顔の赤みやフケのようなカサカサ、しつこいかゆみが気になり、「もしかして脂漏性皮膚炎かも?」と悩んでいませんか。
毎日のスキンケアを頑張ってもなかなか治らず、不安を感じている方も多いでしょう。
この記事では、顔にできる脂漏性皮膚炎の症状や原因、適切な治療法から、自宅で今日から始められる具体的な対策までを網羅的に解説します。
脂漏性皮膚炎は慢性化しやすい皮膚トラブルですが、正しい知識を持ち、適切なケアを継続することで改善へと導くことが可能です。
治らないのではという不安を解消し、健やかな肌を取り戻すための第一歩として、ぜひ本記事をお役立てください。
※この記事は疾患啓発を目的としています。
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脂漏性皮膚炎とは?顔にできやすい理由と特徴
脂漏性皮膚炎の基本的な定義と症状
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、皮脂の分泌が盛んな部位を中心に起こる湿疹の一種です。
皮膚が赤くなったり、フケのような細かい皮がポロポロと剥がれ落ちたりするのが特徴で、かゆみを伴うこともあります。
良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい慢性的な皮膚疾患として知られています。
なぜ顔に脂漏性皮膚炎ができやすいのか(皮脂腺の分布とマラセチア菌)
人間の体には皮脂を分泌する皮脂腺が分布していますが、特に頭皮や顔(Tゾーンなど)は皮脂腺が多く集まる脂漏部位と呼ばれます。
私たちの皮膚にはマラセチアというカビ(真菌)の一種が常在していますが、この菌は皮脂をエサにして増殖する性質を持っています。
顔は皮脂の分泌量が多いため、マラセチア菌が異常に繁殖しやすく、その結果として炎症が引き起こされ、脂漏性皮膚炎を発症しやすくなるのです。
顔の脂漏性皮膚炎に特有の症状と他部位との違い
脂漏性皮膚炎は頭皮にもよく見られますが、顔に発症した場合は人目につきやすいため、精神的なストレスを感じやすいという特徴があります。
頭皮ではフケや地肌の赤みが主な症状ですが、顔の場合は眉間や小鼻の脇など、皮脂がたまりやすい局所的な部位に赤みやカサつきが目立ちます。
ケアの方法を間違えると症状が悪化
また、洗顔やメイクなどの日常的な刺激を受けやすいため、ケアの方法を間違えると症状が悪化しやすい点にも注意が必要です。
顔の脂漏性皮膚炎でよく見られる症状
部位別の症状:おでこ、眉間、鼻の周り、口の周り、耳の裏・中
顔の中で脂漏性皮膚炎ができやすいのは、皮脂の分泌が多いTゾーンを中心とした部位です。
赤み、フケ(鱗屑)、かゆみ、乾燥、ベタつきなどの具体的な症状
代表的な症状は、境界が比較的はっきりとした紅斑(赤み)と、その表面に付着する黄色から白色の鱗屑(フケのようなもの)です。
皮脂が過剰に出ているにもかかわらず、肌の表面はカサカサして乾燥しているように感じることもあります。
ベタつきと乾燥が混在し、軽度から中等度のかゆみを伴うことが多いです。
症状が悪化しやすい時期や状況
脂漏性皮膚炎の症状は、季節や環境によって変動します。
汗や皮脂の分泌が増える春から夏にかけて悪化しやすい人がいる一方で、空気が乾燥し肌のバリア機能が低下する秋から冬にかけて症状が強くなる人もいます。
また、睡眠不足や過度なストレスを感じている時、食生活が乱れている時など、体調の変化に連動して症状が悪化する傾向があります。
顔の脂漏性皮膚炎の主な原因
マラセチア菌の増殖とそのメカニズム
脂漏性皮膚炎の最大の発症要因と考えられているのが、皮膚の常在菌であるマラセチア菌の異常増殖です。
マラセチア菌は皮脂に含まれるトリグリセリドを分解し、遊離脂肪酸という物質を作り出します。
この遊離脂肪酸が皮膚に刺激を与え、炎症を引き起こすことで、赤みやフケといった症状が現れます(参考:日本皮膚科学会 2)。
皮脂の過剰分泌と肌バリア機能の低下
皮脂の過剰分泌はマラセチア菌の増殖を促すため、大きな原因となります。
しかし、単に皮脂が多いだけで発症するわけではありません。
皮膚の水分と油分のバランスが崩れ、肌のバリア機能が低下していると、遊離脂肪酸などの刺激に対して肌が敏感に反応しやすくなり、炎症が起こりやすくなります。
生活習慣の乱れ:食生活、睡眠不足、ストレス
日々の生活習慣も大きく関与しています。
脂っこい食事や甘いものの摂りすぎは、皮脂の分泌を過剰にします。
また、睡眠不足や精神的・肉体的なストレスは、ホルモンバランスや自律神経を乱し、皮脂の分泌異常や免疫力の低下を招くため、脂漏性皮膚炎の引き金となります。
間違ったスキンケア:洗いすぎ、保湿不足
良かれと思って行っているスキンケアが原因になることもあります。
ベタつきが気になるからと、洗浄力の強すぎる洗顔料でゴシゴシ洗うと、肌に必要な皮脂まで奪われ、バリア機能が破壊されます。
すると、肌は乾燥を防ごうとして余計に皮脂を分泌してしまいます。
また、洗顔後の保湿が不十分な場合も同様の悪循環に陥ります。
体質や遺伝的要因
もともと皮脂の分泌量が多い脂性肌(オイリー肌)の体質を持つ方は、脂漏性皮膚炎になりやすい傾向があります。
