「このひどい生理痛、もしかして子宮内膜症かもしれない…」「検査を受けたいけれど、どんなことをするのだろう?痛いのかな?」
月経のたびに訪れるつらい痛みや、日常生活に支障をきたすほどの不調。子宮内膜症の可能性を考えると、大きな不安を感じる方は少なくありません。病気について知るためには検査が必要ですが、婦人科での検査内容や痛み、費用に関する情報が少なく、受診をためらってしまうこともあるでしょう。
しかし、子宮内膜症は早期発見と適切な治療が非常に重要です。
この記事では、子宮内膜症の検査に関して、多くの方が抱える疑問や不安を解消するために、以下の点を詳しく解説します。
正しい知識を持つことで、検査に対する漠然とした不安は和らぎます。この記事が、あなたが安心して検査に臨み、ご自身の健康と向き合うための一助となれば幸いです。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
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子宮内膜症とは?検査が必要な理由と症状
子宮内膜症の基本的な知識
子宮内膜症とは
本来であれば子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜、あるいはそれに似た組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜、腸など)で発生し、増殖してしまう病気です。この組織も子宮内膜と同じように女性ホルモンの影響を受けて増殖し、月経のときには出血を起こします。
しかし、子宮内ではないため、その血液を体外に排出できません。結果として、溜まった血液が周辺組織と癒着を起こしたり、炎症を引き起こしたりして、さまざまな痛みの原因となります。特に20代から40代の女性に多く見られる疾患です。(参考:日本産科婦人科学会 1、こども家庭庁 2)
なぜ早期発見・早期検査が重要なのか?
子宮内膜症の検査を早期に受けることには、重要な意味があります。放置することで、生活の質や将来のライフプランに大きな影響を及ぼす可能性があるからです。
進行による症状悪化とQOL低下
病気が進行すると、月経時の痛みが激しくなるだけでなく、月経期間以外にも下腹部痛や腰痛、排便痛、性交痛などが現れるようになります。これらの慢性的な痛みが学業や仕事、日常生活に支障をきたし、QOL(生活の質)を著しく低下させる原因となります。
不妊リスクへの影響
子宮内膜症は、不妊症の大きな原因の一つとされています。特に卵巣に発生した子宮内膜症は「チョコレート嚢胞(のうほう)」と呼ばれ、卵巣機能の低下や、卵管の癒着による卵子のピックアップ障害などを引き起こす可能性があります。
将来の妊娠を望む方は早めの把握を
将来的に妊娠を望む場合、早期に状態を把握し、適切な管理や治療を開始することが非常に重要です。(参考:日本産科婦人科学会 1)
こんな症状があったら要注意|受診を検討する目安
以下のような症状に心当たりがある場合、一度婦人科で相談することを検討してみてください。
これらの症状は、子宮内膜症以外の病気の可能性も考えられます。自己判断せず、専門医に相談することが大切です。
子宮内膜症の主な検査方法【6つの種類と内容】
子宮内膜症の診断は、一つの検査だけで確定するのではなく、いくつかの検査結果を総合的に判断して行われます。ここでは、一般的に行われる主な検査方法を解説します。
1. 問診|症状や月経の状態を詳しく聞く
診察の第一歩は、問診から始まります。医師があなたの症状について詳しくヒアリングし、子宮内膜症の可能性を探ります。これは診断の重要な手がかりとなるため、できるだけ正確に伝えることが大切です。
聞かれる内容の例
事前に準備しておくと良いこと
受診前に、自身の月経周期や症状の変化をメモしておくと、スムーズに説明できます。基礎体温をつけている場合は持参すると役立ちます。伝えたいことや質問したいことをリストアップしておくのも良い方法です。
2. 内診|子宮や卵巣の状態を直接確認
内診は、医師が腟内に指を入れ、もう一方の手でお腹の上から子宮や卵巣を挟むようにして触診する検査です。子宮の大きさや位置、動き、卵巣の腫れ、押したときの痛みの有無(圧痛)などを直接確認します。
内診でわかること
内診によって、子宮や卵巣の癒着の程度や、子宮の後ろ側(ダグラス窩)にしこりがないかなどを調べられます。特に、子宮が後方に傾いて固定されている「子宮後屈固定」という状態は、子宮内膜症による癒着を疑う所見の一つです。
内診の痛みや不快感について
内診に対して、痛みや抵抗を感じる方は少なくありません。緊張して体に力が入ると、痛みを強く感じやすくなります。できるだけリラックスして、深呼吸を心がけることが大切です。痛みを感じる場合は、我慢せずにすぐに医師や看護師に伝えましょう。
内診が苦手な場合の相談方法
性交渉の経験がない場合や、どうしても内診に抵抗がある場合は、事前にその旨を伝えてください。医師は状況を考慮し、他の検査方法を優先したり、より慎重に診察を行ったりするなどの配慮をしてくれます。
3. 超音波検査(エコー)|身体への負担が少ない画像診断
超音波検査は、超音波を使って子宮や卵巣の状態を画像として映し出す検査です。身体への負担が少なく、リアルタイムで内部の様子を確認できます。
経腟エコーと経腹エコーの違い
超音波検査でわかること、わからないこと
超音波検査は、卵巣にできるチョコレート嚢胞の診断に非常に有効です。嚢胞の大きさや特徴的な内部の様子から、高い精度で診断できます。
一方、お腹の中に点状に散らばる「腹膜病変」のような小さな病変は、超音波検査では見つけることが困難です。(参考:産婦人科診療ガイドライン 3)
「エコーで分からない」と言われたらどうする?
