悪性リンパ腫と診断されたとき、あるいは疑いがあると告げられたとき、多くの方が「なぜ自分が」「何が原因だったのか」と深く思い悩まれます。
日々の生活習慣が悪かったのか、ストレスのせいなのか、とご自身を責めてしまう方も少なくありません。
しかし、結論からお伝えすると、悪性リンパ腫の多くは明確な原因が特定できず、誰にでも発症する可能性がある病気です(参考:国立がん研究センター 1)。
この記事では、現段階で医学的に分かっている悪性リンパ腫の原因やリスク要因、よくある疑問について、信頼できる情報に基づいて分かりやすく解説します。
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悪性リンパ腫が発生する基本的なメカニズム
悪性リンパ腫は、血液のがんの一種です。私たちの体の中で免疫(細菌やウイルスから体を守る仕組み)を担当している白血球の一種、「リンパ球」ががん化することで発症します(参考:国立がん研究センター 1)。
なぜリンパ球ががん化してしまうのか、その基本的な仕組みを見ていきましょう。
白血球の一種「リンパ球」の遺伝子変異
私たちの体を構成する細胞には、設計図となる「遺伝子」が含まれています。細胞は分裂を繰り返して新しく生まれ変わっていますが、その過程で偶然、リンパ球の遺伝子に「傷(変異)」がついてしまうことがあります。
通常、遺伝子に傷がついた細胞は修復されるか、死滅するようにプログラムされています。
しかし、何らかの原因でこの機能が働かず、遺伝子に異常を持ったままのリンパ球が生き残り、無制限に増え続けてしまう状態が「悪性リンパ腫」です(参考:国立がん研究センター 1)。
免疫システムの異常と「がん細胞」の増殖
健康な人の体内でも、実は毎日多くのがん細胞(異常な細胞)が生まれています。しかし、通常は備わっている免疫システムがこれを見つけ出し、排除しているため、病気として発症することはありません。
悪性リンパ腫の場合、この免疫システムをすり抜けたり、あるいは免疫システム自体の異常によって、がん化したリンパ球の増殖を止められなくなっていると考えられています。
多くの場合は「原因不明」であり誰にでも起こりうる
ここで重要なのは、遺伝子の変異の多くは「偶然」起こるものであり、特定の原因をひとつに絞ることが難しいということです。
「あの時の食事が良くなかったのか」「仕事で無理をしすぎたからか」と原因を探そうとされるお気持ちは痛いほど分かりますが、多くの悪性リンパ腫は、誰のせいでもなく、誰にでも起こりうる病気なのです(参考:国立がん研究センター 1)。
発症リスクを高める可能性がある感染症・ウイルス
明確な単一の原因は不明なことが多いですが、一部の悪性リンパ腫については、特定のウイルスや細菌への感染が発症リスクを高めることが分かっています(参考:慶應義塾大学病院 2)。これらは「原因」というよりは、「きっかけ」や「関連因子」として考えられています。
EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)
EBウイルスは、日本人の成人の多くが既に感染しているありふれたウイルスです。健康なときは体の中でおとなしくしていますが、ごく一部のケースで、バーキットリンパ腫やNK/T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫などの発症に関わっていることが分かっています(参考:慶應義塾大学病院 2)。
ご注意ください
EBウイルスに感染している人が必ず悪性リンパ腫になるわけではなく、発症は非常に稀なケースです。
HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)
HTLV-1は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)の原因となるウイルスです。主に母乳を介した母子感染や性行為によって感染します(参考:日本血液学会 3)。
このウイルスを持っている人(キャリア)のうち、生涯でATLを発症するのは約5%程度と言われており、長い潜伏期間を経て発症することが特徴です。
ヘリコバクター・ピロリ菌(胃マルトリンパ腫との関連)
胃がんのリスク因子として有名なピロリ菌ですが、実は「胃MALT(マルト)リンパ腫」というタイプの悪性リンパ腫とも強い関連があります(参考:慶應義塾大学病院 2)。
胃にピロリ菌が感染して慢性的な炎症が続くことで、リンパ球が集まり、その一部ががん化すると考えられています。このタイプの場合、ピロリ菌を除菌するだけでリンパ腫が消失することもあります。
その他のウイルス(HIV、C型肝炎ウイルスなど)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者は、免疫機能が低下するため、悪性リンパ腫の発症リスクが一般の人より高くなることが知られています。
また、C型肝炎ウイルスも特定のB細胞リンパ腫との関連が指摘されています(参考:慶應義塾大学病院 2)。
感染症以外のリスク要因と「なりやすい人」の特徴
感染症以外にも、体質や環境などが発症に関与している可能性があります。これらも「これがあれば必ず発症する」というものではありませんが、リスク因子として知られているものを紹介します。
免疫不全状態や自己免疫疾患
本来、体を守るはずの免疫系に異常がある場合、リンパ腫のリスクが高まることがあります。