また、ビタミンB群の代謝異常など、遺伝的な要因が関わっているケースも指摘されています(参考:日本医真菌学会 3)。
【治し方】顔の脂漏性皮膚炎の治療法と自宅でできる対策
皮膚科での治療:塗り薬(ステロイド外用薬、抗真菌薬)、飲み薬
脂漏性皮膚炎の治療の基本は、皮膚科で処方される外用薬(塗り薬)です。
炎症を抑えるためにはステロイド外用薬が使用され、赤みやかゆみを速やかに鎮めます。
同時に、原因菌であるマラセチア菌の増殖を抑えるために、ケトコナゾールなどの抗真菌薬の塗り薬が処方されます(参考:日本皮膚科学会 1)。
症状が強い場合やかゆみがひどい場合には、抗アレルギー薬の飲み薬や、皮脂分泌をコントロールするビタミンB2・B6の内服薬が併用されることもあります(参考:国立健康・栄養研究所 4)(参考:国立健康・栄養研究所 5)。
ステロイドへの不安を解消する正しい知識と使い方
顔へのステロイド使用に不安を感じる方は少なくありません。
しかし、顔の脂漏性皮膚炎には、比較的効果の穏やかなランクのステロイドが短期間のみ処方されるのが一般的です。
自己判断で使用量や回数を減らしたり、途中でやめたりすると、かえって症状が長引く原因になります。
医師の指示通りに適切な量をしっかり塗り、炎症が治まったら抗真菌薬のみに切り替えるなど、段階的な治療を行うことが重要です。
【自宅でできる対策1】正しい洗顔と保湿ケア
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毎日のスキンケアを見直すことが改善への近道です。洗顔料は、低刺激で泡立ちの良いものを選びましょう。たっぷりの泡で顔を包み込むように優しく洗い、摩擦を与えないことが大切です。すすぎは、ぬるま湯(32度から34度程度)で洗顔料が残らないように丁寧に行います。
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洗顔後は、すぐに保湿ケアを行います。脂漏性皮膚炎の肌はバリア機能が低下しているため、セラミドなどの保湿成分が配合された化粧水や乳液で、水分と油分のバランスを整えましょう。油分の多すぎるクリームやオイルは、マラセチア菌のエサになりやすいため避けるのが無難です(参考:厚生労働省 6)。
【自宅でできる対策2】食生活の見直し
皮脂の分泌をコントロールするためには、内側からのケアも欠かせません。
脂肪分の多い肉類、揚げ物、スナック菓子、ケーキなどの甘いものは皮脂分泌を促すため、なるべく控えるようにしましょう。
また、香辛料などの刺激物やアルコールも、かゆみや赤みを悪化させることがあるため注意が必要です。
積極的に摂りたいのは、皮脂の代謝を助け、皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンB群です。
レバー、豚肉、納豆、卵、ほうれん草、カツオなどを日常の食事に取り入れましょう。
【自宅でできる対策3】生活習慣の改善
十分な睡眠は、肌のターンオーバーを正常に保つために不可欠です。
毎日決まった時間に就寝し、質の高い睡眠をとるよう心がけてください。
また、ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、症状悪化の要因となります。
軽い運動や趣味の時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
外出時は紫外線対策をしっかり行い、汗をかいたらこまめに優しく拭き取るなど、肌への刺激を減らす工夫も必要です。
【自宅でできる対策4】シャンプー・ヘアケア用品の選び方(頭皮からの影響)
顔の脂漏性皮膚炎は、頭皮の症状と併発することがよくあります。
洗髪時のシャンプーやトリートメントのすすぎ残しが顔の生え際や額に付着し、症状を悪化させることがあります。
抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩など)が配合された市販のシャンプーを使用することで、頭皮環境が改善し、結果的に顔の症状が落ち着くケースもあります。
洗髪時は下を向かず、シャンプー剤が顔にかかりにくい姿勢で洗うことも効果的です。
顔の脂漏性皮膚炎は「治らない」って本当?再発を防ぐには
慢性化しやすい理由と完治を目指すためのアプローチ
脂漏性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な疾患です。
そのため「一生治らないのでは」と思い悩む方もいますが、適切な治療とケアを継続すれば、症状が全く出ない状態(寛解)を長く維持することは十分に可能です。
慢性化しやすいのは、原因であるマラセチア菌が常在菌であり完全にゼロにすることはできないことや、生活習慣の乱れがすぐに肌に影響しやすいためです。
治療を中断しないことの重要性
症状が少し良くなったからといって、自己判断で薬の塗布をやめてしまうと、皮膚の奥に潜んでいた炎症が再燃し、すぐに再発してしまいます。
見た目の赤みやフケが消えても、医師から治療終了の指示が出るまでは、根気よく薬を塗り続けることが完治への一番の近道です。