超音波検査で異常が見つからなくても、症状が強い場合は子宮内膜症が隠れている可能性があります。医師が「エコーでははっきりしないが、症状からは内膜症が疑われる」と判断した場合は、MRI検査など、より精密な検査に進むことを提案されることがあります。
4. 血液検査|貧血や腫瘍マーカーのチェック
血液検査は、他の検査と組み合わせて補助的に用いられます。全身の状態を把握したり、他の病気との鑑別を行ったりする目的があります。
血液検査でわかること(CA125など)
子宮内膜症の補助診断として、「CA125」という腫瘍マーカーを測定することがあります。この数値は子宮内膜症や一部の卵巣がんで上昇する傾向がありますが、正常な月経周期や他の良性疾患でも高くなることがあるため、この数値だけで診断を確定することはできません。あくまで参考値として扱われます。また、過多月経による貧血の有無もチェックします。(参考:日本産科婦人科学会 1)
血液検査の限界と他の検査との組み合わせ
CA125だけでは判断できない
CA125の数値は、子宮内膜症があっても正常範囲内であることも少なくありません。そのため、血液検査の結果だけで「子宮内膜症ではない」と判断することはできず、必ず内診や画像検査の結果と合わせて総合的に評価されます。
5. MRI検査|より詳細な画像で病変の位置や広がりを特定
MRI検査は、強力な磁気と電波を使って体の断面を鮮明に映し出す画像検査です。超音波検査よりも詳細な情報を得られます。
MRI検査の目的とメリット
MRI検査の最大のメリットは、病変の位置、大きさ、深さ、そして周辺の臓器との癒着の程度などをより正確に評価できる点です。特に、超音波では見つけにくいダグラス窩や腸管、膀胱などにできた深い病変(深部子宮内膜症)の診断に有用です。(参考:産婦人科診療ガイドライン 3)
どのような場合にMRIが必要となるのか
超音波検査で大きなチョコレート嚢胞が見つかった場合や、手術を検討する際に、病変の広がりを正確に把握するために行われることが多いです。また、他の病気(子宮筋腫や卵巣がんなど)との鑑別が必要な場合にも実施されます。
6. 腹腔鏡検査|子宮内膜症の確定診断と治療を兼ねることも
腹腔鏡検査は、お腹に小さな穴を数カ所開け、そこから腹腔鏡というカメラを挿入して、お腹の中を直接観察する検査です。全身麻酔下で行われる手術にあたります。
この検査は、子宮内膜症の確定診断を行うための最も確実な方法です。直接病変を見ることで、色や形、広がり具合を正確に把握できます。同時に、癒着を剥がしたり、病変を切除したりといった治療を行うことも可能です。(参考:産婦人科診療ガイドライン 3)
侵襲性が高い検査
侵襲性が高いため、他の検査で診断が困難な場合や、症状が重く手術が必要と判断された場合に行われます。
気になる検査の痛みと費用|安心して受診するために
婦人科の受診をためらう理由として、検査の痛みや費用への不安が挙げられます。事前に知っておくことで、少しでも安心して臨めるようになります。
各検査の痛みの程度と対策
内診や経腟エコーの痛みは?