例えば、関節リウマチやシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患を持っている方や、臓器移植などで免疫抑制剤を使用している方は、そうでない方に比べて発症リスクがやや高いとされています(参考:慶應義塾大学病院 2)。
これは、慢性的な炎症や免疫監視機能の低下が影響していると考えられます。
年齢と性別による傾向
悪性リンパ腫は、子供から高齢者まであらゆる年齢層で発症しますが、全体的には年齢が上がるにつれて発症率が高くなる傾向があります(一部のタイプを除く)。
また、性別で見ると、タイプにもよりますが、女性よりも男性の方がやや発症しやすい傾向が見られます(参考:国立がん研究センター 1)。
化学物質や殺虫剤への曝露
一部の研究では、特定の除草剤、殺虫剤、有機溶剤などの化学物質に日常的にさらされる環境にある人は、発症リスクが高くなる可能性が示唆されています(参考:慶應義塾大学病院 2)。
しかし、これらも決定的な原因として特定されているわけではなく、研究段階にあるものが多く含まれます。
ストレスや生活習慣は悪性リンパ腫の原因になるのか
患者様やご家族が最も気にされるのが、ストレスや普段の生活習慣との関係です。インターネット上には様々な情報が溢れていますが、医学的な視点から整理します。
「ストレスが直接の原因」という医学的根拠はない
「ストレスのせいでがんになった」と考える方は非常に多いですが、現時点では「精神的なストレスが悪性リンパ腫の直接的な原因になる」という明確な科学的根拠は証明されていません。
もちろん、過度なストレスは免疫力を一時的に低下させる可能性がありますが、それだけで悪性リンパ腫が発症するとは考えにくいのが現状です。ご自身の過去のストレスを責める必要はありません(参考:国立がん研究センター 1)。
タバコ・アルコール・食生活との関連性
タバコや過度の飲酒、偏った食生活は、肺がんや食道がんなど多くのがんのリスクを高めますが、悪性リンパ腫に関しては、これらとの強い関連性は今のところはっきりとは分かっていません(参考:国立がん研究センター 4)。
ただし、喫煙は治療の効果を弱めたり、副作用を強めたりする可能性があるため、診断後は禁煙が推奨されます。
「遺伝」する病気なのか
「親がそうだったから子供にも遺伝するのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、悪性リンパ腫は基本的に遺伝病ではありません。
ポイント
遺伝子の変異は、生まれた後に後天的に起こるものがほとんどです。ごく稀に家族内での発症が見られることもありますが、基本的には遺伝を過度に心配する必要はないとされています(参考:国立がん研究センター 1)。
治験を試すのも一つの方法
病院で直接治療を受ける以外に、治験に参加するというのもひとつの手段です。日本では悪性リンパ腫でお困りの方に向け治験が行われています。
治験ジャパンでも治験協力者を募集しています。例えば過去には東京や神奈川、大阪などの施設で行われた試験もありました。
- 最新の治療をいち早く受けられることがある
- 専門医によるサポート、アドバイスが受けられる
- 治療費や通院交通費などの負担を軽減する目的で負担軽減費が受け取れる
ご自身の健康に向き合うという意味でも、治験という選択肢を検討してみるのも良いでしょう。実施される試験は全て、安全に配慮された状況下で行われます。
原因を知った上で私たちができること・向き合い方
原因がはっきりとしないことは不安の種になりますが、裏を返せば「誰にでも起こりうる偶発的な病気」であり、過去の行動を悔やむ必要はないということです。
早期発見・早期治療の重要性
悪性リンパ腫は、進行の速いタイプと遅いタイプがありますが、いずれの場合も適切なタイミングで治療を開始することが重要です。
といった症状がある場合は、原因をあれこれ悩むよりも、まずは血液内科などの専門医を受診することが、何よりの解決策となります。
正しい情報に基づいた生活と治療
「〇〇を食べれば治る」「〇〇が原因だ」といった科学的根拠のない情報に惑わされないようにしましょう。
悪性リンパ腫は、抗がん剤治療や分子標的薬、放射線治療などの進歩により、治癒を目指せる、あるいは長く付き合っていける病気になりつつあります。担当医とよく相談し、標準治療をベースに前向きに治療に取り組むことが大切です。
まとめ
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根本的な原因はリンパ球の遺伝子変異だが、なぜ変異が起きるのかの多くは不明。
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一部のタイプでは、ウイルス(EBウイルス、HTLV-1)や細菌(ピロリ菌)が関与している。
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免疫不全や自己免疫疾患、加齢などがリスク要因となることがある。
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ストレスや一般的な生活習慣が直接の原因であるという明確な根拠はない。
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遺伝性の病気ではないため、過度に家族への影響を心配する必要はない。
「原因不明」という言葉に戸惑うこともあるかもしれませんが、それは「あなたのせいではない」という意味でもあります。
自分を責めることなく、医療チームと協力して、これからの治療や生活に目を向けていきましょう。
