歩くと足、特にふくらはぎなどが痛みやしびれで歩けなくなるけれど、少し休むとまた歩けるようになる。こうした症状に心当たりはありませんか。

これは「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれる症状の典型的なサインかもしれません。

「この症状、何科に行けばいいのだろう?」と、受診先に迷う方は少なくありません。それもそのはずで、間欠性跛行は原因が一つではないためです。

原因は大きく「神経性」と「血管性」の2つに分けられ、それぞれ専門とする診療科が異なります。

この記事では、間欠性跛行の症状でお困りの方が、ご自身の症状に合わせて適切な医療機関を選べるように、原因の見分け方から受診後の検査、治療の流れまでを詳しく解説します。

症状の裏に隠れた原因を正しく理解し、早期の診断と治療につなげることが、健やかな歩行を取り戻すための第一歩です。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

間欠性跛行でお困りの方へ

治験という方法で負担軽減費を受け取りながら、より良い治療の選択肢を見つける方が増えています。

※負担軽減費とは:治験協力者が負担する交通費や時間的拘束などがあるためお金が支給されます。

治験ジャパンでは参加者の皆様に医療費の負担を軽減しながら、最新治療を受ける機会のご提供が可能です。

  • 通院1回につき1万円程度、入院1泊あたり2万円程度が負担軽減費の相場
  • 安心・信頼できる試験のみを紹介しており、安全に配慮された環境下で行われます。

詳しくはこちらから

間欠性跛行とは?症状のサインと特徴を理解する

歩行と休息で変化する「間欠性跛行」のメカニズム

間欠性跛行は「病名」ではなく「症状」

間欠性跛行とは、病気の名前ではなく、特定の動作によって現れる「症状」のことです。歩行など足に負担がかかる運動をすると、足に痛みやしびれ、重だるさ、脱力感などが生じて歩行が困難になります。しかし、しばらくの間、椅子に座ったり立ち止まったりして休息を取ると、症状が軽快し、再び歩けるようになるのが最大の特徴です。

この特徴的な症状は、歩行によって足が必要とする血液や酸素の供給が、何らかの原因で追いつかなくなることで発生します。原因が神経にあるのか、それとも血管にあるのかによって、そのメカニズムは異なります。

足の痛みやしびれ、違和感…あなたの症状はどんなタイプ?

間欠性跛行で現れる症状は、人によってさまざまです。以下のようなサインが見られたら、注意が必要かもしれません。

  • ふくらはぎや太もも、お尻が締め付けられるように痛む
  • 足がしびれて感覚が鈍くなる
  • 足が重く、前に出しにくい
  • 足に力が入らなくなる(脱力感)
  • 足がこむら返りを起こしやすくなる

これらの症状が、決まって「歩いている時」に起こり、「休むと楽になる」というパターンを繰り返す場合、間欠性跛行が疑われます。

放置は危険?症状が悪化する前に知っておきたいこと

「休めば治る」と放置するのは危険

「休めば治るから」と症状を軽く考えて放置してしまうのは危険です。間欠性跛行は、その背景に治療が必要な病気が隠れているサインだからです。

原因となる病気が進行すると、歩ける距離が徐々に短くなったり、安静にしていても足が痛むようになったりする可能性があります。

ケースによっては、足の感覚が麻痺したり、血流が極端に悪化して足先に潰瘍や壊疽(えそ)ができてしまったりと、日常生活に深刻な支障をきたす事態に至ることもあります。症状に気づいたら、なるべく早く医療機関を受診することが大切です。

あなたの症状で見極める!神経性と血管性の間欠性跛行

間欠性跛行の原因は、主に神経の圧迫による「神経性」と、血管の詰まりによる「血管性」に大別されます。

どちらが原因かによって治療法や受診すべき診療科が変わるため、ご自身の症状がどちらに近いかを知ることが重要です。

神経性の間欠性跛行:腰部脊柱管狭窄症が原因の場合

腰部脊柱管狭窄症とは?神経圧迫で起こる足の痛み・しびれ

神経性の間欠性跛行の多くは、「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」が原因で起こります。これは、加齢などが原因で背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、中を通る神経が圧迫される病気です。

歩くという動作は、腰を反らせる姿勢になるため、脊柱管がさらに狭まり神経への圧迫が強まります。その結果、足への神経伝達がうまくいかなくなり、痛みやしびれとして現れるのです(参考:日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 1)。