症状が落ち着いた後の予防的なスキンケアと生活習慣
薬による治療で症状が落ち着いた後は、再発を防ぐための予防ケアが中心となります。
抗真菌成分配合の石鹸や洗顔料を日常のスキンケアに取り入れたり、ビタミンB群を意識したバランスの良い食事、十分な睡眠といった規則正しい生活習慣を維持することが、最も効果的な再発防止策です。
再発のサインと早期対応
「なんとなく顔がかゆい」「小鼻の脇が少し赤い」「カサカサしてきた」といったちょっとした変化は、再発の初期サインかもしれません。
悪化してからでは治療に時間がかかるため、これらのサインに気づいたら、スキンケアや生活習慣を見直すとともに、早めに皮膚科を受診して適切な処置を受けることが重要です。
乳児の顔の脂漏性湿疹と大人の脂漏性皮膚炎の違い
乳児脂漏性湿疹の症状と特徴
生後数週間から生後3ヶ月頃の赤ちゃんに多く見られるのが「乳児脂漏性湿疹」です。
眉毛やおでこ、頭皮などに、黄色いかさぶたやフケのようなものがこびりついたり、赤いブツブツができたりします。
見た目は痛々しいですが、赤ちゃん自身はかゆみをあまり感じていないことが多いのが特徴です。
大人の脂漏性皮膚炎がマラセチア菌や生活習慣などが複雑に絡み合って起こるのが原因です。
乳児の場合は、母親から受け継いだホルモンの影響で一時的に皮脂の分泌が過剰になることが主な原因です。
また、最近の研究では、出生時の皮膚の角層におけるセラミドやコレステロール量の低下、あるいは母乳(初乳)中に含まれる成分(TGF-βなど)の濃度の低さも、発症に関連している可能性が示唆されています(参考:国立成育医療研究センター 7)。
そのため、乳児脂漏性湿疹は成長とともにホルモンバランスや肌環境が整い、生後半年から1年頃には自然に治っていくことがほとんどです。
乳児脂漏性湿疹のホームケアと受診の目安
基本的には、毎日の入浴時にベビーソープをしっかり泡立てて優しく洗い、清潔を保つことで改善に向かいます。
かさぶたが厚くこびりついている場合は、入浴前にベビーオイルなどを塗ってふやかしてから洗うと取れやすくなります。
無理に剥がすのは肌を傷つけるため絶対にやめましょう。
ホームケアを続けても赤みが強い場合や、ジュクジュクと汁が出ている場合、赤ちゃんが痒がって機嫌が悪い場合は、小児科または皮膚科を受診してください。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。
日本では脂漏性皮膚炎でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
治験にご参加いただくメリットとして挙げられるのは、主に下記3点です。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
皮膚科を受診する目安と治療の流れ
どのような症状が出たら皮膚科に行くべきか
といった場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
脂漏性皮膚炎は自然治癒が難しく、放置すると症状が悪化し、色素沈着などの跡が残る可能性もあります。
受診時の準備と伝えるべき情報
皮膚科を受診する際は、正確な診断を受けるために、できればメイクをせずに素顔の状態で行くのが望ましいです。
医師には以下の情報を整理して伝えると、スムーズな診察につながります。
- 一般的な診断方法と治療のステップ: 問診と視診によって診断が行われます。
- 検査: 場合によっては、顕微鏡で皮膚の表面の組織を調べ、マラセチア菌の有無を確認することもあります。
- 治療のステップ: 診断が確定したら、まずはステロイド外用薬で炎症をしっかり抑え、その後、抗真菌薬に切り替えて原因菌の増殖を抑えるというステップで治療が進められるのが一般的です。
専門家と二人三脚で治療を進めることの重要性
顔の脂漏性皮膚炎の治療は、数週間から数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。
自己判断で治療法を変えたり中断したりせず、定期的に通院して医師に肌の状態を診てもらうことが大切です。
専門家のアドバイスを受けながら、自分の肌に合ったスキンケアや生活習慣の改善を並行して行うことで、着実に改善へと向かうことができます。
FAQ(よくある質問)
まとめ
顔の脂漏性皮膚炎は、皮脂の過剰分泌とマラセチア菌の増殖、そして生活習慣の乱れなどが重なって起こる皮膚トラブルです。
顔の赤みやフケ、かゆみといった症状は人目が気になり、精神的な負担も大きいですが、決して「治らない病気」ではありません。
皮膚科での適切な塗り薬による治療を基本としながら、毎日の正しい洗顔と保湿ケア、ビタミンB群を意識した食生活、十分な睡眠とストレス管理といった生活習慣の改善を並行して行うことが、改善と再発防止の鍵となります。
症状が長引いて不安な方や、自己流のケアで限界を感じている方は、一人で悩まずに皮膚科を受診しましょう。
専門家と協力し、正しい知識に基づいたケアを根気よく続けることで、健やかな肌を取り戻すことができます。
