「最近、月経痛がひどくて薬が手放せない」「痛みがだんだん強くなっている気がする」といった悩みを抱えていませんか。もしかしたら、その症状は子宮内膜症のサインかもしれません。

子宮内膜症は、決して珍しい病気ではなく、月経のある女性のおよそ10人に1人が罹患するともいわれています。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

この記事では、「子宮内膜症になりやすい人」の具体的な特徴や傾向、そして病気の原因や症状、見過ごしたくないサインについて詳しく解説します。

ご自身の状態を客観的に見つめ直し、適切な行動をとるためのヒントを提供しますので、ぜひ最後までご覧ください。早期発見と適切な治療が、つらい症状を和らげ、健やかな毎日を取り戻すための第一歩です。

※この記事は疾患啓発を目的としています。

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子宮内膜症とは?基礎知識から症状まで

子宮内膜症の基本的な定義とメカニズムを知る

子宮内膜症は、本来であれば子宮の内側にあるはずの子宮内膜、あるいはそれに似た組織が、何らかの原因で子宮以外の場所(例えば、卵巣、腹膜、腸など)で発生し、増殖してしまう病気です。

子宮内にある正常な子宮内膜は、女性ホルモンの影響を受けて周期的に増殖と剥離を繰り返し、月経として体の外へ排出されます。

子宮内膜症が痛みを起こすしくみ

ところが、子宮以外の場所にできた組織も同じように女性ホルモンの影響で増殖し、出血を起こします。しかし、その血液は体外へ排出される出口がないため、体内に溜まって炎症や周囲の組織との癒着を引き起こし、さまざまな痛みの原因となります。(参考:こども家庭庁 2)

子宮内膜症の主な症状と見過ごされがちなサイン

子宮内膜症の症状は多岐にわたりますが、最も代表的なものは月経時の強い痛みです。見過ごされがちなサインも多いため、注意が必要です。

  • 強い月経痛(生理痛):日常生活に支障をきたすほどの痛み。鎮痛剤が効きにくかったり、年々痛みが強くなったりする傾向があります。
  • 月経時以外の痛み:月経期間以外にも、下腹部痛や腰痛が続くことがあります。
  • 排便痛や性交痛:病巣が直腸やダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)にできると、排便時や性交時に奥の方が痛むことがあります。
  • 不妊:子宮内膜症は、卵管の癒着や卵巣機能の低下などを引き起こし、不妊の原因になることが知られています。
  • その他の全身症状:原因不明の疲労感や倦怠感、吐き気、頭痛などを伴うケースも少なくありません。

これらの症状は一つだけ現れるとは限らず、複数が重なって現れることもあります。(参考:こども家庭庁 2)

こんな人は子宮内膜症になりやすい?具体的な特徴と傾向

どのような人が子宮内膜症になりやすいのでしょうか。いくつかの特徴や傾向が指摘されています。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

強い月経痛に悩む若い世代の女性

10代や20代の頃から強い月経痛が続いている場合、子宮内膜症が隠れている可能性があります。市販の鎮痛剤を飲んでも痛みが十分に和らがない、あるいは以前より薬の量を増やさないと効かなくなってきたという状態は注意すべきサインです。

月経のたびに学校や仕事を休まざるを得ないほどの痛みは、決して「当たり前」ではありません。

ライフスタイルと子宮内膜症の関連性

近年のライフスタイルの変化も、子宮内膜症の増加に関係していると考えられています。具体的には、初経年齢の早期化や、初産年齢の高齢化、生涯における出産回数の減少などです。

これらは、生涯で経験する月経の回数が増えることを意味します。月経回数が多いほど、子宮内膜症の発症リスクが高まるという関連性が指摘されているのです。

また、月経周期が短い人や、月経の出血期間が長い人もリスクが高い傾向にあるとされています。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

遺伝的要因や体質との関係性はあるのか

子宮内膜症の発症には、遺伝的な要因も関与していると考えられています。母親や姉妹など、血縁者に子宮内膜症の人がいる場合、そうでない人に比べて発症しやすくなるとの報告があります。

加えて、体内の免疫システムの異常が関係する可能性も指摘されています。本来であれば異物として排除されるはずの子宮内膜組織が、免疫システムの働きが不十分なために腹腔内などで生き残り、増殖してしまうのではないかという説です。

年代別に見る子宮内膜症の発症リスク

子宮内膜症は、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて進行する病気です。そのため、エストロゲンの分泌が活発な20代から40代の女性に最も多く発症します。