神経性の特徴的な症状と、見分け方のポイント

神経性が原因の場合、以下のような特徴が見られます。

  • 症状の出方:お尻から太ももの裏、ふくらはぎやすねにかけて、広い範囲で痛みやしびれを感じることが多い。
  • 姿勢との関連:前かがみになったり、椅子に座ったりすると症状が和らぐ。逆に、背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると症状が出やすい。
  • 両足への影響:症状が両足に出ることが比較的多い。
  • その他の特徴:自転車に乗る動作は前かがみになるため、長時間漕いでも症状が出にくい。スーパーのカートを押しながら歩くと楽に歩ける、というのも代表的なサインです。

血管性の間欠性跛行:閉塞性動脈硬化症が原因の場合

閉塞性動脈硬化症とは?血流障害が引き起こす足のトラブル

血管性の間欠性跛行は、主に「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」によって引き起こされます。これは、足の動脈が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりして、足先への血流が悪くなる病気です。

歩行中は足の筋肉が多くの酸素を必要としますが、血管が狭いため十分な血液を送り届けることができません。この酸素不足が、ふくらはぎなどに痛みとして現れます(参考:日本循環器学会・日本血管外科学会 末梢動脈疾患ガイドライン 2)。

血管性の特徴的な症状と、見分け方のポイント

血管性が原因の場合、以下のような特徴が挙げられます。

  • 症状の出方:主にふくらはぎに、締め付けられるような、あるいは張るような痛みが出ることが多い。
  • 姿勢との関連:姿勢を変えても症状は変わらない。立ち止まるだけで症状が和らぐ。
  • 両足への影響:血流が悪くなっている方の足だけに症状が出ることが多い(片側性)。
  • その他の特徴:足が冷たく感じられたり、皮膚の色が悪くなったりすることがある。足の脈が弱い、または触れない。坂道や階段を上るなど、負荷が高い運動で症状が出やすい。

両方が合併することも?「どちらも当てはまる」と感じたら

高齢の方などでは、腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症の両方を発症しているケースも珍しくありません。このような混合型の場合、症状も両方の特徴を示すため、自己判断はさらに難しくなります。

「どちらも当てはまる」と感じたら

「どちらの症状も当てはまる気がする」と感じた場合は、無理に自分で判断しようとせず、速やかに医師に相談することが重要です。

間欠性跛行、何科を受診すべき?適切な医療機関の選び方

症状の特徴から原因をある程度推測できたら、次は適切な診療科を選びます。

神経性が疑われるなら「整形外科」が第一選択肢

前かがみになると楽になる、自転車は平気、といった神経性の特徴が強い場合は、「整形外科」を受診しましょう。

整形外科とは

整形外科は、骨や関節、脊椎、神経といった運動器の専門家です。腰部脊柱管狭窄症をはじめとする背骨の病気の診断と治療を行います。

血管性が疑われるなら「循環器内科」または「心臓血管外科」を検討しよう

姿勢に関係なく足が痛む、足が冷たいといった血管性の特徴が当てはまるなら、「循環器内科」または「心臓血管外科」が専門です。

これらの診療科では、動脈硬化や血流の問題を専門的に扱っており、閉塞性動脈硬化症の精密な検査や治療を受けることができます。

まずは「かかりつけ医」に相談するメリットと、専門医への紹介

どちらの症状か判断に迷う場合や、近所に専門の診療科がない場合は、まず「かかりつけ医」に相談するのも一つの有効な方法です。

迷ったらかかりつけ医が最初の窓口に

かかりつけ医は、全身の状態を総合的に診察し、症状から考えられる原因を絞り込んでくれます。その上で、整形外科と循環器内科のどちらがより適切かを判断し、専門の医療機関へ紹介状を書いてもらうことも可能です。何科に行けばよいか全く見当がつかないという不安な状況では、最初の窓口として非常に頼りになる存在です。