痛みには個人差がありますが、リラックスできているかどうかで感じ方が大きく変わります。緊張で体に力が入ると、器具の挿入時に痛みを感じやすくなります。特に炎症や癒着が強い場合は、圧迫されることで痛みを感じることもあります。もし痛みがあれば、決して我慢せずにその場で医師に伝えてください。
検査時の痛みを軽減する方法や心構え
医師や看護師は、患者さんがリラックスできるよう配慮してくれます。不安な気持ちを正直に伝えることが大切です。
子宮内膜症の検査にかかる費用目安
子宮内膜症が疑われる場合の検査は、基本的に健康保険が適用されます。費用は検査内容や医療機関によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
保険適用される検査と自己負担額
初診料に加えて、問診、内診、超音波検査まで行った場合、3割負担で4,000円から8,000円程度が目安となります。血液検査やMRI検査を追加で行う場合は、さらに費用がかかります。MRI検査は比較的高額で、3割負担で10,000円前後かかることもあります。
費用はあくまで目安です
費用は、クリニックか総合病院かといった施設の規模や、実施する検査項目の数によって変動します。あくまで目安として考え、心配な場合は事前に医療機関に問い合わせてみるのも一つの方法です。
検査を受けるタイミングや頻度について
月経に関連する症状で受診する場合、最適なタイミングは月経直後から排卵前までの期間です。この時期は子宮内膜が薄く、子宮や卵巣の状態を観察しやすいためです。ただし、痛みがひどい場合は我慢せず、月経中でもためらわずに受診してください。
一度診断がついた後の検査頻度は、病状や治療方針によって異なります。医師の指示に従い、定期的に検診を受けることが重要です。
自宅でできる子宮内膜症のセルフチェック|受診のきっかけに
病院に行くべきか迷っている方のために、自宅でできる簡単なセルフチェック項目を紹介します。これはあくまで受診のきっかけとするためのもので、診断ではありません。
セルフチェック項目で症状を確認
以下の項目に、あなたはいくつ当てはまりますか?
あなたの生理痛は我慢できる範囲ですか?
生理時以外の痛みや不調はありませんか?
セルフチェックの限界と役割|診断ではないことの理解
このセルフチェックは、医学的な診断に代わるものではありません。当てはまる項目が多いからといって必ずしも子宮内膜症であるとは限りませんし、逆に当てはまらなくても病気が隠れている可能性はあります。
このチェックの最も重要な役割は、ご自身の体の状態に関心を持ち、「もしかしたら婦人科に相談した方が良いかもしれない」と考えるきっかけを作ることです。
セルフチェックで当てはまったらどうすべきか
当てはまったら婦人科へ
もし一つでも強く当てはまる項目があったり、複数の項目に心当たりがあったりする場合は、一人で悩まずに婦人科を受診することをおすすめします。専門家である医師に相談することで、的確なアドバイスや必要な検査を受けることができます。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では子宮内膜症でお困りの方に向け治験が行われています。治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
検査から診断、そして治療へ|受診後の流れ
実際に婦人科を受診してから、診断、治療へと進む一般的な流れを理解しておくと、より安心して臨めるでしょう。
婦人科での相談から診断までの一般的なステップ
- 受付・問診票の記入:現在の症状や月経の状態などを記入します。
- 医師による問診:問診票をもとに、さらに詳しく症状などをヒアリングします。
- 内診・超音波検査:子宮や卵巣の状態を直接的、視覚的に確認します。
- 必要に応じた追加検査:血液検査やMRI検査など、より詳しい検査を行います。
- 検査結果の説明と診断:すべての検査結果を総合的に評価し、医師が診断を伝えます。
診断後の選択肢|治療方法の概要
子宮内膜症と診断された場合、治療方針は年齢、症状の程度、妊娠希望の有無などを考慮して決定されます。治療法には、痛みを和らげる対症療法、ホルモン剤で病気の進行を抑える薬物療法、そして病変を取り除く手術療法などがあります。医師とよく相談し、ご自身に合った治療法を選択することが大切です。(参考:日本産科婦人科学会 1)
信頼できる医療機関を選ぶポイント
子宮内膜症は、長く付き合っていく可能性のある病気です。そのため、信頼できるかかりつけ医を見つけることが非常に重要になります。
このような点を参考に、ご自身が納得して治療を受けられる医療機関を選びましょう。
よくある疑問を解消|子宮内膜症の検査Q&A
最後に、子宮内膜症の検査に関してよく寄せられる質問にお答えします。
まとめ
子宮内膜症の検査には、問診から始まり、内診、超音波検査、血液検査、MRI検査、そして腹腔鏡検査まで、さまざまな種類があります。どの検査を行うかは、あなたの症状や状態によって異なります。
多くの方が不安に感じる検査時の痛みや費用についても、事前に正しい知識を持つことで、その不安は大きく軽減できるはずです。また、セルフチェックはあくまで受診のきっかけであり、自己判断は禁物です。
つらい症状は体からのサイン
月経に伴うつらい症状は、決して「当たり前」のことではありません。もし少しでも気になる症状があれば、それは体からの大切なサインかもしれません。どうかためらわずに、婦人科の専門医に相談してください。早期に検査を受け、適切な対応を始めることが、あなたの未来の健康と生活の質を守るための最も重要な一歩となるのです。
