の治療には、病気の進行そのものを止めたり元に戻したりする治療法(疾患修飾型治療法)は存在せず、推奨されている治療法はすべて、膝の痛みを中心とした症状を軽くすることを目的にしたもの(症状改善型)であると明記している点です。

また、変形性膝関節症の診断はレントゲン(単純X線)が基本とされていますが、レントゲンには限界もあります。レントゲンの重症度は「Kellgren-Lawrence分類」という0〜4の5段階で評価するのが一般的で、グレード0は「レントゲン上は異常なし」を意味します。

ところが、このグレード0にあたる一般の中高年者をMRIで調べると、89%に軟骨や半月板などの何らかの異常所見が見つかったと報告されています※1。このガイドラインはMindsガイドラインライブラリにも収載されています※7

膝の痛みを放置せず、まずは専門の医療機関を受診してください。正しい診断のもと、あなたに合った治療やリハビリテーションに取り組むことが、健やかな未来への第一歩となります。

まとめ

変形性膝関節症の痛みを悪化させないためには、日常に潜む「してはいけないこと」を正しく知り、それを避けるための具体的な行動を実践することが何よりも重要です。

この記事で解説した、膝に強い衝撃を与える運動、深く曲げ込む動作、痛みを我慢するといったNG行動をまずは意識的にやめてみましょう。そして、NG行動を避けるだけでなく、膝に優しい動作や環境づくりを心がけることが、痛みを和らげるための一歩となります。

しかし、最も大切なのは自己判断で抱え込まないことです。膝の痛みに悩んだら、必ず整形外科などの専門医に相談し、正確な診断と指導のもとで、ご自身の膝と長く付き合っていくための最適な方法を見つけてください。

FAQ

変形性膝関節症でもウォーキングはできますか?
はい、ウォーキングは膝周りの筋力を維持し、血行を促進するため、変形性膝関節症の方に推奨される運動の一つです。診療ガイドライン2023も、運動療法について鎮痛・身体機能改善・日常生活動作の改善効果を認め、実施することを強く推奨しています。ただし、痛みを感じない範囲で行うことが大前提です。平坦な道を、クッション性の高い靴を履いて、正しいフォームで歩くように心がけてください。痛みが強い場合や、歩き方に不安がある場合は、医師や理学療法士に相談しましょう。
膝が痛い時、温めるのと冷やすのはどちらが良いですか?
一般的な使い分けとして、転んだ直後や急に強い痛みが出た時、腫れや熱を持っているような急性期の炎症には「冷やす」のが適しています。一方、慢性的な鈍い痛みや、朝起きた時のようなこわばりに対しては、血行を良くする「温める」ケアが有効な場合があります。なお、日本整形外科学会は一般向けの解説で、日常生活での注意点として膝をクーラーなどで冷やさず温めて血行を良くすることを挙げており、治療としても膝を温める物理療法を紹介しています。どちらが適切か迷う場合や、痛みが続く場合は、自己判断せず医師の診察を受けてください。
変形性膝関節症の進行度合いは自分で分かりますか?
痛みの強さや症状だけで、変形性膝関節症の進行度合いを正確に自己判断することは非常に困難であり、危険です。軟骨のすり減り具合や骨の変形といった客観的な状態は、整形外科でレントゲン撮影などの画像検査を行わなければ分かりません。診療ガイドライン2023でも、単純X線による診断と臨床症状との間に乖離を認めた場合には、膝関節内で起きている変化を客観的に捉える試みが必要だと述べられています。正確な診断と、それに基づいた適切な治療方針を決めるためにも、必ず専門の医療機関を受診することが必要です。