受診後の流れ:間欠性跛行の検査と診断ステップ

医療機関を受診すると、問診に加えて原因を特定するための検査が行われます。正確な診断を下すために、それぞれの専門科で特徴的な検査があります。

整形外科での主な検査:MRIやレントゲンで神経の状態を確認

整形外科では、まず問診や身体診察で症状の出方、姿勢による変化などを詳しく確認します。その後、画像検査によって背骨の状態を評価します。

  • レントゲン(X線)検査:骨の変形や骨と骨の間隔などを確認します。
  • MRI検査:磁気を利用して体の断面を撮影する検査です。神経や椎間板といった軟部組織を詳しく見ることができ、脊柱管がどれくらい狭くなっているか、神経が圧迫されているかを直接的に確認できます。腰部脊柱管狭窄症の診断において非常に重要な検査です。

循環器内科・心臓血管外科での主な検査:ABI検査や血管造影で血流を評価

循環器内科や心臓血管外科では、足の血流がどの程度悪くなっているかを調べる検査が中心となります(参考:日本循環器学会・日本血管外科学会 末梢動脈疾患ガイドライン 2)。

  • ABI(足関節上腕血圧比)検査:両腕と両足首の血圧を同時に測定し、その比率を計算する簡単な検査です。足の血圧が腕の血圧に比べて著しく低い場合、足の血管に詰まりがある可能性が高いと判断されます。
  • 超音波(エコー)検査:超音波を使って血管の内部を観察し、動脈硬化の程度や血流の速さを直接評価します。
  • CTアンギオグラフィ/MRA検査:造影剤を使用して、CTやMRIで足の血管の全体像を立体的に撮影します。どの血管が、どこで、どの程度狭くなっているかを詳細に把握できます。

正確な診断が、症状改善への重要な一歩

これらの検査を通じて原因が特定されることで、初めて適切な治療方針を立てることが可能になります。たとえ検査に時間がかかったとしても、それは症状改善への確実な道筋をつけるための重要なプロセスです。

間欠性跛行の治療法:あなたの症状に合った選択肢を見つける

診断が確定すると、原因や症状の重症度に応じた治療が開始されます。

神経性間欠性跛行の治療:保存療法から手術まで

腰部脊柱管狭窄症が原因の場合、まずは薬物療法やリハビリテーションといった「保存療法」が基本です(参考:日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 1)。

  • 薬物療法:血流を改善する薬(プロスタグランジンE1製剤)や、神経の痛みを和らげる薬(非ステロイド性抗炎症薬、神経障害性疼痛治療薬など)が用いられます。
  • リハビリテーション:理学療法士の指導のもと、腹筋や背筋を鍛えることで腰への負担を減らしたり、ストレッチで柔軟性を高めたりします。
  • 神経ブロック注射:痛みが強い場合、局所麻酔薬などを神経の周囲に注射して、痛みの伝達をブロックする方法です。

これらの保存療法で改善が見られない場合や、麻痺の進行など重度の症状がある場合には、神経の圧迫を取り除くための手術が検討されます。

血管性間欠性跛行の治療:薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術

閉塞性動脈硬化症が原因の場合も、まずは生活習慣の改善(特に禁煙)を基本とした上で、薬物療法や運動療法が行われます(参考:日本循環器学会・日本血管外科学会 末梢動脈疾患ガイドライン 2)。

  • 薬物療法:血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)や、血管を広げる薬が中心となります。
  • 運動療法:医師の管理のもと、痛みが出る手前までのウォーキングを繰り返すことで、足への血流を促す側副血行路(う回路)の発達を促します。
  • カテーテル治療:足の付け根などから細い管(カテーテル)を血管内に挿入し、狭くなった部分を風船(バルーン)で広げたり、金属の筒(ステント)を留置したりして血流を再開させる治療です。体への負担が比較的少ないのが特徴です。
  • バイパス手術:狭くなった血管を迂回する新しい血液の通り道(バイパス)を、自身の血管や人工血管を使って作る手術です。

リハビリテーションと日常生活での症状緩和の工夫

どちらの原因であっても、治療と並行してリハビリテーションや日常生活の工夫を行うことが、症状の改善と再発防止につながります。専門家の指導を受けながら、自分に合った方法を見つけることが大切です。

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では間欠性跛行でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

  • 最新の治療をいち早く受けられることがある
  • 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
  • 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

治験ジャパンに登録する

症状緩和と予防のために:日常生活でできること

間欠性跛行の症状を和らげ、悪化を防ぐためには、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。

無理のない運動習慣と正しい姿勢の意識

適度な運動は、どちらのタイプの症状緩和にも役立ちます。特に血管性が原因の場合は、ウォーキングが推奨されます。無理のない範囲で、少し痛みを感じる手前まで歩き、休んでからまた歩く、というサイクルを繰り返しましょう。