特に30代から40代にかけて診断されることが多いですが、最近では10代後半で発症するケースも増えており、若いから大丈夫とは言えません。(参考:こども家庭庁 2)

子宮内膜症の原因はどこにある?最新の知見と誤解の解消

なぜ子宮内膜症が起こるのか、その明確な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの有力な説が存在します。

最も有力視される「月経逆流説」とは

現在、最も有力とされているのが「月経逆流説」です。これは、月経の際、剥がれ落ちた子宮内膜を含む血液の一部が、卵管を通ってお腹の中(腹腔内)に逆流する現象が原因であるとする説です。

月経血の逆流自体は、多くの女性に起こっている自然な現象と考えられています。ただ、ほとんどの場合は腹腔内で免疫細胞によって処理されます。

ところが、何らかの理由で処理されなかった子宮内膜細胞が腹膜や臓器の表面に生着し、そこで増殖を始めてしまうことで子宮内膜症が発症すると考えられています。(参考:こども家庭庁 2)

エストロゲン(女性ホルモン)が病状に与える影響

女性ホルモンであるエストロゲンは、子宮内膜症の病巣を増殖させ、症状を悪化させる重要な役割を担っています。子宮内にある内膜組織と同様に、子宮外にできた病巣もエストロゲンの刺激を受けて大きくなります。

このため、エストロゲンの分泌が活発な性成熟期に症状が進行し、分泌が減少する閉経後には症状が軽快したり、病巣が小さくなったりする傾向があります。治療法としてホルモン療法が用いられるのは、このエストロゲンの働きを抑えるためです。(参考:こども家庭庁 2)

免疫機能や遺伝、環境因子も関わる複合的な原因

月経逆流説だけでは、すべての女性が子宮内膜症になるわけではない理由を説明できません。そのため、前述した遺伝的素因や免疫システムの異常に加え、生活習慣や何らかの環境因子などが複雑に絡み合って発症に至ると考えられています。

単一の原因ではなく、複数の要因が重なることで発症リスクが高まるのです。

「性行為のやりすぎ」は関係ない!よくある誤解を解く

よくある誤解を解く

子宮内膜症に関して、「性行為の回数が多いと発症する」といった誤った情報が見られますが、これは医学的な根拠のない完全な誤解です。性行為の頻度や経験の有無と、子宮内膜症の発症には一切の因果関係はありません。こうした誤った情報に惑わされ、不要な不安や罪悪感を抱える必要は全くありません。正しい知識を持つことが大切です。

子宮内膜症かも?と思った時に取るべき行動と早期発見のポイント

もし、ご自身の症状が子宮内膜症に当てはまるかもしれないと感じたら、どのように行動すればよいのでしょうか。

月経痛は「我慢しない」ことが大切

月経痛は我慢しないことが大切

何よりもまずお伝えしたいのは、「月経痛は我慢するものではない」ということです。日常生活や仕事に影響が出るほどの痛みは、体が発している重要なサインかもしれません。鎮痛剤で一時的に痛みを抑えることはできても、根本的な原因の解決にはなりません。放置することで症状が進行し、将来の不妊につながる可能性もあります。つらい症状は我慢せず、専門家に相談することが重要です。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

いつ、どこを受診すれば良い?婦人科受診の目安

以下のような症状があれば、婦人科の受診を検討してください。

  • 月経痛が年々ひどくなっている
  • 市販の鎮痛剤が効かない、または飲む量が増えた
  • 月経時以外にも下腹部痛や腰痛がある
  • 性交時や排便時に痛みを感じる
  • 妊娠を希望しているが、なかなか授からない

婦人科の初診では、問診で症状について詳しく聞かれます。「いつから」「どのような時に」「どのくらい痛むか」などをメモしておくと、スムーズに伝えられます。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

子宮内膜症の検査方法と診断の流れ

婦人科では、まず問診で詳しい症状を聞き、その後、内診や経腟超音波(エコー)検査を行います。これらの検査で子宮や卵巣の状態を確認し、子宮内膜症が疑われる所見がないかを調べます。

補助的な診断として、血液検査でCA125などの腫瘍マーカーを測定することもあります。症状や検査結果から子宮内膜症が強く疑われる場合に診断が下されますが、最終的な確定診断には腹腔鏡検査などが必要となることもあります。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

治験を試すのも一つの方法

病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では子宮内膜症でお困りの方に向け治験が行われています。

治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。

  • 最新の治療をいち早く受けられることがある
  • 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
  • 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる

ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。

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子宮内膜症の治療法と日常生活での管理

子宮内膜症の治療は、症状の程度、病巣の広がり、年齢、そして妊娠を希望するかどうかなどを総合的に考慮して方針が決定されます。

薬物療法で症状の緩和を目指す

治療の基本は、痛みをコントロールし、病気の進行を抑える薬物療法です。痛みが主な症状の場合は、まず鎮痛剤が用いられます。

さらに根本的な治療として、病巣の増殖を抑えるためのホルモン療法が行われることも多いです。低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤、いわゆる低用量ピル)や、黄体ホルモン製剤、GnRHアゴニストといった種類の薬があり、月経を止めたり、軽くしたりすることで痛みを和らげ、病気の進行を抑制します。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

手術による治療の選択肢

薬物療法で効果が得られない場合や、卵巣にできたチョコレート嚢胞が大きい場合、あるいは癒着がひどい場合には手術が検討されます。

手術には、病巣のみを切除して子宮や卵巣を温存する「保存手術」と、子宮や卵巣を摘出する「根治手術」があります。どちらを選択するかは、年齢や妊娠の希望によって慎重に判断されます。(参考:日本産婦人科医会 3)

妊娠を希望する場合の治療と生殖補助医療

子宮内膜症が不妊の原因となっている場合、治療方針はより複雑になります。手術で病巣や癒着を取り除くことで妊娠しやすくなるケースもあります。

一方で、手術をせずに体外受精などの生殖補助医療(ART)を優先する場合もあります。妊娠を希望する際は、不妊治療にも精通した専門医と十分に相談しながら治療計画を立てることが不可欠です。(参考:日本産婦人科医会 3)

日常生活でできる症状管理とセルフケア

セルフケアはあくまで補助

医療機関での治療と並行して、日常生活で症状を和らげるための工夫も大切です。体を冷やさないように服装や食事に気をつけ、血行を改善するためにウォーキングなどの適度な運動を取り入れると良いでしょう。バランスの取れた食事を心がけ、心身のストレスを上手に管理することも、痛みの緩和につながります。ただし、これらはあくまで補助的な対処であり、医療機関での治療に代わるものではありません。

子宮内膜症に関するよくある疑問(FAQ)

子宮内膜症は自然に治ることはある?
子宮内膜症は女性ホルモンの影響を受けるため、閉経を迎えると症状が軽快したり、病巣が縮小したりしますが、自然に完治することは極めてまれです。基本的には、閉経まで長く付き合っていく必要のある病気と考えられています。(参考:こども家庭庁 2)
子宮内膜症と診断されたら、がんになるリスクは上がる?
子宮内膜症自体は良性の病気です。しかし、卵巣にできるチョコレート嚢胞の一部が、ごくまれにがん化することが報告されています(卵巣明細胞腺がん、類内膜腺がんなど)。リスクは非常に低いものですが、定期的な検診で経過を観察していくことが重要です。(参考:国立がん研究センター 4)
妊娠すると子宮内膜症は良くなるって本当?
妊娠中は月経が止まり、体内のホルモン環境が変化するため、子宮内膜症の病巣は活動を休止し、症状は一時的に改善します。出産後、授乳期間中も同様の傾向が見られます。ただし、これは病気が治ったわけではなく、月経が再開すると再び症状が現れる可能性があります。
子宮内膜症の予防策はありますか?
現時点で、子宮内膜症を確実に予防する方法は確立されていません。しかし、リスク因子を避けるという意味では、適度な運動や健康的な食生活を心がけることが推奨されます。また、低用量ピルの服用は月経回数をコントロールするため、発症リスクを低減させる可能性があると考えられています。(参考:産婦人科診療ガイドライン 1)

まとめ

この記事では、「子宮内膜症になりやすい人」の具体的な特徴から、病気の原因、症状、そして対処法までを解説しました。強い月経痛、初経が早かったこと、家族歴など、思い当たる点があった方もいるかもしれません。

いちばん大切なこと

最も重要なメッセージは、つらい月経痛を「体質だから」と諦めたり、我慢したりしないことです。それは、あなたの体からの大切なサインです。少しでも不安を感じたら、一人で悩まずに婦人科を受診し、専門家のアドバイスを求めてください。

早期に適切な診断と治療を受けることが、痛みを和らげ、将来の健康を守り、快適な日常生活を取り戻すための最善の道です。この記事が、あなたの前向きな一歩を後押しできれば幸いです。