神経性の場合は、腰に負担のかからない運動が基本です。水中ウォーキングやエアロバイクなどは、腰を反らさずに行えるため適しています。日常生活では、重いものを持つ際に腰を落とす、長時間同じ姿勢を続けないなど、正しい姿勢を意識することが大切です。

食生活の見直しと禁煙が足の健康を守る

特に閉塞性動脈硬化症の予防・改善には、食生活の見直しと禁煙が不可欠です。塩分や脂肪分の多い食事を控え、バランスの取れた食事を心がけることで、動脈硬化の進行を抑えることにつながります。

禁煙は治療の第一歩

喫煙は血管を収縮させ、血液の流れを著しく悪化させる最大の危険因子です。禁煙は、治療の第一歩とも言えます(参考:日本循環器学会・日本血管外科学会 末梢動脈疾患ガイドライン 2)。

足の冷え対策と適切な靴選び

足が冷えると血管が収縮し、血行が悪くなりがちです。靴下の重ね履きや足浴などで、足を温めるように心がけましょう。

また、足に合わない靴は歩行時の負担を増やし、症状を悪化させる原因になります。クッション性が高く、足にフィットする靴を選ぶことも、快適な歩行をサポートする上で重要です。

まとめ

「歩くと足が痛み、休むと楽になる」という間欠性跛行の症状は、その原因によって受診すべき診療科が異なります。

  • 前かがみで楽になるなど、姿勢で症状が変わる場合は「神経性」の可能性があり「整形外科」が専門です。
  • 姿勢は関係なく、足の冷たさなどを伴う場合は「血管性」の可能性があり「循環器内科」や「心臓血管外科」が専門となります。

この記事で紹介した見分け方のポイントを参考に、ご自身の症状をよく観察してみてください。そして、どちらか判断に迷う場合や不安が強い場合は、まずかかりつけ医に相談することから始めましょう。

間欠性跛行は、その裏に隠れた病気からの重要なサインです。早期に専門医の診断を受け、適切な治療を開始することが、症状を改善し、ご自身の生活の質(QOL)を維持するために何よりも大切です。足の痛みやしびれを放置せず、勇気を出して医療機関の扉をたたいてみてください。

FAQ

Q1: 間欠性跛行は完全に治る病気ですか?

間欠性跛行は症状名であり、原因となる病気(腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症など)を治療することで、症状の大幅な改善が期待できます。治療によって、以前のように痛みなく歩けるようになる方も多くいます。ただし、原因疾患は加齢や生活習慣と関連が深いため、「完治」というよりは、治療や生活習慣の改善を通じて症状をコントロールし、うまく付き合っていくという側面が強いです。

Q2: 自分でできるセルフチェック方法はありますか?

あくまで目安ですが、いくつかのポイントでセルフチェックが可能です。

  1. 前かがみになると症状が楽になりますか?(Yesなら神経性の可能性)
  2. 自転車なら長時間乗れますか?(Yesなら神経性の可能性)
  3. 足が冷たく感じたり、色が悪いことはありますか?(Yesなら血管性の可能性)
  4. 足の甲の脈(足背動脈)に左右差があったり、弱く感じたりしますか?(Yesなら血管性の可能性)

ただし、これらは簡易的なチェックに過ぎません。正確な診断のためには、必ず専門医の診察を受けてください。

Q3: 間欠性跛行の治療に健康保険は適用されますか?

はい、間欠性跛行の原因となる病気の診察、検査、治療は、基本的にすべて健康保険の適用対象となります。薬物療法、リハビリテーション、カテーテル治療、手術など、標準的な治療法は保険診療の範囲内で行われます。一部の先進医療などが関わる場合は例外となることもありますが、通常は保険適用で治療が受けられます。

Q4: どこの病院に行けばいいか迷った場合、どうすれば良いですか?

症状から神経性か血管性か判断がつかず、受診先に迷う場合は、まずはお近くのかかりつけ医(内科など)に相談することをお勧めします。総合的な視点で診察し、より専門的な検査や治療が必要と判断されれば、適切な専門医(整形外科や循環器内科など)を紹介してくれます。また、複数の診療科がある総合病院の「総合内科」や「総合診療科」を受診するのも良い選択肢です。